正しい努力で一発合格は可能!中小企業診断士試験の難易度と、最短合格に必要な勉強法とは?

難易度・合格率

2025年11月24日

中小企業診断士は、経営コンサルタントとして唯一の国家資格であり、その取得には幅広い知識と実務的な思考力が求められます。そのため、「一発合格は難しいのでは?」と感じる方も多いのではないでしょうか。

確かに、中小企業診断士試験の一次試験は7科目と科目数が多く、出題範囲も広いです。加えて、二次試験では記述式や事例問題への対応力も求められます。

しかし、正しい勉強法と明確な戦略を持てば、初学者でも一発合格は十分に狙えます。実際、働きながら効率よく学び、1年で合格を勝ち取った社会人も多数います。

この記事では、「中小企業診断士に一発合格できるのか?」という疑問に対し、試験制度の概要や難易度、合格者に共通する学習のコツまで詳しく解説します。独学と講座受講の違いに迷っている方や、効率的な学び方を模索している社会人、学生の方に役立つ内容です。ぜひ最後までお読みください。

1. 中小企業診断士に一発合格は可能?

中小企業診断士試験は難関資格の一つですが、一発合格は可能です。実際に、一次試験と二次試験を初回受験で突破している人も存在します。重要なのは、限られた時間で合格に直結する勉強法を実践できるかどうかです。

まずは、中小企業診断士試験の一発合格率を確認していきましょう。

1-1. 中小企業診断士の一発合格率

中小企業診断士試験における「一発合格」とは、1次試験と2次試験の両方を初回の受験で突破することを意味します。この一発合格、いわゆる「ストレート合格」がどれほどの難易度かは、過去の合格率データを見ると明らかです。

年度一次試験
合格率
二次試験
合格率
ストレート
合格率
令和6年度
(2024年度)
27.5%18.7%5.1%
令和5年度
(2023年度)
29.6%18.9%5.6%
令和4年度
(2022年度)
28.9%18.7%5.4%
令和3年度
(2021年度)
36.4%18.3%6.7%
令和2年度
(2020年度)
42.5%18.4%7.8%

出典:中小企業診断協会 申込者数・合格率等の推移
出典:令和6年度 中小企業診断士第1次試験に関する統計資料
出典:令和6年度 中小企業診断士第2次試験に関する統計資料

一般的に、1次試験と2次試験の合格率はそれぞれ20%前後で推移しています。これらを掛け合わせると、ストレート合格率は単純計算で「20% × 20% = 4%」程度となり、かなり狭き門であることがわかります。

これらの合格率には複数年度にわたって受験している人も含まれているため、厳密な意味での「完全な初回受験ストレート合格者」の割合はさらに少なくなると考えられます。

1-2. 正しい勉強法なら1発合格も十分可能

ストレート合格率だけ見ると一発合格は難しいのではないかと感じるかもしれませんが、正しい勉強法と戦略を持って取り組めば、一発合格も現実的に目指すことができます。試験制度の特徴を理解し、合格基準や出題傾向を意識した学習を進めることで、限られた時間の中でも効率よく合格ラインに到達できるのです。

一次試験では7科目のマークシート形式、二次試験では4つの記述式事例問題で構成されており、いずれも出題範囲が広く、網羅的な対策が求められます。しかし、全科目を完璧に仕上げる必要はありません。どちらの試験も総得点の60%以上(各科目40%以上)が合格基準とされており、得点を狙いやすい科目や分野を中心に学習を進めることで、合格に必要な点数を効率よく確保することが可能です。重要なのは、合格基準を見据えた勉強に集中できるかどうかです。

一発合格を目指す場合、努力の方向性を間違えないことが非常に重要です。自分の得意・不得意を見極め、優先順位をつけた上で、限られた時間の中で最大限の成果を引き出すことを常に意識しましょう。

2. 中小企業診断士の一発合格が難しいのはなぜ?

中小企業診断士は、ビジネス領域に関する幅広い知識と実務的な思考力が問われる国家資格です。一発合格を目指すことは十分可能ですが、実際には多くの受験生が数年をかけて合格を目指すのが現実です。その背景には、中小企業診断士試験ならではの構造的な難しさがあります。

ここでは、特に一発合格を阻む代表的な4つの要因について確認していきましょう。

2-1. 出題範囲が広く、科目数が多い

中小企業診断士試験の一次試験は、7科目で構成されています。「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」といった幅広い分野が出題対象です。

しかも、それぞれが独立した試験科目として出題されるため、どれか1科目でも苦手なままにしておくと合格が遠のく恐れがあります。分野横断的な知識を求められる試験であることから、暗記だけでは対応できない部分も多く、理解力や応用力も問われます。

加えて、同じ年に実施される二次試験では記述式の事例問題が4科目出題され、与えられた情報を分析し、論理的に記述する力が求められます。こうした多科目構成と広範な出題範囲が、短期間での合格を難しくしている大きな要因です。

2-2. 社会人受験生は勉強時間の確保が難しい

中小企業診断士の受験者は、30代〜40代のビジネスパーソンが多くを占めています。仕事や家事・育児などを抱えながら勉強時間を確保するのは容易ではなく、慢性的な勉強時間不足に悩まされる人も少なくありません。

中小企業診断士試験合格に必要な学習時間の目安は、約1,000時間程度と言われています。これを半年〜1年で確保するとなると、平日は毎日2〜3時間、休日は5時間以上の学習が求められる計算になります。

社会人にとってこの時間を継続的に捻出するのは現実的に難しく、計画通りに勉強が進まないことからモチベーションが下がり、結果的に学習が長期化するケースも多いです。

2-3. 科目ごとに合格基準点が設定されている

一次試験の特徴として、科目合格制度がある一方で、1科目でも40点未満を取ると不合格となってしまう仕組みがあります。全体で合格ライン(総得点の60%以上)を上回っていても、1科目でも40未満で不合格となるため、バランスよく得点を取らなければなりません。

これは、受験生にとって心理的なプレッシャーとなるだけでなく、勉強計画の上でも大きなハードルとなります。特に「経営情報システム」や「財務・会計」など、専門性が高く難度が高い科目は不合格になるリスクが高く、苦手意識を持つ受験生が多いのが実情です。

2-4. 2次試験は記述式・相対評価で対策が難しい

二次試験では、与えられた企業の事例をもとに課題を抽出しビジネス的な観点から論理的に解決策を提案する必要があります。これは単なる知識の再現ではなく、文章力、分析力、構成力が複合的に求められる試験だと言えます。

さらに、二次試験では明確な模範解答が公表されておらず、どのような解答が高く評価されるのかが受験生には見えにくくなっています。採点基準も相対評価だと言われているため、全体の中で一定以上の評価を得なければ合格できません。

このように、正解が見えづらく、自己採点もしにくい試験であることから、対策のしづらさが指摘されています。実力がついたつもりでも得点に反映されないケースもあり、手応えのないまま本番に臨む不安も、二次試験を難しく感じる要因の一つです。

3. 中小企業診断士に独学で一発合格は可能?勉強法のコツは?

中小企業診断士試験は決して簡単な試験ではありませんが、独学でも一発合格を実現している人はいます。独学の魅力は、費用を抑えながら自分のペースで学習を進められる点にあります。

一方で、情報収集・学習計画の立案・自己管理までを全て一人で行う必要があるため、計画性と実行力が欠かせません。

ここでは、独学で効率的に一発合格を狙うための5つの勉強法のコツを紹介します。

3-1. スキマ時間を活用して勉強時間を確保する

社会人が限られた時間の中で合格を目指すには、スキマ時間の活用が必須です。通勤中の電車、昼休み、就寝前の30分など、細切れの時間も積み重ねれば大きな学習量になります。

特に暗記系の科目(経営法務、中小企業政策など)は、短時間でも反復できるアプリや単語カードを使うと効果的です。週単位で目標時間を設定し、日々の勉強を「習慣化」することが、独学での合格を成功させる第一歩です。

3-2. 7科目の全体像を把握して、得点源と苦手を見極める

一次試験の7科目はそれぞれ難易度や出題傾向が異なります。初学者は、まず全体像をざっくりと把握し、どの科目が得点源になりそうか、どの科目に時間をかけるべきかを分析しましょう。

例えば「企業経営理論」や「運営管理」などの科目は比較的得点しやすい科目とされる一方で、「財務・会計」や「経営情報システム」などは受験生が苦手科目として挙げやすい傾向にあります。

人によって得意・不得意は異なりますが、得意科目で確実に点を取りつつ、不得意科目を足切りされないレベルまで引き上げる戦略が有効です。

3-3. 過去問に早い段階からあたりアウトプットを重視する

インプットばかりに時間をかけすぎると、逆に知識が定着しにくくなります。中小企業診断士試験では「覚えた知識を使いこなせるか」が重要なため、早めに過去問演習に取り組み、アウトプットを中心に学習を進めることが効果的です。

過去問を解くことで、出題傾向や問われ方に慣れるだけでなく、自分の弱点も客観的に把握できます。

特に一次試験では過去問の類似論点が問われることもあるため、繰り返し解くことが得点力アップの近道となります。

3-4. 科目ごとの目標点を決め、満点を狙わない戦略を立てる

中小企業診断士試験は、全体の得点が60点以上、かつ各科目40点以上(二次試験では口述試験における評定が60%以上)で合格とされており、満点を取る必要はありません。重要なのは、合格点を超えるための現実的な目標を設定し、それを着実に達成することです。

例えば、得意科目で70点以上を狙い、苦手科目は40〜50点を死守するなど、戦略的に配分を考えることで、全体のバランスが整いやすくなります。

限られた時間の中で効率よく点を取るには、「捨てる選択」も必要です。

3-5. 2次試験対策はとにかく多くの問題に触れる

二次試験は記述式で行われる上に、正解や採点基準が公表されていません。そのため、何をどう書けば高評価につながるのかが見えづらく、対策の難易度は一次試験よりも高いと言われています。

こうした特性に対応するには、「とにかく多くの問題に触れること」が効果的です。過去問や演習問題を繰り返し解くことで、設問のパターンや事例の構造に慣れ、限られた時間内で論理的に文章を構成する力を鍛えることができます。

また、単に書いて終わりにせず、自分の答案を客観的に振り返る姿勢も欠かせません。模範解答や他人の合格答案と比較し、自分の表現や構成に足りない部分を洗い出すことで、次回に活かせる改善点が明確になります。

市販の演習書には、合格者の実際の答案例や、どのような表現が評価されたのかを分析した解説が収録されているものもあります。こうした演習書を参考にすることで、「採点者に伝わる答案とは何か」を具体的にイメージしながら学習を進めることができます。

4. 中小企業診断士で一発合格を本気で目指すなら「伊藤塾 中小企業診断士合格講座」がおすすめ

独学でも合格を目指せる中小企業診断士試験ですが、限られた時間で一発合格を狙うのであれば、戦略的かつ体系的な学習環境を整えることが重要です。特に、効果的な対策がしづらい二次試験の対策に不安がある場合は、受験指導校の講座活用が大きな助けとなります。

伊藤塾の「中小企業診断士合格講座」は、受験生が苦手とする二次試験対策の手厚さに定評がある講座です。最大の特長は、答案作成力の向上に焦点をあてた実践的なカリキュラムにあります。記述式で正解が公表されない二次試験では、「書けるようになること」が最大の課題ですが、伊藤塾では「1次対策コース」の段階から2次試験対策を意識したカリキュラムが組まれているため、早い段階から二次試験を意識した学習を進めることができます。試験に精通したプロの講師の指導を受けることで、合格答案の型や評価されやすい表現が自然と身につきます。

一次試験対策についても、重要論点に絞った効率的なインプット講義と演習によるカリキュラムが組まれており、時間のない社会人でも学習ペースを保ちやすい構成となっています。学習スケジュールの立て方や弱点補強の相談にも対応しており、個別サポートの手厚さも一発合格を実現できる大きな要素です。

短期間で成果を出すには、「何を、どこで、どう学ぶか」が極めて重要です。自力で合格を目指すのが不安な方や、独学で限界を感じている方には、ぜひ伊藤塾の「中小企業診断士合格講座」活用を検討してみてください。

5. 中小企業診断士の一発合格に関するQ&A 

Q. 一発合格する人は過去問を何周している?

人によるため一概には言えませんが、できれば本試験までに最低でも3〜5年分程度繰り返しておくのが望ましいです。特に一次試験は過去問の傾向が反映されやすいため、「同じ問題を繰り返し解くこと」が得点力を高める上で非常に有効です。

1周目で出題形式や頻出論点を把握し、2周目以降で正答率を高め、最終的には制限時間内で解けるようになることを目指しましょう。

Q. 一発合格する人の生活習慣に共通点はある?

一発合格者に共通しているのは、日々の生活の中で「勉強を習慣化」していることです。例えば、朝の30分を勉強に充てる、通勤時間に音声教材や単語カードを活用する、帰宅後は必ず演習問題に取り組むなど、生活の一部に勉強を組み込んでいます。

また、学習計画をしっかり立てて、目標を細かく設定している人が多いのも特徴です。無理のないペースで勉強を継続できる仕組みを作ることが、一発合格への第一歩と言えるでしょう。

Q. 一発合格を狙う場合、いつから勉強を始めるべき?

目安として、試験の1年前くらいから準備を始めるのが理想的です。中小企業診断士試験に必要な学習時間の目安は1,000時間前後とされており、1年間で計画的に消化するためには、毎日2〜3時間程度の学習時間を確保する必要があります。特に社会人の場合、仕事や家庭の都合で急に時間が取れなくなることもあるため、早めのスタートが安全です。

Q. 一発合格を目指す場合、どの科目から勉強すべき?

基本的には「得意になりそうな科目」や「得点源にしやすい科目」から始めるのが効率的です。例えば、「企業経営理論」や「運営管理」は出題範囲が比較的明確で、得点しやすいとされています。

一方で、「財務・会計」や「経営情報システム」は初学者には難易度が高く感じられる場合もあるため、時間に余裕をもって取り組む必要があります。まずは科目ごとの特徴を理解し、自分の得意・不得意を見極めたうえで学習順序を決めましょう。

Q. 一発合格を目指す場合、やってはいけないことは?

最大のNGは、「すべてを完璧にこなそうとすること」です。中小企業診断士試験は科目数も多く、全分野を網羅的に学ぼうとすると、時間も労力も足りなくなってしまいます。

また、「インプットばかりでアウトプットを後回しにする」のも避けるべきです。知識を定着させるには、過去問や模試などを活用した演習を早い段階から取り入れることが不可欠です。

戦略的に「取るべき点を取る」姿勢を忘れず、効率よく合格ラインを突破する意識を持つことが、一発合格への近道となります。

6.中小企業診断士に一発合格に関するまとめ

中小企業診断士の一発合格(ストレート合格)は、正しい努力と戦略があれば十分に可能です。過去の合格率は約4~5%前後と難関ですが、働きながら合格を勝ち取る社会人も多数存在します。

一発合格が難しい主な要因は以下の通りです。

◉一次試験7科目、二次試験4事例と広範な出題範囲と多くの科目を受験するので、多岐にわたる知識と応用力が求められます。
◉ 約1,000時間の学習時間が必要とされ、仕事や家庭との両立が大きな壁となり、社会人受験生の勉強時間確保の困難とされています。
◉科目ごとの合格基準点(足切り)があります。 一次試験では、総得点が合格ラインでも1科目でも40%未満だと不合格になるため、苦手科目の克服が必須です。
◉ 二次試験の難解さがあります。記述式で模範解答が公表されず、相対評価であるため対策が立てにくい特性があります。

しかし、これらの課題を乗り越えるための効果的な勉強法と戦略があります。

◉スキマ時間を最大限に活用し、学習を習慣化する。
◉全科目の全体像を把握し、得意・不得意を見極める。
◉早い段階から過去問演習に取り組み、アウトプットを重視する。
◉満点を狙わず、科目ごとの目標点を設定し「捨てる選択」も辞さない。
◉二次試験対策では「とにかく多くの問題に触れ」、論理的な記述力を鍛える。

特に、試験の1年前からの準備が理想的とされており、「すべてを完璧にこなそうとしない」ことや「インプットばかりでアウトプットを後回しにすること」は避けるべきとされています。独学での合格も可能ですが、効率的・体系的な学習のためには、一発合格を目指したい方は伊藤塾の「中小企業診断士合格講座」の受験指導校の活用も有効な選択肢です。

戦略的に「取るべき点を取る」という意識と、日々の学習を習慣化することが、最短での合格を実現する鍵となります。

伊藤塾 中小企業診断士試験科

著者:伊藤塾 中小企業診断士試験科

伊藤塾中小企業診断士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、中小企業診断士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。