新卒で公務員になるメリットは?年収・ボーナスなどのリアルを解説!

公務員の基本情報

2024年10月31日

「新卒で公務員になるのはもったいない?」
「新卒の場合、公務員と民間のどちらに進んだ方がいい?」

こんな疑問をお持ちになったことがあるかもしれません。

確かに、たった一度の新卒カードを公務員に使うことは、かなり勇気のいる決断です。

民間企業の説明会に参加したり、民間で働いている先輩の話を聞いていくうちに、「民間の方が良いのかな?」と感じることもあるでしょう。

新卒で「公務員」と「民間」のどちらを選ぶべきか?

この問いへの正しい答えはありません。

公務員と民間では、仕事の進め方や特徴、働き方が全く異なるからです。

民間には民間の良さがある反面、公務員にも民間では代えがたいメリットがあるのです。

そこで本記事では、新卒で公務員になるか民間に就職するか迷っている方に向けて、気になるポイントを徹底解説します。

【この記事を読んで分かること】
・新卒で公務員になるメリット
・新卒で公務員になるデメリット
・新卒公務員のリアルな待遇(年収やボーナス、休暇など)


公務員に興味がある大学生は、是非ご一読ください。

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1.新卒で公務員はもったいない?後悔する?

新卒で公務員になることを「もったいない」と感じたり「後悔するのではないか」と不安に思う人もいるかもしれません。

確かに、たった一度の新卒カードを公務員に使うことは、とても勇気のいる決断です。

様々な業界や職種を選択できる中で、「公務員」という道を選ぶことに迷いを感じるのも無理はありません。

しかし、新卒1年目の職員に近況を聞くと、次のような声が数多く聞かれます。

「毎月1回は有給休暇が取れるし、長期休暇も取りやすい」
「職場の雰囲気がとても良く、フレンドリーな先輩・上司が多い」
「新卒1年目から、色々な仕事を任せてもらえる」
「分からないことがあれば、すぐに相談できる環境がある」
「とても働きやすい職場だと感じる」


採用された省庁や自治体によって多少の違いはあるものの、多くの人は職場に満足しているようです。

もちろん、民間企業には民間企業ならではの良さがあるでしょう。しかし、新卒で公務員になることにも、他では代えがたいメリットがあるのです。

結局のところ、新卒で公務員になったことを後悔するか、充実した人生を送れるかは、あなたの価値観次第です。

自分のキャリアビジョンをしっかりと持ち、公務員という仕事の特性をよく理解した上で、判断しましょう。

※公務員の種類については、こちらの記事で詳しく解説しています。

2.新卒で公務員になるメリット

新卒で公務員になるメリットは大きく4つあります。

・1年目から活躍できる職場が多い
・研修が充実している
・生涯年収が高くなる
・ワークライフバランスを大切にできる


それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1.1年目から活躍できる職場が多い

1つ目のメリットは、新卒1年目から活躍しやすいことです。

公務員は年齢に関係なく、自分の能力をフルに発揮して活躍できる職場だと言われています。なぜなら、新卒1年目であっても、自分が担当となった仕事については、自分がメインで進めることになるからです。

もちろん、迷ったり分からなければ上司や先輩に相談することもできます。

しかし、あくまでも主担当は自分です。

前任者のやり方を調べたり、関係法令を確認したりして、どのように進めるのかを自分で考えることが必要となります。

経験を積んでいくうちに、自分が担当している仕事の関係法令については、自分の方が詳しくなるケースも珍しくありません。一定期間が経過すれば、上司や先輩から逆に相談を受けるようなケースも増えてきます。

公務員では、自分が身につけた知識や経験を発揮することで、若手の頃からでも、第一線で活躍できるのです。

2-2.研修が充実している

2つ目のメリットは、研修が充実していることです。

省庁や自治体によって違いはあるものの、基本的に研修は充実しているケースが多いです。

一例を挙げると、国税専門官の場合、「税務大学校」という施設が設けられており、様々な研修が行われています。

採用後も、いきなり実務に就くのではなく、「専門官基礎研修(採用後、3か月)」→「専攻税法研修(1か月)」→「専科(7か月)」と、段階的に専門知識を学んでいくのです。

裁判所職員でも、「裁判所職員総合研修所」という施設が設けられており、定期的に泊まり込みで行う集合研修が実施されています。

他の省庁や、地方自治体でも、同じような研修が実施されるケースが多いです。

基本的な知識や専門スキルを身につけるための研修が充実していることは、公務員の大きなメリットだと言えるでしょう。

2-3.生涯年収が高くなる

3つ目のメリットは、生涯年収が高くなることです。

公務員は、基本的に年功序列の給与体系です。つまり、経験年数が長くなる程、比例して給料も上がっていきます。そのため、採用が早いほど、生涯年収は高くなります。

例えば、新卒で民間企業に就職し、数年経ってから公務員に転職すると、給料は同年代の公務員よりも安くなってしまいます。

※参考:国家一般職(東京特別区勤務)の比較例

新卒で採用→6年目の給料:27万円程度が目安
民間で5年勤務→公務員へ転職時の初任給:25万円程度が目安

(出典:人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)

転職時の初任給は、職歴によって異なりますが、新卒で入った同年代より数万円安くなることが通常です。さらに、採用が遅くなる程、この差は大きくなります。

公務員として高い年収を得たいのであれば、新卒で採用されることが望ましいです。

※公務員の年収については、以下の記事で詳しく解説しています。

2-4.ワークライフバランスを大切にできる

4つ目のメリットは、ワークライフバランスを大切にできることです。

「社会人になれば、長期休暇はまず取れない」
「残業が多く、帰りはいつも深夜」


こういった声を聞いて、社会人になる不安を抱えている大学生は多いのではないでしょうか。しかし、公務員の場合、こういった悩みは少ないです。

働く部署や時期によっても異なりますが、基本的には働きやすい環境が整っています。

例えば、令和5年の国家公務員の「残業時間(超過勤務)」や「有給の取得日数(年次休暇の平均使用日数)」は、次のとおりです。

 残業時間
(超過勤務)
年次休暇の
平均使用日数
全体19.2時間16.2日
本府省以外16.2時間16.6日
本府省31.8時間14.4日
(出典:国家公務員の平均年間超過勤務時間数、国家公務員の超過勤務時間の時間階層別職員割合国家公務員の年次休暇の使用実態|人事院資料より)

最も激務と言われている本府省(中央省庁)を除けば、毎月の残業時間は、平均16時間(1日1時間以下)が目安です。年次休暇も、毎月1〜2日は取得することができます。

さらに、夏には3日間の夏期休暇(特別休暇)が付与されます。年次休暇と組み合わせて、9日〜10日の長期休暇を取得する職員も多いです。

プライベートを充実させたい人にとっては、とても魅力的な職場と言えるでしょう。

3.新卒で公務員になるデメリット

次に、新卒で公務員になるデメリットについても見ていきましょう。

・公務員試験の勉強で焦りを感じやすい
・20代から高年収を得ることは難しい
・転職する難易度が高くなる


それぞれ詳しく説明します。

3-1.公務員試験の勉強で焦りを感じやすい

1つ目のデメリットは、公務員試験の勉強で焦りを感じやすいことです。

公務員試験は、大学4年の春から秋にかけて本格化します。最終合格・内定が決まるのは、早い試験でも夏以降であることが一般的です。

つまり、最も不安を抱えやすい直前期に、民間企業で就活している同級生から、「〇〇会社から内々定を取得した」という話を聞くことになるのです。

「もしも落ちてしまったらどうしよう?」と焦りを感じてしまい、精神的にかなりの負担を感じる受験生も多いでしょう。

対策としては、公務員試験を受験する仲間を作ることが効果的です。

例えば、同じ大学で公務員試験を受験する友人を探したり、受験指導校を利用して、志を同じくする仲間を見つけるなどです。

公務員試験のことを理解してくれる人を見つけ、話を聞いてもらうだけでも精神的な負担は軽減されます。

※独学で公務員試験に臨む場合のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

3-2.20代から高年収を得ることは難しい

2つ目のデメリットは、20代から高年収を得ることは難しいことです。

前述のとおり、公務員の給与体系は、基本的には年功序列です。そのため、若いうちから高年収を得ることは難しいです。

人事評価で良い結果を出せば、昇給スピードは早くなりますが、成果主義が徹底されている民間企業ほどではありません。

例えば、20代で年収1000万を目指すようなことは、不可能に近いでしょう。

年功序列の給与体系は、若いうちから高い収入を得たい人にとって、大きなデメリットとなるかもしれません。

3-3.転職の難易度が高くなりやすい

3つ目のデメリットは、転職の難易度が高くなりやすいことです。

公務員と民間企業では、仕事の進め方や、仕事に対するスタンスが異なります。そのため、公務員から民間企業に転職する場合、公務員の職歴は評価されづらい傾向があります。

ただし、これは公務員に限った話ではありません。民間から民間に転職する場合も、業種が違えば、転職は難しくなります。

例えば、医療業界からIT業界に転職しようとすると、前職のスキルを直接活かすのは難しいでしょう。

また、あくまでも難しい「傾向がある」というだけで、転職できない訳ではありません。

実際、公務員から民間企業に転職し、第一線で活躍している人もたくさんいます。

結局のところ、大切なのは「民間企業」や「公務員」という違いではなく、社会人として通用するスキルを身に付けているかどうかです。

新卒で公務員になっても、採用後の努力を惜しまず、自己研鑽に励んでいけば、民間に転職することは不可能ではありません。

4.新卒公務員のリアルな待遇は?ボーナス・年収・休暇など

新卒で公務員になった場合、最も気になるのが待遇面ではないでしょうか。

「給料はどの程度もらえるの?」
「休みは取れる?」


採用説明会などで、制度の説明はあるものの、実際のところどうなのかを聞けるケースは多くありません。

そこでここでは、新卒公務員の年収やボーナス、休暇などについて、詳しく解説していきます。公務員を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

4-1.新卒1年目の年収(9ヶ月分)は300万円|夏のボーナスも出る

新卒で公務員になった場合、1年目の年収は300万円が目安です。

毎月の給料は「235,440円(国家一般職、東京特別区に勤務する場合)」です。

さらに残業時間に応じた「超過勤務手当」や、家賃の半額程度の「住宅手当(最大28,000円)」、「通勤手当」が支給されます。

4月〜12月の9ヶ月間勤務した場合の支給額とボーナスを合計すると、300万円程度となります。

【新卒1年目の年収の内訳】

 金額
給料+諸手当
(9ヶ月分)
240万円
ボーナス(夏)17万円程度
ボーナス(冬)53万円程度
合計310万円

毎月の手取り額は決して高くは無いですが、生活に不便を感じるという人は少ないです。

また、採用1年目の夏からボーナス(期末・勤勉手当)も支給されます。ボーナスの支給額は、勤務期間によって異なり、4月採用の場合、満額の3分の1(17万円程度)が目安です。

さらに、冬のボーナスでは、採用1年目でも50万円以上が支給されます。

自分へのご褒美として使ったり、両親へプレゼントを購入する人も多いです。

※公務員の年収については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-2.年次休暇は15日・夏季休暇は3日|9日〜10日の長期休暇もある

公務員では、新卒1年目から、15日間の年次休暇が付与されます。

※年次休暇とは?
理由を問わず、自分が好きなタイミングで使える休暇。
民間企業の「有給(年次有給休暇)」に該当します。

「確かに制度はあるかもしれないけど、本当に新卒1年目から使えるの?」

このように感じる人も多いかもしれません。

しかし、採用1年目の4月から休暇を取得する新卒職員は、決して珍しくありません。

なぜなら、公務員の世界では国や自治体を挙げて、年次休暇の取得が推進されているからです。

例えば、厚生労働省では平成27年から、「厚生労働省働き方・休み方改革推進戦略 ~「休むことも仕事です。今度こそ本気です。」という名称の働き方改革を行っています。

ここでは、次のような目標が掲げられています。

・年間16日以上、少なくとも全職員の65%が、月1日以上の年次休暇を取得
・(夏季休暇)全職員が連続1週間以上の休暇を取得
・全職員がGW、年末年始に、(毎月の年次休暇とは別に)1日以上の年次休暇を取得


他の省庁や地方自治体でも、同じような目標が設定されているケースが多いです。

そのため、上司や先輩からも「今月はいつ休むの?」といった声かけが積極的に行われています。

さらに、採用から3ヶ月程度経って7月を迎えると、3日間の夏季休暇(特別休暇)も付与されます。

採用1年目であっても、夏季休暇と年次休暇、土日祝日を組み合わせて、9日〜10日の長期休暇を取得する人は珍しくありません。

5.新卒で迷ったら、公務員と民間の併願もできる

ここまでの内容を読んで、公務員に魅力を感じ始めた人も多いのではないでしょうか。

とはいえ、民間企業には民間企業ならではの魅力があることも事実です。

「公務員になりたいけど、公務員試験一本に絞るのは、少し怖い。」
「公務員に興味があるけど、民間企業も捨てがたい。」

こういった悩みを持つ人もいるかもしれません。

たった一度の新卒採用です。すぐに決めきれなくても無理はないでしょう。

もしもあなたが、公務員・民間それぞれに魅力を感じているのなら、併願することも選択肢の1つです。

確かに、やることは格段に増えるため、簡単な道のりではありません。

やり方を間違えると、どっち付かずになってしまうリスクもゼロではないでしょう。

しかし、計画的に公務員試験の勉強を進めていけば、「公務員」と「民間企業」を併願することは、決して難しくはありません。

何より、公務員と民間企業を併願した経験は、社会人になった後でも必ず役に立ちます。

伊藤塾でも、民間と公務員(行政)の両方の対策を進めていった結果、「本当に自分のやりたいことが見つかった」と語る合格者がたくさんいます。

一定の努力は必要ですが、それ以上に得るものも大きいです。

新卒で就職先に迷ったら、ぜひ併願という選択肢も考えてみてください。

※公務員と民間企業の併願は、以下の記事でも詳しく解説しています。

6.【Q&A】公務員試験の新卒採用についてよくある質問

6-1.公務員試験の勉強はいつからスタートすればいいですか?

勉強を開始する時期は、人によって様々です。

大学1年から、3年プランで勉強して合格する人もいれば、大学3年からスタートして、1年程の学習期間で合格する人もいます。

中には、大学3年の冬までサークルや部活動に打ち込んだ後、短期集中で合格するようなケースもあります。

自分の性格や基礎学力、1日に確保できる勉強時間に応じて判断すると良いでしょう。

6-2.学歴(大学名)や学部は合格に関係ありますか?

公務員試験では、学歴(大学名)は関係ありません。

国立大学、有名大学など関係なく、本人の努力次第で合格することができます。

学部も関係ありませんが、専門科目に「経済原論」や「法律科目」があるため、経済学部や法学部の方が、スタート段階では勉強しやすいかもしれません。

ただし、理系学部や文学部など、全く関係のない学部から合格する人も多いです。

6-3.部活やサークルをしていなくても、面接で合格できますか?

はい。部活やサークルなど、面接でアピールしやすいエピソードがなくても、人物試験対策をしっかりと行えば合格することができます。

6-4.新卒公務員の4月の給料はいくらですか?

新卒公務員の4月の給料は「235,440円」です(国家一般職・東京特別区に勤務する場合)。なお、地域手当が支給されない地域で働く場合は「196,200円」です。

さらに、賃貸住宅に入る場合、家賃の半額程度(最大28,000円)の住宅手当が支給されます。

6-5.新卒で入った民間企業をすぐに辞めて公務員になれますか?

新卒で入った民間企業を、すぐに退職して公務員になる方もいます。

ただし、面接では退職理由について詳しく聞かれる可能性が高いです。

そのため、人物試験対策を入念に行うことが必要です。

6-6.新卒で公務員になる場合、10月採用はありますか?

新卒で公務員になる場合、基本的に10月採用はありません。

10月採用は、国家一般職や裁判所事務官などで実施されていますが、既卒者のみを対象としているケースが通常です。

特別な事情がある場合は、採用担当者に確認してみましょう。

7.まとめ

最後に、今回の記事のポイントをまとめます。

新卒で公務員になるメリットは4つ

・1年目から活躍できる職場が多い
・研修が充実している
・生涯年収が高くなる
・ワークライフバランスを大切にできる


新卒で公務員になるデメリットは3つ

・公務員試験の勉強で焦りを感じやすい
・20代から高年収を得ることは難しい
・将来、転職する難易度が高くなる


新卒公務員の待遇は次のとおり

・1年目の年収は「300万」程度が目安
・初任給は「235,440円」+住居手当「28,000円」程度
(国家一般職、東京特別区に勤務する場合)
・夏のボーナスは「17万円程度」
・冬のボーナスは「53万円程度」
・年次休暇は「15日間」付与される
・採用1年目の4月から使える職場が多い


民間企業と公務員を決めきれない場合は、併願することも選択肢の1つ

公務員は、新卒の大学生にとって、非常に魅力的な就職先です。

一口に公務員といっても仕事内容は様々で、国家公務員・地方公務員によって大きく異なります。

ただし、いずれの職種でも試験勉強を頑張った合格者の多くは、口を揃えて

「公務員試験を頑張って良かった」「すごく働きやすい職場」だと語っています。

様々な公務員の中から、自分に合った仕事を見つけることができれば、卒業後も誇りを持って働ける一生の仕事に出会えるでしょう。

伊藤塾では、公務員を目指す方に向けて、無料の受験相談会も実施しています。

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伊藤塾 公務員試験科

著者:伊藤塾 公務員試験科

伊藤塾公務員試験科は一人ひとりの学習経験や環境に応じた個別指導で毎年多くの行政官を輩出しています。このコラムでは将来の進路に「公務員」を考えている皆さんへ、仕事の魅力や試験制度、学習法など公務員を目指すための情報を詳しくお伝えしています。