中小企業診断士「取ったけど意味ない…」は本当?企業内診断士が持つ最強の武器とは

キャリア

2026年01月09日

「中小企業診断士を取ったけど、意味がなかった…」という声を目にして、不安になっていませんか?

キャリアアップのために資格を取りたい。経営の知識を身につけて、仕事の幅を広げたい。
そう考えて中小企業診断士について調べると、決まって目にするのが「取ったけど、まったく使っていない…」というネガティブな意見です。

ただ、実際のデータを見ると、資格取得後に待遇や評価の向上を実感した人は60%以上。会社員のまま資格を活かしている人も多く、独立して年収3,000万円を達成した人もいます。つまり、「資格を取ったけど、意味がなかった」というのは、ごく一部の人の話に過ぎません。

そこでこの記事では、アンケートや事例なども交えつつ、

●「取ったけど、意味がなかった」と言われる理由
●「資格を使えていない」人に共通する実情
● 実は会社員としても活かせる「企業内診断士」の5つの武器

などについて詳しく解説します。

この記事を読めば、「中小企業診断士の資格を取っても無意味なのでは?」という不安が払拭され、資格を目指すべきかどうか判断できるようになるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。

【目次】

1. 「中小企業診断士を取ったけど、意味がなかった…」は本当?

ネットなどで、「中小企業診断士を取ったけど、結局意味がなかった…。」という声を目にしたことがある方も多いかもしれません。しかし、実際のデータを見てみると、この認識は正しくないことがわかります。
まずは、資格取得後の職場での変化や、その後のキャリアに関するデータ、そして実際に人生を変えた人たちの事例を紹介します。

1-1. 中小企業診断士を取った人の60%以上が、待遇・評価などの変化を実感

まずは、会社員として働きながら資格を取った人が感じている変化を見てみましょう。
以下は、中小企業診断士の資格を取得した際に、勤務先や関係先からどのような評価を受けたかを調査したアンケート結果です。

 回答数構成比(%)
昇給・昇格した75人2.9%
資格手当が支給された234人9.1%
資格が生かされる
部署に配置された
208人8.1%
上司・同僚から
良い評価を得た
516人20.1%
関係先から良い
評価を得た
507人19.8%
勤務先、関係先の
処遇に変化はなかった
774人30.2%
取得したことを
伝えていなかった
108人4.2%
その他141人5.5%
合計2563人100.0%

(出典:日本中小企業診断士協会連合会「データでみる中小企業診断士2016」)

ご覧のように、「処遇に変化はなかった」と回答した人は約30%です。
「取得したことを伝えていなかった」人を除くと、約60%の人が何らかのポジティブな変化を実感していることがわかります。
昇給・昇格といった目に見える変化はもちろん、「上司・同僚から良い評価を得た」「関係先から良い評価を得た」といった信頼度の向上を感じている人も多いのが特徴です。

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1-2. 資格を活かしてコンサルタントとして活躍する人が多い

以下は、試験の「合格者」と、資格登録後に日本中小企業診断士協会に加入した「会員」の職業割合を比較したものです。

 令和6年度合格者
の職業割合
日本中小企業診断士協会
会員の職業割合
(令和3年5月の調査結果)
コンサルタント業4.2%48.3%
民間企業
(金融機関除く)
68.3%33.2%
金融機関9.6%6.8%
公務員、公的機関など5.2%5.8%
それ以外12.7%5.9%

(出典|日本中小企業診断士協会連合会「令和6年度 第2次試験に関する統計資料」,「中小企業診断士活動状況アンケート調査結果(令和3年5月)」)

合格時点では、コンサルタント業に従事している人はわずか4.2%に過ぎません。しかし、資格取得後、日本中小企業診断士協会へ加入し活動している会員を見ると、コンサルタント業に従事している人の割合は48.3%となっています。

もちろん、「試験の合格者」と「協会会員」という属性の異なる集団について、単純には比較できませんが、これだけ大きな差があるということは、多くの人が資格取得をきっかけに「コンサルタントとして独立・転職する」というキャリアを実現していることの裏付けと考えてよいでしょう。

もし、中小企業診断士が本当に「取っても使えない資格」なら、これほど多くの人がコンサルタントとして活動してはいないはずです。

1-3. 中小企業診断士を取って、年収3,000万以上稼げるようになった人もいる

データだけでは伝わりにくい部分もあるかもしれません。
そこで、中小企業診断士の資格を取得し、実際に人生を大きく変えた方たちの事例を紹介します。
以下は、すべて伊藤塾で実施した「【明日の中小企業診断士講座】稼げる診断士の秘訣~年収3,000万円はこのように実現した~」で紹介された実例です。

【中小企業診断士として活躍し、人生を変えた人たち】
● 主人の会社が倒産した後、自身がコンサルタントとして活躍することで、子どもを大学へ進学させるという目標を実現し、2,000万円以上を稼いだ女性
● 会社を潰してしまった経験を講演活動や顧問業務に活かし、3,000万円から4,000万円を稼いでいる方
● 45歳で退職・独立し、当初の退職金500万円を軍資金としてスタートした結果、年収3000万以上を稼げるようになった方 など

もちろん、全員がここまでの成功を収められるわけではありません。
しかし、「中小企業診断士を取っても意味がない」という声が、必ずしも正しくないことは、これらの事例からも明らかです。

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2. なぜ中小企業診断士は、取っても意味がないと言われるのか

前章ではポジティブなデータや事例を紹介しましたが、一方で「取っても意味がない」という声が存在するのも事実です。
なぜそのように言われるのか、その理由を見ていきます。

2-1. 最大の理由は「独占業務がない」こと

中小企業診断士が、「取っても意味がない」と言われる最大の理由は、独占業務がないことです。

たとえば、弁護士や司法書士には資格がなければできない「独占業務」があります。
一方、中小企業診断士には独占業務がありません。経営コンサルティングの仕事は、資格がなくても誰でもできるからです。

そのため、
「資格を取っただけでは仕事が来ない…」
「足の裏についた米粒だ(取っても食えない)…」
などと揶揄されることがあるのです。

しかし、よく考えてみてください。「補助金の申請書を作ってほしい」「経営計画を策定してほしい」と言われたとき、対応できる人がどれだけいるでしょうか。
おそらく多くないはずです。こうした業務には専門的な経営知識やスキルが必要だからです。
中小企業診断士は、試験勉強を通じて、専門知識を身につけているからこそ、こういった業務が扱えます。独占業務がないことと、資格を取る意味がないことは、まったく別の話です。

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2-2. 「取ったけど、維持できない…」という人もいる

資格の維持が大変だという点も、「意味がない」と言われる理由の一つです。

中小企業診断士の資格は、一度取得すれば永久に有効というわけではありません。資格を維持するには、5年ごとに更新手続きが必要です。

◉中小企業診断士資格の更新要件(2つ)

(1)専門知識補充要件
以下のいずれかを合計して5回以上行うこと
 ● 理論政策更新研修を修了する
 ● 論文審査に合格する
 ● 理論政策更新研修の講師を務める

(2)実務要件
以下のいずれかを合計して30日以上行うこと
 ● 診断助言業務等に従事する
 ● 実務補習を受講する
 ● 実習、実務補習を指導する

このうち、特に負担に感じる人が多いのが実務要件です。
「実務従事の機会がない」「本業の仕事内容が実務従事と関連しない」「業務が忙しく、時間が取れない」といった理由で、更新のハードルを感じている人は少なくありません。
とはいえ、本気で取り組めば十分クリアできる要件です。研究会への参加や副業でのコンサル案件など、実務経験を積む方法はいくつもあります。

※更新要件は、以下の記事で詳しく解説しています。

3. 中小企業診断士を取ったけどコンサル業務を行っていない人の実情

では、「中小企業診断士の資格を取ったけど、コンサル業務を行っていない」という人は、なぜ使えていないのでしょうか。

以下の表は、都道府県協会に所属する会員中小企業診断士に対し実施したアンケートにおいて、現在コンサルティング業務を行っていない人の理由を集計したものです。

理由回答数構成比
機会がないから303人47.3%
会社の仕事に追われ、
時間と余裕がないから
270人42.2%
会社との契約上、副業
ができないから
264人41.3%
自分の能力不足185人28.9%
資格を自分の仕事に
生かしているから
115人18.0%
関係者の理解不足19人3.0%
その他36人5.6%

(出典:日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果(令和3年5月)

最も多いのは「機会がない」で47.3%。次いで「時間的制約」42.2%、「副業禁止」41.3%と続きます。それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

3-1. 中小企業診断士を取ったけど、副業禁止などの制約がある

約4割の人が挙げているのが、勤務先の副業禁止規定です。
中小企業診断士として外部でコンサル活動をしたくても、会社が副業を認めていなければ動けません。「資格を取ったけど、会社の規定で活かせなかった」というケースは少なくありません。
ただし、近年は副業を解禁する企業も増えています。また、社外での活動だけが資格の活かし方ではありません。本業の中で診断士の知識を活用する方法もあります。

3-2. 中小企業診断士を取ったけど、時間と余裕がない

「時間と余裕がない」という理由も、約4割を占めています。
特に会社員の場合、日々の業務に追われて、中小企業診断士としての活動時間を確保するのが難しい人もいるでしょう。結果として、「取ったけど使えていない」という状態になってしまうことがあります。
ただ、これは「使えない」のではなく「使う時間がない」だけです。時間の使い方や優先順位を見直すことで、状況が変わる可能性は十分にあります。

3-3. 中小企業診断士を取ったけど、機会がない

最も多かった回答が、「機会がない」で、約半数を占めています。
しかし、コンサル業務を行っていない人と回答した人は、「経営全般の勉強等、スキルアップ」や「定年・退社後の資格活用」を目指しています。

選択肢1位
回答数
1位
構成比(%)
2位
回答数
2位
構成比(%)
1.診断士仲間,異士業間の人間関係
形成やネットワークに活用したい
6619.58224.6
2.自分の担当業務の専門性を高めたい5616.63510.5
3.経営全般の勉強等, スキルアップを
図りたい
10330.57823.4
4.定年後,または退社後に資格を活用
したい
7722.88425.2
5.休日等を利用してコンサルティング
業務に活用したい
339.84914.7
6.特にない30.951.5
回答数計338100333100


つまり、コンサル業務を行う機会がないと回答した人も、資格取得の目的は十分に達成していると考えられ、役に立っていないわけではないのです。
会社経営をされている受講生の声ですが、試験に合格していなくても、学んだ知識はとても役に立っていると仰られていました。

4. 会社員でも役立つ!企業内診断士だけが持つ「最強の武器」

「中小企業診断士を取ったけど、使えない」と言っていたり、「意味がないんじゃない?」と思っている人の多くは、独立してコンサルタントとして活躍することが前提になっています。

しかし、これは誤りです。独立しなくても、会社員として働きながら資格を活かす方法はたくさんあります。むしろ、企業内診断士だからこそ手に入る「最強の武器」があるのです。

ここからは、「企業内診断士」だけがもつ5つの武器を紹介します。

● 本業にも活きる「経営全般の知識や専門スキル」
● 肩書からくる「社内での発言力・提案力」
● 一般の会社員では築けない人脈
●「いつでも独立できる」という精神的な余裕
● 安定収入を得ながら実務経験を積める環境

4-1. 企業内診断士は本業にも活きる「経営全般の知識や専門スキル」

中小企業診断士の試験では、経営戦略、財務・会計、マーケティング、人事・組織、法務、ITなど、経営に関する幅広い知識を学びます。
この知識は、コンサルティング業務だけでなく、会社員としての本業にもそのまま活かせます。

たとえば、

  • 自社の経営課題を多角的に分析できる
  • 他部署との連携がスムーズになる
  • 経営層の視点で物事を考えられる

といったことが可能になります。

もし今あなたが会社員として働いているなら、今一度周囲を見渡してみてください。経営的な視点やスキルを持った会社員は、決して多くないはずです。
「資格を使っている」という自覚がなくても、身につけたスキルは確実に本業での評価につながります。

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4-2. 企業内診断士は肩書からくる「社内での発言力・提案力」

「中小企業診断士」という国家資格の肩書は、自社内での信頼度を大きく高めます。
同じ提案をしても、「診断士の資格を持っている人の意見」として受け止められると、説得力が違います。会議での発言が通りやすくなったり、経営に関わるプロジェクトに声がかかるようになったりと、社内でのポジションが変わることも少なくありません。
会社で感じている方も多いかもしれませんが、社会では「何を言うか」と同じくらい「誰が言うか」が影響します。1章で紹介したアンケートでも、「上司・同僚から良い評価を得た」「関係先から良い評価を得た」と回答した人が約40%いました。
それほど、中小企業診断士という肩書はあなたの発言に説得力を与えてくれるのです。

4-3. 企業内診断士は一般の会社員では難しい「人脈の構築」

中小企業診断士には、資格保有者しか所属できない研究会や協会があります。
こうしたコミュニティでは、同じ志を持つ診断士仲間だけでなく、さまざまな業界の経営者や専門家と繋がることができます。これは、一般の会社員ではなかなか得られない人脈です。

情報交換や仕事の紹介はもちろん、将来独立を考えたときの心強いネットワークにもなるでしょう。その気で活動すれば、年間数百枚の名刺交換も可能と言われています。
中小企業診断士の資格によって、本業以外の人脈が一気に広がるのです。

4-4. 企業内診断士は「いつでも独立できる」という精神的な余裕

今すぐ独立するつもりがなくても、「その気になればいつでも独立できる」というカードを持っていることは、大きな安心感になります。
会社に何かあっても、自分には資格がある。いざとなれば独立という選択肢がある。この精神的な余裕があるだけで、日々の仕事への向き合い方も変わってきます。
会社に依存しすぎない働き方ができるのは、資格を持っている人ならではの強みです。

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4-5. 企業内診断士は安定収入を得ながら実務経験を積める環境

会社員として安定した収入を得ながら実務経験を積めるのも、企業内診断士ならではの強みです。
本業でコンサルティング業務ができるなら、日々の業務がそのまま実務経験になりますし、そうでなくても、会社によっては休日や空き時間を使って副業診断士として活動を始めることができます。
まずは、企業内診断士として活動しながら、その中で得られた仕事やコネクションを活用し、「これ一本でいける」となった段階で独立する。これが、中小企業診断士の王道キャリアです。

5. 中小企業診断士を取ったけど意味がない?企業内診断士に関するFAQ 

Q. 中小企業診断士を取ったけど意味がないって本当?

いいえ、データでは約60%の人が待遇・評価の向上を実感しています。「意味がない」という声は、独占業務がないことや、活用の仕方がわからないことが原因です。

Q. 企業内診断士として会社員のまま資格を活かせますか?

はい、活かせます。経営全般の知識が本業に役立つほか、社内での発言力向上、診断士同士の人脈構築、将来の独立に向けた準備など、会社員ならではのメリットがあります。

Q. 中小企業診断士を取ったけど使っていない人が多いのはなぜ?

主な理由は「機会がない(47.3%)」「時間がない(42.2%)」「副業禁止(41.3%)」です。これらは「使えない」のではなく、「いま使っていない(コンサル業務を行っていない)」という人が多いだけともいえます。また、そもそも資格取得の目的を「経営全般の勉強等、スキルアップ」や「定年・退社後の資格活用」としている人も多く(3-3.で解説済み)、必ずしもコンサル業務に就くことを目的としている人ばかりではないことを理解する必要があるでしょう。

Q. 独立しないと中小企業診断士の資格は無駄になりますか?

いいえ、独立しなくても十分活かせます。企業内診断士として本業でスキルを発揮したり、副業で実務経験を積んだりすることで、キャリアアップにつなげられます。どのような資格試験でも学びが無駄になることはありません。特に中小企業診断士の学習で身につく知識は実践的な内容が多く、あらゆる場面で役立ちます。

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6. 【まとめ】中小企業診断士資格の真の魅力とは

「中小企業診断士を取ったけど意味がない」という声は、一部の実情に過ぎません。
実際には60%以上の人が待遇や評価の向上を実感しており、独立して年収3,000万円を達成した人もいます。
「意味がない」と感じる人の多くは、会社員の方で時間や副業制限などの環境要因が原因のようです。しかし、企業内診断士としての独自の強みもたくさんあります。

● 本業に活きる経営知識
● 社内での発言力・提案力
● 診断士ネットワークによる人脈
●「いつでも独立できる」精神的余裕
● 安定収入を得ながら実務経験を積める環境

中小企業診断士の魅力は、独立して活躍するだけでなく会社員としてのキャリアを守りながら、将来の選択肢を広げてくれる資格でもあります。

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伊藤塾 中小企業診断士試験科

著者:伊藤塾 中小企業診断士試験科

伊藤塾中小企業診断士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、中小企業診断士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。