行政書士の開業は仕事がない?3人の事例が示す開業の現実とは

キャリア

「行政書士は開業しても仕事がない」「やめとけ」。これから開業を目指す人がこうした声を耳にすれば、当然不安を覚えることでしょう。確かに、開業したての時期は依頼が少なく、仕事の取り方に苦しむ人は少なくありません。では、その時期を越えた先にも、食べていけない現実が待っているのでしょうか。本記事は、この問いに、廃業率などのデータと、実際に開業した行政書士の歩みの両面から答えます。

登場するのは、未経験から開業し、数年のうちに仕事を軌道に乗せた3名の行政書士です。開業直後の集客に苦労した人、ニッチな分野に特化した人、初年度の売上30万円弱から法人化に至った人。三者三様の歩みから、開業後にどう仕事を得て、どう続けるのかが見えてきます。あわせて、約4%という廃業率の実態、開業までの流れ、事務所の選び方、費用の目安まで、伊藤塾・志水晋介講師の知見を交えて解説します。

【目次】

1. 行政書士の開業の現実とは

行政書士の廃業率は年間約4%で、一般企業と変わらない水準です。一度開業すれば、その多くがそのまま業務を続けられているのが実態です。

1-1. 行政書士の開業は本当に仕事がないのか

「開業しても仕事がない」は、開業当初の一時期にあてはまるだけで、ずっと続く話ではありません。 開業したては顧客が少なく仕事の取り方に苦しむ人が多いのは事実ですが、その時期を乗り越えれば、十分に食べていける状態になります。

伊藤塾・行政書士試験科の志水晋介(しみず しんすけ)講師は、自身も行政書士として活躍しながら、約30年にわたり受験指導を行い、数多くの受験生を実務の世界へ送り出してきました。その志水講師によれば、開業1〜2年目に最も多い悩みは、やはり「仕事の取り方」だといいます。すぐに依頼が来る人もいれば、時間がかかる人もいるのが実際のところです。

一方で、開業して数年が経った行政書士からすると、仕事は当たり前にあり、常にいくつもの依頼に追われているのが現実だといいます。最初は時間がかかっても、一つひとつの依頼に丁寧に応えていけば、顧客が次の顧客を紹介してくれて、少しずつ仕事が広がっていくからです。
時間はかかっても、「コツコツと実績を積み重ねていけば、仕事は十分にある」というのが行政書士の実態といえます。

➤ 詳細はこちらの動画でご覧ください。

行政書士実務家講師だから伝えられる行政書士の「現実」と「やりがい」(伊藤塾 志水晋介講師)

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※リアルな業界事情について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

1-2. データから見る行政書士の廃業率は約4%

廃業率 約4%という数字は、総務省が公表するデータから算出できます。 新規で登録をする人がいる一方で一定数が登録を抹消していますが、その割合は登録者全体から見れば限定的で、一度開業すれば多くが業務を続けています。

総務省「行政書士の登録状況(令和6年度)」によると、2024年度当初の登録者51,619人に対し、新規登録は3,298人、登録抹消は2,183人でした。抹消者数を、その年度に登録していた人全体(年度当初の登録者数+新規登録者数)で割ると、廃業率は約4%となります。

2025年版中小企業白書が示す2023年度の一般企業の廃業率(3.9%)と比べても、高い水準ではありません。

項目人数
年度当初の登録者数51,619人
年度内の新規登録者数3,298人
年度内の登録抹消者数2,183人
年度末の登録者数52,734人
廃業率
(抹消者数 ÷(年度当初+新規登録))
約4%

出典:総務省「行政書士の登録状況(令和6年度)
※行政書士の廃業率には決まった算出方法があるわけではなく、本記事でその年度に登録していた人全体を母数として算出しています。算出方法によって数値は多少前後します。

ただし、廃業率が低いからといって誰もが順調に稼げるわけではなく、開業当初は必ず苦しい時期があります。では、実際に開業した行政書士は、どのように信頼を築き、仕事を軌道に乗せてきたのでしょうか。次章では行政書士3名の開業事例を紹介します。

※廃業理由の内訳や、開業から10年単位で見た継続率も、以下で詳しく解説しています。

2. 未経験から開業した行政書士3名のリアル

ここで紹介する3名は、いずれも未経験から開業し、数年のうちに仕事を軌道に乗せています。 開業直後の集客、ニッチ分野への特化、未経験からの規模拡大という3人の歩みから、開業後にどう仕事を得て、どう続けていくのかという実像を紹介します。

なお、3人の歩みは、ここで紹介しきれないほど具体的なエピソードに富んでいます。要点をじっくり見返したい方は記事を、その熱量や語り口まで味わいたい方は、各事例の動画も、ぜひ併せてご覧ください。

2-1.開業3年目の高井先生から見る行政書士の集客方法

1人目に紹介するのは、宝塚すみれ行政書士事務所の高井 悠子先生です。
航空会社勤務や専業主婦の期間を経て、未経験から行政書士となり、開業3年目を迎えました。

入管業務を中心とした国際業務を専門とする高井先生のケースから、開業直後の集客方法を見ていきます。これから開業を目指す人にとって、最も身近に感じられる等身大の事例です。

伊藤塾YouTube【明日の行政書士講座】第156回 「行政書士開業の扉!その先に私が見たものとは?~ 妻でも母でもない、“個”の自分も生きるということ ~」

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① 行政書士の開業後、最初の仕事はいつ来るのか?

開業から最初の依頼までの期間は人によって大きく異なり、数ヶ月かかることも珍しくありません。 高井先生の場合は、登録から2〜3ヶ月後に初めての依頼が来たといいます。

1週間で最初の仕事が来る人もいれば、半年かかる人もいる、と高井先生は話します。つまり、開業直後に依頼がないことは特別なことではありません。開業直後に依頼がなくても、焦る必要はありません。大切なのは、依頼がない時期に何をするかです。

② 開業直後の行政書士はどこから仕事を得るのか?

高井先生が仕事を得たのは、看板やインターネット広告ではなく、人と会うことを通じてでした。 よくイメージされるような営業活動はほとんどしていないと言います。
開業当初は士業や経営者の知り合いがおらず、右も左も分からない状態だったため、「まず人に会いに行こう」と考えたそうです。実際に足を運んだのは、地元の商工会議所、出身大学の士業の会、そして伊藤塾で学んだ弁護士や司法書士、行政書士などが集まる士業の会でした。

ただし、こうした人づてのやり方が向くかどうかは専門分野にもよります。相続業務などではポスティングを活用する行政書士も多いと高井先生は話しています。

③ 紹介で仕事を増やすにはどうすればよいか?

紹介を生むために高井先生が大切にしているのは、一度きりのご縁で終わらせないことです。 人と出会うだけで仕事につながるわけではないといいます。

同じ会に何度も顔を出し、同じ顔ぶれと繰り返し会う。そうして少しずつ信頼が積み重なってはじめて、「あの人に頼んでみよう」という紹介が生まれるそうです。高井先生の仕事の多くも、こうした紹介や、そこから広がった問い合わせによるものだといいます。

④ 開業直後の仕事は、人とのご縁から生まれる

高井先生の歩みが教えてくれるのは、開業直後の仕事は、人と会い、ご縁を育てるなかで生まれるということです。
最初の数ヶ月は依頼がなくても、特別な人脈がないところからでも、一つひとつの出会いを大切に重ねていけば、紹介という形で道は開けていきます。

2-2.風俗営業許可申請に特化した中村先生から学ぶニッチ分野のメリット

2人目に紹介するのは、シーズ行政書士事務所の中村麻美先生です。風俗営業許可を専門に、開業から14年にわたって活動しています。一つの分野に特化することで、競合の少ない領域で安定して仕事を続けてきた事例です。

伊藤塾YouTube【明日の行政書士講座】第150回「ノリでも勢いでもない風俗営業業務」

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① 行政書士はどうやって専門分野を見つけるのか?

専門分野は最初から決め打ちするものとは限らず、実際に手がけるなかで出会うこともあります。 中村先生も、はじめから風俗営業許可を専門にしていたわけではありません。

開業当初は相続や離婚協議などの仕事をしたいと考えていたそうです。しかし、相続業務は依頼から報酬を得るまでが長く、無料相談も多かったため、なかなか収入につながりませんでした。そんなとき、知り合いの司法書士から紹介されたのが風俗営業許可の仕事でした。先輩に教わりながらやってみると、これがとても面白かったそうです。そこから一気に専門を絞り、ホームページを立ち上げて仕事を取り始めたといいます。

② ニッチ分野に特化するとどんなメリットがあるのか?

専門を一つに絞ったことで、中村先生は商圏の効率・報酬までの早さ・競合の少なさという利点を実感しています。 一点特化には複数の利点があるといいます。

まず、商圏が狭く効率的です。風俗営業許可は商業地域などに出店が集中するため、対応エリアが限られ、同じ地域を繰り返し担当することになります。その結果、地域や管轄の警察に詳しくなり、申請もスムーズに進むようになるそうです。
次に、報酬を得るまでが早いという利点があります。依頼者も早く許可を取りたいため協力的で、案件によっては1ヶ月から1ヶ月半ほどで報酬につながることも多いといいます。
さらに、難しそうなイメージがあるためか参入する人が少なく、価格競争に巻き込まれにくいのだそうです。

③ 専門特化した行政書士はどこから仕事を得るのか?

開業から14年がたった現在、中村先生の仕事は紹介が中心になっています。 開業当初はホームページからの集客がほとんどでしたが、いまは状況が変わったといいます。
風俗営業や飲食業の経営者は横のつながりが強く、「あの人に頼むといい」と口コミで広がりやすいためです。また、一度任せてくれた依頼者が、店舗の変更や2店舗目の出店などで再び依頼してくれることも多いそうです。
一つの分野で実績を重ねるほど、紹介とリピートで仕事が回るようになっていきます。

④ 分野を一つに絞ることが、結果的に安定につながる

中村先生の歩みが教えてくれるのは、分野を一つに絞ることが、結果的に安定につながるということです。
競合の少ないニッチな領域を深く掘り下げれば、その分野では「あの人に頼もう」と選ばれる存在になれます。あれもこれもと手を広げるより、一点に特化することが、開業後の強みになるのです。

※行政書士の仕事内容と報酬について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

2-3. 売上1,000万円超・法人化した星先生から見る規模拡大の流れ

3人目に紹介するのは、行政書士法人Blue Ocean Internationalの代表社員行政書士、星伯介先生です。星先生は、業界知識ゼロ・初年度売上30万円弱から出発し、現在は9名規模の法人を率いています。未経験からでも、続ければ大きく成長できることを示す事例です。

伊藤塾YouTube【 明日の行政書士講座】第166回「業界知識ゼロからのスタート!私もできたフェスティナレンテな成功術」

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① 未経験の行政書士は、開業当初どれくらい稼げるのか?

未経験から開業した星先生の初年度の売上は、年間で30万円弱でした。 2年目でようやく100万円程度だったといいます。
自宅でひっそりと開業したものの、自分が開業したことを誰も知らない状態だったそうです。家族を養うには足りず、アルバイトは3年目まで続けたといいます。最初の依頼が来たのも登録から4ヶ月後で、しかも難易度の高い在留期間の更新案件でした。
星先生は、登録した翌日から事務所にお客様が押し寄せるようなことはない、と率直に語っています。

② 開業後の伸び悩みは、何がきっかけで変わるのか?

転機は2年目、先輩からの助言でアルバイトをやめ、行政書士の売上だけで生活すると覚悟を決めたことでした。 「割のいいバイトを探すな、客を探せ。3年目以降に必ず跳ねる」と言われ、はっとしたそうです。
家族のためにもっと割のいいアルバイトを探そうとしていた自分に気づき、「何のために登録したのか」と考え直したといいます。そこでアルバイトをやめると、不思議なほど依頼が増え、3年目の売上は400万円に伸びたそうです。星先生は、覚悟が行動に現れ、人に会い続けたことで紹介が増えたのだと振り返っています。

③ 行政書士は開業から何年でどこまで成長できるのか?

初年度30万円弱だった星先生は、開業5年目に売上1,000万円に達し、事務所を構えられるようになりました。 単発の業務だけに頼らず、外国人を雇用する企業との顧問契約を増やしたことで、経営は安定していったといいます。
その後も組織を広げ、現在は行政書士4名と補助者5名を中心とする9名規模の法人へと成長しました。未経験から始めても、続けるなかで事務所はここまで大きくできるのです。

④ 開業直後に稼げなくても、十分に挽回できる

星先生の歩みが教えてくれるのは、開業直後に稼げなくても、そこから十分に挽回できるということです。
初年度30万円弱だった星先生が5年で1,000万円に届いた背景には、2つの選択がありました。1つは、アルバイトという安全策を手放し、「客を探す」側に振り切ったこと。もう1つは、単発の依頼に頼らず、顧問契約という続く収入を作ったことです。
開業直後の売上の少なさより、その後どう動くかが、行政書士としての成長を左右するといえます。

3. 行政書士が開業するまでの流れ

行政書士の開業は、「資格取得 → 事務所の決定 → 行政書士会への登録 → 税務署への開業届」という順で進みます。行政書士会への登録については、申請から完了まで1か月から1か月半ほどが目安です。

行政書士会への登録は事務所を置く都道府県の行政書士会を通じて行うため、申請の前に、どこに事務所を構えるかを決めておかなければなりません。さらに、登録申請では事務所の使用権を示す書類や写真などの提出が求められることがあるため、まずは事務所選びから取り組むことになります。事務所の選び方は、次の4章で詳しく解説します。
(出典:東京都行政書士会「登録 ・入会のご案内」)

開業までの大きな流れは、次のとおりです。

1. 行政書士資格を取得する
2. 事務所を決め、開業資金や備品を準備する
3. 行政書士会に登録を申請する
4. 事務所の調査を受ける
5. 登録完了後、税務署へ開業届を提出する

行政書士会に登録を申請すると、事務所が独立性や守秘義務を保てる要件を満たしているかの調査が行われます。これを通過すると登録が完了し、行政書士として名乗り、業務を始められるようになります。申請から完了までは、おおむね1か月から1か月半ほどです。

登録が完了したら、事務所のある地域を管轄する税務署へ開業届を提出します。これで開業の手続きは完了です。

4. 行政書士が開業するときの事務所の選び方

行政書士が開業するときの事務所には、大きく自宅・レンタルオフィス・賃貸物件の3つの選択肢があります。いずれの場合も、その物件を事務所として使えるかどうかを確認することが大切です。ここでは3つを順に見ていきます。

4-1. 行政書士は自宅で開業できるのか?

結論から言えば、自宅での開業は可能です。 ただし、「その自宅を事務所として使えるか」と「生活空間と仕事の空間を分けられるか」の2つの注意点があります。

まず、その自宅を事務所として使えるかどうかです。一戸建ての持ち家であれば問題は少ないものの、マンションや賃貸住宅の場合、管理規約や賃貸借契約で「住居専用」と定められていることが多くあります。その場合は、管理組合やオーナーの承諾を得る必要があります。
登録の際にこうした承諾を示す書類が求められることもあるため、事前の確認が欠かせません。

もう一つは、生活空間と仕事の空間を分けられるかどうかです。事務所として登録するには、プライベートな部屋を通らずに事務所スペースへ入れる動線が必要とされます。
分かりやすく言えば、玄関に近い独立した一室を事務所にあてられるかどうかです。部屋数に余裕がない場合は、自宅開業が難しいケースもあるでしょう。

4-2. レンタルオフィスで開業できるのか?

レンタルオフィスも開業できますが、施錠できる専有の個室が確保できることが条件です。 
専有の個室が必要なのは、行政書士の事務所には他と区切られた独立した空間が求められるためです。
そのため、フリーアドレス型や共用デスクのみのプランは事務所として認められません。契約前に、施錠できる個室があるプランかを必ず確認しましょう。

4-3. 事務所用に賃貸物件を探すときは何に注意すべきか?

賃貸物件を探すときにまず注意したいのは、その物件が「事業用物件なのか」という点です。

検索サイトですぐに見つかるのは、ほとんどが住居向けの物件です。家賃や敷金も安く住みやすいものの、契約書で用途が「居住用に限る」と限定されていることが多いため、原則として事務所には使えません。事務所利用が可能かを条件に加えて物件を絞り込みましょう。

次に注意したいのが、賃料の水準です。開業当初は依頼の件数が安定せず、収入が読めない時期が続きます。見栄え・立地・広さなどを重視しすぎると、家賃が毎月の固定費としてのしかかり、経営を圧迫します。
立地や広さは事業の成長に合わせて見直すこともできます。まずは身の丈に合った賃料の物件を中心に探すのが安全です。

5. 行政書士の開業費用はいくらかかるのか?

行政書士の開業にかかる費用は、行政書士会への登録費用と、事務所や備品の準備費用に分かれます。登録費用は東京都行政書士会の場合で約27.6万円、事務所を借りる場合は備品も含めて総額100万円程度になることもあります。

費用の性質が異なるため、登録費用と準備費用を順に見ていきます。

5-1. 行政書士の登録費用はいくらかかるのか?

行政書士会への登録費用は、東京都行政書士会の場合で合計約27.6万円です。 これは行政書士として登録するために、開業前に必ずかかる費用です。

東京都行政書士会への登録費用(2026年時点)

項目金額
登録手数料25,000円
入会金200,000円
東京都行政書士会
会費(3ヶ月分)
18,000円
東京行政書士政治連盟
会費(3ヶ月分)
3,000円
登録免許税
(収入印紙)
30,000円
合計276,000円

出典:東京都行政書士会「登録・入会のご案内」

入会金や会費は単位会によって金額が異なるため、自分が登録する行政書士会の公式情報を確認してください。

5-2. 事務所や備品の準備費用にはいくらかかるのか?

事務所や備品の費用は開業のしかたによって幅があり、東京で事務所を借りる場合は登録費用とあわせて総額100万円程度になることもあります。 
必ずかかる登録費用と違い、自宅開業か事務所を借りるかで大きく変わります。

ともに東京大田区で行政書士として活躍する東郷祥太先生・菖蒲悠太先生は、自身で事務所を構えた経験から、開業費用の目安を次のように挙げています。

事務所を借りて開業する場合の費用の目安(実務家2名の経験に基づく)

項目金額の目安
行政書士会への
登録費用
約27.6万円
事務所の初期費用
(敷金・礼金など)
約30〜40万円
事務所の家賃(月額)約8〜10万円
パソコン・プリンター
・スキャナーなど
約10〜20万円
職印(行政書士の実印)数千円〜数万円
合計の目安約100万円

出典:伊藤塾YouTube「行政書士試験合格後に行政書士登録開業を目指す皆様へ」
※この目安は動画公開当時のものです。近年は物価の上昇により、事務所の賃料や備品の価格が当時より高くなっている場合があります。

➤ 詳細はこちらの動画をご覧ください。

伊藤塾YouTube「行政書士試験合格後に行政書士登録・開業を目指す皆さまへ」

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なお、これは事務所を借りる場合の一例です。自宅で開業できる条件が整っていれば、事務所の初期費用や家賃を抑えられますし、手持ちのパソコンやプリンターがあればそれを使うこともできます。登録費用のように必ずかかるものを除けば、やり方しだいで大幅に下げることもできるでしょう。

6. 行政書士の開業に関するよくある質問(FAQ)

行政書士は実務経験がなくても開業できますか?

行政書士は、試験に合格して登録すれば、実務未経験でもすぐに開業できる資格です。実際に、未経験から開業し、依頼を受けるなかで実務を覚えて事業を軌道に乗せた行政書士は数多くいます。
ただし、開業当初は実務の進め方に戸惑うことも少なくありません。わからないことは監督官庁や信頼できる先輩行政書士に確認しながら、一件ずつ経験を積んでいくことが大切です。

※行政書士に必要なスキル・経験について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。

行政書士は副業として開業できますか?

副業として行政書士を開業することも可能です。行政書士法には、会社員との兼業を禁止する規定はないためです。実際に、一般企業で働きながら自分の名前で行政書士業務を行う「兼業行政書士」として活動している人もいます。
ただし、注意したいのが勤務先の就業規則です。行政書士法上は問題なくても、会社が副業を禁止・制限している場合は、勤務先の規定に従う必要があります。登録の前に、就業規則を確認しておきましょう。

※会社員が副業で働く方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

行政書士は開業せずに働く方法もありますか?

開業せずに働く方法もあります。行政書士の働き方は独立開業だけではなく、行政書士法人や行政書士事務所に勤めて経験を積む道もあります。
組織で働く利点として、整った環境で多くの案件に触れられる、先輩から指導を受けられる、実務力や専門性を効率的に身につけられる点が挙げられます。独立開業を見据えて、まず勤務で力をつけるという順序も選べます。

※組織で働く行政書士のキャリアについては、こちらの動画や記事でも詳しく紹介しています。

【明日の行政書士講座】「開業だけが道じゃない。組織で拓く行政書士キャリア。~合格後の選択肢とキャリア設計のリアル~」

行政書士は何歳からでも開業を目指せますか?

何歳からでも目指せます。行政書士試験は年齢制限がなく、10代から70代以上まで、様々な年代に合格者がいます。合格者のボリューム層は30代と40代ですが、最年長77歳の合格者も出ています。定年後のセカンドキャリアとして開業する人もおり、年齢を理由にあきらめる必要はありません。
(出典:一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和7年度行政書士試験実施結果の概要」、「最近3年間における行政書士試験の受験者・合格者の属性」)

地方や田舎でも行政書士として開業できますか?

地方や田舎でも開業できます。行政書士の登録は事務所を置く都道府県の行政書士会を通じて行うため、地域を問わず開業可能です。実際に、地方で事務所を構え、複数の従業員を抱えるまでに成長した行政書士もいます。
ただし、仕事の内容は地域によって異なります。地方では農地転用や開発許可、建設業許可などの需要が多く、都市部では国際業務や企業法務が中心になる傾向があります。一方で、相続や離婚に関する業務は地域を問わず需要があります。自分の得意分野とその地域の需要が合えば、地方でも十分に開業を目指せます。

※地方開業のリアルについては、こちらの動画でも紹介しています。

【伊藤塾】第130回 明日の行政書士講座「行政書士は場所を選ばず成功できる」

行政書士と社労士は、どちらが開業しやすいですか?

どちらが開業しやすいかは一概にいえず、目指す働き方によって異なります。行政書士は許認可や相続・国際業務など扱える分野が広く、単発の依頼を積み重ねやすいのが特徴です。一方の社労士は、労働・社会保険の手続きや顧問契約を通じて、企業と継続的な関係を築きやすい資格です。自分がどんな働き方を望むかで、向き不向きは変わります。

※行政書士と社労士の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

行政書士の開業に必要なものは何ですか?

東京都行政書士会の場合、「事務所設置等に関する規程」で、事務所に備える設備が定められています。具体的には、次のようなものが挙げられています。

  • 事務用の机と椅子
  • 来客用のテーブルと椅子
  • 施錠できる書類保管庫
  • 電話
  • プリンターやコピー機
  • パソコン
  • 業務用図書と図書棚
  • 報酬額表
  • 施錠可能な郵便受け

このほか、登録時に必要な職印もあわせて準備する必要があります。
(出典:東京都行政書士会「事務所設置等に関する規程」)

行政書士の開業届はいつ出しますか。出さないとどうなりますか?

登録完了後、事務所のある地域を管轄する税務署へ提出します。提出期限は、開業した年分の所得税の確定申告期限までです。たとえば2026年中に開業した場合は、2027年3月15日が期限となります。
提出しなくても罰則はありませんが、屋号での銀行口座開設や補助金申請で控えが必要になる場面があるため、早めの提出が安心です。
(出典:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」)

開業後の行政書士の収入はどれくらいですか?

開業後の収入は、人によって大きく異なります。取り扱う業務や顧客数、営業力によって変わるため、一概にいくらとはいえません。
開業直後は依頼が安定しないことも多いものの、軌道に乗れば年収1,000万円を超える人もいます。

※行政書士の収入について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

独立開業で稼ぎやすい業務ジャンルは何ですか?

報酬単価が高いのは、開発行為や運送業・建設業などの許認可業務です。日行連の報酬額統計調査では、開発行為許可申請(都市計画法第29条)で約120万円、一般貨物自動車運送事業の経営許可申請で約46万円でした。
ただし高単価の業務ほど手続きは複雑です。本記事の中村先生のように、競合の少ない分野を深く掘り下げて選ばれる存在になることが、安定した収入につながります。
(出典:日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」)

 ※業務別の報酬の詳細は、こちらの記事で解説しています。

行政書士の開業に使える助成金や補助金はありますか?

あります。代表的なのが国の「小規模事業者持続化補助金」で、士業(行政書士を含む)も対象です。商工会・商工会議所と連携して経営計画を作り、ホームページ作成や広告など販路開拓の費用の一部が補助されます。補助率は3分の2で、一般型(通常枠)は上限50万円(特例を満たせば最大250万円)、創業まもない事業者向けの創業型は上限200万円(同じく最大250万円)です。
ただし、補助金は申請要件を満たして審査に通る必要があり、いったん自分で支払ってから交付される後払いである点には注意が必要です。このほか、自治体独自の創業助成(東京都の創業助成事業など)もあります。制度は年度や地域で要件・金額・募集時期が変わるため、申請前に最新の公募要領で確認しましょう。
(出典:小規模事業者持続化補助金〈一般型〉公式 https://r6.jizokukahojokin.info/、小規模事業者持続化補助金〈創業型〉公式 https://r6.jizokukahojokin.info/sogyo/

行政書士の開業にはどれくらいの資金を準備しておくべきですか。

事務所を借りて開業する場合、登録費用や備品を含めて総額100万円程度が目安です。あわせて、収入が安定するまでの生活費も見込んでおくと安心です。開業当初は依頼が安定しないことも多いため、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。

行政書士の開業で後悔・失敗しないためには何に力を入れるべきですか。

力を入れたいのは、当面の資金の準備と、集客・営業の2つです。
まず資金面では、登録費用や備品に加えて、収入が安定するまでの生活費も見込んでおく必要があります。開業当初は依頼が安定しないことも多く、生活費の備えがないと事業の継続自体が難しくなるためです。
そのうえで、特に差がつくのが集客・営業です。実務能力が高くても、仕事の存在を知ってもらえなければ依頼にはつながりません。集客では人とのつながりが大きな支えになります。自身も行政書士として実務にあたる伊藤塾の志水晋介講師も、以下の動画で、お客様が次のお客様を紹介してくれる「客筋」を大切にすることや、成功している先輩を師匠として学ぶことの大切さを語っています。

伊藤塾YouTube【行政書士合格後何をすべきか?開業への心構え】~先輩行政書士のアドバイス~

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7. 行政書士の開業の現実と次の一歩

行政書士の開業は、最初の苦しい時期さえ越えれば、十分にやっていけます。

「行政書士は開業しても仕事がない」「やめとけ」という声は、依頼が少ない開業当初の一時期を切り取ったものにすぎません。廃業率は年間およそ4%で、一般企業と変わらない水準です。一度開業した人の多くは、その後も業務を続けています。

未経験からスタートした高井先生・中村先生・星先生の3名も、最初から順調だったわけではありません。それでも、人と会ってご縁を育て、専門分野を深め、覚悟を決めて続けることで、それぞれの形で仕事を軌道に乗せていきました。開業直後にどれだけ稼げるかよりも、その後どう動き、どう続けるか。それが、行政書士としての将来を大きく左右します。

この記事の要点を整理します。

  • 「仕事がない・やめとけ」は開業当初の一時期の話で、廃業率は年間約4%。乗り越えれば仕事は十分にある
  • 開業直後の仕事は、看板や広告よりも、人と会いご縁を育てる紹介から生まれる(高井先生)
  • 競合の少ないニッチな分野に特化することが、結果的に安定につながる(中村先生)
  • 開業直後に稼げなくても、覚悟を決めて続け、顧問契約など続く収入を作れば挽回できる(星先生)
  • 開業は「資格取得 → 事務所の決定 → 行政書士会への登録 → 開業届」の流れで進み、登録は申請から完了までおおむね1か月から1か月半
  • 事務所は自宅・レンタルオフィス・賃貸物件のいずれも可能。費用は登録で約27.6万円、事務所を借りる場合は総額100万円程度が目安

あなたが今どの段階にいるかで、次の一歩は変わります。

  • まだ受験を迷っている方:「やめとけ」という声に惑わされず、まずは行政書士という資格の可能性を知ることから始めましょう。本記事の3名のように、未経験からでも道は開けます。
  • すでに合格し、開業を迷っている方:3章の開業の流れと5章の費用にあらためて目を通し、各事例の動画で先輩行政書士の生の声を聞いてみてください。具体像が見えると、迷いは小さくなります。
  • 開業を決めている方:まずは事務所選び(4章)と資金準備(5章)から着手を。あわせて、開業直後の集客を見据え、「人と会う場」を今のうちから探しておくと、スタートがスムーズになります。

ここまで読んで、「行政書士を目指してみよう」と心が動いたなら、その最初の一歩は試験の合格です。法律資格専門の指導校である伊藤塾の「行政書士合格講座」では、法律を初歩から体系的に学び、未経験からの合格を目指せます。

加えて、伊藤塾においては試験に合格することだけがゴールではありません。「合格後を考える」という理念のもと、実務家としての活躍や開業というその先のゴールまで見据えて学べるのも、実務に立つ講師が揃う伊藤塾ならではのカリキュラムです。

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伊藤塾 行政書士試験科

著者:伊藤塾 行政書士試験科

行政書士資格を保有する講師・合格経験者で構成された専門チームが監修・執筆しています。合格率約14%の行政書士試験について、出題傾向・効率的な学習法・他資格とのダブルライセンス戦略まで、法律系資格指導約30年の実績をもとに正確にお届けします。