国家総合職を目指すなら説明会は行くべき?省庁イベントの活用法を解説

国家総合職

2023年04月02日

国家総合職に限らないことですが、公務員になりたいのなら、省庁が実施する業務説明会は、「参加したほうがいい」のではなく、「必ず参加しなければならない」ものです。まず、このことを強調しておきます。

その省庁の業務説明会に参加しなかったのに内定をもらえたという人もいなくはないのですが、それはきわめてレアなケース。必ず業務説明会に参加しましょう。しかも一度だけでなく複数回、参加しましょう。(なぜ「複数回」かは、後でお話しします。)

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1. 業務説明会の役割

業務説明会では何をする?

業務説明会とは、「その省庁が管轄・所管する分野についてその業務内容を説明するもの、また、職員の働き方やキャリアパスなどを伝えるもの」です。これは国家総合職に限らず、国家一般職でも国家専門職でも、また、裁判所や自治体でも同様です。

受験を考えている人に対して、「こういう分野についてこうした仕事をします。このような働き方になります。」ということを伝えます。(最近は、どの省庁の業務説明会でも「うちはワークライフバランスが悪くないです」ということを強調しますが…。)

これらは受験者側にとってのメリットです。

・どんな業務分野があって、それについて具体的にどんな施策をおこなっているか
・どんな課題があって、それをどう解決しようとしているか
・どのくらいの間隔で部署を異動するか
・地方への出向はどうなっているか
・海外留学は、いつどこに行くのか
・省庁内研修制度はどうなっているか
・どのくらいのスピードで役職が上がるか

志望先省庁を決める判断材料として、こういったことはぜひ知っておきたい情報ですよね?業務説明会に出席するとこうしたことを知ることができます。

採用側が意図すること

しかし、国家総合職の業務説明会の役割は、受験者側だけにあるものではありません。実は、採用する側にとっても大きな役割を担っています。それは、「参加した人を見定める」というものです。

参加者各人を見て、「どの程度本気で志望しているのか」「どんな業務分野に関心を持っているのか」「どの程度の能力がありそうか」「どんな人柄なのか」これらを参加者との応答を通じて探ってきます。

つまりは、業務説明会とは、採用側にとって「採用活動の第一歩」なのです。もちろん、業務説明会で選考そのものが行われるわけではありませんが、採用側が参加者の見定めをするのは、国家総合職業務説明会の大きな特徴です。

国家一般職などでも、本省採用の場合、参加者の見定めをおこなうケースはありますが、国家総合職ほどではありません。この点で、他の試験種と国家総合職とでは大きく異なるといえるでしょう。

2. 業務説明会の実施方法と種類

参加形式によって有利・不利はある?

業務説明会の実施方法としては次の3種類があります。

①オンライン形式
②対面形式
③オンライン+対面の併用式

①オンライン形式の良さは、気軽に参加できること。わざわざ会場に行かなくとも参加できます。地方在住の人にとってはありがたいでしょう。しかし、上記の通り、採用側は参加者の見定めをしたいのですから、参加する側も「その省庁への志望の高さ・本気度」とか「能力の高さ」とかを採用側に伝えたい(伝えなければならない)わけです。

 その点でオンラインでは、質疑応答の時間はあるもののどうしてもそれは限られたものになるので、採用側に自分を印象付けるのには限界があります。やはり可能な限り、②対面形式での参加が望ましいです。地方在住だとなかなか大変ではありますが、一生の仕事を選ぶことに繋がるものなので、対面での参加に努めてください。

参加するイベントの選び方

最近は各省庁とも様々なやり方・内容で業務説明会を開催しています。省庁単独の業務説明会、人事院主催の合同説明会、また、若手職員との座談会、特定の分野やテーマによる講演会・説明会など多種多様です。

それでは、どんなものに参加するのがいいのか。

まずは省庁単独のオーソドックスな業務説明会に参加しましょう。多くの場合、これは採用担当の職員の方が講師となり講演終了後の質疑応答も採用担当の方がおこなうので、その省庁の全体像も把握できますし、質疑応答を通して自分を見てもらうにも良い機会です。これがベースになります。

その次には、テーマ別の講演会・説明会がお勧めです。どの省庁も様々な分野で実に多様な施策をおこなっています。社会のどんな課題に対してそれをどう解決しようとしているのか、解決する上での困難は何か、それをどう乗り越えたのか、ということを実際にその業務に携わった職員の方がお話ししてくれます。

「へえー、こんな問題があるんだ」「こんな解決方法があるんだ」など、その省庁に対する新たな発見を得られるでしょう。実際の仕事の現場を知る絶好の機会です。省庁単独のオーソドックスな業務説明会が「その省庁の業務の広がり」を知るのに対して、テーマ別の講演会・説明会は「その省庁の業務の深さ」を感じ取れる契機になるはずです。

また、インターンシップも業務説明会同様、現場を知る良い機会なので、積極的に参加しましょう。

3. いつからどのくらい参加するか

ここまで読んでくれたら、答えは明らかではないでしょうか。
なるべく早くから参加する」「可能な限りたくさん参加する」です。

いつから参加する?

大学生の場合は、「1年生の時から参加する」べきです。会場に行くと多くは上級生で、その点で気後れするところがあるかもしれませんが、遠慮する必要はまったくありません。また、省庁側も1年生の参加は大歓迎です。

どのくらい参加する?

「たくさん参加する」は次の二つに分かれます。

(1) 異なる多くの省庁の説明会に参加する
(2) 志望度の高い省庁の説明会には複数回参加する

 それぞれ具体的に見ていきましょう。

(1) 異なる多くの省庁の説明会に参加する

 一つの省庁しか考えていないという人がいます。それ自体は一つの考え方だと思いますが、そうであってもそれ以外の省庁の説明会への参加も強くお勧めします。自分がやりたい分野が決まっているとしても、その分野のテーマを一つの省庁しか扱っていないというのは珍しいと思います。

例えば「環境問題」には、環境省は無論のこと農林水産省も国土交通省も経済産業省も関わります。環境問題のどんなことを主に扱うか、環境問題に対してどういうアプローチをするかなどが省によって異なります。

これらを知ることによって、当初考えていた省庁よりもこちらのほうが面白いかもしれないと思えるかもしれませんし、あるいは、他の省庁と比べることで当初考えていた省庁への志望がさらに高くなるかもしれません。様々な省庁を見ることで、自身の知識も深まり考え方も広がるでしょう。

(2) 志望度の高い省庁の説明会には複数回参加する

 一方、「ぜひこの省庁に入りたい」と強く望んでいるなら、その省庁の開催する業務説明会に数多く出て、採用担当の方にまずは顔を覚えてもらい、質問を色々していくなかであなたの志望の高さや考え方、人柄を知ってもらいましょう。

「どのくらいの回数を参加すべきか」には決まりはありませんが、10回を超えて参加する人も珍しくありません。

「採用担当は2年程度で交代するから、数多く参加しても途中で採用担当者が変わったら意味がないんじゃないか」と思うかもしれませんが、省庁によっては、「この人は何回説明会に参加したか」を記録しているところもあります。

その記録は後任に引き継がれますし、採用担当が「この人は有望だ」と思ったらそのことも後任に伝えます。数多く参加することにデメリットはありません。

4. 事前の準備

業務説明会に参加するにあたり、準備すべきことはあるでしょうか。

積極的に質問するために

今まで述べたように、業務説明会では積極的に質問して、そのことを通して自分のことを伝えるのですから、まず「何を質問するか」を用意しておきましょう。

ただ、同じ質問をするにしても、「事前に用意した質問」を単にするだけよりも、今回の説明会での講演内容を踏まえて質問するほうが好ましいです。例えば、「この分野に興味があり〇〇の問題について知りたいと思っていたが、今日お話しくださった□□の問題とも関わるのではないかと感じたのですが、いかがでしょうか。」といった訊き方です。

問題への関心を表すだけでなく、課題解決へのアプローチのしかた等についても理解できている点を示せてポイントが高いです。

成長可能性をアピールしよう

参加者が質問するだけでなく、「どうしてうちを志望しているのですか」「どんなことに関心がありますか」など、場合によっては省庁から質問されるケースがあります。それに備えるためにも「志望理由」「自分の核となる考え方・関心の持ち方」を話せるようにしておきましょう。

大学1年生だと、「自分はまだまだ知識不足で、すごく幼稚なことしか質問できない。」「もう少し知識をもってから参加しよう。」と考える人がいるかもしれません。しかし、省庁が期待するのは知識量ではありません。まだそれほど知識がなくても臆することなく参加しましょう。

たとえ初めは素朴なことしか話せなくとも、職員の方から色々教えてもらい、それを踏まえて徐々にレベルを上げていけば、省庁から「この人は成長できる人だ」と見てもらえます。その省庁の白書を隅から隅まで読むことよりも、そうした成長過程を示せるほうがずっと高く評価されるはずです。

5. まとめ

いかがでしたか?

繰り返しになりますが、業務説明会は、早い段階からできるだけ多く、参加することがポイントです。官僚に目指す皆さんにとって、業務説明会は省庁研究の場であるとともに、将来の自分をイメージできる好機でもあり、ものすごくモチベーションが上がります。

国家総合職になるまでには2つのステップがありますが、「試験合格」という第1ステップ以上に、「官庁訪問で内々定獲得」という第2ステップのほうが実はハードともいえます。そんな官庁訪問を確実に突破していくためにも業務説明会は極めて重要です。

もう少し準備してから、と先送りせずに積極的に参加してみましょう。
伊藤塾はあなたのチャレンジを応援しています。

伊藤塾 公務員試験科

著者:伊藤塾 公務員試験科

伊藤塾公務員試験科は一人ひとりの学習経験や環境に応じた個別指導で毎年多くの行政官を輩出しています。このコラムでは将来の進路に「公務員」を考えている皆さんへ、仕事の魅力や試験制度、学習法など公務員を目指すための情報を詳しくお伝えしています。