
行政書士に試験科目の免除はある?最短で行政書士になる方法も紹介
試験詳細
2025年09月05日


「行政書士試験に科目免除の仕組みはある?」
「試験を免除される人はいる?」
こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
残念ながら、行政書士試験に「科目免除」の仕組みはありません。前年の成績や実務経験は一切関係なく、全ての科目を受験することが必要です。
一方、「試験免除」の仕組みは用意されています。
・弁護士や公認会計士などに合格している
・公務員として、一定期間働いた経験がある
上記のようなケースでは、試験を受けなくても行政書士になることができます。ただし、いずれもハードルは高く、万人におすすめできる方法ではありません。
基本的には、試験に合格することが、行政書士になるための最短ルートだと考えて良いでしょう。本記事では、次の点を取り上げました。
・行政書士試験が免除されるケース
・公務員の特認制度の内容や注意点
・最短で行政書士になる方法
・行政書士になることで、試験が免除される資格
行政書士試験に興味がある方は、是非ご一読ください。
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【目次】
1.行政書士に「試験科目」の免除はない
行政書士試験には、一部の科目が免除される仕組みは存在しません。
これは、他の資格試験と大きく異なる特徴です。例えば、弁理士試験では特定の資格を取得すると一部の論文科目が免除されます。税理士試験、中小企業診断士試験でも、前年の成績によって、翌年の科目が免除される仕組みがあります。
しかし、行政書士試験にはこのような制度はありません。実務経験や前年の試験結果に関わらず、全ての科目を受験しなければなりません。他の資格を取得して試験科目を減らしたり、複数年に分けて受験したりといった戦略を取ることはできないのです。
つまり、行政書士試験に合格するためには、1回の試験で全科目に合格することが求められます。科目免除制度がないことは、行政書士試験の大きな特徴であり、受験生にとっても重要なポイントの1つです。
2.行政書士の「試験」が免除される方法は2つ
科目免除の仕組みはありませんが、行政書士試験そのものが免除される方法は2つあります。
1つは他士業の資格試験に合格すること、もう1つは公務員の特認制度を利用することです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.他士業の資格に合格する
弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格を持つ人は、行政書士試験に合格しなくても、行政書士として登録することができます。
【行政書士法 第2条(資格)】
次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
1.行政書士試験に合格した者
2.弁護士となる資格を有する者
3.弁理士となる資格を有する者
4.公認会計士となる資格を有する者
5.税理士となる資格を有する者
ただし、いずれも難関資格であり、合格には長期間の勉強が必要です。
行政書士になることを目的に、これらの資格取得を目指すのは得策とは言えません。
2-2.公務員の特認制度をつかう
もう1つの方法は、公務員として一定期間勤務した後に、特認制度を利用する方法です。国や地方公共団体などで「行政事務」を17年以上(中卒の方は20年以上)担当していれば、試験に合格しなくても行政書士の資格を得ることができます。
ただし、公務員として働いていた期間が全て「行政事務」として認められるとは限りません。行政書士会の事前審査があるため、17年(または20年)勤務したからといって、必ず行政書士になれるわけではないのです。
あくまでも選択肢の1つ程度として考え、頭の片隅に置いておくのがよいでしょう。
特認制度の詳細については、4章で詳しく解説します。
3.試験が「免除される=実務ができる」ではない
前述のとおり、弁護士や公認会計士などの資格を持っていると、行政書士試験が免除されます。こう聞くと、これらの資格が行政書士の上位資格のように感じる人もいるかもしれません。
しかし、決してそうではありません。なぜなら、「法律上で業務を行えること」と「実際に業務ができること」は全く別の話だからです。
例えば、弁護士と行政書士では、担当する職務領域が大きく異なります。
弁護士は、法律に基づいて紛争を解決することを得意としています。法律上は、許認可申請もできますが、行政書士ほどの専門的なノウハウは有していません。
一方、行政書士は行政手続きのスペシャリストです。行政の裁量が大きい手続きになるほど、行政書士のノウハウがないと対応が難しくなります。ここ数年急増している入管業務などは、その典型例です。行政の裁量幅がとても大きいため、担当する行政書士によって結果が大きく変わってきます。
つまり、試験が免除されるからといって、すぐに行政書士の実務ができるわけではないのです。
行政書士の仕事は、単に法律知識があれば良いというものではありません。行政庁との調整力、許認可申請に関するノウハウ、依頼者とのコミュニケーション能力など、実践的なスキルが求められます。試験免除で行政書士になったとしても、実務経験を積まなければ、依頼者の期待に応えることは難しいでしょう。
4.公務員の勤務経験による免除の注意点
行政書士の免除制度の中で、特に興味を持つ人が多いのが、公務員の特認制度です。
「特認制度があるので、公務員は行政書士試験を受ける必要はない」
こう思っている人も多いかもしれません。
しかし、特認制度は決して万人にオススメできる制度ではありません。特に次のような点には、注意が必要です。
・必ず利用できるわけではない
・法律知識が不足する場合がある
それぞれ見ていきましょう。
4-1.必ず利用できるわけではない
特認制度を利用するためには、公務員として17年(中卒の方は20年)以上、行政事務を担当した経験が必要です。しかし、17年以上働いたからといって、必ずしも特認制度が利用できるわけではありません。特認制度を利用するには、事前に行政書士会の審査を受ける必要があるからです。
この審査では、公務員として働いた期間が「行政事務」として認められるかが判断されます。一例として、大阪府行政書士会が公表している「行政事務」の基準を紹介します。
★行政事務を担当する者であるかどうかは、基本的には次の基準によります。
(1)文書の立案作成、審査等に関連する事務であること。(文書の立案作成とは、必ずしも自ら作成することを要せず、広く事務執行上の企画等も含む。)
(2)ある程度その者の責任において事務を処理していること。
⇒すなわち、単に職務の一部に書類の作成等が含まれているだけでは足りず、その者の職務の内容が、全体として上記(1)(2)に該当することが必要です。(引用:新規登録のご案内|大阪府行政書士会)
例えば、技術職の公務員として働いていたようなケースでは注意が必要です。
文書の立案作成、審査等に関連する事務ではないため「行政事務」として認められない可能性が高いです。また、事務職であったとしても、裁判所職員として働いていたようなケースでは「行政」事務ではないため、特認制度は利用できません。
4-2.不足する法律知識の勉強が必要
特認制度を利用する場合も、行政書士として必要な法律知識については、しっかりとした勉強が必要です。公務員の実務経験は大きな強みになりますが、法律知識として十分とは言えないからです。
公務員は、それぞれの分野における特別法や自治体の規則については詳しいですが、行政法全体を体系的に学ぶ機会は多くありません。異動する度に、それぞれの業務で必要な知識を、部分的に勉強しているのが実情でしょう。
つまり、特認制度を利用するからといって、勉強が不要になるわけではないのです。行政書士として必要な知識を身につけるためには、試験対策と同じような勉強が必要です。
5.最短ルートで行政書士になる方法は?
結局のところ、行政書士になる最短ルートは、行政書士試験に合格することです。
もちろん簡単ではありませんが、公務員の特認制度を利用したり、他の資格試験を経由するよりも、はるかに早く行政書士になることができます。必要な期間が短いのはもちろん、試験対策で身につけた知識は実務でも大いに活用できます。勉強に充てた時間は、行政書士になった後も決して無駄にはなりません。
因みに、行政書士試験に対して「長時間の勉強が必要」というイメージを持つ人も多いですが、必ずしもそうとは言い切れません。例えば、公務員試験の受験経験があったり、法律を勉強した経験があれば、比較的短期間で合格できる可能性があります。法律を初めて学習する人でも、受験指導校を利用すれば、数ヶ月の勉強で合格する人も多いです。
6.行政書士になることで試験が免除される資格は?
行政書士になることで、試験が免除されたり、受験資格を得られる資格もあります。例えば「弁理士試験の科目免除」や「社労士試験の受験資格」が挙げられます。
6-1.弁理士試験の論文式筆記試験(選択科目)が免除になる
行政書士の資格を持っていると、弁理士試験の一部が免除されます。具体的には、論文式筆記試験(選択科目)が免除されるため、短答式と論文式(必須科目)のみで、筆記試験に合格できます。
弁理士試験は、知的財産に関する高度な専門知識が要求される難関試験です。行政書士の資格があれば、試験対策が進めやすくなるでしょう。
6-2.社会保険労務士の受験資格が得られる
行政書士になると、社会保険労務士(社労士)の受験資格を得ることもできます。
社労士試験を受けるためには、一定の学歴が必要です。具体的には、短大卒・高等専門学校卒などの学歴が求められており、中卒・高卒の場合、学歴要件を満たすことができません。しかし、行政書士試験に合格すると、学歴に関わらず、受験資格を得られます。
学歴要件を満たさない状態から社労士になりたい方は、最初に行政書士試験を目指すことも一案です。
社労士と行政書士は、ダブルライセンスの相性も抜群なので、独立開業する際も強力な武器になります。
※社労士試験については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 社労士試験とは?試験日程や科目・合格点など試験内容について分かりやすく解説
※社労士と行政書士の難易度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
7.まとめ
最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
◉ 行政書士試験に「科目」免除はない
◉「試験」が免除になる方法は2つ
◉ 1つ目は、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士になること
◉ 2つ目は、公務員の特認制度を使うこと
◉ ただし、どちらも万人にオススメできる方法ではない
◉ 最短で行政書士になるには、試験の合格が最も効率的
「試験免除」と聞くと、確かに魅力的に聞こえるかもしれません。しかし本気で行政書士を目指すのであれば、試験に合格するほうが、賢明な選択となるケースが多いです。
難しいイメージを持つ人が多い行政書士試験ですが、正しい勉強をすれば短期間で合格する人も珍しくはありません。
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