中小企業診断士の勉強法3選!おすすめの順番や学習のポイントを紹介

勉強法

2025年11月24日

近年、経営コンサルタントの国家資格として人気が高まっている中小企業診断士。

目指している人が増える一方で、勉強法に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

中小企業診断士試験は1次試験と2次試験があり、1次試験は7科目、2次試験は4科目(4事例)と、幅広い分野を学習します。

また、受験生のほとんどは社会人であり、本業や育児等で忙しい中でいかに効率良く学習するかが重要となっています。

本記事では、そのような忙しい受験生のために中小企業診断士の1次試験や2次試験の勉強法を紹介します。

また、科目数の多い1次試験の学習の順番や、独学の注意点などを解説します。

これから中小企業診断士の勉強を始める人や、効率良く診断士に合格したい人はぜひご覧ください。

1.中小企業診断士試験とは?

中小企業診断士試験は1次試験(マークシート方式)と2次試験(筆記試験、口述試験)があります。

1次試験は7科目、2次試験は4科目(4事例)となっています。

1-1.「1次試験」の概要

1次試験は、例年8月上旬の土日に開催されており、令和7年は、8月2日(土)・3日(日)に実施されます。

試験日ごとの実施科目は下記の通りです。

日程時間帯試験科目試験時間
1日目午前A. 経済学・経済政策60分
B. 財務・会計60分
午後C. 企業経営理論90分
D. 運営管理
(オペレーション
・マネジメント)
90分
2日目午前E. 経営法務60分
F. 経営情報システム60分
午後G. 中小企業経営・
  中小企業政策
90分

配点:各100点(マークシート方式)

また、1次試験の合格基準は下記の通りです。

(1) 第1次試験の合格基準は、総点数の 60% 以上であって、かつ1科目でも満点の 40% 未満がないことを基準とする。
(2) 科目合格基準は、満点の 60% を基準とする。

1次試験は7科目700点満点の試験のため、総得点が420点以上かつ、40点未満の科目が無ければ合格となります。

1次試験の合格率は令和5年度で29.6%、令和6年度で27.5%となっています。

1-2.「2次試験(筆記試験)」の概要

2次試験(筆記試験)は記述式です。

問題冊子の与件文に事例企業(実際の企業を元にしたモデル企業)の状況が記載されており、問題文に沿って企業の分析や助言を行います。

科目(事例)
A 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 I
 組織(人事を含む)を中心とした 経営の戦略及び管理に関する事例
B 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 II
 マーケティング・流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
C 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 III
 生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
D 中小企業の診断及び助言に関する実務の事例 IV
 財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例

2次試験(筆記試験)の合格基準は下記の通りです。合格率は18%程度の試験となっています。

筆記試験における総点数の 60% 以上で、かつ、1科目でも満点の 40% 未満がないこと。

2.「1次試験」の勉強法 3選

中小企業診断士試験の1次試験はマークシート方式です。

暗記量が多い上に、7科目もあるため、科目によって得意や不得意が生じやすいことが特徴です。

限られた時間の中で合格を目指すためには、質の高い勉強が重要となります。

ここでは1次試験の勉強法を3つ紹介します。

2-1.頻出問題を中心に勉強する

1次試験の学習では、細かい論点は後回しにして頻出問題を中心に勉強することが大切です。

中小企業診断士の学習範囲は広く、細部まで突き詰めようとすると多くの時間が必要となります。

一方で、1次試験は絶対評価のため、合格点(60点)を取ることができれば合格できます。

したがって、限られた勉強時間の中で、頻出論点を中心に学習することがポイントです。

そのため、参考書を選ぶ際には、内容の詳しさだけではなく、頻出論点が明確でわかりやすいものを選ぶことが大切です。

2-2.インプットとアウトプットを高速で繰り返す

1次試験の学習はインプットとアウトプットを高速で、何度も繰り返すことが大切です。

インプット:教科書で用語や理論を暗記、理解する
アウトプット:問題集や過去問で演習を行う

教科書は体系的に学ぶことができるというメリットがある一方で、試験では、教科書通りに単語の意味を知っていれば解ける問題は多くはありません。

そのため、学んだ時とは違う角度からの出題となることが多く、思うように得点できない人も少なくありません。

インプットとアウトプットを繰り返すことで試験特有の問われ方に対応できるようになります。

インプットとアウトプットを高速で繰り返すことで、出題形式に慣れることができ、安定して得点できるようになります。

2-3.スキマ時間を活用する

忙しい社会人にとって、勉強時間を確保することは共通の悩みだと思います。

そこで移動時間や待ち合わせまでの時間などスキマ時間を有効活用することが大切です。

1次試験は暗記科目が多く、数分もあれば1問解ける問題も多いです。

普段から問題集を持ち歩いたり、スマホやタブレットで問題演習ができる環境を整えておくことがおすすめです。

日々の生活の中に上手く勉強を取り入れることが他の受験生と差をつけるポイントとなります。

3.「1次試験」はどの順番で勉強する?

中小企業診断士の1次試験は7科目もあるため、どの教科から勉強しようか迷っている人も多いのではないでしょうか。

ここでは、1次試験の勉強する科目順について解説します。

3-1.どの順番で勉強しても合格は目指せる!

結論から言うと、どの順番で勉強を始めても合格を目指すことは可能です。

7科目の中から、好きな科目順や苦手な科目順で勉強を始めても問題はありません。

ただし、科目ごとの特徴を踏まえた上で計画を立てると効率良く学習できるでしょう。

1次試験は理解重視の科目と、暗記重視の科目があります。

理解重視の科目
 経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理(オペレーション・マネジメント)
暗記重視の科目
 経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策

試験本番まで時間があるうちに理解重視の科目を学習し、試験前は暗記重視の科目を学習する人が多いです。

また、下記の表の通り、合格に必要な勉強時間についても科目によって異なるため注意が必要です。

例えば、同じ理解重視の科目の中でも、財務・会計、企業経営理論、運営管理の3科目の勉強時間は150時間、経済学・経済政策は80〜100時間が必要といわれています。

試験当日までに確保できる勉強時間の中で、ヌケモレなく勉強を完了できるようスケジュールを立てることが大切です。

科目勉強時間
財務・会計各150時間
企業経営理論
運営管理
上記以外各80〜100時間

3-2.迷ったら企業経営理論から始めよう

2次試験で主な出題論点となるのは、理解重視科目の中の「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」の3科目です。

2次試験で必要となる科目は早くから学習を始め、理解を深めておくことで2次試験の学習もスムーズに進めることができます。

まだ試験まで時間があるのであれば、まずは2次試験で必要となる3科目のどれかから学習を始めてみてはいかがでしょうか

特に科目にこだわりがないのであれば、企業経営理論から学習してみてはいかがでしょうか。

企業経営理論では経営戦略論、組織論、マーケティング論などについて学びます。

経営コンサルタントとして基本となる知識であり、面白いと感じる人が多い科目です。

企業経営理論は2次試験で重要論点となるため、丸暗記するのではなく、2次試験を見据えてしっかりと理解しておくことが大切です。

3-3.直前は暗記科目がおすすめ

1次試験までの時間が少ないタイミングでは、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策のような暗記重視の科目がおすすめです。

特に中小企業経営・中小企業政策は比較的分量が少なく、他の科目との関連も少ないため、最後に学習する人が多いです。

中小企業経営・中小企業政策では日本における中小企業の位置付けや、国が行なっている支援内容などについて学びます。

統計データなどを覚える必要があり、細かな論点が多いため、合格点を取るために必要な頻出論点から効率良く勉強することがポイントです。

4.「2次試験(筆記試験)」の勉強法 3選

中小企業診断士の2次試験(筆記試験)では、問題冊子の与件文に事例企業(実際の企業を元にしたモデル企業)の状況が記載されており、問題文に沿って企業の分析や助言を行います。

合格率は18%台と難しい試験です。

特に、模範解答が公開されていないため、初学者が一人で勉強を進めるのはかなり難しいといってよいでしょう。ここでは、2次試験の勉強法を3つ紹介します。

4-1.制限時間内で解くためにルールを決める

中小企業診断士の2次試験は制限時間80分ですが、多くの受験生は時間に余裕がありません。

そこで、限られた時間の中で解答を作成するために、解答作成のルールを決めておくことが大切です。

例えば、与件文を読み返す回数を減らすために、キーワードや使いたいフレーズを予めペンでマークしておくなどです。

受験生によっては色ペンを使用して、与件文に線を引く人もいます。

人によってやりやすい方法が異なるので、過去問演習で試しながら自分に合う方法をルール化して、本番に臨むことが大切です。

4-2.自信が無くても解答を書く

2次試験の学習を始めると、「問題の意図がわからない」や「何を書くべきかわからない」という状況が生じることが少なくありません。

そこで、すぐに問題集の解答を見るのではなく、わからないなりに「解答を書く」ことが大切です。

なぜなら本番の試験では、必ずと言っていいほど、何を書いたら良いかわからない問題が出題されるからです。

ただし、あなたが何を書いたら良いかわからない問題は、他の受験生も何を書いたら良いかわからない問題です。そこで何も書かなければ、合格は厳しくなり、自信が無くても何か書いた人は合格に大きく近づきます。

2次試験の学習の時から、難しい問題に対しても「自信がなくても解答を書く」という練習が大切です。

4-3.添削を受けることで効率を高めることができる

中小企業診断士の2次試験は模範解答が発表されていません。

また、記述式のため自分の解答を正しく採点することは非常に困難です。

そのため、受験指導校などの添削サービスを利用することが必要不可欠といってよいでしょう。

指導経験豊富な講師からの添削を受けることで、合格レベルまで何が足りていないかがわかるようになります。

2次試験は受験指導校のノウハウを活用し、効率良く勉強することが合格への近道となるはずです。

5.中小企業診断士の独学の注意点

中小企業診断士は独学で合格できるか気になっている方も多いのではないでしょうか。

ここでは独学の注意点やポイントをご紹介します。

5-1.独学でも合格は可能?

中小企業診断士は市販の参考書等を活用して独学で合格することが可能です。

ただし、合格者の中でも独学は少数派です。

独学を選択する例としては、時間が十分にあって、かつ受講料を支払う経済的余裕が無い学生などが独学で合格を目指すケースが見受けられます。

一方で、多くの受験生は受験指導校などを活用して勉強しています。

忙しい社会人にとっては、講師に質問できる環境や、頻出論点がまとまった教材を活用することが、費用以上に価値があるためです。

5-2.独学する際のポイント

独学をする際のポイントを2つご紹介します。

5-2-1.疑問点をそのままにしない

1次試験では多くの用語を覚える必要があります。

しかし、暗記だけでは対処できず深い理解が必要な科目もあるなど、科目によって有効な勉強法が異なります。

特に、理解が重要とされる科目に対して丸暗記で対処すると、1次試験は合格できても2次試験でつまづいてしまうでしょう。

あやふやな理解のままでは2次試験は突破できません。暗記はもちろん重要ですが、深い理解を得るためにも、勉強の際に出てきた疑問点は解消しておくことが大切です。

5-2-2.重要でないところに時間をかけすぎない

前述の通り「疑問点を解消しておくこと」は合格のために重要なことではありますが、限られた勉強時間で合格を目指すのであれば、重要な論点に時間をかけ、重要でないところには時間をかけないというメリハリのある勉強をすることも非常に大切です。

独学の場合は、その科目にどれくらい時間をかけるべきかや、他の受験生の状況を把握しづらくなります。

もし、あまり重要ではない分野で苦手なところが出てきた際には、深追いするのではなく、一旦後回しにするなど柔軟に学習計画を調整する力が必要となります。

6.短時間での合格には学習環境が大切

中小企業診断士に短時間で合格を目指すためには、教材や学習環境を整えて、効率良く勉強することが大切です。

6-1.質問や相談ができる環境を確保する

中小企業診断士の1次試験は7科目あるため、苦手な科目や教科書だけでは理解できない部分がでてきます。

インターネットで検索すれば詳しい内容が出てきますが、診断士試験レベルのちょうど良い情報が出てこないこともあります。

疑問点があった時に、質問できる環境があれば効率的に勉強ができるようになります。

また、みなさん一人一人が異なる学習状況にあるため、自分にあった学習計画を立てることが大切です。

学習計画に対するフィードバックや相談を行うことができる環境があれば、さらに質の良い勉強ができるでしょう。

6-2.時間がない社会人は受験指導校がおすすめ

限られた時間の中で合格を目指すのであれば、受験指導校を利用することがおすすめです。

受験指導校が持つノウハウが詰まった教材や、質問対応、添削サービスなども提供されており、質の高い学習を実現することが可能となります。

デメリットとしては、参考書のみの独学と比べると、当然ながら費用は高くなるでしょう。

しかし、時間を節約できたり、合格できる可能性が高まることを考慮した結果、受験指導校を利用した方が良いと判断する人が多いのも事実です。

7.中小企業診断士の勉強法に関するよくある質問

ここでは中小企業診断士の勉強法に関するよくある質問に回答します。

7-1.勉強時間はどれくらい必要?

中小企業診断士の勉強時間は1,000時間が目安となります。1次試験が800時間、2次試験が200時間程度といわれています。

ただし、これらの時間はあくまで目安で、受験生によって異なります。

すでに試験科目について知識がある場合や受験指導校を利用した場合は、上記より短時間で合格できる可能性が高いでしょう。

また、逆に1,000時間以上勉強したとしても合格できるとは限りません。

勉強時間を確保することも大切ですが、質の高い勉強を実現することが合格への鍵です。

※中小企業診断士の勉強時間についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
→ 中小企業診断士の勉強時間は1000時間?短時間で合格するコツも解説

7-2.いつから勉強を始めたら良い?

中小企業診断士の勉強を始める時期はいつが良いか気になっている人もいるかもしれません。

結論から言うと、どのタイミングで勉強を開始しても問題ありません。

1次試験は科目合格制度があるため、受験した科目が合格点(60点)以上であれば、翌年度の1次試験で合格科目は試験を免除することができます。

※中小企業診断士の科目合格制度についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
→ 中小企業診断士の科目合格制度を徹底解説!戦略的な活用法と注意点も

8.まとめ

今回の記事では中小企業診断士の勉強法や1次試験の勉強する科目の順番を紹介しました。
まとめると次の通りです。

◉1次試験の勉強法
①頻出問題を中心に勉強する
②インプットとアウトプットを高速で繰り返す
③スキマ時間を活用する
◉1次試験で勉強する科目はどの順番でも大丈夫
◉迷ったら1科目は企業経営理論がおすすめ
◉1次試験直前は暗記科目がおすすめ
◉2次試験の勉強法
①制限時間内で回答できるようにしてルールを決めておく
②自信がなくても回答を書く練習をする
③添削サービスを活用して合格レベルとの差を確認する
◉独学でも合格はできるが、合格者は少ない
◉丸暗記するのではなく、疑問点を解消しておくことが大切
◉重要でないところに時間をかけすぎない
◉短時間で合格するためには質問や相談できる環境が大切
◉受験指導校を利用することで短時間で合格を目指すことができる

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伊藤塾 中小企業診断士試験科

著者:伊藤塾 中小企業診断士試験科

伊藤塾中小企業診断士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、中小企業診断士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。