中小企業診断士は就職先がない?候補となる6つの業態と年収データを紹介

キャリア

2025年11月14日

中小企業診断士を目指している人の中には、「資格を取った後、就職先はあるの?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。

中小企業診断士は、企業経営の専門家として、コンサルティング会社をはじめ、金融機関、民間企業、税理士法人など、幅広い業界で活躍できる資格です。資格を取ってコンサルティング業界へキャリアチェンジする人も多く、年収1000万円を超えるような高収入も期待できます。

「プラスα」の強みとしては確実に評価されており、資格によって待遇・評価などの変化を実感した人は約6割にのぼるというデータもあります。

そこでこの記事では、
・中小企業診断士の就職先の具体例
・就職先ランキングと年収データ
・未経験から転職するための考え方
などを紹介していきます。資格取得後のキャリアが気になる方はぜひご一読ください。

【目次】

1.中小企業診断士の就職先6選

中小企業診断士の資格を取ると、企業経営の専門家として、コンサルティング業界を中心に多様な業界で活躍できます。

中小企業診断士の就職先の例
・コンサルティング会社
・民間企業の経営・企画部門
・金融機関(銀行・信用金庫など)
・税理士法人・会計事務所
・中小企業診断士事務所
・公的機関(中小企業支援センターなど)

それぞれ詳しく解説していきます。

1−1.コンサルティング会社

中小企業診断士の就職先として、最も代表的なのがコンサルティング会社(ファーム)です。 コンサルティング会社と一口に言っても、その種類はさまざまです。
企業の経営戦略そのものを専門に扱うところもあれば、財務、人事、ITなど、特定の分野に特化している会社もあります。 大企業ではなく、中小企業の経営支援をメインとする地域密着型のコンサルティング会社も多く存在します。
中小企業診断士の試験で学んだ知識を、そのまま活かせる就職先といえるでしょう。

1−2.民間企業の経営・企画部門

民間企業にある「経営企画室」や「社長室」といった経営の中枢部門も、有力な就職先の一つです。
コンサルタントが「外部」の専門家として企業を助けるのに対し、経営企画部門は「内部」から自社の経営を動かす役割を担います。いわば、経営陣の「参謀役」のような存在です。
特に、中小企業などでは、経営知識を持った人材が社内にいないケースも多いため、中小企業診断士の専門性が高く評価される傾向があります。

1−3.金融機関(銀行・信用金庫など)

金融機関も、中小企業診断士の知識が求められる職場です。
金融機関の主な役割の一つは、企業への「融資」です。 そして、融資を実行するかどうかを判断するためには、その企業の事業内容や将来性、財務の健全性を正しく評価する必要があります。この「事業を評価する」場面において、財務分析、経営戦略、マーケティングといった中小企業診断士の知識が求められるのです。
特に、地方銀行、信用組合、信用金庫などの金融機関は、顧客企業のほとんどが小規模事業者となるため、中小企業診断士の知識・スキルを高く評価する傾向があります。

1−4.税理士法人・会計事務所

税理士法人や会計事務所も、中小企業診断士の資格と相性が良い職場です。
これらの事務所の主な業務は、クライアントの会計処理や税務申告です。ただ、多くの中小企業の経営者は、税務や会計の相談相手である税理士に、経営全般についても相談したいと考えています。
そこで、中小企業診断士を採用して、従来の税務顧問サービスに加えて、経営支援サービスなども提供しようと考えている事務所が増えてきています。

1−5.中小企業診断士事務所

中小企業診断士事務所で、勤務診断士として働く道もあります。
コンサルティングの実務経験が少ない人や、将来的に独立開業を目指している人が、実務を学ぶために選ぶことが多いキャリアです。
求人サイトで募集を探すほか、実務経験を積む目的で、先輩の中小企業診断士に直接コンタクトを取り「弟子入りする」というケースもあります。

1−6.公的機関(中小企業支援センターなど)

地域の商工会議所や「よろず支援拠点」、都道府県の「中小企業支援センター」といった公的機関から委託を受けて働く、という選択肢もあります。
これらの公的機関では、窓口で経営者の相談に乗る「経営相談員」や、企業の要請に応じて派遣される「専門家派遣」といった仕事を募集しています。業務委託が中心となりますが、地域の中小企業支援に直接貢献できるやりがいのある働き方です。

2.中小企業診断士の資格のみで就職先が見つかるわけではない

ここまで、中小企業診断士が活躍できる就職先を解説してきました。
ただ、これらの就職先でも、中小企業診断士の資格が採用の「決定打」となるわけではありません。中小企業診断士の資格は、あくまで「プラスα」の強みとして評価される、というイメージの方が実態に即しています。

2−1.中小企業診断士の資格は「プラスα」として評価される 

企業が中途採用(転職)で求めるのは、入社後すぐに活躍してくれる「即戦力」です。
そして、即戦力といえるためには、「知識」と「経験」の2つを兼ね備えている必要があります。いくら中小企業診断士の資格を持っていても、実務経験がまったくなければスムーズな転職は期待できません。
したがって、採用の場では、中小企業診断士として学んだ知識だけではなく、その知識を「実務でどう活かせるのか」、自分のこれまでの経験と結びつけてアピールすることが求められます。

2−2.待遇・評価などの違いを実感した人の割合は60%以上

一方で、「プラスα」という面では中小企業診断士の資格は高く評価されています。
以下は、「中小企業診断士の資格が、勤務先や関係先からどう評価されたか」について、日本中小企業診断士協会連合会が実施したアンケート調査の結果です。

回答数 構成比(%)
昇給・昇格した 75 2.9%
資格手当が支給された 234 9.1%
資格が生かされる部署に配置された 208 8.1%
上司・同僚から良い評価を得た 516 20.1%
関係先から良い評価を得た 507 19.8%
勤務先、関係先の処遇に変化はなかった 774 30.2%
取得したことを伝えていなかった 108 4.2%
その他 141 5.5%
合計 2563 1

(出典:日本中小企業診断士協会連合会「データでみる中小企業診断士2016」)

「勤務先、関係先の処遇に変化はなかった」と回答した人は約3割しかおらず、「取得したことを伝えていなかった」人を除けば、約6割がポジティブな変化を実感しています。
昇格や昇給、異動などの待遇面だけではなく、「上司・同僚から良い評価を得た」や「関係先から良い評価を得た」といった、周囲からの評価の変化を実感している人も少なくありません。
このデータから分かるのは、「中小企業診断士の資格によって、あなたの市場価値は確実に高まる」ということです。

3.中小企業診断士になってから、経営コンサルタントにキャリアチェンジする人も多い

先ほど、中小企業診断士として転職・就職するには、実務経験が必要だとお伝えしました。ただ、この経験は必ずしも「コンサルタント」としての実務経験である必要はありません。

以下のデータをご覧ください。これは、中小企業診断士試験「合格者」の職業割合と、資格登録後の「日本中小企業診断士協会会員」の職業割合を比較したものです。

合格者の職業割合 日本中小企業診断士協会
会員の職業割合
コンサルタント業 4.2% 48.3%
民間企業(金融機関除く) 68.3% 33.2%
金融機関 9.6% 6.8%
公務員、公的機関など 5.2% 5.8%
それ以外 12.7% 5.9%

(出典|日本中小企業診断士協会連合会「令和6年度 第2次試験に関する統計資料」,「中小企業診断士活動状況アンケート調査結果(令和3年5月)」)

合格時点で「コンサルタント業」を職業としている人の割合は4.2%しかいません。大半が、コンサルタント以外の民間企業などに勤めています。
一方で、日本中小企業診断士協会の会員を対象としたデータでは、「コンサルタント業」をしている人の割合は48.3%まで上がっています。

つまり、もともとコンサルタントではなかった方々が、中小企業診断士の資格を取得してから、コンサルタント業へとキャリアチェンジしているのです。このデータからも、コンサルタントとしての実務経験がなくても、コンサルティング業界への転身は可能だということが分かります。

4.【データで見る】中小企業診断士の就職先・職業ランキング

4章では、日本中小企業診断士協会連合会が公表しているデータをもとに、中小企業診断士の職業をランキング形式で紹介します。

順位 活動状況 構成比(%)
1位 民間企業(金融機関を除く) 33.2%
2位 プロコン経営(他資格兼業なし) 28.5%
3位 プロコン経営(他資格兼業あり) 17.5%
4位 金融機関 6.8%
5位 公的機関・団体等 4.5%
6位 コンサルティング会社等勤務 2.3%
7位 資格は持っているが,コンサル
ティング活動も勤務もしていない
1.7%
8位 公務員 1.3%
9位 調査・研究機関 0.6%
その他・無回答 3.5%

(出典:日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果(令和3年5月)

就職先として最も多いのは「民間企業(金融機関を除く)」で、全体の約3分の1を占めています。次いで、1章で紹介した金融機関、公的機関・団体等、コンサルティング会社などが続いており、さまざまな業態・企業で中小企業診断士が活躍していることが分かります。
一方で、独立開業して経営コンサルタントとして活動している人(プロコン経営)も非常に多く、全体のほぼ半数を占めています。
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5.中小企業診断士の年収は3人に1人が1,000万超え?

次に、中小企業診断士の年収について見ていきます。
就職先や独立など、働き方によって年収は変わりますが、一つの目安としてコンサルティング業務をメインに行っている診断士のデータをご紹介します。

5−1.年収の最頻値は500万〜800万

日本中小企業診断士協会連合会が行ったアンケートによれば、コンサルティング業務を年間100日以上行っている診断士の年間売上(または年収)は以下の通りです。

選択肢 回答数 構成比(%)
300万円以内 83 14.3%
301~400万円 51 8.8%
401~500万円 58 10.0%
501~800万円 124 21.4%
801~1,000万円 66 11.4%
1,001~1,500万円 89 15.4%
1,501~2,000万円 39 6.7%
2,001~2,500万円 25 4.3%
2,501~3,000万円 16 2.8%
3,001万円以上 28 4.8%
合計 579 1

(出典:日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果(令和3年5月)

最も回答が多かったのは「501万〜800万円」で、全体の21.4%を占めていました。
国税庁が実施している「民間給与実態統計調査」によれば、給与所得者の平均給与は478万円とされているため、中小企業診断士の収入はかなり高水準といってよいでしょう。

なお、厚生労働省の調査では、中小企業診断士(その他の経営・金融・保険の専門的職業)の平均年収は903.2万円とされています。中小企業診断士以外も含んだデータなので、あくまでも参考ですが、いずれにせよ「年収水準が高めなのは間違いない」と考えてよいでしょう。

5−2.「3人に1人」は年間売上(または年収)が1,000万を超えている

同じアンケートをもとに、年間売上(または年収)が1,000万円以上の層にも注目してみましょう。「1,001万円〜」と回答した人の割合を合計すると34.0%となります。
つまり、コンサルティング業務を年間100日以上行っている中小企業診断士のうち、「3人に1人は年間売上(または年収)が1,000万円を超えている」ことが分かります。さらに約1割は2,000万円以上と回答しており、実力次第ではそれ以上も目指せる夢のある仕事です。

なお、独立診断士の場合、年間売上と実際の収入は異なりますが、中小企業診断士は店舗や在庫を持たないビジネスモデルのため、経費は限られています。そのため、売上の多くが実際の所得として残りやすい傾向があります。
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6.未経験から中小企業診断士へ転職するには?

「コンサルタントの実務経験がない」という方でも、中小企業診断士の資格を活かして転職することはできます。
そのために押さえておきたい考え方を3つ紹介します。

・自分の強み・キャリアと資格を掛け合わせる
・副業などでコンサルティングの実務経験を積む
・試験勉強で、実務でも役立つ「学び方」を身につける

それぞれ詳しく見ていきましょう。

6−1.自分の強み・キャリアと資格を掛け合わせる

まず大切なのが、「これまでのキャリア」と「資格」を組み合わせて、自分だけの強みを見つけることです。これができれば、たとえコンサルタントとしての経験がなくても、中小企業診断士として活躍できます。
ちなみに、当コラムを運営する伊藤塾の石田美奈子講師も、まったくの異業種から中小企業診断士になった一人です。
石田講師は、約15年間モデルとして活躍していましたが、新型コロナウイルスの影響で一時的に仕事がなくなってしまったそうです。そのとき、知人の経営者から「中小企業診断士を受けてみたらいいんじゃないか」とアドバイスを受け、受験を決意しました。そして現在は、「モデル×診断士」という異色のキャリアを活かして、公的機関での経営・融資相談、セミナー講師、 M&A業務などで幅広く携わっています。
このように一見、全く関係ないように思える仕事も、経験と知識を掛け合わせれば、他の人にはない独自の強みとなるのです。

6−2.副業などでコンサルティングの実務経験を積む

いきなり転職・就職するのが不安な場合や、アピールできる実績を作りたい場合は、まず副業としてスタートするのも良い方法です。
資格取得後、都道府県の中小企業診断士協会や地域の商工会議所などに登録すれば、「専門家派遣」として経営相談に乗ったり、他の診断士の補助として徐々に経験を積むことから始められます。
こうした小さな実績を積み重ねれば、自信になるだけでなく、転職活動で「実務経験あり」としてアピールする材料にもなります。
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6−3.試験勉強で、実務でも役立つ「学び方」を身につける

最後に大切なのが、試験勉強を通じて、実務でも役立つ「学び方」を身につけることです。
中小企業診断士の資格は、合格がゴールではありません。実務に出れば、新しい経営理論、最新のデータ、時代に合わせた経営戦略など、常に新しい知識を学び続ける必要があります。
むしろ、合格するための知識よりも、実務の現場で学ぶ知識の方が多いといってもよいでしょう。このとき、誰かに教わるのを待つという姿勢では、第一線で活躍するのは難しいでしょう。
そのため、試験対策の段階から、知識だけではなく、この「学び方」のノウハウまで習得しておくことが、合格後のキャリアでも強力な武器になります。

7.合格後の活躍まで意識して勉強するなら伊藤塾がおすすめ

こうした「実務でも役立つ、普遍的な学び方」をもとに中小企業診断士試験の対策を提供しているのが、当コラムを運営する伊藤塾です。
伊藤塾の指導メソッドの中核にあるのは、司法試験をはじめとする難関資格試験で圧倒的な実績を出してきた「学び方のノウハウ」そのものです。
これらは、単に中小企業診断士試験に合格するためだけのものではありません。合格した後に、実務の現場で活躍し続けるための土台となるものです。
最難関の司法試験で高い実績を持つ伊藤塾だからこそ提供できる、「普遍的な学び方」。
伊藤塾では、このノウハウを中小企業診断士試験対策講座にも詰め込み、高品質な講義と満足度の高いサービスを提供して、あなたの合格、そして合格後の活躍を力強くサポートしています。

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8.中小企業診断士の就職先についてよくある質問

Q.中小企業診断士の主な就職先はどこですか?

主な就職先としては、「コンサルティング会社」「民間企業の経営・企画部門」「金融機関(銀行・信用金庫など)」があります。 そのほか、独立して「プロコン診断士」として活動する人も多いです。

Q.中小企業診断士は未経験でも就職・転職できますか?

はい、コンサルティング業務が未経験でも就職・転職は可能です。
ただし、資格さえあれば採用されるわけではなく、ご自身のこれまでのキャリアと、診断士の知識を掛け合わせてアピールすることが求められます。

Q.大学生(新卒)でも中小企業診断士の資格は役立ちますか?

はい、役立ちます。 社会人経験がないため「経験との掛け算」はアピールできませんが、学生のうちから経営の体系的な知識を持っていることは強力な強みになります。特に、コンサルティング会社や金融機関などを目指す方は、他の学生との差別化になるでしょう。

Q.40代・50代からでも転職は可能ですか?

はい。令和6年度中小企業診断士試験の合格者の半分は40代以上です。40代・50代だからこそ持っている実務経験や視点を発揮できれば、むしろ有利になるようなケースもあります。

9.中小企業診断士の就職先についてまとめ

本記事では、中小企業診断士の就職先について解説してきました。ここで、重要なポイントをもう一度整理しておきましょう。
◉中小企業診断士の就職先は主に6つ
・コンサルティング会社、民間企業の経営企画部門、金融機関、税理士法人、診断士事務所、公的機関など
◉年収データ
・最頻値は500万〜800万円
・3人に1人が年収1,000万円超え
・約6割が資格取得後に待遇・評価が向上
◉未経験でも転職可能
・これまでのキャリアと資格を掛け合わせる
・副業で実務経験を積む
・合格時4.2%→登録後48.3%がコンサルタントへ転身
◉40代・50代からでも挑戦できる
・合格者の半数は40代以上
・実務経験を活かせば年齢はむしろ強みに

中小企業診断士は、経営コンサルティングに関する唯一の国家資格であり、独立開業はもちろん、企業内でのキャリアアップも見込める資格としてビジネスマンから高い人気を得ています。
司法試験合格者数No.1の受験指導校・伊藤塾では、中小企業診断士試験 合格講座を開講しています。
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伊藤塾 中小企業診断士試験科

著者:伊藤塾 中小企業診断士試験科

伊藤塾中小企業診断士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、中小企業診断士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。