宅建士は国家資格ではないと言われるのはなぜ?宅建の魅力を深堀り解説

キャリア

2025年09月15日

「宅建士は国家資格ではない」と思い込んでいる人もいるかもしれません。しかし、それは完全に誤っています。

宅建士は、毎年20万人超が挑戦する人気の「国家資格」です。誰でも受験できるうえ、たくさんのメリットがあるため、多くの人におすすめしたい実用的な資格です。

そこで、本記事では、宅建士にご関心をお持ちの多くの方が疑問に感じているであろう次の点について取り上げました。

・宅建士が国家資格ではないと思われている理由
・宅建士資格の特徴やメリット
・宅建士になれないケース

宅建士に興味がある方は、是非ご一読ください。

※宅建士についての詳細は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【完全版】宅建とは?試験の詳細や宅建士の仕事内容など資格のすべてを徹底解説!

1.「宅建士は国家資格ではない」は嘘!

一部では「宅建士は国家資格ではない」と思い込んでいる人がいるようです。しかし、これは完全に誤っています。文部科学省によれば、国家資格とは次のような資格だとされています。

国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。

宅建士(宅地建物取引士)は「宅地建物取引業法」によって、「宅地又は建物の取引の専門家」としての地位が保証されている資格です。正に国家資格の典型例だと言えるでしょう。

2.宅建士が国家資格ではないと思われている理由

なぜ宅建士が国家資格ではないと誤解している人がいるのでしょうか?考えられる理由は、次の2つです。

・「宅建士」になったのが平成27年度だから
・ 試験を行うのが国ではないから

それぞれ説明します。

2-1.「宅建士」になったのが最近だから

宅建士(宅地建物取引士)は、昭和32年に「宅地建物取引員」として制度化された資格です。その後、社会での重要性が高まるにつれて、名称が変更されていきました。

昭和39年には、「取引員」から「取引主任者」へと改称されました。さらに平成27年には、「取引主任者」から「宅地建物取引士」へと再び名称が変更され、宅建士は「主任者」から「士業」へと格上げされたのです。「宅建士」になったのが最近のため、国家資格ではないと勘違いしている人がいるのでしょう。

しかし、実際には昭和32年からスタートした歴史のある国家資格です。むしろ「士業」となったことで、宅建士資格の価値は高まっています。

2-2.試験を実施しているのが国ではないから

「国家資格=国が試験を行う」と思っている人は多いです。このイメージが、「宅建=国家資格ではない」という誤解につながっている可能性があります。宅建士試験は、「国」ではなく「不動産適正取引推進機構」が実施しているため、勘違いする人もいるでしょう。

しかし実は、国家資格であっても、国から委託されて、民間団体が試験を行っているケースは珍しくありません。試験の実施主体が民間団体であっても、国家資格としての価値や信頼性に変わりはないのです。

3.宅建士はどんな国家資格?3つの特徴

宅建士は、不動産取引に関する専門家として、重要な役割を担う国家資格です。大きく3つの特徴を持っています。

・3つの独占業務がある
・圧倒的な知名度の高さ
・企業からの安定的な需要

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1.3つの独占業務がある

宅建士の大きな特徴は、3つの独占業務を有していることです。

・重要事項の説明
・重要事項説明書への記名(35条書面)
・契約書への記名(37条書面)

いずれも、不動産取引で欠かせない重要業務ですが、宅建士以外が行うことはできません。どれだけベテランの社員であったとしても、担当するには、必ず宅建士資格が必要です。

※宅建士の独占業務については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士を取得すると何ができる?独占業務など資格のメリット5選

3-2.圧倒的な知名度の高さ

宅建士は、不動産関連の国家資格の中でも、最も知名度の高い資格の一つです。

受験者数も、例年20万人を超えています。不動産業界で宅建士を知らない人は少ないでしょう。知名度の高さは、資格の信頼性や価値の高さの表れです。

3-3.企業からの安定的な需要

宅建士は、企業からの需要が非常に高い国家資格です。宅建業者には、宅建士の設置義務が設けられているため、不足すると営業活動ができなくなってしまうのです。

そのため、多くの企業が宅建士を求めています。実際、不動産会社の求人票などを確認すると「宅建士資格者歓迎」「宅建士優遇」といった記載がいくつも見受けられます。

4.宅建士になる4つのメリット

宅建士になると、どのようなメリットがあるのでしょうか。4つのメリットを解説します。

・資格手当による収入のアップ
・就職・転職に有利
・副業でも働ける
・独立・開業も目指せる

それぞれ見ていきましょう。

4-1.資格手当による収入のアップ

宅建士になることの大きなメリットの一つが、資格手当による収入のアップです。

不動産業界では、宅建士の資格を持っているだけで、月額数万円の資格手当が支給されるケースが珍しくありません。例えば、伊藤塾の井内講師も、宅建士として初めて就職した会社で「月額5万円」の資格手当が支給されていたと言います。

この資格手当は、給与とは別に支給されるため、年収にすると「60万円」のアップにつながります。

※宅建士の年収については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士の年収とメリットは?女性にもおすすめな理由を徹底解説

4-2.就職・転職に有利

宅建士の資格を持っていると、就職や転職に有利になります。前述のように、不動産業界では宅建士の需要が高く、多くの企業が宅建士を求めています。そのため、宅建士資格を持っていると、就職や転職の選択肢が大きく広がります。

特に、不動産業界への就職や転職を考えている人にとって、宅建士は必須と言っても過言ではありません。また、不動産業界以外でも、建設業や金融業など、不動産に関連する幅広い業界で、宅建士が評価されています。

宅建士を持っていれば、キャリアの選択肢が大きく広がるのです。

※宅建士の就職・転職については、次の記事で詳しく解説しています。
→ 宅建は就職や転職に有利?未経験もOK?不動産以外で活かせる仕事も紹介」

4-3.副業でも働ける

宅建士の資格を持っていると、本業以外でも活躍の場が広がります。例えば、転職に抵抗がある場合は、週末だけパートタイム宅建士として働くことができます。不動産業界では、週末に顧客が集中するため、週末のみしか働けなくても、一定の需要があるのです。

また、宅建士の知識を活かせる副業も多いです。例えば、不動産の記事を執筆するウェブライターとして活動したり、宅建士として経験を積んだのち、資格試験の予備校などで講師を務めたりすることもできるかもしれません。

これらの副業は、本業との両立が可能で、収入アップにもつながります。自分のライフスタイルに合わせて、柔軟に働き方を選べるのは、宅建士ならではの魅力といえるでしょう。

※宅建士の副業については、次の記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士資格を活かしたオススメ副業4選!在宅・土日のみ・未経験もOK

4-4.独立・開業も目指せる

宅建士の資格は、就職や転職に有利というイメージが強いかもしれません。しかし、実は「独立・開業」にも非常に適した資格です。なぜなら、宅建業のビジネスモデルには、次のような特徴があるからです。

・必要な開業資金が比較的少ない
・在庫を持つ必要がないためリスクが低い
・レインズなど、新規参入しやすいシステムが整っている

独立開業すれば、自分のペースで働ける上、収入アップも期待できます。自分の知識とスキルを活かしながら、自由な働き方を実現できるのは、宅建士ならではの魅力です。

もちろん、独立開業には一定のリスクが伴いますし、向き不向きもあります。しかし、それはどの業界においても同じこと。宅建士としてしっかりと経験を積み、ノウハウと人脈を築くなど準備を整えておけば、そのリスクは最小限に抑えることができるでしょう。

※宅建士の独立開業については、次の記事で詳しく解説しています。
【宅建士の独立開業】成功のコツと失敗しやすい4つの要因を解説

5.国家資格である宅建士を取得すると人生は変わる?

宅建士を取得したことで人生が変わったという人は少なくありません。例えば、未経験から不動産業界に転職し、収入が大幅にアップした人もいます。また、仕事が楽しいと感じるようになったり、出世や昇進に役立ったというケースも見られます。

難関試験に合格したことで自信がつき、自己肯定感が上がったという人もいるようです。宅建士は、キャリアアップのみならず、精神面でもプラスの影響を与えてくれる可能性があるのです。

宅建士という国家資格は、人生を大きく変える可能性を秘めています。挑戦しやすい資格である一方で、そのリターンは非常に大きいと言えるでしょう。

※宅建士になると人生がどう変化するのかについては、次の記事で詳しく解説しています。
【実体験】宅建士になると人生は変わるのか?資格取得後の変化を紹介

6.宅建士は誰でも挑戦できる国家資格?

宅建士試験には、受験資格の制限がありません。年齢、学歴、職歴、国籍などに関係なく、誰でも受験することができます。ただし、次のようなケースでは注意が必要です。

・前科がある場合
・自己破産している場合
・精神に障害を抱えている場合
・未成年の場合

上記のケースでは、宅建士試験に合格できても、宅建士として登録できない可能性があります。

※宅建士の登録については、次の記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士登録の流れとは?必要書類や費用など宅建士証交付までの手順を全解説!

6-1.前科がある場合

前科がある場合、内容によっては宅建士の登録が制限される場合があります。具体的には次のようなケースが対象です。

・禁錮、懲役刑になった場合(執行猶予中も含む)
・暴行罪や傷害罪(暴力系犯罪)で罰金刑になった場合
・宅建業法違反で罰金刑になった場合

いずれのケースでも、宅建士登録の欠格事由に該当します。登録には、刑の執行から5年以上経過することが必要です。

6-2.自己破産している場合

自己破産中も、宅建士としての登録はできません。ただし、自己破産による制限は、長期間続くわけではありません。

破産手続が終了し、免責決定が確定(復権)すると、資格制限は消滅します。破産申立後、半年ほどで復権できるケースが多いです。なお、資格制限中に試験に合格して、復権後に資格登録することも可能です。

6-3.精神の障害を抱えている場合

精神の機能の障害により、宅建士としての事務能力に問題がある場合も、登録が制限されます。例えば、成年被後見人や被保佐人などが挙げられます。ただし、これらの人が一律に制限されるわけではありません。宅建士としての責任を果たせるのかが、医師の診断書などで、個別に審査されます。

6-4.未成年の場合

未成年も、宅建士として登録することはできません。登録には、成年年齢(18歳)に達することを待つか、法定代理人から営業の許可を受けることが必要です。

なお、宅建士試験の受験には「年齢制限」や「有効期限」はありません。未成年で合格し、成人になってから宅建士登録することも可能です。

7.宅建士試験の難易度は高め

宅建士試験は、学歴や職歴に関係なく、誰でも受験することができます。しかし、宅建士試験は「誰でも受験できる」けれど、「誰でも合格できる」試験ではなく、難易度は決して低いとは言えません。

例年、合格率は「15%〜18%」程度。しかも、この合格率には実務経験がある人や法律の学習経験がある人も含まれています。

法律について学んだことがない状態から宅建士試験に合格するには、相当の努力が必要です。特に、仕事をしながら短期間で合格を目指す場合は、独学では限界があるかもしれません。

勉強時間の捻出が難しいビジネスパーソンや子育てママさん、学業やアルバイトと資格の勉強との両立に悩んでいる大学生など、効率よく最短で合格したい方には受験指導校を活用することをオススメします。

プロの講師陣による的確な指導と、体系的なカリキュラムによって、無駄なく効率的に学習を進めることができるからです。宅建士試験の難易度は高めですが、正しい方法で対策すれば、誰でも合格することができる試験です。粘り強く努力を重ねていきましょう

※宅建士試験の難易度については、次の記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士試験の合格率はなぜ低い?合格ライン・合格点や難易度を徹底解説!

※こちらも併せてお読みください。
→ 宅建の通信講座はなぜ伊藤塾がおすすめなのか?宅建士合格講座の魅力を徹底解説

8.まとめ

最後に今回の記事のポイントをまとめます。

◉ 宅建士は人気の国家資格
◉「取引主任者」から「取引士(士業)」へと格上げされた
◉ 宅建士になると数多くのメリットがある
◉ 収入アップ、就職や転職に有利、副業・独立など
◉ ただし、合格には相当の努力が必要

宅建士は魅力的な国家資格の一つです。

決して簡単な試験ではありませんが、挑戦する価値は十分にあるでしょう。

宅建士試験の対策には、ぜひ法律資格専門の指導校である伊藤塾をご活用ください。

「今年はさらにバージョンアップしたコースをご用意!!「2025年合格目標 宅建士合格講座」 のご紹介です!」

伊藤塾 宅建士試験科

著者:伊藤塾 宅建士試験科

伊藤塾宅建士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、宅建士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。