地方公務員の年収は高い?地域・年齢別モデルケースで徹底検証!

公務員の基本情報

2024年09月30日

「地方公務員の年収はいくら?」
「都道府県や市役所、政令市による違いはある?」
「採用後は、どのようなペースで年収が上がっていくの?」

こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

総務省によれば、地方公務員(一般行政職)の平均年収は約645万円です。

ただし、都道府県・政令市・市役所・特別区などの区分によって異なります。

【地方公務員の平均年収】

 年収月給ボーナス
都道府県庁約654万円約41万円約162万円
政令市約696万円約44万円約174万円
市役所約636万円約40万円約160万円
東京特別区約683万円約42万円約173万円

さらに、年齢が上がるほど年収は高くなり、東京や大阪などの大都市であれば、40代〜50代で年収1000万を超えるケースもあります。

本記事では、地方公務員の年収について、受験生が気になるポイントを徹底的に解説しました。

・国家公務員や民間企業との比較
・地方別の平均年収
・都道府県、政令市、市役所などの平均年収
・年齢による年収の上がり方 など

この記事を読むことで、

「地方公務員になると、給与がいくらもらえるのか」
「何歳で、どの程度の年収になるのか」

などが理解できるはずです。

地方公務員の年収が気になる方は、是非ご一読ください。

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1.地方公務員の平均年収は645万円

総務省の公表しているデータによれば、地方公務員(一般行政職)の平均年収は約645万円です。

「40万2,761円×12ヶ月分」の年間給与に加えて、期末・勤勉手当(ボーナス)が161万4,265円支給されます。年間給与とボーナスを合計した金額が、地方公務員の年収です。
(出典:令和6年地方公務員給与の実態 第13表 団体区分別,職種別職員の平均給与月額及び平均諸手当額|総務省

【地方公務員(一般行政職)の年収】

年間給与
(402,761円×12ヶ月)
4,833,132円
期末・勤勉手当
(ボーナス)
1,614,265円
合計6,447,397円

なお、毎月の給与は次のとおりです。

給与月額基本給317,951円
扶養手当8,058円
地域手当18,907円
住居手当5,910円
通勤手当8,378円
管理職手当9,682円
時間外勤務手当32,272円
その他の諸手当1,603円
合計402,761円

基本給として31万7,951円、その他手当として8万4,810円が支給されます。

基本給の他にも、

・扶養親族の数によって支給される「扶養手当」
・物価の高い地域に勤務する公務員に支給される「地域手当」
・賃貸住宅に住む職員に支給される「住宅手当」
・一般企業の残業代に相当する超過勤務手当

など、様々な手当が支給されています。

1-1.国家公務員や民間企業との比較

地方公務員の年収を、国家公務員や民間企業と比較してみましょう。

 平均年収
地方公務員645万円
国家公務員684万円
民間企業460万円

出典:令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁令和6年 人事院勧告 参考資料|人事院

平均年収を比較すると、地方公務員・国家公務員が民間企業よりも「100万円以上」高いと考えられます。

ただし、これはあくまでも年齢構成や規模感などを考慮せず、単純に比較した結果です。

公務員の平均年齢が民間企業よりも高いことを考慮したり、大企業に限定して比較すると、また違う結果になるでしょう。

詳細は後述しますが、地方公務員の平均年収は、勤務する地方公共団体(都道府県・市役所など)によって大きく変わってきます。

平均年収の比較は、あくまでも目安として考えておきましょう。

2.【区分別】都道府県・政令市・市役所・特別区の平均年収

地方公務員の年収は、地方公共団体の種類によって異なります。

都道府県、人口50万人以上の政令指定都市、市役所、東京特別区など、勤務する地方公共団体によって、平均年収は変わってきます。

【地方公共団体の種類別の平均年収】

 年収月給ボーナス
都道府県庁約654万円約41万円約162万円
政令市約696万円約44万円約174万円
市役所約636万円約40万円約160万円
東京特別区約683万円約42万円約173万円


最も高いのが政令指定都市の職員で、平均年収は約696万円です。

それぞれの内訳について詳しく見ていきましょう。

2-1.都道府県庁の平均年収は654万円

都道府県職員の平均年収は654万円です。

年間492万1,776円(41万148円×12ヶ月)の給与と、162万2,790円のボーナスが支給されます。

毎月の給与の内訳は、次のとおりです。

給与月額基本給321,156円
扶養手当7,279円
地域手当17,655円
住居手当6,306円
通勤手当11,424円
管理職手当8,516円
時間外勤務手当34,708円
その他の諸手当3,104円
合計410,148円

出典:令和6年地方公務員給与の実態 団体区分別,職種別職員の平均給与月額及び平均諸手当額|総務省

基本給として約32万円、その他の手当として9万円程度が支給されます。

地方公務員全体の平均よりわずかに高いです。

2-2.政令指定都市の平均年収は696万円

政令指定都市は「政令で指定する人口50万以上の市」と規定されている都市です。

例えば、札幌市、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市など、各地方の中心的な大都市が指定されています。

地方公務員試験でも人気が高く、平均年収も約696万円と最も高水準です。

年間給与は522万648円(43万5,054円×12ヶ月)、加えて173万7,371円のボーナスが支給されます。

毎月支給される給与の内訳は、次のとおりです。

給与月額基本給322,777円
扶養手当8,180円
地域手当36,515円
住居手当6,268円
通勤手当10,943円
管理職手当8,954円
時間外勤務手当40,011円
その他の諸手当1,406円
合計435,054円

出典:令和6年地方公務員給与の実態 団体区分別,職種別職員の平均給与月額及び平均諸手当額|総務省

基本給は約32万円と他の地方公共団体と大きな差はありません。

一方で、地域手当や時間外勤務手当が高く、大都市ならではの特徴が年収の高さとして表れていると言えるでしょう。

・地域手当:物価水準の高い都市に勤務する職員に支給される手当
・時間外勤務手当:いわゆる残業代として支給される手当

2-3.市役所の平均年収は636万円

市役所職員の平均年収は636万円です。

年間給与の平均は476万1,600円(39万6,800円×12ヶ月)、ボーナスとして159万5,210円が支給されます。

給与月額の内訳は、次のとおりです。

給与月額基本給319,094円
扶養手当8,699円
地域手当14,032円
住居手当5,814円
通勤手当6,015円
管理職手当11,344円
時間外勤務手当31,104円
その他の諸手当698円
合計396,800円

出典:令和6年地方公務員給与の実態 団体区分別,職種別職員の平均給与月額及び平均諸手当額|総務省

市役所職員は、地方公務員の中で最も職員数の多い公務員です。

そのため、年収も概ね地方公務員全体の平均に落ち着きます。

2-4.東京特別区の平均年収は683万円

東京特別区は、新宿区、渋谷区、千代田区など、いわゆる東京都心にある23区です。

年収の水準も高く、平均年収は683万円です。

年間給与として509万8,692円(42万4,891円×12ヶ月)、ボーナスとして173万4,821円が支給されます。

給与月額の内訳は、次のとおりです。

給与月額基本給298,662円
扶養手当4,617円
地域手当61,623円
住居手当4,409円
通勤手当10,995円
管理職手当5,618円
時間外勤務手当38,337円
その他の諸手当630円
合計424,891円

出典:令和6年地方公務員給与の実態 団体区分別,職種別職員の平均給与月額及び平均諸手当額|総務省

特別区職員の給与の特徴は、東京都心が勤務地となるため、地域手当が非常に高いことです。

基本給の20%の金額が地域手当として支給されるうえ、区を超えた転勤もありません。

地方公務員の中でも、特に安定的な年収を得やすい職場だと言えるでしょう。

3.【地方別】地方公務員の平均年収|関東・関西・九州など

地方公務員の平均年収は、地域によっても異なります。

一般的には東京や大阪など、都会になるほど平均年収も高くなります。

そのため、関東や中部、近畿の年収が高く、地方になるほど平均年収は低くなる傾向です。

ただし、地方でも札幌や福岡などの都心部は地域手当が支給されるため、年収も高くなる可能性が高いです。

地方公務員(都道府県・政令指定都市)の地域別の平均年収は次のとおりです。

【地域別の平均給与月額(都道府県及び指定都市(一般行政職))】

 平均年収
(各種手当を除く)
平均基本給月額期末・勤勉手当
北海道5,443,350円329,900円1,484,550円
東北5,459,553円332,650円1,496,925円
関東5,867,169円355,586円1,600,137円
北陸5,596,388円339,175円1,526,288円
中部5,787,656円350,767円1,578,452円
近畿5,758,220円348,983円1,570,424円
中国5,577,660円338,040円1,521,180円
四国5,492,850円332,900円1,498,050円
九州5,449,340円330,263円1,486,184円

※平均基本給月額は、基本給+扶養手当+地域手当
※時間外勤務手当(残業代)や住居手当、通勤手当は含みません。
※期末・勤勉手当は平均給与月額×4.5ヶ月分(国家公務員に準ずる)で計算
※年収は平均月額給与×12ヶ月+期末・勤勉手当
出典:令和6年地方公務員給与の実態 別冊第3表 都道府県別、市町村別給与などの一覧表|総務省

4.【年齢別】地方公務員の年収はどう上がっていく?

次に、年齢別の地方公務員の年収を見ていきましょう。

地方公務員給与実態調査結果をもとに、20代、30代、40代、50代それぞれで、年収がどう推移していくのかを紹介します。

※平均給料月額(基本給の平均)を元にしているため、各種手当は含みません。

※期末・勤勉手当は平均給与月額×4.5ヶ月分(国家公務員に準ずる)で計算

※年収は平均月額給与×12ヶ月+期末・勤勉手当

(出典:令和6年地方公務員給与の実態 第3表の2 団体区分別,男女別,職種別,学歴別,年齢別職員数及び平均給料月額|総務省

4-1.10代〜20代の年収は280万〜400万

まずは、10代〜20代の年収の推移を見ていきましょう。

年齢年収
(各種手当を除く)
平均給料月額期末・勤勉手当
18・19歳2,819,817円170,898円769,041円
20〜23歳3,234,891円196,054円882,243円
24〜27歳3,585,830円217,323円977,954円
28〜31歳4,017,602円243,491円1,095,710円

10代〜20代前半の給与は、民間企業と比較しても決して高くはありません。

しかし、それでも20代後半で、平均年収400万円程度には達します。

上記の金額に加えて、各種の手当(住居手当、地域手当など)も支給されるため、生活に支障を感じることはないでしょう。

4-2.30代の年収は440万〜490万

30代になると、勤続年数が10年を超えてきます。

昇格によって基本給が上がる人も増えてきて、30代後半で年収はほぼ500万円に達します。

年齢年収
(各種手当を除く)
平均給料月額期末・勤勉手当
32〜35歳4,468,877円270,841円1,218,785円
36〜39歳4,957,541円300,457円1,352,057円

さらに、結婚や出産により家族が増えると、上記の金額に加えて扶養手当などが支給される場合もあります。

4-3.40代の年収は550万〜630万

40代後半になると、平均年収は600万を超えてきます。

年齢年収
(各種手当を除く)
平均給料月額期末・勤勉手当
40〜43歳5,534,051円335,397円1,509,287円
44〜47歳5,995,226円363,347円1,635,062円
48〜51歳6,312,207円382,558円1,721,511円

さらに、各種手当(扶養手当、地域手当、管理職手当など)も支給されるため、家族を養っていくために十分な収入を得ることができるでしょう。

4-4.50代の年収は650万〜670万

50代の平均年収は、600万円台後半に突入します。

年齢年収
(各種手当を除く)
平均給料月額期末・勤勉手当
52〜55歳6,560,516円397,607円1,789,232円
56〜59歳6,763,565円409,913円1,844,609円

勤続年数が長くなるにつれて給料も高くなります。

各種の手当も含めると、年収700万円を超えるケースも珍しくありません。

5.地方公務員の年収のモデルケース

最後に、地方公務員の年収のモデルケースを紹介します。

東京都庁と大阪市役所について見ていきましょう。

5-1.都道府県(東京都庁)のモデルケース

最初に、都道府県(東京都庁)の年収モデルを紹介します。

【年収モデル (行政職給料表(一)適用者) ※令和7年(2025年)4月1日現在】

年齢・役職例月給与
×12ヶ月
期末手当勤勉手当年収
25歳係員3,247,200円676,500円635,910円4,560,000円
35歳課長代理4,639,680円1,024,596円963,120円6,627,000円
45歳課長7,391,520円1,361,348円1,782,717円10,536,000円
部長9,285,120円1,613,776円2,505,600円13,404,000円

出典:給与決定と算出のしくみ|東京都人事委員会

20代の平均年収は約450万と決して高くはありません。

しかし、勤務実績に応じて年収が上がっていき、45歳で課長になれば年収1000万を突破します。日本の首都だけあって、地方公務員の中でもかなりの高年収だと言えるでしょう。

5-2.政令指定都市(大阪市役所)のモデルケース

次に、政令指定都市(大阪市役所)のモデル年収を見ていきましょう。

【大阪市職員のモデル年収額(令和7年(2025年)度見込)】

年齢・役職給与月額
×12ヶ月
期末・
勤勉手当
年収
27.8歳(係員)3,072,624円1,172,597円4,245,221円
33.3歳(係員)3,616,200円1,381,295円4,997,495円
44.4歳(主務)4,521,516円1,816,853円6,338,369円
47.1歳(係長)5,054,088円2,128,481 円7,182,569円
51.7歳(課長代理)5,627,892円2,427,012円8,054,904円
53.5歳(課長)7,372,800円3,125,233円10,498,033円
部長8,566,368円3,663,064 円12,229,432円

出典:職員のモデル年収額及び職員1人当たりの給料・諸手当一覧|大阪市

東京都と同じく、20代の年収は約420万となっており、民間企業と比較しても低い水準です。しかし、年齢や役職が上がるに連れて、年収も上がっていきます。

40代で年収700万を突破し、課長になれば、50代で1000万を超えてきます。

家族を養っていくために、十分な収入を得ることができるでしょう。

6.【Q&A】地方公務員の年収についてよくある質問

6-1.地方公務員の初任給はいくら?

地方公務員の初任給は、試験区分(大卒程度・高卒程度など)によって異なります。

大卒程度試験に合格した場合の初任給は、20万円程度が目安です。

【地方公務員の平均的な初任給】

 大学卒短大卒高校卒
都道府県201,981円183,790円170,535円
政令指定都市197,314円178,631円166,426円
市役所198,761円181,382円169,070円

出典:令和6年 地方公務員給与の実態 統計表第4表 初任給|総務省

6-2.退職手当はいくら?

地方公務員(一般行政職)の定年退職時の平均退職手当額は、2265万5,000円です。

勤続年数や退職理由(定年・自己都合・早期退職等)によって大きく異なりますが、自己都合退職の場合は大幅に下がります。

なお、あくまでも令和6年(2024年)の実績値のため、今後削減される可能性もあります。
(出典:令和6年 地方公務員給与の実態 第9表  団体区分別、職員区分別、退職事由別、年齢別退職者数及び退職手当額|総務省

6-3.残業代はどの程度支給される?

地方公務員の残業代(時間外勤務手当)の平均額は次のとおりです。

仕事の忙しさなどによっても異なりますが、平均4万円程度が支給されています。

 支給額
都道府県庁34,065円
政令指定都市48,625円
市役所39,351円

なお、残業代の支給額は、配属された部署によって大きく異なります。

残業がほとんど無い部署や、一定の月だけ残業が発生する部署、恒常的に残業が発生している部署など、超過勤務の時間は部署によって様々だからです。

7.まとめ

最後に、今回の記事のポイントを整理します。

◉ 地方公務員全体の平均年収は645円
◉ 地方公共団体の種類別の平均年収は次のとおり

・都道府県の平均年収は654万円
・政令指定都市の平均年収は696万円
・市役所の平均年収は636万円
・東京特別区の平均年収は683万円

◉年齢別の年収の推移は次のとおり

・10代〜20代の平均年収は280万〜400万
・30代の平均年収は440万〜490万
・40代の平均年収は550万〜630万  
・50代の平均年収は650万〜670万
※この他に、各種の手当が支給される

◉ 地域別の平均年収は、関東・中部・関西が高め
◉ 東京都や大阪市の職員は40代〜50代で年収1000万を突破するケースもある

地方公務員は、多くの方にオススメできる就職先の1つです。

安定的な年収はもちろん、転勤の可能性も少なく、地域の発展に貢献したいという方にピッタリの職場です。

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伊藤塾 公務員試験科

著者:伊藤塾 公務員試験科

伊藤塾公務員試験科は一人ひとりの学習経験や環境に応じた個別指導で毎年多くの行政官を輩出しています。このコラムでは将来の進路に「公務員」を考えている皆さんへ、仕事の魅力や試験制度、学習法など公務員を目指すための情報を詳しくお伝えしています。