なぜ予備試験合格者の司法試験合格率は高いのか?その理由について解説
予備試験
2025年10月31日
        
                            
                        予備試験に合格すると司法試験の受験資格を得ることができますが、予備試験合格者の司法試験合格率は、法科大学院ルートからの受験生の合格率に比べて、非常に高くなっているのが特徴的です。
なぜ予備試験合格者の司法試験合格率が高い数値で推移しているのかをしっかり理解することで、自分が法科大学院ルートか予備試験ルートのどちらを選択すべきかが見えてきます。
この記事では、予備試験合格者の司法試験合格率を確認したうえで、なぜ合格率が高いのか、法科大学院ルートと予備試験ルートのどちらを選択すべきかについて解説していきます。
2026年以降司法試験・予備試験ではパソコン受験が必須
そこで伊藤塾ではCBTシステムをリリースいたしました。
>>> いますぐCBTシステムをご確認下さい <<<
【目次】
1.予備試験合格者の司法試験合格率は?
法務省の発表をもとに、予備試験実施開始から現在までの【予備試験合格者の司法試験合格率】を確認してみましょう。
【予備試験合格者の司法試験合格率】
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 
| 令和6年度 | 475人 | 441人 | 92.84% | 
| 令和5年度 | 353人 | 327人 | 92.63% | 
| 令和4年度 | 405人 | 395人 | 97.53% | 
| 令和3年度 | 400人 | 374人 | 93.50% | 
| 令和2年度 | 423人 | 378人 | 89.36% | 
| 令和元年度 | 385人 | 315人 | 81.82% | 
| 平成30年度 | 433人 | 336人 | 77.60% | 
| 平成29年度 | 400人 | 290人 | 72.50% | 
| 平成28年度 | 382人 | 235人 | 61.52% | 
| 平成27年度 | 301人 | 186人 | 61.79% | 
| 平成26年度 | 244人 | 163人 | 66.80% | 
| 平成25年度 | 167人 | 120人 | 71.86% | 
| 平成24年度 | 85人 | 58人 | 68.24% | 
2024年〜令和6年度法務省発表データを集計
参照:司法試験の結果について|法務省
平成23年度より予備試験が実施されて以来、予備試験合格者の司法試験合格率は非常に高い数値で推移しており、令和に入ってからは合格率が80%を下回ったことはありません。さらに、令和3年以降は90%台を維持するなど合格率が高い数値で推移する傾向が、とくに顕著に現れています。
一方、法科大学院別の司法試験合格率を見てみると、たとえば令和6年度の司法試験において、合格率1位の慶應義塾大学法科大学院は「59.35%」となっており、同年の予備試験合格者の司法試験合格率「92.84%」と比較すれば、予備試験合格者の合格率がいかに高い数値であるかがおわかりいただけるでしょう。
(参照:令和6年司法試験法科大学院等別合格者数等|法務省)
※2024年度司法試験の結果や法科大学院別合格率ランキングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
2.予備試験合格者の司法試験合格率が高い理由
それでは予備試験合格者の司法試験合格率が高い理由はどこにあるのでしょうか。
おもな理由は以下の3つになります。
| 予備試験合格者の司法試験合格率が高い3つの理由 | 
| ✔︎ 予備試験の難易度が高い ✔︎ 司法試験と予備試験には共通性がある ✔︎ 司法試験を受験する前にしっかり基礎を固める時間が取れる  | 
以下、それぞれ解説していきます。
2-1.予備試験の難易度が高い
予備試験は例年合格率が3〜4%程度の国家試験です。予備試験は法科大学院修了者と同程度の学力があるかどうかを図る試験と定義されてはいますが、実際は予備試験に合格できるだけの実力がついているのであれば、司法試験に合格するだけの実力は十分に担保されているといえるでしょう。
2-2.司法試験と予備試験には共通性がある
司法試験と予備試験は、試験制度や試験内容において共通性があり、予備試験の対策をしていれば、それがそのまま司法試験対策にもなります。予備試験合格者は、予備試験に合格するまでに徹底して基礎力を磨いてきているため、予備試験から司法試験への切り替えもスムーズに行うことができるでしょう。
また、論文式試験の試験科目は、実務基礎科目以外はすべての科目で共通しています。
【予備試験と司法試験共通の科目】
| 科目 | 予備試験 | 司法試験 | |||
| 短答 | 論文 | 口述 | 短答 | 論文 | |
| 憲法 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | 
| 行政法 | ○ | ○ | × | × | ○ | 
| 民法 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | 
| 商法 | ○ | ○ | × | × | ○ | 
| 民事訴訟法 | ○ | ○ | × | × | ○ | 
| 刑法 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | 
| 刑事訴訟法 | ○ | ○ | × | × | ○ | 
| 選択科目 ※ | × | ○ | × | × | ○ | 
| 実務基礎科目 | × | ○ | ○ | × | × | 
| 一般教養科目 | ○ | × | × | × | × | 
※選択科目は、【倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法)】の8つの科目の中から1科目を選択して受験します。
もちろん、試験科目は同じでも、予備試験よりも難易度の高い問題が出題されるのが司法試験ですが、予備試験合格者にとっては今までしてきた対策がそのまま通用するのが司法試験であり、改めて特別な対策を行わなくてもそのまま合格できるケースが多いといえるでしょう。
2-3.司法試験を受験する前にしっかり基礎を固める時間が取れる
予備試験に合格するまでに、しっかりと基礎を固めて司法試験に臨むことができるのも、予備試験合格者の司法試験合格率が高い理由のひとつになります。
予備試験では、法律基本7科目の短答式試験まで学習しますので、7科目の基礎知識を網羅的に学習できていることが、司法試験の論文式試験でも強い理由となります。
学生、予備試験専業受験生、社会人など学習環境は様々ですが、それぞれの事情に応じて柔軟に学習計画を立てることで、基礎力を磨く時間を十分に確保することができるでしょう。
一方、法科大学院ルートからの受験生の場合、授業の復習や課題をこなすことでいっぱいいっぱいになってしまい、試験対策にまで手が回らないことも少なくありません。その授業の実施回数にも制限があるため、網羅的な知識の獲得は自学自習に委ねられている面も否定できません。
その結果、司法試験に合格するだけの基礎力が身についていないまま司法試験に臨むことになってしまい、合格率が下がってしまうことがあるのです。
3.司法試験合格を目指すなら予備試験ルートがおすすめ
司法試験を目指し、法科大学院ルートと予備試験ルートのどちらに進むか迷っているのであれば、予備試験ルートで司法試験合格を目指すことをおすすめします。
予備試験ルートを目指すべきおもな理由は、以下の3つになります。
| 予備試験ルートを目指すべき3つの理由 | 
| ✔︎ 司法試験の合格率が一番高い ✔︎ 法科大学院にかかる学費を節約できる ✔︎ 予備試験に合格すると就職に有利になる  | 
以下、それぞれ解説していきます。
3-1.司法試験の合格率が一番高い
一番大きなメリットは、予備試験合格者の司法試験の合格率が、法科大学院ルートの合格率よりも高いことにあるでしょう。前述したように、令和3年以降、予備試験合格者の司法試験合格率は90%台と非常に高い数値で推移しており、今後もこの数値が極端に下がることはないと考えられます。
どちらのルートを選択するにしても、最終的な目標は司法試験に合格することです。どれだけ法科大学院を優秀な成績で卒業したとしても、司法試験に合格できるだけの実力がついていないのであれば意味がありません。
予備試験合格者には、上記のとおり司法試験に合格できる理由があります。
予備試験に合格するためには、効率的な学習計画を立てて、コツコツと勉強を継続する必要がありますが、予備試験に合格することができれば、司法試験合格への道も見えてくるでしょう。
3-2.法科大学院にかかる学費を節約できる
予備試験ルートであれば、法科大学院にかかる費用を大幅に節約することができます。
法科大学院に通う場合、入学金や年間の授業費、その他設備費用等で、卒業までに安いところで120万円程度、高いところでは300万円以上かかる法科大学院も存在します。もし、法科大学院に通いながら予備校にも通うとなると、さらに費用がかかることになるでしょう。
この点、予備試験ルートであれば法科大学院にかかる費用を節約することができるため、経済面で大きなメリットがあります。経済的な不安を感じることなく勉強を進めることができるのも、予備試験ルートの大きな魅力の一つであると言えるでしょう。
※なお、各法科大学院の学費については、こちらの記事もご覧ください。
3-3.予備試験に合格すると就職に有利になる
いわゆる5大法律事務所のような大手の法律事務所では、予備試験合格者を優先的に採用している事務所があります。
予備試験合格者は、司法試験に合格するよりも前に厳しい競争を勝ち抜いてきた優秀な人材であるため、即戦力になってくれると期待されます。また、予備試験に合格するだけの基礎力や応用力を身につけているため、実務の世界でも法曹をリードする存在として期待されるでしょう。
法律事務所によっては、法科大学院修了生が就職活動を始める前から、予備試験合格者を対象としたインターンなどに参加することができるため、法科大学院生よりも早い段階から、実務経験を積みながら就職活動を行うことができます。
※なお、5大法律事務所については、こちらの記事もご覧ください。
4.まとめ
予備試験合格者の司法試験合格率は、令和3年以降は90%を下回ることがないなど、非常に高い数値で推移しています。
合格率が高い理由の一つに、予備試験と司法試験の問題の共通性が挙げられます。
論文式試験では、実務科目を除くすべての科目が共通しています。
したがって、学習初期段階から、予備試験合格水準の実力を身につけることを目標に学習計画を立てれば、自ずと司法試験対策も兼ねることになり、予備試験に合格するだけでなく、たとえ予備試験の最終合格までできなかったとしても、司法試験を1回で突破する力を養っていくことが可能になるでしょう。
法科大学院ルート、予備試験ルートどちらを選ぶにせよ、まずは予備試験合格レベルの力をつけることを目標に勉強を始めることをおすすめします。
伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。
無料の体験受講や説明会も実施していますので、司法試験の受験に興味をお持ちの方は、ぜひ一度伊藤塾までお問い合わせください。
2024年 司法試験合格者1,592人中 1,436名(90.2%)※1
2024年 予備試験合格者 449人中 405名(90.2%)※2
が伊藤塾有料講座の受講生でした。
※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)
なぜ、伊藤塾の受講生は、これほどまでに司法試験・予備試験に強いのか?
その秘密を知りたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。
