国家総合職の試験科目とは?出題傾向と対策を解説【法律区分編】

公務員の基本情報

2023年02月27日

国家総合職で、採用者数が最も多いのは法律区分合格者のため、教養区分および法律区分の受験がおすすめ、という話を聞いたことがあるかと思います。しかし、法律区分は、勉強すべき科目が多くて大変そう、法学部出身でないと合格が難しそう、というイメージがあるのではないでしょうか。

しかし、実際は、試験傾向を把握し、しっかり対策すれば、すべての科目をまんべんなく対策せずとも、上位で合格することができます。また、法学部以外の法律区分合格者も、かなりの数いらっしゃいます。

そんな法律区分の試験科目や出題傾向、対策をお伝えします。

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1. 国家総合職・法律区分の試験科目

国家総合職・法律区分試験には、1次試験と2次試験があります。2次試験に合格=最終合格となり、官庁訪問をすることができます。

2023年度の試験科目は、以下のとおりです。

2. 基礎能力試験の傾向と対策

1.で記載した表のとおり、基礎能力試験は、「知能分野」と「知識分野」に分けられます。それぞれの分野で出題される科目は次のとおりです。

●知能分野
:文章理解、数的・判断推理(資料解釈を含む)

●知識分野
:自然科学、人文科学、社会科学(時事を含む)

各分野・科目の対策について詳しく見ていきましょう。

2-1.知能分野の対策ポイント

知能分野については、一朝一夕に実力がつくものではないので、早めの対策が必須です。

文章理解では、国語4問、英語7問の読解問題が出題されます。まず、過去問を解いてみて、ご自身の現状の実力を知ることが大切です。文章理解は、例年、ほとんどの問題について、合格者の正答率が高いため、得点源にする必要があります。

英語が苦手な方には、英字新聞を読むなど、日常的に英語に触れることをおすすめします。英字新聞を読めば、時事問題についても学べるので、一石二鳥です。

判断・数的推理については、図形、文章題など様々な分野から出題され、すべての分野を完璧に仕上げるのはなかなか難しいです。

そこで、得意分野と苦手分野を把握し、この分野は確実に解けるようにする、といった戦略を立てる必要があります。また、本番では、限られた時間で、解ける問題と解かなくてもよい問題を見極めることが重要です。そのためには、定期的に問題に触れ、トレーニングを重ねるとよいです。

2-2.知能分野の対策ポイント

知識分野については、人によって対策が変わってきます。

高校で人文科学や自然科学をあまり学習されなかった、という方は、その2分野については科目を絞って対策し、社会科学の時事などを得点源にする、という戦略がおすすめです。上記以外の方は、高校で学習し、大学受験で選択した科目の復習を中心に行い、社会科学についてもカバーするとよいです。

時事については、政策論文や人事院面接など、択一試験以外でも必要なので、高校までの学習状況に問わず、対策が求められます。知識分野も、判断・数的推理と同様、すべての分野を網羅する必要はありません。

まとめますと、基礎能力試験については、文章理解は安定して得点できるようにし、判断・数的推理や知識分野は分野を絞り、戦略を立てて得点することが重要です。

3. 専門試験の傾向と対策

専門試験は1次試験・2次試験いずれにおいても実施される試験種目です。

1次では多肢選択式(マークシート式)、2次では記述式の試験が実施されます。具体的にはどのような対策が必要か、確認しておきましょう。

3-1.専門1次(多肢選択式)の対策ポイント

1次の専門試験では、憲法・行政法・民法の3科目、合計31題が必須解答となっています。ほかに、選択問題が18題出題され、9題解答します。選択科目は、商法、労働法、国際法、経済学・財政学です。

専門試験(多肢選択式)の配点比率は、基礎能力試験の1.5倍であり、1次試験突破の鍵となります。そのうえ、問題が緻密なので、入念な準備が求められます。最も重要な対策は、徹底的に過去問演習をすること。問題の緻密さ、誤った選択肢のひっかけ方は、過去問から学ぶのが1番の近道です。

また、公務員試験で問われる知識は、法学部の学部試験で問われる知識と異なることがあるので、法学部出身であるとしても、知識の入れ直しが必要です。もちろん、法律の基礎知識など、活用できる部分も多いですが、学説よりも判例重視なので、学説を問う学部試験とは傾向が異なります。

そのため、1.でも述べたように、法学部出身でない方も、法学部出身の方よりかなり不利、ということはないです。予備校などを利用して法律を基礎から学べば、試験を突破できます。

3-2.専門2次(記述式)の対策ポイント

2次試験の専門試験では、3科目を選択して4時間で3通の論文答案を仕上げます。

出題される科目は、憲法、行政法、民法、国際法、公共政策ですが、1次試験の必須科目でもある、憲法・民法・行政法を選択するのがオーソドックス。1次試験の対策をする中で、2次試験の対策を同時に行うと、効率が良いです。

具体的には、1次試験対策として学ぶ知識の中には、2次試験で問われる知識が一定数存在します。その知識については、択一試験で解けるのみならず、論述もできるように、併せて対策する必要があります。

「見たら正解がわかる」というのが択一試験で求められる知識レベル。一方、記述式試験では、白紙の答案に、何も見ず自力で文章をアウトプットしていく必要があります。1次試験対策として網羅的な学習を進めつつ、2次試験の頻出範囲については「書ける」形で知識を整理しておくことが重要です。

4. 政策論文試験の傾向と対策

政策論文と聞くと、政府の政策をまんべんなく知らないといけないのかな…、難しそう…、という印象を持たれるかもしれません。しかし、実際は異なります。

もちろん、政府の政策をある程度理解している必要はありますが、政策論文で問われているのは、受験案内にあるように、「政策の企画立案に必要な能力その他総合的な判断力及び思考力」です。提案した政策が素晴らしいか、というよりも、問いに対してきちんと答えられているか、論理的な論述ができているか、といったことの方が重要なのです。

また、政策論文には、資料が3つつけられているので、それを踏まえながら論述する必要があります。そのため、政策論文対策としては、出題の意図を理解し、資料を丁寧に読み込み、問いに対してきちんと答えるトレーニングをしていくことが求められます。

5. おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

科目や傾向、対策をお読みになって、国家総合職法律区分のイメージは変わりましたか?そうはいっても、やはり難しいのでは…と思われたかもしれません。

しかし、上記の対策をコツコツ行っていけば、努力が実る試験であることは間違いないです。官僚になるための素質を求めている試験なので、試験に向けてしっかり対策したこと、乗り越えた経験は財産となります。

この記事が、公務員をすでに目指している方、迷っている方のお役に立てれば幸いです。
伊藤塾はあなたのチャレンジを応援しています。

伊藤塾 公務員試験科

著者:伊藤塾 公務員試験科

伊藤塾公務員試験科は一人ひとりの学習経験や環境に応じた個別指導で毎年多くの行政官を輩出しています。このコラムでは将来の進路に「公務員」を考えている皆さんへ、仕事の魅力や試験制度、学習法など公務員を目指すための情報を詳しくお伝えしています。