国家総合職法律区分を独学で目指すならココに注意!合格・内定のポイントを解説
勉強法
2023年04月02日

国家総合職法律区分は、合格率6.2%・倍率16倍(※)という難関です。数ある公務員試験の中でも、国家総合職教養区分に次いでハードルが高いと言えるでしょう。
その難易度ゆえに、国家総合職法律区分合格に向けた対策は、予備校や大学の講座で行う、とイメージする方も多いと思いますが、独学で対策をする方も一定数いらっしゃいます。
今回は独学で法律区分合格を目指す皆さんに向けて、試験種目・科目ごとに、注意すべきポイントを順に解説していきます。

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※2022年国家総合職試験・法律区分の結果
受験者6,511名のうち406名が最終合格(合格率6.2%)
【目次】
1. 基礎能力試験
基礎能力試験の2つの分野
国家総合職試験・法律区分では1次試験と2次試験が行われます。1次試験で課されるのが、「基礎能力試験」と「専門試験(多肢選択式)」です。
基礎能力試験はいわゆる教養試験。「知能分野」と「知識分野」に分けられます。それぞれの分野で出題される科目は次のとおりです。
●知能分野
:文章理解、判断・数的推理(資料解釈を含む)
●知識分野
:自然科学、人文科学、社会科学(時事を含む)
各分野・科目の対策について詳しく見ていきましょう。
知能分野の傾向と対策
知能分野で出題されるのは、文章理解と判断・数的推理(資料解釈を含む)です。
文章理解の対策
文章理解については、高校で学習した国語・英語をもとに対策するのがおすすめです。文章理解は、例年、ほとんどの問題について、合格者の正答率が高いため、得点源にする必要があります。
文章理解を苦手と感じる方はそれほど多くありません。したがって、一般的には、文章理解の対策に多くの時間を割く必要はないでしょう。
一方で、もし苦手と感じるようであれば、文章読解力そのものをブラッシュアップする必要があるため、対策には時間がかかります。早い段階で、過去問を解いてみて、その難易度と自身の実力を確かめてみることをおすすめします。
判断・数的推理の対策
判断・数的推理については、問題演習を行い、解きなれていく必要があります。いきなり法律区分の過去問を解くのは難しいので、判断・数的推理の基礎的なテキストや、地方上級・国家一般職の過去問を利用して基礎を固め、徐々に難易度を上げていくのがおすすめです。
文章理解とは違い、苦手意識を持つ受験生が多い判断・数的推理。とはいえ、出題数が多いため絶対に捨てられない科目です。解法をマスターすれば解けるようになる問題もありますので、時間をかけてコツコツ実力を挙げていきましょう。
このパターンの問題が出たら絶対に正解する、というものを決めて徹底的にトレーニングするのがポイント。試験当日、短時間で「この問題はもう解かない」と判断する力、すなわち捨て問を見極める力をつけておくことも重要です。
知識分野の傾向と対策
知識分野については、人文科学・自然科学・社会科学が出題されます。
人文科学や自然科学は科目を絞って対策し、社会科学の時事などを得点源にする、という戦略がおすすめです。
時事については、政策論文や人事院面接など、択一試験以外でも必要となります。まずは過去問で出題テーマを把握し、新聞などで、該当テーマに関する最新のトピックを理解するとよいです。
なお、同じ話題でも、新聞によって取り上げる箇所が異なるため、可能であれば、複数の新聞を読み比べるとよいです。また、合計特殊出生率や予算などの数値については、政府のホームページに掲載されたデータが公式なものですので、必ず白書・青書や中間報告書にアクセスするようにしましょう。
2024年に試験内容が変わる
なお、2024年度試験から、基礎能力試験の出題数は40題(知能27題、知識13題)から30題(知能24題、知識6題)に削減されます。知識分野は時事問題を中心として出題されることになりました。
暗記系科目の学習負担は軽減されますが、判断・数的推理をはじめとする知能分野の比率が高まり、苦手意識を持つ受験生には、かえって大変になるかもしれません。知能分野対策は、今後ますます重要となります。
2. 専門試験
専門試験について、1次試験は多肢選択式、2次試験は記述式で出題されます。具体的にはどのような対策が必要か、確認しておきましょう。
1次試験(多肢選択式)の傾向と対策
専門試験(多肢選択式)は、基礎能力試験の配点比率の1.5倍であり、1次試験突破の鍵となります。そのうえ、問題が緻密なので、入念な対策が求められます。
専門試験(多肢選択式)対策では、過去問を演習することが重要です。問題の緻密さ、誤った選択肢のひっかけ方は、過去問から学ぶのが1番の近道です。そのため、過去問が掲載された問題集とテキストを用意するとよいです。
過去問集で試験の傾向を把握し、頻出分野はテキストを読み込んで確認、という形で、対策をしていきましょう。
2次試験(記述式)の傾向と対策
専門試験(記述式)は、六法が持ち込めないことと、字数は1,800字弱が目安であることが特徴です。2次試験の問題には、主要な条文が参照条文として記載されておらず、主要な条文については条文番号やその内容を正確に記憶する必要があります。
また、書ける字数が限られているので、規範(条文や判例)とあてはめ(事案の解決)のバランスを意識して論述することが重要です。構成をしっかり練ってから、答案を書き始めるとよいです。
3. 政策論文試験
政策論文については、政府の政策をある程度理解している必要はありますが、政策論文で問われているのは、受験案内の内容にあるように、「政策の企画立案に必要な能力その他総合的な判断力及び思考力」です。提案した政策が素晴らしいか、というよりも、問いに対してきちんと答えられているか、論理的な論述ができているか、といったことの方が重要なのです。
また、政策論文には、資料が3つつけられているので、それを踏まえながら論述する必要があります。3つの資料のうち1~2つは英文ですので、英語の勉強も必須です。英字新聞などを読んで、基本的な文法や、時事でよく出る英単語を理解し、資料の内容を把握できるようにするとよいです。
なお、事実については、1.基礎能力試験でも記載したとおり、政府が発表しているデータをもとに記載する必要があります。例えば、政府の予算であれば、財務省が発表しているデータを基にします。事実を誤認していると、論理的な論述ができていても、厳しく評価されてしまうので、お気をつけください。
4. おわりに
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
予備校を利用して国家総合職を目指す受験生は、予備校が試験傾向を分析し、必要な対策パッケージを用意してくれるので、それに乗っかって勉強を進めるだけです。
一方、独学の場合、過去問で試験傾向を分析するところからはじめなければなりません。費用が抑えられるのが独学のメリットとすれば、時間がかかり非効率な勉強になりがち、というのが独学のデメリット。
このデメリットを克服して国家総合職法律区分に合格するためには、とにかく「1日も早くスタートを切ること」が大切。信頼できる、分かりやすいテキストや問題集があれば、その理解に徹底し、手を広げすぎないことがポイントです。
この記事が、法律区分合格を目指す方のお役に立てれば幸いです。
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