【2025年版】中小企業診断士の1次試験を完全攻略!働きながら合格を掴むための学習法と戦略

基本情報

2025年09月08日

現在の業務に長年携わり、経験を積んできたものの、ふと「このままでいいのだろうか」と感じることはありませんか。

キャリアの伸び悩みや、自身の専門性に不安を覚え、自己投資として資格取得を考え始める方は少なくありません。

中でも、「中小企業診断士」は、経営全般の知識を身につけられる実践的な国家資格として、多くのビジネスパーソンから注目を集めています。

しかし、働きながら難関資格に挑戦することには、多くの疑問や不安がつきまといます。

本記事では、中小企業診断士の最初の関門である「1次試験」について、その試験概要、科目別攻略法、働きながら合格するための学習戦略、さらには合格後のキャリアパスまで、網羅的に解説します。

本記事を読めば、1次試験合格への最短ルートが明確になり、自信を持って学習の第一歩を踏み出せるはずです。ぜひ、最後までお読みいただき、新たなキャリアを築く一助となれば幸いです。

1. 中小企業診断士はキャリアアップに繋がる資格なのか?

本格的な試験対策の話に入る前に、多くの方が抱く「多大な時間と労力を投資する価値があるのか?」という根本的な疑問にお答えします。

結論から言えば、中小企業診断士は、あなたのキャリアを大きく飛躍させる可能性を秘めた、非常に価値のある資格です。

経営に関する体系的な知識は、現在の職務の質を高めるだけでなく、将来のキャリアの選択肢を大きく広げてくれます。

1-1.「経営のプロ」として認められる資格の将来性と魅力

中小企業診断士は、経営コンサルタントとしての唯一の国家資格です。

AIの進化が著しい現代においても、企業の課題を多角的に分析し、最適な解決策を提案するコンサルティング能力は、AIに代替されにくい重要なスキルと言えます。

また、特定の業界に縛られず、製造業、サービス業、IT業界など、あらゆる分野でその知識を活かせる汎用性の高さも大きな魅力です。

資格取得の主なメリットは以下のとおりです。

資格取得による
メリット
具体的な内容
キャリア
アップ
経営視点を身につけることで
管理職への昇進や企画部門へ
の異動に有利になります。
転職市場での
価値向上
経営知識を持つ人材として、
多様な業界・職種への転職で
高い評価を得られます。
独立・開業コンサルタントとして独立し
自身の専門性を活かして活躍
する道も開けます。
社内での
信頼獲得
部署や役職を超えて、会社の
経営課題について的確な助言
ができるようになります。

「中小企業診断士は仕事がなくなる」といった噂を耳にすることもあるかもしれません。

しかし、それは独占業務がないという一面だけを切り取った見方です。

むしろ、その知識の応用範囲の広さこそが、変化の激しい時代を生き抜く強力な武器となるのです。

2.中小企業診断士 1次試験の基本情報

1次試験は、幅広い経営知識を問うマークシート形式の試験です。

ここでは、試験の基本的な情報を分かりやすく整理して解説します。

2-1. 令和7年度(2025年度)の試験日程

計画的な学習のためには、まずスケジュールを把握することが不可欠です。

令和7年度(2025年度)の試験日程は以下のとおりです。

第1次試験日程
申込受付期間令和7年(2025年)4月24日(木)10時
〜5月28日(木)16時
受験票・写真票
の発送日
令和7年(2025年)7月7日(月)
試験日令和7年(2025年)8月2日(土)・3日(日)
合格発表日令和7年(2025年)9月2日(火)

出典:令和7年度中小企業診断士第1次試験案内

2-2. 覚えるべき7科目!試験科目と配点・出題範囲

一次試験は、2日間で合計7科目を受験します。

非常に範囲が広いですが、各科目の特徴を掴むことが攻略の第一歩です。

試験日科目名試験時間配点特徴・学習内容

2025年
8月2日
(土)

※1日目
① 経済学・経済
政策
9:50~10:50
(60分)
100点マクロ経済とミクロ
経済の理論が中心
② 財務・会計11:30~12:30
(60分)
100点計算問題が多く、
多くの受験生が苦手
とする科目
③ 企業経営理論13:30~15:00
(90分)
100点経営戦略論、組織論、
マーケティング
論の3分野。
④ 運営管理15:40~17:10
(90分)
100点生産管理と店舗・販
売管理について学ぶ
2025年
8月3日
(日)

※2日目
⑤ 経営法務9:50~10:50
(60分)
100点会社法や知的財産権
など、企業活動に関
わる法律知識
⑥ 経営情報シス
テム
11:30~12:30
(60分)
100点ITの基礎知識から経
営戦略への応用まで
⑦ 中小企業経営
・中小企業政策
13:30~15:00
(90分)
100点中小企業白書や施策
に関する知識、統計
データが問われる

出典:令和7年度中小企業診断士第1次試験案内

特に「財務・会計」は、簿記の知識があると有利ですが、初学者でも基本から学べば十分対応可能です。

まずはこの全体像を把握し、どの科目にどれくらいの時間を割くべきか考えましょう。

※科目の特徴や勉強法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 中小企業診断士の試験科目は?科目ごとの特徴や攻略法、試験免除についても解説

※科目ごとの合格に必要な勉強時間については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 中小企業診断士の勉強時間は1000時間?短時間で合格するコツも解説

2-3.意外と知らない?合格基準と「科目合格制度」の賢い活用法

一次試験の合格基準は、少し特殊なルールになっています。

このルールを理解し戦略的に活用することが、特に忙しい社会人にとっては重要です。

合格基準の種類内容
総点数の基準7科目の合計点が、満点の60%
(420点)以上であること
科目ごとの基準1科目でも、満点の40%未満の
点数がないこと
科目合格制・総点数で不合格でも、一部の
科目が60点以上だった場合、
その科目は「科目合格」となる

・科目合格の有効期間は、合格
した年を含めて3年間

・有効期間内に、残りの科目を
全て合格すれば、一次試験通過
となる

この「科目合格制」があるため、一度に全科目合格を目指すのではなく、「今年は4科目、来年は3科目」といった分割合格も可能です。

また、弁護士や公認会計士などの特定の資格を持っている場合、一部科目が免除される「科目免除制度」もありますので、該当する方は確認しましょう。

※科目合格制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 中小企業診断士の科目合格制度を徹底解説!戦略的な活用法と注意点も

※科目免除制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 中小企業診断士の試験科目は?科目ごとの特徴や攻略法、試験免除についても解説

3. 1次試験の難易度は?合格率と必要な勉強時間

「実際、どれくらい難しい試験なの?」というのは、誰もが気になるところでしょう。

ここでは、合格率から1次試験の難易度に迫ります。

3-1.過去5年間の合格率推移から見る本当の難しさ

中小企業診断士の1次試験合格率は、年によって変動があります。

過去5年間のデータを見てみましょう。

年度受験者数(全科目
を受験した者)
合格者数合格率
令和6年度
(2024年度)
18,2095,00727.5%
令和5年度
(2023年度)
18,7555,56029.6%
令和4年度
(2022年度)
17,3455,01928.9%
令和3年度
(2021年度)
16,0575,83936.4%
令和2年度
(2020年度)
11,7855,00542.5%

出典:中小企業診断協会 申込者数・合格率等の推移

合格率だけ見ると20%台後半から40%台と、それほど低くないように感じるかもしれません。

しかし、これは科目合格者なども含めた数字です。

十分な準備をしていない記念受験者もいるため、実質的な難易度は数字以上に高いと考えるべきでしょう。

それでも、正しい戦略で学習すれば、十分に突破可能な試験です。

3-2.合格までに必要な勉強時間は?社会人の学習モデル3パターン

一般的に、中小企業診断士の合格に必要な総勉強時間は約1000時間と言われています。

これは1次試験と2次試験を合わせた時間で、1次試験については約800時間が必要とされています。

この時間を確保するためには、計画的な学習が不可欠です。

学習スタイル平日の
学習時間
休日の
学習時間
1週間の
合計
800時間達成
までの期間
コツコツ型1.5時間4時間15.5時間約12ヶ月
標準型2時間5時間20時間約9ヶ月
短期集中型3時間7時間29時間約6.5ヶ月

例えば、1年後の合格を目指す「コツコツ型」であれば、1日平均で約2.2時間の学習が必要です。

通勤時間や昼休みなどのスキマ時間をいかに有効活用できるかが、社会人合格の鍵となります。

ご自身の生活スタイルに合わせて、無理のない学習モデルを組み立ててみましょう。

4.働きながら一発合格へ!失敗しないための効率的学習戦略

ここからは、「効率的な学習戦略」を具体的に解説します。

がむしゃらに勉強するのではなく、再現性の高いプランに沿って進めることで、合格の確率は格段に上がります。

以下の解説を参考に、あなただけの必勝戦略を描いてみてください。

4-1.【1年前から開始】学習開始から本番までの必勝戦略

学習期間を大きく3つのフェーズに分けることで、計画的に実力を伸ばすことができます。

フェーズ期間(目安)主な学習内容目標
学習
初期
試験
12ヶ月前
~6ヶ月前
・テキストの通読と
講義の視聴
・各科目の全体像を
把握
・簡単な基本問題の
演習
全科目の基礎知
識(インプット)
を一周させる。
学習
中期
試験
6ヶ月前
~3ヶ月前
・過去問題集の演習
を開始(アウトプット
中心)
・間違えた問題のテ
キストに戻り、知識
を定着させる
・苦手科目の洗い出
しと集中対策
過去問を通じて
実践力を養い、
自分の弱点を克
服する。
直前期試験
3ヶ月前
~本番
・過去問の反復演習
(最低3周)
・模擬試験の受験
・暗記科目(法務、情
報、中小)の総復習
・最新の法改正や白
書のチェック
時間配分の確立
と解答精度の向
上。知識の最終
確認。

上記の学習計画を基本に、自分の得意・不得意に合わせて調整していくことが大切です。

4-2.全科目7割狙いは非効率?科目別「攻め」と「守り」の攻略法

7科目全てで高得点を狙うのは、非常に非効率です。

合格基準である「総得点で6割以上、科目ごとの基準点落ちなし」をクリアするため、以下のように科目ごとに目標設定を変える戦略が有効です。

分類科目例戦略・目標
攻めの
科目
■企業経営理論
■運営管理
■中小企業経営
・中小企業政策
・学習時間を多めに確保
する
・他の科目の失点をカバ
ーできる得意科目にする
・目標は70点以上
守りの
科目
■経済学
・経済政策
■経営法務
■経営情報
システム
・深入りしすぎず、基本
論点を確実に押さえる
・基準点落ち(40点未満)
を確実に回避する
・目標は50点~60点
最重要
科目
■財務・会計・2次試験にも直結する
ため、最優先で学習する
・苦手意識を持たず、毎
日少しでも触れる習慣を
つける
・目標は60点以上

このようにメリハリをつけることで、限られた時間を最も効果的に使うことができます。

4-3.過去問は「解くのではなく分析する」

過去問は、単なる力試しではありません。

合格に必要な知識が詰まったテキストのひとつと捉えましょう。

最低でも過去5年分を3周以上繰り返し、徹底的に分析することが重要です。

1. 1周目:現状把握
・時間を計って解き、現在の実力を知る。
・点数に一喜一憂せず、どの論点が理解できていないかを把握することに集中する。
2. 2周目:知識の穴埋め
・時間を気にせず、1問ずつ丁寧に解く。
・正解した問題も含め、全ての選択肢がなぜ正しいのか、なぜ誤っているのかを説明できるレベルまでテキストで確認する。
3. 3周目以降:解答プロセスの確立
・再び時間を計って解き、解答スピードと精度を上げる訓練をする。
・自分なりの時間配分や、迷った時の判断基準を確立する。

また、直前期には模擬試験を最低1回は受験し、本番の雰囲気や時間配分に慣れておくことをおすすめします。

5.独学に不安なら受験指導校も有効な選択肢

ここまで独学を前提とした学習法を紹介してきましたが、「一人で膨大な範囲を管理できるか不安」「分からない点をすぐに質問できる環境がほしい」と感じる方もいるでしょう。

そのような場合、予備校の活用は非常に有効な選択肢となります。

プロのノウハウを活用することで、学習効率を飛躍的に高めることが可能です。

5-1.合格への最短ルート?伊藤塾の強みから学ぶ受験指導校のメリット

例えば、法律資格で圧倒的な実績を持つ伊藤塾のような受験指導校には、長年培われた合格のためのノウハウがあります。

独学にはない受験指導校のメリットを、伊藤塾の強みを例に見てみましょう。

・ 質の高い教材とカリキュラム
最新の出題傾向を徹底的に分析した教材は、どこを重点的に学習すべきかを明確にしてくれます。 何から手をつければ良いか分からない、という初学者の悩みを解決します。

・ 経験豊富な講師陣
つまずきやすいポイントを先回りして解説してくれる分かりやすい講義は、学習時間の短縮に直結します。 質問制度を活用すれば、疑問点をその場で解消できます。

・ 合格後を見据えたサポート
単なる試験合格だけでなく、その後のキャリア形成まで見据えたサポートを受けられる点も魅力です。同じ目標を持つ仲間と出会えることも、モチベーション維持に繋がります。


独学か受験指導校かは、ご自身の性格や予算、確保できる時間などを総合的に判断して決めるのが良いでしょう。

※伊藤塾の「2026年合格目標 中小企業診断士 合格講座」はこちら

※伊藤塾の「中小企業診断士 合格講座 無料体験講義」もぜひご覧ください。 (※配信終了日:2025/10/31(金))

※受講相談はこちらからお気軽にお問い合わせください。

6. 1次試験は通過点!合格後のキャリアパスと将来性

厳しい1次試験を乗り越えた先には、2次試験(筆記・口述)が待っています。

一次試験が「知識のインプット」を問うのに対し、2次試験は「知識を応用するアウトプット能力」が問われるため、異なる対策が必要です。

しかし、1次試験で培った盤石な知識が、2次試験突破の大きな力となることは間違いありません。

そして、最終合格を果たし、中小企業診断士として登録した暁には、あなたのキャリアは新たなステージに進みます。

社内で昇進・昇給のチャンスが広がるだけでなく、経営コンサルタントとして副業、独立開業したり、より条件の良い企業へ転職したり、公的機関や中小企業支援施策へ参画したりと、可能性は無限に広がっています。

学習が辛くなった時は、この明るい未来を想像することが、きっと大きな支えになるはずです。

※2次試験については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 中小企業診断士2次試験を解説!試験概要から出題傾向・対策まで

7.中小企業診断士への第一歩、まずは学習計画から始めよう

今回は、中小企業診断士の1次試験について、その全体像から具体的な学習戦略までを詳しく解説しました。

最後に、本記事のポイントをまとめます。

1. 資格の価値を再認識する:中小企業診断士は、キャリアアップや独立に繋がる将来性豊かな国家資格です。

2. 試験の全体像を把握する:7科目という広大な範囲と、科目合格制という特殊なルールを理解しましょう。

3. リアルな難易度を知る: 合格率は約3割、必要な勉強時間は約800時間。計画なくして合格はありえません。

4. 効率的な戦略を立てる:「攻め」と「守り」の科目を見極めた学習計画を立て、過去問を徹底的に分析することが合格の鍵です。

5. 受験指導校の活用も有効:忙しい社会人には、効率的な学習によって短期合格が可能となる受験指導校の活用が非常に有効です。

中小企業診断士の1次試験は、決して簡単な道のりではありません。

しかし、正しい情報に基づいて戦略を立て、着実に努力を続ければ、働きながらでも必ず合格を掴み取ることができます。

本記事が、あなたの挑戦への不安を解消し、力強い第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

その志に実力を。
伊藤塾はあなたの挑戦を全力で応援しています。

【中小企業診断士】伊藤真塾長×別所洋平講師~伊藤塾で「中小企業診断士」を目指そう!~

伊藤塾 中小企業診断士試験科

著者:伊藤塾 中小企業診断士試験科

伊藤塾中小企業診断士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、中小企業診断士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。