公務員試験で「圧迫面接」はあるのか―面接で「圧迫」されることについて―

公務員全般

2023年04月30日

就職試験・就活では、面接が重視されます。

就活をするみなさんにとって、面接の情報はいろいろと気になるところだと思います。公務員試験でもやはり面接は大変重視されますから、公務員志望の方にとっても面接についてはとても知りたいところだと思います。

面接に関する話題の一つに「圧迫面接」があります。「〇〇では圧迫面接があるらしい」とか「先輩は△△で圧迫面接をされた」といったことが言われたりします。

それでは、公務員試験で、「圧迫面接」はあるのでしょうか。あるとしたら、どのように「圧迫」されるのでしょうか。また、それにはどう対処すればよいのでしょうか。

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1. 面接での「圧迫」の種類

面接で「圧迫」を感じるのには様々なケースがありますが、それらは大きく二つに分類できます。

(1)面接官が、意識的に「圧迫」しているケース
(2)面接官は圧迫しているつもりはないが、受ける側が「圧迫」を感じてしまうケース

それぞれのケースについて、具体的に見ていきましょう。
まずは(1)のケースです。

1-1.面接官が意識的に「圧迫」をしているケース

ケース①

面接官>

「面接カードに書いてある、あなたの『達成感を得られた経験』についてだけど、私から見るとこの程度のことをしただけで達成感を感じたというのはスケールが小さいと思うんだけど、そんなことはないですか」

このように、受験者のことをかなり否定的に述べるのが、面接官が意識的に行う圧迫面接の典型例です。このように言われたら相当にショックでしょう。

しかし、今ではこうしたケースはほとんどありません。

少子化による労働人口の減少で、公務員も民間も「能力のある人」「やる気のある人」をどこも求めています。嫌がられるようなことをわざわざ言って印象を悪くしたら、内定を出しても辞退されかねません。

特に公務員試験では、こうした言い方をされることはまずないでしょう。ただ、面接官も人の子。一日に数多くの人を面接するとさすがに疲れてきて、やや不愛想な訊き方になってしまうケースはあり得ます。

もっとも、「受験者のことを否定的に言う」ことはほとんどないと思われますが、「予想外の突飛な質問」を意識的に行うことはあります。例えば、過去、ある自治体で出された質問。

ケース②

面接官>

・「自分自身を色にたとえたら、今、あなたは何色ですか。どうしてそう思うのですか」
・「今日、ここまで来る途中に見たもので、何か関心を持ったものはありましたか。なぜそれに関心を持ったのですか」

このような質問です。

受験者は、自分の書いた面接カードから訊かれそうなことを予想して「このことを訊かれたらこう答えよう」と準備しますが、その前提として「面接は、面接カードに記した内容をベースにして質問される」と思っています。

それなのに、それと全然関係ないことを訊かれたらとまどってしまって、なかにはその質問に「圧迫」を感じてしまう人もいるでしょう。「なんでそんなことを訊くんだ?」「何も思い浮かばない」「なんと答えていいかわからない。どうしよう」とあせってしまう場合もあります。

面接でなぜこんな質問をするかというと、面接官は受験者の「対応能力」を見たいのです。公務員にかぎりませんが、仕事をする上で「予想外の事態」は必ずあります。マニュアル通りに対応できないことが必ず出てきます。

また、国家公務員でも地方公務員でも課内の同僚だけでなく外部の人と関わることは多々ありますし、基礎自治体(市区町村)の公務員では直接住民に応対します。そうした際にもきちんと臨機応変に対応できるのかどうか、その点を見きわめたくて、「予想外の突飛な質問」をわざとするわけです。

1-2.面接官は意図していないが「圧迫」を感じるケース

次に、(2)面接官は圧迫しているつもりはないが、受ける側が「圧迫」を感じてしまうケースです。例えば、こういう場合です。

ケース③

面接官>

・「大学では国際関係論を専攻したとのことですが、国際関係に関心を持ったのはいつからですか」
・「なぜそれに関心を持ったのですか。何かきっかけがありましたか」
・「国際関係もいろいろありますが、どの時代のどの地域について研究したのですか」
・「なぜその時代のその地域にしたのですか」
・「それを研究するうえで特に留意したことはありますか」
・「あなたが研究した内容について、専門外の人間にもわかるように、簡潔に説明してください」
・「この研究をする上で困難を感じたことはありますか。それをどう乗り越えたのですか」
・「国際関係論を学んで、一番得られたことはなんですか」
・「今後、仕事をするうえで、この経験はどう活かせると思いますか」

いわゆる「深掘りされる」というものです。

面接としてはオーソドックスなものですから、面接官としては受験者を圧迫しようと思っているわけではありません。受験者も訊かれることを予想して準備はしているはずです。しかし、準備がおろそかだとだんだん答えに窮して、「圧迫」を感じてしまう場合があります。

また、こういう場合もあります。

ケース④

面接官>

「あなたは面接カードで、自分の短所として『慎重になり過ぎるところがある』ことを挙げていますが、一方、個人で力を入れて取り組んだことの欄で『この経験から、未体験のことにも果敢にチャレンジできるようになった』と記しています。この二つは、つじつまが合わないのではありませんか」

面接カードの記述内容や面接で話したことの矛盾点を突かれるというものです。

これもまた面接官は、いじわるをしようとしているのではなく、疑問に感じるので質問しているだけです。しかし、面接官にこう言われたら、受験者は相当に「圧迫」を感じるでしょう。いたたまれない気持ちになるかもしれません。

2. 「圧迫」への対策

2-1.不愛想な面接官への対応

いじわるな言い方をされたり、愛想のない訊き方をされた時は、気分を悪くしないで「ああ、この面接官はくたびれているんだな」と思うようにしましょう。

そのほうが受験する側も冷静に応対でき、結果的に面接の評価も上がります。むっとした顔をしたらそれこそこちらの負けです。「こんな人間のいるところなんか絶対に入らない!」などと思わないこと。

実際に入職したらその面接官は意外に好人物で、「いやあ、面接の時は疲れていて失礼な態度をとって悪かったですね。でも、入ってくれてとても嬉しいです」と言ってくれるかもしれません。

2-2.突飛な質問への対応

「予想外の突飛な質問」をされた時は、ともかく反応をすること。答えられなくて黙ってしまうのだけは避けること。また、このような予想外の質問のときには、即答が難しいのは面接官もわかっていますから、「少しお時間をいただけますか」と言って少し待ってもらうようお願いしてもかまいません。

例にあげた、
「自分自身を色にたとえたら、今、あなたは何色ですか。どうしてそう思うのですか」
という質問なら、

「色、ですか。えー、そうですね、えー、赤、いや、青、いや、緑です。緑だと思います」
というふうに、心のとまどいを素直に出して答えても大丈夫です。

「予想外の突飛な質問」をすると、その人の対応能力の有無とともに「その人物の素(す)のありよう」をうかがうこともできます。それもねらいの一つです。だから、「どんな質問にも真面目に答えようと努めている」とか「けっこう明るい人柄らしい」とか、あなたの良さを伝えましょう。こうした質問に正解はありません。それさえできれば十分なのです。

2-3.深掘り・矛盾点をつく質問への対応

一方で、「多少の深掘りに対応できない」「記述内容・発言の矛盾点を突かれる」のは、準備が足りていない証拠です。

「面接カードに書いたことはどれも訊かれる」という前提に立って、予想質問を考え回答を用意しておきましょう。また、カードを書いたら見直しを必ずして、つじつまが合わないところがないか、誤解を与えるような書き方になっていないかをチェックしましょう。

とはいえ、自分だけではどんなことを訊かれるか十分予想できない、カードにおかしいところや不備がないかの見きわめに自信がない場合もあるでしょう。そういうときは、他の人に読んでもらったり質問してもらう機会を作りましょう。伊藤塾では、希望者全員の面接カードの添削をしています。また、模擬面接の機会もかなりあります。

3. まとめ

いかがでしたか?

就活で面接は大事ですし、受験者にとって面接での「圧迫」はとても気になるところです。

けれども、現在、公務員試験の面接で意図的に「圧迫」することはほとんどありません。また、「予想外の突飛な質問」がなされた場合は、「何を答えるのがよいのか」ではなく、一生懸命答えようとする姿を見せることが一番大切です。

面接カードを作成するときは、つじつまが合わないところがないか・説明に不備はないかをチェックすること。自分の書いたカードに基づき予想質問とその回答を用意すること。きちんとした準備をしておけば、面接での「圧迫」はほとんどないはずです。

伊藤塾 公務員試験科

著者:伊藤塾 公務員試験科

伊藤塾公務員試験科は一人ひとりの学習経験や環境に応じた個別指導で毎年多くの行政官を輩出しています。このコラムでは将来の進路に「公務員」を考えている皆さんへ、仕事の魅力や試験制度、学習法など公務員を目指すための情報を詳しくお伝えしています。