【2025年最新】国家公務員の平均年収は640万円|職種別・年齢別の詳細データを徹底解説

公務員の基本情報

2025年09月07日

「国家公務員の年収はいくら?」
「どの職種が最も年収が高いの?」
「年齢別の平均年収は?」

国家公務員の年収は、公務員を目指す方が最も知りたい情報の一つです。

しかし、国家公務員の給与制度は複雑で、職種や年齢、勤務地によって大きく異なります。

そこで本記事では、人事院の最新データを基に国家公務員の年収を詳しく解説します。

種類平均年収と特徴
全体平均年収640万、月給41万、ボーナス141万
国家総合職30代後半で700万を突破
国家一般職640万程度(平均的な水準)
財務専門官640万以上(国家一般職より高め?)
国税専門官700万程度、初任給も最も高い
裁判所事務官640〜700万、書記官になると大幅UP

この記事では国家公務員の職種別年収ランキング、年齢別の平均年収(20代~40代)、官庁による年収格差、初任給と昇給システム、2025年人事院勧告による年収アップ、さらに福利厚生や他職種との比較、女性のキャリアについても詳しく解説しています。

国家公務員の年収について完全に理解できる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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【目次】

1. 国家公務員の平均年収は640万円【2025年最新データ】

国家公務員全体の平均年収は6,388,660円です。

給与(12ヶ月)ボーナス(年2回)年収合計
4,973,760円1,414,900円6,388,660円

この金額は人事院が発表した最新の調査データに基づいて算出されており、国家公務員として働く職員の実際の年収水準を反映しています。

1-1. 月額給与41万円の内訳

人事院の調査によると、国家公務員の平均月額給与は414,480円です。

 平均月額
基本給(俸給)332,237円
地域手当等44,844円
俸給の特別調整額12,585円
扶養手当7,896円
住居手当7,928円
その他8,990円
合計414,480円
出典:令和7年 人事院勧告 参考資料|人事院

基本給である俸給が332,237円と全体の約8割を占めており、残りの2割が各種手当で構成されています。地域手当等が44,844円と手当の中では最も大きな割合を占めており、勤務地域による生活費の違いを調整する役割を果たしています。年間の基本給与(ボーナス除く)は4,973,760円となります。

1-2. ボーナス141万円(年2回・4.65ヶ月分)

国家公務員には年2回、合計4.65ヶ月分のボーナスが支給されます。

 6月30日の支給12月10日の支給合計
期末手当1.25ヶ月分1.275ヶ月分2.525ヶ月分
勤勉手当1.05ヶ月分1.075ヶ月分2.125ヶ月分
合計2.3ヶ月分
(706,700円)
2.35ヶ月分
(708,200円)
4.65ヶ月分
(1,414,900円)
出典:令和7年 人事院勧告・報告の概要|人事院

ボーナスは期末手当と勤勉手当の2種類で構成されており、期末手当は在職期間に応じて支給される基本的な手当、勤勉手当は勤務成績に応じて支給される成果連動型の手当となっています。勤勉手当については個人の人事評価結果によって支給額が変動するため、同じ職種・年齢でも実際の支給額には差が生じます。

人事院のデータによれば、令和7年6月ボーナスの平均支給額は706,700円です(一般職国家公務員(管理職を除く)の成績標準者を対象)。

引用:報道資料「令和7年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」|内閣官房人事局

2. 国家公務員vs民間企業|年収差は約180万円

国家公務員と民間企業の年収を比較してみましょう。

国税庁によれば、民間企業の平均年収は「約460万円」です。

(出典:令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁

平均年収を単純に比較すると「民間企業よりも、国家公務員の方が約180万円高い」と考えられます。

ただし、この比較には注意が必要です。国家公務員は大卒以上の学歴を持つ職員が多く、民間企業の統計には高校卒業者も含まれています。また、企業規模や業種による違いも大きく、大企業や専門職では民間企業の方が高い年収を得られる場合もあります。それでも、安定性を含めて考えると、国家公務員は民間企業と比較して魅力的な年収水準にあると言えるでしょう。

3. 国家公務員 vs 地方公務員 vs 民間企業 徹底比較

国家公務員を他の職業と詳しく比較してみましょう。

 国家公務員地方公務員大手民間企業中小企業
平均年収640万円590万円720万円420万円
昇進スピード標準的やや遅い能力次第限定的
転勤頻度3-5年少ない企業によるほぼなし
安定性極めて高い極めて高い普通低い
将来性安定安定不確実不確実

地方公務員と比較すると、国家公務員の年収は約50万円高く設定されています。これは国家公務員が全国規模での転勤を伴い、より幅広い業務に従事することが考慮されているためです。

大手民間企業は平均年収で国家公務員を上回りますが、業績悪化によるリストラや給与削減のリスクがあります。一方、国家公務員は景気動向に左右されない安定した年収を長期間にわたって確保できることが大きなメリットです。

中小企業と比較すると、国家公務員は約220万円も高い年収となっており、安定性と合わせて考えると圧倒的な優位性があります。

4. 【職種別年収ランキング】国家公務員の年収比較

国家公務員の職種別年収をランキング形式で紹介します。

種類平均年収特徴
国税専門官720万円以上特別俸給表適用
国家総合職700万円程度昇進スピードが速い
裁判所事務官640〜700万円書記官で大幅アップ
財務専門官640万円以上昇進機会が多い
国家一般職640万円程度標準的な水準

4-1. 国税専門官:720万円(最高水準)

国税専門官は税務職俸給表という特別な給与表が適用されるため、他の職種より高い年収となります。この特別俸給表は、税務の専門性と業務の特殊性を考慮して設定されています。

採用1年目での比較を見ると、国税専門官の月額給与は302,040円、年収4,526,000円であるのに対し、国家一般職は月額給与264,000円、年収3,959,000円となっており、567,000円の差があります。

 (採用1年目)
国税専門官
(採用1年目)
国家一般職
俸給月額302,040円264,000円
年間収入4,526,000円3,959,000円
差額567,000円
出典:「2025年度 国税専門官採用試験の概要をお知らせします」|国税庁

この差額をベースに計算すると、国税専門官の平均年収は約7,283,072円程度となり、国家公務員の中でも最高水準の年収を実現できます。国税専門官は税務調査や徴収業務など専門性の高い業務に従事するため、その専門性に見合った処遇が設定されているのです。

※国税専門官については、こちらの記事も併せてご覧ください。

4-2. 国家総合職:30代で700万円突破

国家総合職は最も年収が高い職種の一つです。国家総合職の特徴は昇進スピードの速さにあり、他の職種と比較して早期に管理職に就くことができます。

人事院のモデル給与例によると、22歳の係員時点では月額給与284,800円、年収4,665,000円からスタートします。しかし、35歳で課長補佐に昇進すると月額給与465,440円、年収7,801,000円まで上昇します。50歳で課長に昇進した場合は月額給与788,280円、年収13,482,000円という高い水準に達します。

 年齢月額給与年間給与
係員22歳284,800円4,665,000円
課長補佐35歳465,440円7,801,000円
課長50歳788,280円13,482,000円
局長1,089,600 円18,185,000円
事務次官1,429,200円23,853,000円
出典:令和7年人事院勧告 国家公務員モデル給与例|人事院

さらに局長クラスでは月額給与1,089,600円、年収18,185,000円、事務次官では月額給与1,429,200円、年収23,853,000円という極めて高い年収となります。30代後半で7,000,000円を突破し、その後の昇進により10,000,000円を大幅に超える可能性があることが、国家総合職の大きな魅力となっています。

※国家総合職の年収は、こちらの記事で詳しく解説しています。

4-3. 裁判所職員:640万円~700万円

裁判所職員の年収はキャリアパスによって大きく変わります。裁判所事務官として勤務を続ける場合と、裁判所書記官にキャリアアップする場合で年収に大きな差が生じます。

裁判所事務官として勤務する場合の平均年収は640万円程度となります。事務官の給与は国家一般職と同じ俸給表で決まるため、平均年収に大幅な違いは生じません。

一方、裁判所書記官へキャリアアップした場合の平均年収は700万円程度となります。これは月額給与に書記官手当(俸給の調整額)が追加で支給されるためです。書記官手当は職務の級により異なり、2級で34,000円、3級で38,400円、4級で40,800円、5級で42,400円が毎月支給されます。年間では408,000円から508,800円程度が追加で支給されるため、年収が大幅にアップするのです。

職務の級俸給の調整額
(書記官手当)
年齢層のイメージ
2級34,000円(20代〜30代)係員クラス
3級38,400円(概ね30代)係長クラス
4級40,800円(概ね40代)
5級42,400円(概ね50代)

※裁判所事務官の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-4. 財務専門官:640万円以上

財務専門官は国家一般職と同じ俸給表を使用しますが、実際の年収は国家一般職より高くなる傾向があります。これは財務専門官の職務の特殊性と専門性によるものです。

財務専門官が国家一般職より高い年収となる理由として、昇進機会の多さが挙げられます。財務局では職務の級が高い職員の上限(級別定数)が他の府省よりも多く設定されており、昇格による昇給幅が大きくなりやすい傾向があります。また、財務行政の専門性を活かした業務に従事するため、専門手当や特別な処遇が設定される場合もあります。

合格者の実際の話を聞くと、勤務年数が経過するとともに国家一般職よりも年収が高くなるケースが多く見られ、平均的には640万円以上の年収が期待できます。

4-5. 国家一般職:640万円(平均的)

国家一般職は採用数が最も多い職種で、国家公務員の平均年収6,388,660円とほぼ同水準です。国家一般職は各府省の地方機関や本府省で幅広い業務に従事し、国家公務員の中核を担っています。

人事院のモデル給与例は次のとおりです。

 年齢月額給与年間給与
係員 18歳188,000円3,106,000円
22歳220,000円3,634,000円
係長35歳291,100円4,875,000円
40歳310,400円5,198,000円
課長50歳419,300円6,886,000円
出典:令和7年人事院勧告 国家公務員モデル給与例|人事院

ただし、これらの金額は基本的なモデルケースであり、実際には地域手当や各種手当が加算されるため、年収はさらに高くなります。特に東京特別区で勤務する場合、地域手当が基本給の20%支給されるため、実際の年収はモデルケースより数十万円以上高くなる可能性があります。

※国家一般職については、こちらの記事で詳しく解説しています。

5. 【初任給一覧】国家公務員の試験別スタート年収

国家公務員の職種別初任給(大卒)を比較します。

職種基本給地域手当込み(東京)住居手当込み
国税専門官251,700円302,040円330,040円
国家総合職230,000円276,000円304,000円
国家一般職220,000円264,000円292,000円
財務専門官220,000円264,000円292,000円
裁判所事務官220,000円264,000円292,000円

これらの金額に加えて、残業代(超過勤務手当)、通勤手当(交通費)、扶養手当なども別途支給されるため、実際の手取り額はさらに高くなります。

6. 地域別年収シミュレーション【詳細比較表】

国家公務員の年収は勤務地によって大きく変動します。地域手当の違いによる年収への影響を詳しく見てみましょう。

勤務地地域手当率基本給地域手当合計月収年収概算
東京23区20%¥300,000¥60,000¥360,000¥6,084,000
大阪市16%¥300,000¥48,000¥348,000¥5,886,000
横浜市16%¥300,000¥48,000¥348,000¥5,886,000
名古屋市12%¥300,000¥36,000¥336,000¥5,688,000
さいたま市12%¥300,000¥36,000¥336,000¥5,688,000
千葉市12%¥300,000¥36,000¥336,000¥5,688,000
福岡市8%¥300,000¥24,000¥324,000¥5,490,000
仙台市8%¥300,000¥24,000¥324,000¥5,490,000
静岡市8%¥300,000¥24,000¥324,000¥5,490,000
神戸市8%¥300,000¥24,000¥324,000¥5,490,000
広島市8%¥300,000¥24,000¥324,000¥5,490,000
札幌市4%¥300,000¥12,000¥312,000¥5,274,000
岡山市4%¥300,000¥12,000¥312,000¥5,274,000
高松市4%¥300,000¥12,000¥312,000¥5,274,000
その他地方都市0%¥300,000¥0¥300,000¥5,070,000

東京特別区と地方都市では年間で1,014,000円もの差が生じます。ただし、生活コストも地域によって大きく異なるため、実質的な生活水準を考慮することが重要です。

特筆すべきは、高い地域手当が支給される地域から転勤した場合、一定期間は転勤前の地域手当が継続して支給されることです。例えば、東京から地方都市に転勤しても1年間は20%の地域手当が支給されるため、地方での高い購買力を享受できます。

7. 国家公務員の年齢別平均年収【20代~40代】

年齢別の国家公務員平均年収を詳しく見ていきましょう。

「20代で450万」「30歳で520万」「40歳で690万」程度が目安です。

7-1. 20代:450万円

20代の国家公務員平均年収は4,561,969円です。

 1ヶ月年間
給与の目安
(経験年数3年〜5年未満)
224,921円2,699,052円
各種手当の目安55,780円669,360円
ボーナスの目安
(期末・勤勉手当)
1,193,557円
合計4,561,969円
参照:令和6年国家公務員給与等実態調査「行政職俸給表(一)の給与決定上の学歴別(高校卒・大学卒)、経験年数階層別、級別平均俸給額」 |人事院
参照:令和7年人事院勧告 第2表 国家公務員の平均給与月額給与種目別平均給与月額及び構成比|人事院

この金額は経験年数3年から5年未満の職員のデータに基づいています。採用から数年のため給与水準はまだ高くありませんが、民間企業の同世代と比べると安定した収入を得ることができます。20代であっても4,560,000円を超える年収は、生活していく上で十分な水準と言えるでしょう。

また、20代のうちから各種手当や福利厚生制度を活用できるため、実質的な生活水準はさらに高くなります。

7-2. 30歳:520万円

30歳の国家公務員平均年収は5,280,151円です。

 1ヶ月年間
給与の目安
(経験年数7年〜10年未満)
259,615 円3,115,380円
各種手当の目安64,385円772,620円
ボーナスの目安
(期末・勤勉手当)
1,392,151円
合計5,280,151円
参照:令和6年国家公務員給与等実態調査「行政職俸給表(一)の給与決定上の学歴別(高校卒・大学卒)、経験年数階層別、級別平均俸給額」 |人事院
参照:令和7年人事院勧告 第2表 国家公務員の平均給与月額給与種目別平均給与月額及び構成比|人事院

この金額は経験年数7年から10年未満の職員のデータに基づいています。22歳で新卒採用された場合、30歳時点で採用から7~8年が経過しており、経験と実績の蓄積により着実に年収が上昇しています。5,280,000円を超える年収は、結婚や住宅購入など人生の重要な節目を迎える30代にとって心強い収入水準です。

なお、新卒以外で採用された場合は前職の職歴が考慮されて給与が決まるため、実際の年収はこの金額より高くなる可能性があります。

7-3. 40歳:690万円

40歳の国家公務員平均年収は6,994,887円です。

 1ヶ月年間
給与の目安
(経験年数15年〜20年未満)
342,295 円4,107,540円
各種手当の目安84,889円1,018,668円
ボーナスの目安
(期末・勤勉手当)
1,868,679円
合計6,994,887円
参照:令和6年国家公務員給与等実態調査「行政職俸給表(一)の給与決定上の学歴別(高校卒・大学卒)、経験年数階層別、級別平均俸給額」 |人事院
参照:令和7年人事院勧告 第2表 国家公務員の平均給与月額給与種目別平均給与月額及び構成比|人事院

この金額は経験年数15年から20年未満の職員のデータに基づいています。採用から17年程度が経過し、係長や管理職への昇進により年収が大幅にアップしています。40歳で年収が約7,000,000円に達することで、家族の生活費や教育費、住宅ローンなどの支出にも余裕を持って対応できる水準となります。

国家総合職や国税専門官などの場合、この年齢ではさらに高い年収を得られる可能性が高く、職種によっては8,000,000円を超えるケースも珍しくありません。

8. 【勤務先別】官庁による年収格差

国家公務員の年収は勤務する官庁によっても大きく異なります。

 平均給与月額
本府省450,021円
管区機関406,722円
府県単位機関388,130円
参照:令和6年人事院勧告 参考資料 国家公務員給与関係「その2 行政職俸給表(一)の組織区分別平均給与月額及び平均年齢」|人事院

8-1. 中央省庁(本府省):45万円

霞が関の中央省庁が最も高い年収となります。本府省の平均月額給与は450,021円で、年収目安は7,605,355円となります。

本府省には国家総合職で採用された職員が多く配属されるため、全体的に給与水準が高くなっています。また、東京特別区に所在するため地域手当20%が支給されることも、年収が高くなる要因の一つです。本府省で働く職員は国の政策立案や法令制定など、国家的に重要な業務に携わるため、その責任の重さに見合った処遇が設定されています。

8-2. 地方整備局など:40万円

複数県を管轄する管区機関は中程度の年収となります。管区機関の平均月額給与は406,722円で、年収目安は6,873,522円です。

地方整備局や地方農政局などが代表例で、複数の県にまたがる広域的な業務を担当しています。転勤の範囲は本府省より狭くなりますが、地方の中核都市で勤務するため一定の地域手当が支給され、生活コストとのバランスも良好です。専門性の高い業務に従事しながら、ワークライフバランスも確保しやすい環境として人気があります。

8-3. 法務局・労働局:39万円

各県単位の府県単位機関は転勤が少ない分、年収は最も低くなります。府県単位機関の平均月額給与は388,130円で、年収目安は6,557,601円です。

地方法務局や都道府県労働局などが代表例で、県を超えた転勤がほとんどないため、地元での安定した勤務を希望する職員に人気があります。年収は他の官庁区分より低めですが、それでも6,550,000円を超える水準であり、地方の生活コストを考慮すると十分に魅力的な処遇と言えるでしょう。

9. 国家公務員の年収を決める3つの要因

国家公務員の年収は以下の3つの要因で決まります。

9-1. 勤務年数による昇給システム

国家公務員は年功序列の色合いが強く、勤務年数に応じて確実に昇給します。年間昇給額は通常6,000円から7,000円程度となっており、勤続年数が長くなるほど基本給が上昇していきます。

また、昇格時には大幅な昇給が期待でき、係員から係長、係長から課長補佐などの昇格時には20,000円以上の昇給が行われることもあります。この継続的かつ確実な昇給システムにより、国家公務員は長期的に安定した年収の向上を見込むことができます。

民間企業では業績悪化により昇給が停止されることもありますが、国家公務員では定期的な昇給が保証されているため、将来の収入予測が立てやすいという特徴があります。

9-2. 人事評価制度の影響

個人の能力と実績が年収に直結する仕組みが整備されています。人事評価の結果によって昇給額が通常の2倍になることもあり、優秀な職員はより早いペースで年収を向上させることができます。

ボーナスについても勤務成績が直接反映され、評価の高い職員と標準的な職員では100,000円以上の差が生じることも珍しくありません。また、高い評価を継続的に受けている職員は早期昇進の可能性が高くなり、結果として大幅な年収アップにつながります。

最近は特に能力や実績を重視する流れが強くなっており、努力が確実に年収に反映される仕組みが確立されています。国家公務員であっても成果主義的な要素が導入されており、やりがいのある環境が整備されています。

9-3. 地域手当(最大20%加算)

勤務地域により基本給に最大20%が加算される地域手当は、年収を大きく左右する要素です。

地域地域手当の金額
東京特別区基本給の20%
大阪市、横浜市基本給の16%
さいたま市、千葉市、名古屋市基本給の12%
仙台市、静岡市、神戸市、
広島市、福岡市
基本給の8%
札幌市、岡山市、高松市基本給の4%
参照:国家公務員の諸手当の概要|人事院

地域手当は民間給与が高い地域で働く職員に支給される手当で、生活コストの地域差を調整する役割を果たしています。興味深いのは、一度地域手当が支給される地域で勤務すると、転勤後も一定期間は同一金額が支給されることです。

例えば、本府省(東京)から福岡市に転勤しても、1年間は20%の地域手当が支給されます。このため、地域手当だけで毎月数万円を超える金額が支給されるケースも珍しくありません。

10. 国家公務員の福利厚生と生涯収入

国家公務員の魅力は基本年収だけでなく、充実した福利厚生にもあります。

10-1. 退職金制度

国家公務員の退職金は民間企業と比較しても非常に充実しています。
・勤続35年:約2200万円
・勤続30年:約1850万円
・勤続25年:約1500万円
・勤続20年:約1100万円

これらの金額は基本的な退職金であり、管理職に昇進した場合はさらに高額になります。民間企業の平均退職金が勤続35年で約1200万円程度であることを考えると、国家公務員の退職金は約1000万円も高い水準となっています。

参照:人事院「退職手当の計算例」

10-2. 年金制度(共済年金)

国家公務員は厚生年金に加えて共済年金(職域加算部分)があるため、将来の年金受給額も民間企業より高くなります。

共済年金により、民間企業の厚生年金のみの場合と比較して月額約20,000円、年間約240,000円多く受給できます。65歳から85歳まで20年間受給すると仮定した場合、総額で4,800,000円の差が生じます。

10-3. その他福利厚生の金銭価値

国家公務員には様々な手当や福利厚生が用意されており、その金銭価値は年収以上のメリットがあります。

住居手当: 賃貸住宅居住者には最大28,000円/月、年間最大336,000円が支給されます。

通勤手当: 交通費は実費で全額支給され、月額最大55,000円まで支給されます。

扶養手当: 配偶者13,000円/月、子ども6,500円/月が支給され、子ども2人の場合は年間378,000円の支給となります。

医療費補助: 共済組合により医療費の自己負担が軽減され、実質的な医療費負担は民間企業より軽くなります。

有給休暇: 年次有給休暇は年間20日間(勤続20年以上は40日間)が付与され、取得率も民間企業より高くなっています。

これらの福利厚生を金銭価値で換算すると、年間500,000円から1,000,000円程度の価値があると考えられます。

11. 女性国家公務員のキャリアと年収

国家公務員は女性にとっても働きやすい環境が整備されており、男女格差のない年収体系となっています。

11-1. 男女同一賃金の徹底

国家公務員では男女同一労働同一賃金が完全に実現されており、同じ職種・経験年数であれば性別による年収差は一切ありません。昇進機会についても性別による差別は法的に禁止されており、能力と実績のみで評価される仕組みが確立されています。

11-2. 育児支援制度による年収への影響

育児休業: 最大3年間の育児休業が取得可能で、その間の身分は保証されます。育児休業中は無給となりますが、復職時には休業前と同一の処遇が保証されています。

育児短時間勤務: 小学校就学前の子を養育する職員は、1日につき2時間を限度として勤務時間の短縮が可能です。この場合の年収は通常の約80%を維持できるため、大幅な収入減少を避けることができます。

時間外労働制限: 子が3歳に達するまでの間は、時間外労働が免除されます。これにより、子育てと仕事の両立が容易になります。

11-3. 女性管理職の年収例

国家公務員では女性の管理職登用も積極的に進められており、高い年収を得る女性職員も増加しています。

・課長補佐(35歳):7,801,000円
・課長(45歳):10,000,000円超
・局長クラス(50代):18,185,000円

実際に、各府省で女性の局長や部長が増加しており、性別に関係なくキャリアアップが可能な環境が整備されています。

12. 国家公務員年収のデメリット・注意点

国家公務員の年収には多くのメリットがありますが、一方でデメリットや注意点も存在します。

12-1. 年収面でのデメリット

大手商社・金融との格差: 大手商社や投資銀行では初任給から年収7,000,000円を超えることも多く、国家公務員との間には2,000,000円以上の差が生じる場合があります。

IT・コンサル業界との格差: IT業界やコンサルティング業界では30代で年収10,000,000円を超えることが標準的で、国家公務員の昇進スピードでは同等の年収に達するまで時間がかかります。

副業制限による収入制限: 国家公務員は営利企業での副業が原則として禁止されているため、副収入による年収アップが困難です。

12-2. その他の制約

頻繁な転勤: 3-5年周期での転勤が通常で、家族の生活や子どもの教育に影響を与える場合があります。

長時間労働の可能性: 国会対応や政策立案業務では長時間労働が発生することがあり、時間外労働が多くなる部署もあります。

政治的中立性の制約: 政治活動や政党支持の表明が制限されるため、政治的な自由度が制限されます。

これらのデメリットを踏まえた上で、安定性や社会貢献度を重視するか、高収入や自由度を重視するかを判断することが重要です。

13. 国家公務員年収の将来展望

国家公務員の年収は今後も継続的な改善が予想されます。

13-1. 2025年人事院勧告|年収20万円アップの詳細

2025年8月7日、人事院が政府に大幅な給与改定を勧告しました。

項目改定内容年収への影響
初任給(大卒)12,000円アップ年間144,000円増
初任給(高卒)12,300円アップ年間147,600円増
ボーナス0.025月分増約10,000円増
合計影響 約200,000円アップ

今回の人事院勧告では、総合職試験(大卒)の初任給を12,000円、一般職試験(大卒)の初任給を12,000円、一般職試験(高卒)の初任給を12,300円それぞれアップすることが提案されています。また、ボーナスについても期末・勤勉手当ともに0.025月分引き上げて、4.6ヶ月分から4.65ヶ月分にすることが勧告されています。

出典:令和7年 人事院勧告|人事院

特に初任給の引き上げ幅が大きく、年間では144,000円から147,600円の増額となります。ボーナスの増額分と合わせると、国家一般職(大卒)で計算した場合、年収の増加金額は約200,000円となります。

13-2. 2025年以降の改革予定

デジタル人材確保: IT分野の専門職について、年収800万円でのスタートや特別俸給表の適用が検討されています。デジタル庁を中心としたDX推進により、IT人材の処遇改善が進められる予定です。

専門職優遇の拡大: 医師、技術者、研究者等の専門職について、特別俸給表の拡充や専門手当の創設が検討されています。

人事評価制度の強化: 成果連動部分をさらに拡大し、優秀な職員により高い処遇を提供する仕組みの構築が進められています。

13-3. 民間格差への対応

政府は優秀な人材確保のため、段階的な処遇改善を継続する方針を示しています。特に初任給の民間企業との格差解消や、専門職の処遇改善により、国家公務員の魅力向上を図る取り組みが継続されます。

過去10年間、人事院勧告は100%実施されており、今回も実施される可能性が非常に高いです。この改定により、国家公務員の魅力は更に向上することが予想されます。

14.あなたの国家公務員試験合格を「伊藤塾」が全力でサポートします!

国家公務員試験に合格して、安定的な年収を得たい方は、伊藤塾にお任せください。

私たちが、伊藤塾を強くおすすめする理由は次の3つです。

・最難関の国家総合職で「内々定率83.3%」の圧倒的な合格実績がある
・配点比率が高い「法律科目」に強い
・一人ひとりに寄り添った個別指導を行っている


それぞれの理由について、さらに詳しく説明していきます。

14-1.最難関の国家総合職で「内々定率83.3%」|圧倒的な合格実績がある

当校は「国家総合職の内々定率83.3%」という圧倒的な合格実績を誇っています。

「国家総合職試験」は、公務員試験の中で最も難しいと言われることも多い試験です。

実際、2025年の「国家総合職合格者全体の内々定率」は「36.0%」しかなく、3人に1人しか内々定を獲得できていません。難関の筆記試験に合格したにも関わらず、3人に2人が内々定を獲得できず、涙を飲んでいるのです。

しかし、「伊藤塾本科講座受講生の内定率」は「83.3%」と非常に高い数字を誇っています。私たちは、あくまでも内定にこだわった指導・サポートを行うことで、平均の「2.3倍」の実績を出しています。

14-2.配点比率が高い「法律科目」に強い

私たちは、司法試験をはじめとした法律資格で多数の合格実績がある受験指導校です。

(2024年度司法試験合格占有率90.2%、2024年度司法書士試験合格者の59%が伊藤塾を利用

公務員試験でも、多くの試験で「憲法・民法・行政法」などの法律科目が重要科目となっています。特に「国家総合職」や「裁判所事務官」などでは、法律科目の配点が全体の半分以上を占めています。

伊藤塾では、司法試験で培った効果的・効率的な法律学習のノウハウを「公務員試験合格のために必要十分」な形にカスタマイズして提供しています。

難関法律資格の合格ノウハウを公務員試験に活用することで、短期間で法律を使いこなす力を養うことができるのです。

14-3.一人ひとりに寄り添った個別指導を行っている

私たちは、一人ひとりに寄り添った個別指導を行っています。

公務員試験では、ぶつかる壁も、抱える悩みも受験生1人1人によって異なります。

そこで伊藤塾では、学習開始から内定獲得まで、講師がカウンセリングでサポートします。

・学習の進み具合や悩みを聞き取り、今やるべきことをアドバイスする
・合格のために、今のあなたに足りないものをズバリと指摘する
・あなたが自分でも気づいていない強み(長所)を引き出す など


受講生一人ひとりに寄り添った個別指導を行うことで、あなたの公務員試験挑戦を支えます。

15. よくある質問(FAQ)

Q. 国家公務員で年収1000万円は可能ですか?

A. 国家総合職なら50歳で課長昇進時に年収13,482,000円となり、管理職手当を含めると10,000,000円超えは十分可能です。局長クラスでは18,185,000円に達します。

Q. 国家公務員の退職金はいくらですか?

A. 勤続35年の場合、約2200万円の退職金が支給されます。これは民間企業平均の約1.8倍の水準です。

Q. 女性の国家公務員でも同じ年収ですか?

A. 男女同一労働同一賃金のため、同じ職種・経験年数であれば年収に差はありません。育休制度も充実しており、キャリアの継続が可能です。

Q. 国家公務員は副業できますか?

A. 営利企業での副業は原則禁止です。ただし、公益性の高い活動や執筆活動等は許可を得て行うことができます。

Q. 転勤はどの程度の頻度ですか?

A. 一般的に3-5年周期での転勤があります。本府省勤務では全国規模、地方機関では管轄区域内での転勤となります。

Q. 国家公務員の有給取得率はどの程度ですか?

A. 近年は働き方改革により取得率が向上し、平均で約70%の取得率となっています。民間企業平均の56%を大きく上回ります。

Q. ボーナスはいつ支給されますか?

A. 年2回、6月30日と12月10日に支給されます。合計で4.65ヶ月分、平均1,414,900円が支給されます。

Q. 地方出身者でも東京勤務は可能ですか?

A. 国家総合職や国家一般職(本府省採用)では東京勤務の機会があります。地域手当20%により年収も大幅にアップします。

Q. 国家公務員の平均勤続年数は?

A. 約25-30年程度で、民間企業の平均12年と比較して非常に長くなっています。これが安定した年収上昇の基盤となっています。

Q. 残業代は全額支給されますか?

A. 原則として時間外労働に対する手当は全額支給されます。ただし、管理職については裁量労働制により時間外手当の対象外となります。

16. まとめ【国家公務員年収の全体像】

本記事で解説した国家公務員の年収について、重要なポイントをまとめます。

基本的な年収水準

国家公務員の平均年収は6,388,660円で、民間企業の平均4,560,000円と比較すると1,828,660円高い水準となっています。月額給与は414,480円、ボーナスは年2回で合計1,414,900円(4.65ヶ月分)が支給されます。この年収水準は安定性も含めて考えると、民間企業と比較して非常に魅力的な条件と言えるでしょう。

職種別年収ランキング

種類平均年収特徴
国税専門官720万円以上特別俸給表適用
国家総合職700万円程度昇進スピードが速い
裁判所事務官640〜700万円書記官で大幅アップ
財務専門官640万円以上昇進機会が多い
国家一般職640万円程度標準的な水準

国税専門官が最も高い年収となっており、税務の専門性に対する適切な処遇が設定されています。国家総合職は昇進スピードの速さにより高い年収を実現でき、裁判所職員は書記官へのキャリアアップにより大幅な年収向上が期待できます。

年齢別年収の推移

20代では450万円、30歳では520万円、40歳では690万円と、年齢とともに着実な年収向上が期待できます。この安定した昇給システムにより、長期的な人生設計を立てやすいという特徴があります。

福利厚生と生涯価値

退職金2200万円(勤続35年)、充実した年金制度、各種手当など、年収以外の価値も非常に高くなっています。これらを含めた総合的な処遇は、民間企業を大きく上回る水準です。

2025年の改善

人事院勧告により年収約20万円アップが予想されており、特に初任給の大幅な引き上げは国家公務員の魅力を更に高めることになるでしょう。

国家公務員は安定した高収入と充実した福利厚生を両立できる、非常に魅力的な職業です。将来の安定を重視し、社会に貢献したいと考える方は、ぜひ国家公務員への挑戦を検討してみてください。この挑戦が、あなたの人生を変える大きな転機になるかもしれません。

伊藤塾 公務員試験科

著者:伊藤塾 公務員試験科

伊藤塾公務員試験科は一人ひとりの学習経験や環境に応じた個別指導で毎年多くの行政官を輩出しています。このコラムでは将来の進路に「公務員」を考えている皆さんへ、仕事の魅力や試験制度、学習法など公務員を目指すための情報を詳しくお伝えしています。