「行政書士は悲惨」…そう嘆く前に知っておきたいリアルな業界事情

基本情報

2025年09月10日

「行政書士は悲惨な資格だ…」
「開業しても仕事がないし年収も低い…」

インターネットやSNS等には、このような不安を煽る情報が溢れています。

しかし、実際のデータを見ると全く違う姿が浮かび上がってきます。廃業率はわずか4%、平均年収も591万円と会社員より高く、市場規模は10年間で2倍以上に拡大しました。

では、なぜ「悲惨」という噂が広まってしまうのでしょうか。

本記事では、行政書士が悲惨と言われる6つの理由と、信頼できるデータを元にした業界の実態を紹介します。さらに、悲惨な結果になってしまう人の特徴と、成功するためのポイントも取り上げました。

行政書士を目指すか迷っている方、すでに勉強を始めている方は、ぜひ最後までお読みください。

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1.行政書士が悲惨と言われる理由6つ

行政書士が悲惨と言われる理由には大きく5つありますが、それぞれに誤解や偏見が含まれています。

・合格までに時間がかかる
・書類の作成代行しかできない
・就職できない
・開業しても食っていけない
・人数が多くて飽和している
・年収が低い

行政書士業界の実態について、説明していきます。

1-1.合格までに時間がかかるから悲惨

まず言われるのが、「合格までに時間がかかる」ということです。

行政書士試験の合格率は13%前後と低く、合格まで2〜3年かかるから悲惨と言われることがあります。しかし、この合格率は記念受験や準備不足の受験生も含まれた数字です。きちんと勉強した人の合格率は13%より遥かに高く、正しい方法で勉強すれば、半年〜1年で合格できます。

難しい試験ではありますが、司法試験や司法書士試験と比較すれば、挑戦しやすい資格に位置づけられます。働きながらでも合格しやすいため、社会人のキャリアチェンジに適した資格といえるでしょう。

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1-2.書類の作成代行しかできないから悲惨

次に、「書類の作成代行しかできない」と言われる点です。

確かに、行政書士の主な業務が書類作成であることは事実です。ただし、書類作成といっても誰にでもできる仕事ではなく、高度な専門性が要求されます。

★書類作成で行政書士に求められること

・許認可が通るために、法律上どのような要件をクリアすべきかを見極める
・過去の通達や審査事例をもとに、実務上どう解釈されるかを読み解く
・依頼者の状況から、どんなリスクや補正の可能性があるかを先回りして考える など

法律の趣旨を正確に理解した上で、書類を通じて、法的要件を満たしていることをパズルのように証明していくのが行政書士の醍醐味です。「ある行政書士なら許可があるけれど、別の行政書士では通らない」というケースも珍しくありません。

行政書士は、単なる「代書屋」ではありません。法律の専門家として価値を提供できる大きなやりがいのある仕事です。

1-3.就職できないから悲惨

「就職できないから悲惨」と言われることもありますが、これも一面的な見方です。

行政書士は、基本的に独立開業を前提とした資格です。合格後は開業が一般的なため、一般企業への就職を目指して資格を取ると、期待とギャップを感じるかもしれません。しかし、これは資格の特性であり、欠点ではありません。

むしろ独立開業が前提だからこそ、自分のペースで仕事ができ、定年もなく、努力次第で収入を増やせるというメリットがあります。会社員のように上司の指示に従う必要もなく、自分の裁量で仕事を選べるのです。ワークライフバランスを自分で調整できるため、家事・育児との両立もしやすいでしょう。

就職を考えるのではなく、経営者として独立することを前提に資格を取得すれば、これほど自由度の高い仕事はありません。

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1-4.開業しても食っていけないから悲惨

巷では、「行政書士は3年で9割が廃業する」などと言われますが、これも全く根拠のない数字です。実際には総務省のHPに廃業率のデータが公表されており、約4%というかなり低い水準を維持しています。つまり、20人開業して1年で廃業するのはわずか1人、3年間でみても88%が事業を継続している計算です。(※96%×96%×96%=88.4%)

他の業種と比較しても決して悪い数字ではありません。

【行政書士の廃業率】

令和5年度当初における登録者数51041人
令和5年度中の廃業届の提出者
(第1項2号該当者)
2064人
令和5年度の廃業率4%

(出典:総務省|行政書士の登録状況(令和5年度)を加工して作成)

この低い廃業率の背景には、行政書士に対する安定した需要があります。

企業の設立、許認可の更新、相続手続きなど、社会が動く限り必ず発生する業務を扱うため、景気に左右されにくいのです。

さらに、多額の設備投資を行ったり、在庫リスクを抱えたりする必要もないため、最小限のリスクで事業をスタートできます。持ち家なら自宅開業も可能なため、固定費を抑えながら軌道に乗せられるでしょう。

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1-5.人数が多くて飽和しているから悲惨

「人数が多いため、すでに飽和しており悲惨」という見方も表面的です。

確かに行政書士の人数も増えていますが、それ以上に市場規模が拡大しているため、飽和しているとは言えないからです。実際のデータを見ても、行政書士1人あたりの平均売上は2012年から2021年の9年間で約30%も増加しています。

本当に行政書士の人数が多すぎるなら、1人あたりの売上は減っているはずです。

年度2012年2021年市場成長率
(百万円)
売上金額
30,80262,2602倍
事業所数398467171.7倍
(百万円)
1事業所
当たり売上
7.739.271.2倍
従業者数8554人13320人1.6倍
(百万円)
1人当たり
売上
3.64.671.3倍

(出典:総務省統計局|平成24年令和3年 経済センサス-活動調査を加工して作成)

現在も、ドローン飛行許可、民泊届出、キッチンカー営業許可など、10年前には存在しなかった業務がどんどん出てきており、行政書士の仕事は増え続けています。

新しい分野にチャレンジする意欲があれば、今後も十分な仕事を見つけられるでしょう。

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1-6.年収が低いから悲惨

最後に「年収が低い」という点についても、実態は異なります。

厚生労働省のデータによれば、行政書士の平均年収は591万円と、一般的な会社員と比べても決して低い数字ではありません。

 行政書士会社員差額
平均年収591万円460万円+131万円
平均年齢42.7歳47歳−4.3歳

(出典:職業情報提供サイト(厚生労働省)令和5年分民間給与実態統計調査(国税庁)を加工して作成)

さらに行政書士の年収には上限がなく、専門性や営業力によって会社員より遥かに高い収入を得ることができます。実際に伊藤塾出身の実務家の中にも年収1000万を超えている人は少なくありません。

行政書士は自分の努力と工夫次第で天井なしに収入を上げていける夢のある仕事です。会社員のように役職や年功序列で収入が決まるのではなく、自分が提供した価値がダイレクトに収入に反映されます。営業を頑張れば新規顧客が増えて、専門性を高めれば単価が上がり、効率化すれば処理件数を増やせる。つまり、収入を増やす方法がいくつもあるのです。

年収が低いから悲惨という噂は、資格の本当のポテンシャルを理解していない人の誤解にすぎません。

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2.行政書士を目指して悲惨になる人の特徴

ここまで見てきたように、行政書士は決して悲惨な資格ではありません。

しかし、それでも実際に悲惨な結果になる人がいるのも事実です。では、なぜ同じ資格を目指しているのに、成功する人と悲惨になる人に分かれてしまうのでしょうか?

ここからは、行政書士を目指して悲惨になる人に共通する3つの特徴を説明します。

・いつか受かればいいと考えている人
・資格があれば安泰と思っている人
・SNSなどの情報を真に受け過ぎている人

それぞれ見ていきましょう。

2-1.いつか受かればいいと考えている人

まず注意したいのが「いつか受かればいい」と考えている人です。明確な合格目標を設定せずに勉強すると、だらだらと受験を続けて悲惨な状況に陥ってしまいます。

勘違いしている人が多いですが、行政書士試験はとにかく時間をかければ合格できる試験ではありません。たとえば、合格まであと10点足りなかった受験生が、翌年に10点分だけ勉強すれば受かるという単純な話ではないのです。実際には、翌年の試験でも前年と同じ点数、あるいはそれ以下という結果に終わることも珍しくありません。

大切なのは、「今年必ず受かる」という覚悟を決めて、目標に向かって正しい方法で勉強を進めることです。誤った方法で勉強すると何年経っても合格できませんが、正しい方法で勉強すると半年の勉強でも合格できる、これが行政書士試験の大きな特徴です。

2-2.資格があれば安泰と思っている人

次に危険なのが、「資格があれば安泰」と思っている人です。

行政書士になれば自動的に仕事が来ると考えているなら、それは大きな誤解です。合格はあくまでスタートラインに過ぎません。資格によって大きく稼げるか、それとも悲惨な状況に陥ってしまうかは、その後の努力次第です。

例えば、開業しても営業活動をせず、事務所で待っているだけでは顧客は見つかりません。また、合格したからといって自己研鑽を止めると、専門性が身につかず、価格競争に巻き込まれやすくなります。成功している行政書士は、資格取得後も継続的に勉強し、営業力を磨き、専門性を高めています。

行政書士に限らず、医師であれ、弁護士であれ、資格を取っただけで稼げるわけではありません。試験勉強の段階から、合格後に自分がどうなりたいかを考えておきましょう。

2-3.SNSなどの情報を真に受け過ぎている人

最後に、「SNSなどの情報を真に受け過ぎている」人も要注意です。

SNSには「年収◯千万円達成」といった華やかな成功例や、逆に「行政書士では食えなかった」といった極端な失敗例が溢れています。しかし、これらの情報は一部の特殊ケースであることが多く、業界の実態を正確に反映しているとはいえません。

大切なのは、極端な情報に振り回されず、信頼できるデータや実務で活躍している先輩たちの話を聞いて、何が正しいのかを自分で考えることです。

先ほど説明したように、行政書士の廃業率は4%、平均年収は591万円という客観的なデータがあります。さらに、伊藤塾では第一線で活躍している行政書士をお招きして、明日の行政書士講座という講演会も開催しています。

是非これらの情報を活用して、行政書士が本当に悲惨な資格なのかを見極めてください。

3.悲惨な行政書士にならないために意識すべきポイント

ここまで、行政書士を目指して悲惨になってしまう人の特徴を見てきました。

では、そうならないためにはどうすればよいのでしょうか。この章では、悲惨な行政書士にならないために合格前から意識すべき3つのポイントを紹介します。

・最短で合格して実務に出る
・経営者としての視点を身につける
・合格後をイメージして勉強をする

それぞれ説明していきましょう。

3-1.最短で合格して実務に出る

まず大切なのが、「最短で合格して実務に出る」ことです。

受験勉強を長引かせることは、それ自体が悲惨な結果につながりかねません。不合格が続けば年齢だけが重なり、モチベーションも下がっていくからです。何年も勉強したのに合格できずに諦めることになる、これが行政書士試験における最大のリスクでしょう。

これを防ぐという意味でも、本気で行政書士になりたいなら、受験指導校を使って最短で合格することをおすすめします。行政書士試験は独学で合格する人もいますが、受験指導校を使った方が合格に要する時間は確実に短くなります。

3-2.経営者としての視点を学ぶ

次に重要なのが、「経営者としての視点を身につける」ことです。

行政書士は独立開業を前提とした資格です。そのため、単に法律知識を身につけるだけでなく、事務所を経営する力も必要になります。しかし、多くの人が試験勉強に集中するあまり、この点を見落としています。

例えば、顧客をどう獲得するか、報酬をどう設定するか、事務所の運営費はどの程度かかるのかなど、行政書士事務所の経営に関する知識も並行して学んでおきましょう。合格後に慌てて経営を学ぶのではなく、試験勉強の段階から経営者マインドを持つことで、開業後もスムーズに軌道に乗せることができます。

3-3.合格後をイメージして勉強をする

最後に大切なのが、「合格後をイメージして勉強をする」ことです。

多くの受験生は、試験対策に必死になるあまり、合格後のことまで考える余裕がありません。しかし、実務に出ると試験科目以外にも、営業力、専門知識、人脈構築など、様々なスキルが求められます。試験に受かっただけで満足し、実務の世界に飛び込む準備ができていない、そんな行政書士が、結果的に悲惨な状況に陥ってしまうのです。

これを避けるためには、試験勉強の段階から、自分がどのような行政書士になりたいのか、どの分野で活躍したいのかを明確にイメージしておくことが重要です。

以上、行政書士として悲惨な状況になることを防ぐための3つのポイントを説明しました。

そして、このような最短合格・実務を意識した学びを重視しているのが、当コラムを運営する伊藤塾の行政書士合格講座です。

4.実務で活躍できる行政書士になるなら伊藤塾がオススメ

伊藤塾はこれまで、5,800名を超える行政書士を実務の世界に送り出してきた実績ある受験指導校です。行政書士試験だけではなく、司法試験でも合格占有率90.2%、司法書士試験でも合格者の62%が利用しているなど、法律系の難関資格で圧倒的な実績を誇っています。

他の受験指導校にはない、伊藤塾の大きな特長の一つが「合格後を考える」という理念です。

伊藤塾では、合格のための指導に留まらず、「実務家として考える力」を養うための指導と機会の提供に努めています。これこそが、多くの伊藤塾出身者が実務で活躍できる理由です。

さらに、合格後のサポート体制にも力を入れています。

2,800名以上が参加する同窓会「i.total(秋桜会)、入管業務・相続・成年後見などの第一線で活躍する行政書士から話を聞ける明日の行政書士講座など、実務家として成長できる環境が整っています。

5.【Q&A】行政書士についてよくある質問

Q1.行政書士は悲惨な資格ですか?

A. いいえ、悲惨ではありません。廃業率は5%未満と低く、平均年収は591万円と会社員より高い水準です。正しい方法で取り組めば、十分に成功できる資格です。

Q2.行政書士は飽和状態ですか?

A. 飽和していません。行政書士1人あたりの平均売上は、2012年から2021年の9年間で約30%増加しています。ドローン飛行許可、民泊届出など新しい業務分野も次々生まれており、市場規模は拡大しています。

Q3.行政書士は生活できませんか?

A. 廃業率が5%未満という事実から、多くの人が事業を継続できていることは確かです。
開業初期は収入が不安定な時期もありますが、そこを乗り越えれば安定した収入が期待できるでしょう。

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6.行政書士は悲惨どころか将来性あふれる資格だった!

本記事では、「行政書士は悲惨」という噂に対する実際の業界事情について以下の通り解説しました。

◉行政書士は悲惨ではない
実際のデータでは廃業率はわずか4%、平均年収は591万円と会社員より高い水準であり、市場規模の拡大に伴い行政書士の仕事も増え続けています。

◉悲惨と言われる理由
・合格までに時間がかかる
・書類作成代行しかできない
・就職できない
・開業しても食っていけない
・人数が多くて飽和している
・年収が低い
といった理由が挙げられていますが、これらはすべて誤解や偏見に基づいています。

◉行政書士を目指して悲惨になる人の特徴
・いつか受かればいいと考えている人
・資格があれば安泰と思っている人
・SNSなどの情報を真に受け過ぎている人

◉悲惨な行政書士にならないためのポイント
・最短で合格して実務に出る
・経営者としての視点を学ぶ
・合格後をイメージして勉強する

以上です。

「行政書士には興味があるけれど、将来食べていけるのか不安…」そんな方こそ、伊藤塾で学んでいただくことをおすすめします。
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伊藤塾では「合格後を考える」という理念のもと、実務で活躍できる行政書士を目指し、合格のための指導に留まらず、「実務家として考える力」を養うための指導と機会の提供に努めています。

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伊藤塾 行政書士試験科

著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。