国家一般職の年収は低い?年齢別・地方上級との比較など全データを紹介

公務員の基本情報

2025年06月30日

「国家一般職の年収って、実際どれくらいなの?」

こんな疑問を持ちながら、地方公務員や民間企業との間で進路を迷っている方も多いのではないでしょうか?

ずばり、国家公務員の平均年収は約669万円と民間企業を大きく上回る水準です。

初任給は約500万円からスタートし、30代後半で約647万円、40代後半で約782万円と年齢を重ねるごとに上昇していきます。

さらに、採用される府省によって年収に差が出ることをご存知でしょうか?たとえば、東京の霞が関にある本府省勤務の国家一般職の平均年収は約743万円ですが、管区機関では約671万円、労働局などの府県単位機関なら640万円と、同じ国家一般職でも約100万円の差があるのです。

(出典:人事院|令和6年国家公務員給与等実態調査の結果より平均給与月額×12ヶ月+ボーナス(平均給与月額×4.5ヶ月)で算出)

本記事では、国家一般職の年収について、標準的な年収モデル、年齢別の推移、府省による違いなど、2024年最新のデータをもとに余すところなく解説します。地方公務員や民間企業との比較データも掲載しているので、ぜひ進路選びの参考にしてください。

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1.国家一般職の年収モデル

国家一般職の年収は、新卒で約500万円、係長級で約700万円、課長級で約830万円が標準的な金額です。以下に、国家一般職の標準的な年収モデルをまとめました。

 月額給与年間給与
新卒初任給約32万円約500万円
係長級約44万円約700万円
課長級約51万円約830万円
(出典:人事院|国家公務員の給与制度の概要

この年収モデルは、大阪や横浜などの都市部に勤務し、月20時間程度の残業を行い、家賃55,000円以上の賃貸住宅に居住している職員を想定しています。総支給額なので、実際の手取り額は社会保険料や住民税が控除された金額となるでしょう。一般的には、総支給額の75〜80%程度が手取り額になる人が多いです。

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2.国家一般職の年収は府省によって違う?

「国家一般職の年収は、どの省庁(府省)でも同じなの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

結論としては、基本的な給与体系は全府省で統一されています。しかし、昇給スピードの違いによって、採用後の年収に差が出ることがあります。

2-1.初任給・給与体系は全府省同じ

国家一般職の初任給は、全府省で統一されています。

新卒(大卒)なら、どの府省でも「行政職俸給表(一)1級25号俸」からスタートします。つまり、財務省に入ろうが、厚生労働省に入ろうが、スタートラインは同じです。

基本給だけでなく、期末・勤勉手当(ボーナス)の計算方法や、地域手当、住居手当、通勤手当などの支給額、その他の給与体系もすべて共通しています。したがって、勤務する地域や職歴が同じ場合、新卒1年目の年収はどの府省でもほぼ同額となります。

2-2.採用後の昇給のスピードには差がある

一方で、採用後の昇給スピードには府省によって差があります。これは、府省によって勤務地や仕事の忙しさが異なるからです。

まずは、昇給の仕組みを確認しておきましょう。国家公務員の昇給スピードは、勤務成績に応じて決まります。毎年、4号俸昇給する職員が大半ですが、優秀な評価を得れば6号俸、8号俸と昇給幅が大きくなります。

【昇給額の例】

勤務成績昇給額の目安
1位グループ
(8号俸の昇給)
約8,000円〜12,000円
2位グループ
(6号俸の昇給)
約6,000円〜9,000円
その他
(4号俸の昇給)
約3,000円〜6,000円
(出典:人事院|人事評価と評価結果の活用

本府省(中央省庁)などの多忙な府省になるほど、職員への評価が高くなり、係長、課長補佐などの役職に就く時期も早くなる傾向があります。

昇給のスピードに差が生じるため、府省ごとの平均年収は変わってきます。

2-3.平均年収が高い府省

国家公務員の年収を府省別に比較すると、次のようになります。

府省月給想定年収
■本府省(中央省庁)
・厚生労働省本省
・法務省本省
・国土交通省本省など
450,021円約743万円
■管区機関
・地方整備局
・地方農政局
・地方厚生局
・管区行政評価局など
406,722円約671万円
■府県単位機関
・地方法務局
・都道府県労働局など
388,130円約640万円
※想定年収は、平均給与月額×12ヶ月+ボーナス(平均給与月額×4.5ヶ月)で算出。
※「行政職俸給表(一)」が適用される職員の年収です。
(出典:人事院|令和6年国家公務員給与等実態調査の結果概要をもとに作成)

「本府省」とは、東京の霞が関にある中央省庁を指します。政策の立案や法律の制定、予算編成など、行政の中枢を担っており、平均年収は約743万円と最も高いです。総合職ほどではありませんが、一般職の昇進スピードも地方機関より早い傾向があります。

「管区機関」は、複数の都府県を管轄する機関です。地方整備局、地方農政局、地方厚生局などが典型例で、県を跨いだ転勤がある府省も多いです。平均年収は本府省に次いで高く、約670万円です。

「府県単位機関」とは、地方法務局や都道府県労働局などの都道府県単位で設置される機関です。転勤は少ないですが、平均年収も他より低く約640万円です。

3.【年齢別】国家公務員の年収推移

国家一般職の年収は、年齢とともに着実に上昇していきます。

国家公務員の年齢別の想定年収は下表のとおりです。

年齢平均給与月額
(大学卒)
想定年収
20歳以上24歳未満23,4741円約387万円
24歳以上28歳未満260,485円約430万円
28歳以上32歳未満299,430円約494万円
32歳以上36歳未満340,619円約562万円
36歳以上40歳未満392,082円約647万円
40歳以上44歳未満440,772円約727万円
44歳以上48歳未満473,961円約782万円
48歳以上52歳未満503,144円約830万円
52歳以上56歳未満524,900円約866万円
56歳以上60歳未満530,044円約875万円
60歳以上511,725円約844万円
※想定年収は、平均給与月額×12ヶ月+ボーナス(平均給与月額×4.5ヶ月)で算出。
※「行政職俸給表(一)」が適用される職員の年収です。
(出典:人事院|令和6年国家公務員給与等実態調査の結果 〔参考1〕行政職俸給表(一)の年齢階層別、給与決定上の学歴別人員及び平均給与月額をもとに作成)

民間企業と比べると、年功序列的な昇給カーブとなりやすく、年齢を重ねるごとに年収が上がっていきます。若いうちから大きく稼ぎたい人には向いていないかもしれませんが、長期的なライフプランを立てやすいのが国家公務員の魅力です。

4.国家一般職の給与の仕組み

国家一般職の給与の仕組みを見ていきましょう。初任給、昇給区分、ボーナス(期末・勤勉手当)、残業代(超過勤務手当)、その他の手当など5つの観点から説明します。

4-1.初任給

大卒で国家一般職に採用された場合、基本給は22万円からスタートします。基本給に地域手当や住居手当、超過勤務手当などを加えた金額が総支給額(初任給)です。

 新卒の場合既卒で6年の
職歴がある場合
基本給220,000円
(1級25号俸)
243,800円
(1級49号俸)
諸手当72,000円76,760円
総支給額
(初任給)
292,000円320,560円
(出典:人事院|国家公務員の給与制度の概要をもとに作成)

新卒の東京23区勤務で民間の賃貸住宅を借りた場合、20%(4万4千円)の地域手当、2万8千円の住居手当が加わります。1年目の総支給額(初任給)は約29万2千円です。

一方、既卒で職歴がある場合は「職歴加算」があるため、新卒者よりも高水準となります。表のように、6年の職歴が認められた場合は「1級49号俸」となり、約32万560円が初任給として支給されます。

※職歴加算とは?
前職の勤務年数が、初任給に反映される仕組みです。たとえば、大学卒業後6年間の職歴がある場合、採用された府省の6年目の職員と同水準の給与となるように、初任給が調整されます。ただし、職歴としてカウントされる年数は、前職の内容によって「100/100」以下まで換算されます。
一例を挙げると、地方公務員として6年間勤務した場合、職務内容が似ているため6年分(100%)の職歴が認められる可能性が高いです。他方、民間企業から転職した場合は、100%の年数が認められるケースは少なく、職務の類似性によって「80/100」以下の年数に換算されます。

4-2.毎年の昇給

国家公務員の昇給は、毎年1月1日に行われます。

昇給区分は勤務成績によってA〜Eの5段階に分かれており、どの評価を受けるかで昇給額が変わります。

【国家一般職の昇給金額】

昇給区分昇給額の目安
A
(8号俸の昇給)
約8,000円〜12,000円
B
(6号俸の昇給)
約6,000円〜9,000円
C
(4号俸の昇給)
約3,000円〜6,000円
D
(2号俸の昇給)
約1,000円〜3,000円
E
(昇給なし)
0円
(出典:一般職の職員の給与に関する法律「別表第一 行政職俸給表(第六条関係)」

標準的な評価(C)でも毎年3,000円〜6,000円の昇給があり、優秀な評価を得れば、平均の倍近い昇給も可能です。若手職員のうちは毎年ほぼ確実に昇給しますが、一定の年齢を超えると昇給幅が縮小するケースもあります。

4-3.ボーナス(期末・勤勉手当)

国家公務員のボーナスは、6月と12月の年2回支給されます。

正式には「期末手当」と「勤勉手当」に分かれており、基本給の金額や勤務成績、在職期間に応じて支給額が変動します。

【国家公務員のボーナス支給額の例】

令和6年(2024年)支給額支給月数
6月期約659,400円2.21月分
12月期約652,800円2.21月分
合計約1,312,200円4.42月分
(出典:内閣官房内閣人事局|報道資料 令和6年6月期令和6年12月期

国家公務員のボーナス(期末・勤勉手当)は法律に基づいて支給されるため、民間企業のように業績悪化を理由に大幅カットされたりもしません。安定した支給が保証されているのも、国家公務員の魅力の一つでしょう。

4-4.超過勤務手当(残業代)の支給額

超過勤務手当は、1時間あたりの基本給に125%を掛けた金額が支給されます。

国家公務員の平均的な残業時間は以下のとおりです。

 本府省本府省以外
令和6年
(2024年)
382時間
(32時間/月)
194時間
(16時間/月)
令和5年
(2023年)
391時間
(33時間/月)
179時間
(15時間/月)
令和4年
(2022年)
383時間
(32時間/月)
179時間
(15時間/月)
(出典:人事院|国家公務員の平均年間超過勤務時間数(直近5年分)

本府省勤務の場合、月平均32時間程度の残業が発生します。新卒1年目でも月額6万円程度の残業代が見込めるでしょう。

【超過勤務手当の計算例】

時給:約1,500円(24万2千円(基本給22万円、地域手当2万2千円) ÷ 160時間(月間所定労働時間の目安))
超過勤務手当:1,500円 × 1.25(125%)= 1,875円
月32時間の超過勤務手当:1,875円 × 32時間 = 約6万円

4-5.その他の手当の支給額

基本給以外にも、様々な手当が支給されます。

・地域手当(最大20%)
・住居手当(最大2万8千円)
・通勤手当(実費支給)
・扶養手当(配偶者3,000円、子11,500円、父母6,500円)など


このほか、単身赴任手当、寒冷地手当、特殊勤務手当など、勤務条件に応じた手当も用意されています。これらの手当を合計すると、基本給の2〜3割程度の金額になるケースも珍しくありません。特に都市部勤務で家族がいる場合、各種手当が年収を大きく押し上げる要因となります。

※国家公務員の諸手当は、次の記事で詳しく解説しています。

5.地方公務員・民間企業との平均年収の比較

国家公務員の平均年収は約669万円と、地方公務員や民間企業と比較しても高い水準にあります。

■国家公務員と地方公務員、民間企業の年収比較

 平均年収差額
国家公務員約669万円
地方公務員
(都道府県)
約652万6千円+16万4千円
地方公務員
(政令市)
約686万円▲17万円
地方公務員
(市役所)
約629万4千円+39万6千円
東京特別区約673万9千円▲4万9千円
民間企業約460万円+217万円
※国家公務員の年収は、平均給与月額×12ヶ月+ボーナス(平均給与月額×4.5ヶ月)で算出。
※「行政職俸給表(一)」が適用される職員の年収です。
(出典/資料:人事院|国家公務員給与等実態調査,総務省|令和5年地方公務員給与の実態,国税庁|令和5年分民間給与実態統計調査をもとに作成)

国家一般職の平均年収は、地方公務員と比較すると、都道府県職員より約16万円、市役所職員より約39万円高くなっています。

ただし、これは基本給の差というより地域手当の影響が大きいです。

例えば、「宮崎県内の地方公務員」と「宮崎県内の国家一般職」を比較すると、年収差は少なくなるでしょう。国家公務員も地方公務員も、都心部ほど年収が高くなる傾向があります。

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国家一般職の公務員を目指すなら、伊藤塾の公務員試験対策講座がおすすめです。

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6-1.公務員試験で高い合格実績がある

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7.国家一般職の年収について知っておきたいこと

Q1.国家一般職の年収は低いですか?

A. いいえ。国家公務員の平均年収は約669万円で、民間企業の平均である約460万円を大きく上回っています。感じ方は人それぞれですが、一般的には高水準だといえるでしょう。

Q2.国家一般職と地方上級の年収はどちらが高いですか?

A. 全国平均では、国家一般職の方がやや高い傾向にあります。

「国家一般職」の平均年収は約669万円、地方上級は「都道府県」が約652万6千円、「政令市」が約686万円となっており、政令市はほぼ同水準、都道府県は約36万円低いです。

Q3.国家一般職の新卒の年収はいくらですか?

A. 国家一般職の新卒の年収は約500万円です。

(※横浜、大阪などに在住し、民間の賃貸住宅に入居した場合)

Q4.国家一般職の労働局の平均年収はいくらですか?

A. 都道府県労働局などの府県単位機関の平均年収は約640万円です。

労働局は府県単位機関に分類され、本府省(約743万円)や管区機関(約671万円)と比べると低めですが、転勤が少ないというメリットがあります。

8.国家一般職の年収の実態とは?

国家一般職の年収について、本記事で述べてきた内容をまとめます。

Q1. 国家一般職の平均年収は?

A. 約669万円であり、民間企業の平均を大きく上回る水準です。初任給は約500万円からスタートし、年齢とともに上昇していきます。

Q2. 府省による年収の違いは?

A.  基本的な給与体系は全府省で統一されています。しかし、昇給スピードの違いによって採用後の年収に差が出ることがあります。本府省(中央省庁)の平均年収が最も高く、約743万円です。

Q3. 年齢別の年収推移は?

 A. 国家一般職の年収は年齢とともに着実に上昇していきます。年功序列的な昇給カーブとなりやすく、長期的なライフプランを立てやすいのが特徴です。

Q4.どんな手当がある? 

A. 基本給に加えて、地域手当、住居手当、超過勤務手当(残業代)、ボーナス(期末・勤勉手当)などが支給されます。

Q5. 国家一般職の年収を地方公務員・民間企業の年収と比較すると?

A. 国家一般職の平均年収は、地方公務員と比較して高い傾向があります。民間企業の平均年収と比較すると、200万円以上高い水準です。

以上です。

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伊藤塾 公務員試験科

著者:伊藤塾 公務員試験科

伊藤塾公務員試験科は一人ひとりの学習経験や環境に応じた個別指導で毎年多くの行政官を輩出しています。このコラムでは将来の進路に「公務員」を考えている皆さんへ、仕事の魅力や試験制度、学習法など公務員を目指すための情報を詳しくお伝えしています。