国家総合職とは?仕事内容・なり方・難易度を解説
公務員の基本情報
2023年01月26日

国家総合職とは、「国家公務員 総合職」の略称。
公務員の種類の一つです。
でも、どんな仕事をする公務員なのか、具体的にイメージしにくいですよね?
◎「総合職」っていうくらいだからたぶんエリート?
◎刑事ドラマでえらそうにしている側の人たちでしょ。
◎長時間勤務のブラック職場、って聞いた気もする・・・。
そんな印象でしょうか。
国家総合職の仕事を一言でいうと
「とても大変だけど、それを上回るやりがいがある」仕事です。具体的な仕事内容、なり方をご紹介しましょう。

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【目次】
1.国家総合職の仕事内容
1-1.国家総合職はいわゆる「官僚」
国家総合職は、「官僚」「キャリア」ともよばれる国家公務員です。
公務員には大きくわけて、国家公務員と地方公務員があります。
そのうち国家公務員は、国全体、国民全体に関わる仕事に携わります。
中でも総合職職員は、国レベルで行う政策や制度を立案する人たちです。
現在、日本という国は様々な問題に直面しています。
例えばカーボンニュートラル。地球温暖化対策の分野でヨーロッパ各国などに遅れをとっている日本ですが、「2050年までに温室効果ガスの排出ゼロ」という目標を掲げました。でも、「ゼロにするぞ~」と言っているだけでは実現できませんよね?どうやって実現するのか、その具体策を考えるのが国家総合職の皆さんです。
国家総合職の仕事は、国レベル、時に地球規模の課題をどうすれば解決できるのか考え、新しい制度やルールをつくりだすというもの。制度やルールの「中」で活動する民間企業ではなしえない、スケールの大きなことを実現できます。
1-2.仕事内容は省庁により千差万別
国家総合職として実際に行う仕事の内容は、どの省庁に入るかによって全く異なります。
省庁というのは、財務省・防衛省・経済産業省・文部科学省・・・などのこと。自分がどんな分野に興味や適性があるのか、よく考えて目指す省庁を選択することが大切です。
各省庁では採用案内ページで情報を提供しています。
国家総合職に興味のあるは一度チェックしておきましょう。
▼人事院『国家公務員試験採用情報NAVI』
2.国家総合職の魅力
2-1.なんといってもまずは「やりがい」
人生100年時代。
選択肢が多様化しつつあるとはいえ、大学卒業後は「働くこと」に相当な時間と労力を割くことになります。どのような職業に就くかは、どのような人生を送るか、に直結するといっても過言ではありません。
もしあなたが、職業選択におけるプライオリティを「たっぷりお金を稼ぐこと」に置くとしたら、外資系をはじめとした民間企業や起業のほうがよいかもしれません。逆に「人の役に立ちたい」など、仕事を通じた社会貢献を重視する方には、公務員はピッタリな職業といえるでしょう。
「役立つ」系の職業としてまず思いつくのは、医師や弁護士でしょうか。しかし彼らが救うことができるのは、目の前の「その1人」ずつ。国民全体の暮らしを豊かにすることを目指す国家総合職は、ルールメーキングを通じて、「より多くの人」の役に立てる、大きなやりがいのある仕事です。
2-2.とはいっても給与・待遇も重要
国家公務員総合職の初任給は232,840円です。一般職も含めた国家公務員の平均給与は405,049円となっています(2022年4月現在)。
国家公務員は、ストライキをする権利などが制限されおり、「労使で交渉」ということができないため、給与が民間平均並みとなるよう人事院が勧告する、という仕組みがとられています。したがって、民間企業の水準を大きく上回ることも、下回ることもありません。とはいえ、給与およそ4.3カ月分のボーナス、諸手当もつくため、民間平均よりは高い水準にあります。
勤務時間については、配属先による、というのが正直なところ。国会対応など、自分でコントロールしづらい業務にあたる場合は、どうしても一定期間は長時間勤務にならざるをえないようです。もっとも、一時は「霞が関はブラック職場だ」などと騒がれましたが、若手を中心とした働き方改革のプロジェクトが立ち上がるなど、勤務環境は是正されつつあります。
ワークライフバランスについては、その旗振り役でもある国家公務員のこと、様々な制度が充実しています。また、女性の管理職登用も右肩上がりに進んでおり、2022年7月時点で「係長相当職」の4人に1人以上(28.3%)が女性。研修として留学ができる、というのも国家総合職の大きな魅力でしょう。
3.国家総合職になるには
3-1.「合格」=「採用」ではない
国家公務員総合職になるまでの流れは2ステップです。
ステップ① 試験に合格する
ステップ② 志望する省庁から内々定をもらう
まずは、①「国家公務員総合職試験」に合格する必要があります。合格すれば『採用候補者名簿』に名前が載り、②志望する省庁への「官庁訪問」を行うことができます。そして内々定を獲得できれば、翌年4月から晴れて総合職職員です。
3-2.国家総合職試験の概要
国家公務員総合職試験(大卒程度)には秋試験と春試験の2種類があります。
秋試験(教養区分)
◎10月に第1次試験が行われ、12月に最終合格発表
◎2023年試験より19歳(主に大学2年生)から受験可能
◎試験区分は「教養区分」で、法律・経済などの知識を問う専門試験が課されない
●受付期間 | 2022年7月29日(金) ~8月22日(月) |
●第1次試験日 | 10月2日(日) |
●第1次試験合格発表 | 10月19日(水) |
●第2次試験日 | [企画提案試験] 11月26日(土) [政策課題討議試験] [人物試験] 11月27日(日) |
●最終合格発表 | 12月14日(水) |
春試験
◎2023年・2024年と実施時期が段階的に前倒しされる
◎主に大学4年生が受験する試験
◎11種類の試験区分があり、それぞれ専門試験が課される
●受付期間 | 2023年 3月1日(水)~20日(月) |
●第1次試験日 | 4月9日(日) |
●第1次試験合格発表 | 4月21日(金) |
●第2次試験日 | [筆記試験] 5月7日(日) [人物試験等] 5月15日(月)~31日(水) |
●最終合格発表 | 6月8日(木) |
春試験の11試験区分のうち、文系学生の皆さんが多く受験するのは、法律、政治・国際、経済、人間科学のいずれかです。
▼試験区分についてはこちらもご覧ください
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4.国家総合職試験の難易度
4-1.秋試験・春試験の合格率
難易度を示すものといえば、まずは合格率でしょう。2022年試験について、主な試験区分の結果は以下のとおりです。
実施状況 | 秋試験 | 春試験 | |
教養 | 法律 | 政治・国際 | |
1次受験者 | 1,884 | 6,511 | 945 |
1次合格者 | 416 | 796 | 380 |
2次合格者 | 255 | 380 | 196 |
合格率 | 13.5% | 5.8% | 20.7% |
民間就活と並行して受験する皆さんが多い公務員試験。国家総合職が本命ではなく「とりあえず」受験する人、民間にシフトして途中で離脱する人も多くいます。
つまり、合格率がそのまま難易度を示しているとはいえないのです。
表に示した中では、合格率が最も低い法律区分ですが、コツコツ勉強すれば結果につながる試験内容という点では、実は最も合格可能性が高いといえるかもしれません。
4-2.合格するより大変?内定率
前述のとおり、国家総合職になるには、試験に合格することに加えて、『官庁訪問』で内々定を獲得する必要があります。
官庁訪問は、春試験の最終合格発表直後から第1クールがはじまります。
志望する訪問して複数回面接を受け、合格すれば次のクールに進めるという仕組みで、なんと第5クールまであります。
2022年実施 国家総合職 官庁訪問験日程
国家総合職試験 第2次試験合格発表
2022年6月20日
●第1クール【3日】 | 6月22日(水)~24(金) |
●第2クール【3日】 | 6月27日(月)~29(水) |
●第3クール【2日】 | 6月30日(木)~7月1日(金) |
●第4クール【1日】 | 7月4日(月) |
●第5クール【1日】 | 7月5日(火) |
●内々定解禁 | 7月5日(火) 12:00以降 |
2022年の内定率は37.3%(※)でした。
官庁訪問は、拘束時間も長くじっくりと選考されるため、ごまかしがききません。試験に合格しても、2人に1人以上が官庁訪問で不採用になるという現実を考えれば、筆記試験対策よりも官庁訪問にこそ十分な時間をかけるべきでしょう。
※2021年春試験(大卒・院卒)と2020年秋試験(大卒)の合格者、および2022年4月時点採用実績より算出。採用数/最終合格者=37.3%(理論値。国家総合職試験の簿有効期間は3年間ため、過去の合格者からも採用される可能性ある)
5.国家総合職合格・内定のポイント
5-1.使えるチャンスは全て活かそう
国家総合職は、大学2年次と3年次の秋試験(教養区分)、そして4年次の春試験と合計3回の受験チャンスがあります。
・教養区分だけ
・法律区分だけ
・大学3年次の試験だけ
というように、どれか「一択」にするのはリスクが高いです。
チャンスはすべて使い切るようにしましょう。
もしあなたが大学1年生なら、まずは2年生の秋に教養区分にチャレンジを。ダメでも3年生の秋が本番です。さらには、3年生の秋も結果が出なかった場合にそなえて、4年生春の試験に向けた準備もコツコツ進めておくのがおすすめです。
5-2.ゴールから逆算して準備をしよう
国家総合職になりたい皆さんにとって、まず目指すべきゴールは「内々定獲得」です。そこにいたる流れはこんな感じでしたね?
●第1次試験に合格
↓
●第2次試験に合格(=最終合格)
↓
●官庁訪問で内々定獲得
これを見ると、とりあえず第1次試験の対策からはじめたくなりませんか?
実はそれが失敗のもと。
「内々定獲得」というゴールにいたる全体の流れを俯瞰し、最も困難な部分はどこか、時間がかかる部分はどこかを特定して、どの順番で、どんな対策をすべきなのかを決めてから、実際の準備をはじめることがポイントです。
6.まとめ
いかがでしたか?
公務員受験指導校「伊藤塾」で学び、官僚になったみなさんは、国家総合職の仕事は「大変だけどやりがいがある」と口をそろえます。そして「大変だけど」の部分は、働き方改革で是正されつつあります。
官僚といえば東大出身、というイメージがあるかもしれませんが、実際には様々な大学出身者が国家公務員総合職として活躍しています。重要なのは、どこの大学出身かではなく、「正しい方法」で準備をしたか、です。
・国家総合職は「合格=採用」ではないこと
・採用内定をとるための対策こそが重要であること
この2点を意識しながら、国家総合職への第1歩を踏み出してみてください。
伊藤塾はあなたのチャレンジを応援しています。
