行政書士の仕事内容と報酬を業務別に解説【2026年最新統計版】
基本情報
日本行政書士会連合会の2025年度報酬額統計調査(487業務)によれば、行政書士の業務報酬は相場で5,000円から33万円超まで幅があります。業務の選び方一つで収入は数倍変わります。
「行政書士は結局いくら稼げるのか」「業務によってどれくらい報酬が違うのか」。受験を検討している段階や、合格直後で登録準備を進めているとき、こうした疑問にぶつかる人は少なくないでしょう。具体的な数字の感覚がつかめないままだと、自分が目指す方向性も決められず、学習の動機づけも揺らぎがちになります。
本記事では、日本行政書士会連合会の最新統計を基に、主要11業務の報酬を「平均・相場・最大値」の3つの数字で詳しく解説します。業務ごとの仕事内容、報酬に差が出る理由、開業初年度の業務選びまで、現役受験者と新人行政書士の判断材料を一気にまとめました。
※行政書士の業務範囲について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
【目次】
1. 行政書士の報酬は仕事内容で何倍も違う【2025年度の最新統計】
行政書士の業務報酬は、扱う業務によって平均7千円台から30万円台まで分布します。日本行政書士会連合会「2025年度報酬額統計調査の結果」では、487業務について平均・相場・最大値・回答件数のデータが公表されており、業務別の報酬実態を客観的に把握できます。
【業務カテゴリ別 報酬レンジ俯瞰表】
| 業務カテゴリ | 平均報酬 | 相場 | 最大値 |
| 自動車登録 (新車新規) | 8,896円 | 5,500円 | 88,000円 |
| 古物商許可申請 | 53,688円 | 55,000円 | 200,000円 |
| 農地法第4条許可申請 | 96,893円 | 80,000円 | 800,000円 |
| 在留資格変更(就労) | 103,167円 | 110,000円 | 330,000円 |
| 建設業許可(法人 ・新規)知事 | 151,341円 | 165,000円 | 365,000円 |
| 風俗営業許可申請 1号(社交飲食店) | 166,092円 | 220,000円 | 350,000円 |
| 帰化許可申請 (被雇用者) | 187,587円 | 150,000〜 200,000円 | 550,000円 |
| 公的補助金・助成金の 受給申請 | 247,375円 | 100,000円 | 1,430,000円 |
| 風俗営業許可申請 5号(ゲームセンター等) | 264,422円 | 220,000円 | 1,000,000円 |
出典:日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」
1-1. 「平均・相場・最大値」の3つの数字を併せて読む
報酬データを正しく読むには、平均値だけでは不十分です。3つの数字には、それぞれ役割があります。
平均は特殊な高額案件に引きずられて、実態より高く見えてしまうことがあります。相場(最頻値)は「最も多く回答された金額」で、実際の取引価格に最も近い数字です。最大値は「専門性を磨いた行政書士が獲得できる金額」を示します。3つを併せて見ることで、初心者の受任価格・実際の相場・到達可能な金額の3層が見えてきます。
たとえば建設業許可(法人新規・知事)は平均15.1万円・相場16.5万円・最大値36.5万円です。相場と最大値の差は約2.2倍にとどまり、報酬が安定した業務だとわかります。一方、補助金申請は平均24.7万円・相場10万円・最大値143万円と、最大値が相場の14倍に開きます。専門性で大きく差がつく業務だと言えます。
2. 【業務別】行政書士の仕事内容と報酬の詳細
ここからは、2025年度報酬額統計調査をもとに、主要11業務の仕事内容と報酬の実態を解説します。各業務の数値は、すべて同調査からの引用です。
2-1. 建設業許可申請:相場5.5万〜16.5万円
建設業を営むには、500万円以上の工事を請け負う場合に都道府県知事または国土交通大臣の許可が必要です。許可は5年ごとの更新が義務付けられています。日行連調査によれば、法人新規(知事)は平均15.1万円・相場16.5万円、個人更新(知事)は平均7.1万円・相場5.5万円です。
同じ建設業許可でも、区分によって報酬は2〜3倍変わります。法人新規(大臣許可)になると平均20.0万円まで上がり、最大値は118.8万円に達します。複数都道府県にまたがる工事を扱う大臣許可は、要件確認や提出書類が増える分、単価も高くなる傾向があります。
依頼数が多いため、開業初年度の主力業務に選ばれることも多い分野です。
2-2. 宅地建物取引業者の免許申請:相場5.5万〜16.5万円
宅地建物取引業を始めるには、知事または国土交通大臣の免許取得が必要です。日行連調査では新規(知事)が平均12.2万円・相場16.5万円、更新(知事)が平均8.3万円・相場5.5万円。新規は更新の約3倍の単価となっています。
開業時は供託金や保証協会加入など準備事項が多く、依頼者は本業に集中したいケースが大半です。行政書士に免許申請を委ねれば、依頼者の開業準備の負担を大きく減らせます。
新規開業ラッシュに乗ると、件数を積み重ねて安定した収入を作りやすい業務です。
2-3. 産業廃棄物収集運搬業の許可申請:相場11万〜22万円
産廃収集運搬業の許可申請は、車両基準・施設基準・財務要件など確認事項が多い業務です。日行連調査では積替保管(廃棄物の一時保管)を除く許可申請が平均12.5万円・相場11万円、積替保管を含む場合は平均34.5万円・相場22万円まで上がります。
積替保管施設の設置は地域ごとに規制が異なり、行政庁との事前相談が必須です。最大値は積替保管なしで75万円、ありで300万円に達し、案件の規模次第で大型契約が成立する業務です。
競合が少なく、専門特化することで安定した収入源を作りやすい分野でもあります。
2-4. 相続業務:遺言・遺産分割協議書・相続調査の3本柱
相続業務の中心は、遺言書の起案、遺産分割協議書の作成、相続人および相続財産の調査の3つです。日行連調査では、遺言書起案が平均7.7万円・相場5万円、遺産分割協議書が平均7.0万円・相場5.5万円、相続調査が平均6.2万円・相場5万円です。
注目すべきは最大値の幅です。遺産分割協議書は100万円、相続調査も100万円まで開いており、相続財産の規模・複雑さが報酬に直結します。複数業務を一括して受任することが多く、1案件で20万円超になるケースも珍しくありません。
※相続業務の詳細はこちらの記事で解説しています。
2-5. 農地転用許可申請:相場5万〜10万円
農地を農業以外の目的で使用するには、農地法第4条(自分で使う場合)または第5条(他人に売る・貸す場合)の許可が必要です。日行連調査では第3条(権利移転)許可が平均5.9万円・相場5万円、第4条許可が平均9.7万円・相場8万円、第5条許可が平均12.0万円・相場10万円です。
第5条許可の最大値は161.9万円に達します。土地の面積・立地条件、市街化調整区域かどうかで難易度と報酬が大きく変わります。農業委員会との事前打ち合わせで作業時間が膨らみやすい業務でもあります。
地方部での需要が安定しており、地域密着型の事務所運営に向いている業務です。
2-6. 国際業務(在留資格・帰化):相場10万〜30万円
国際業務には、在留資格の認定・変更・更新、永住許可、帰化許可、ビザ申請などが含まれます。日行連調査では、在留資格変更(就労)が平均10.3万円・相場11万円、永住許可申請が平均14.5万円・相場10万円、帰化許可申請(被雇用者)が平均18.8万円・相場15万〜20万円、帰化許可申請(個人事業主・法人役員)が平均25.9万円・相場30万円です。
経営・管理ビザの在留資格認定証明書交付申請は平均20.8万円・相場22万円。最大値は66万円に達します。法務局や入管との折衝経験が単価に直結する分野で、申請取次行政書士(入管申請を本人に代わって行える資格)の研修修了が業務遂行に必要です。
研修を受けた人だけが行えるため、競合が限られます。継続的な依頼が見込める専門特化分野です。
※国際業務の詳細はこちらの記事で解説しています。
2-7. 補助金・融資申請業務:相場10万〜11万円
補助金・助成金の受給申請、創業融資の支援などを扱う業務です。日行連調査では、公的補助金・助成金の受給申請が平均24.7万円・相場10万円、公庫等金融機関に対する融資申込が平均12.1万円・相場11万円です。
補助金申請の最大値は143万円に達します。事業再構築補助金やものづくり補助金など、申請額が大きい案件では成功報酬の総額も大きくなる傾向です。事業計画書の作成スキルが問われ、コンサルティング要素が強い業務です。
法人クライアントとの長期関係を築きやすく、顧問契約への発展も期待できる分野です。
2-8. 任意後見契約手続:相場10万円
判断能力が不十分になる将来に備えて、財産管理や身上監護を依頼する人をあらかじめ定める「任意後見契約」の書類作成業務です。日行連調査では、任意後見契約に関する手続きが平均8.9万円・相場10万円、最大値33万円です。
長期にわたって関与する性質があり、継続的な収入が見込めます。弁護士・司法書士との連携が必要なケースもあり、士業ネットワークの構築が重要です。
高齢単身世帯の増加で、参入価値が高まっている分野です。
2-9. 風俗営業の許可申請:相場15万〜22万円
風俗営業は業態によって1号(社交飲食店・料理店)から5号(ゲームセンター等)まで分類され、それぞれ規制内容が異なります。日行連調査では、1号が平均16.6万円・相場22万円、4号(マージャン・パチンコ等)が平均23.9万円・相場15万円、5号(ゲームセンター等)が平均26.4万円・相場22万円です。
5号の最大値は100万円に達します。入念な現地調査、図面作成、警察署との折衝が必要で、対応できる行政書士は限られます。深夜酒類提供飲食店営業開始届も平均10.4万円・相場11万円で、関連業務として依頼を受けるケースが多くあります。
警察署との折衝経験が単価に直結し、専門特化により競合の少なさを活かせる業務です。
※風俗営業はこちらの動画で詳しく解説しています。
2-10. 古物商の許可申請:相場5.5万円
古物商許可は、リサイクルショップ、中古車販売、ネットでの中古品販売などに必要な許可です。日行連調査では平均5.4万円・相場5.5万円・最大値20万円。回答件数261件と多く、依頼数が多い業務だとわかります。
副業ECブームで個人からの依頼が増えており、申請手続き自体は複雑ではありません。ただし地域警察によって取扱いが異なるため、地元警察の運用に詳しい知識が必要です。
開業初年度の経験を積むのに適した業務です。
2-11. 自動車関連業務(OSS含む):相場5,000円〜5,500円
自動車登録(新車新規)、車庫証明、出張封印代行などを扱う業務です。日行連調査では、自動車登録(新車新規)が平均8,896円・相場5,500円、車庫証明が平均13,428円・相場5,000円、出張封印代行が平均11,487円・相場5,500円です。
車庫証明の回答件数は315件と全業務でも上位に入ります。OSS(自動車登録のオンライン手続き)の普及で電子化が進み、効率的な処理が可能になっています。
ディーラーとの定期契約を獲得できれば、月数十件の継続的な収入が見込める業務です。
3. 同じ業務でも報酬に差が出る3つの理由
日行連調査の数字を見ると、同じ業務でも最小値と最大値が10倍以上開くケースが珍しくありません。なぜこれほどの差が出るのか、3つの要因に分けて整理します。
3-1. 案件の複雑さ(最大値が平均の何倍まで開くか)
報酬差の第一の要因は、案件そのものの複雑さです。たとえば遺産分割協議書の作成は平均7.0万円ですが、最大値は100万円に達します(約14倍の開き)。相続財産の種類が多く、相続人間の調整が複雑な案件では、作業時間が10倍以上になることもあります。複雑な案件を引き受けられる行政書士には、自然と高単価の依頼が集まる構造です。
3-2. 経験・専門性(相場より上に行くために)
第二の要因は、行政書士自身の経験と専門性です。同じ建設業許可でも、初心者の行政書士は相場16.5万円付近で受任しますが、専門特化した事務所は20万円超で受任します。専門特化により、相場の2倍以上の単価獲得が可能です。
3-3. 地域差・依頼者属性(東京と地方、個人と法人)
第三の要因は、地域差と依頼者属性です。一般的に、都市部は地方より報酬相場が高い傾向があり、法人クライアント向け業務は個人向け業務より高単価になりやすいとされています。
事務所の立地戦略と顧客ターゲット設定が、平均的な単価水準を決める要素となります。
4. 開業初年度に取り組みやすい業務の選び方
開業初年度から高単価業務に挑むのは現実的ではありません。実績がない状態では依頼が来ず、専門知識も不足しているからです。報酬・案件数・参入難易度の3軸で独自の表を作ると、段階的な業務選択の指針が見えてきました。
【業務×報酬×案件数×参入難易度】
| 業務 | 報酬 | 案件数 | 参入難易度 | 初年度推奨度 |
| 車庫証明・ 自動車登録 | 低 | 高 | 低 | ★★★ |
| 古物商許可 | 中 | 中 | 低 | ★★★ |
| 建設業許可 | 高 | 高 | 中 | ★★ |
| 相続業務 | 中 | 高 | 中 | ★★ |
| 補助金申請 | 高 | 中 | 中 | ★★ |
| 風俗営業 | 高 | 低 | 高 | ★ |
| 国際業務 | 高 | 中 | 高 | ★ |
初年度は低難易度×高案件数の業務で経験を積むのが定石です。3年目には得意分野を1〜2つに絞り単価を上げ、5年目には専門特化により相場の2倍以上の単価を狙うことが現実的でしょう。順を追って専門性を高めることで、無理のない収入拡大が可能です。
※開業の詳細はこちらの記事で解説しています。
5. 行政書士の報酬に関するよくある質問(FAQ)
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行政書士の平均年収はどれくらいですか?
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厚生労働省「job tag(職業情報提供サイト)」では、令和7年賃金構造基本統計調査をもとに行政書士の平均年収は583.3万円とされています。ただしこの数字は主に勤務型のデータであり、独立開業者の実態は反映されにくい点に注意が必要です。年収の詳細は別記事で解説しています。
※詳細はこちらの記事で解説しています。
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報酬は誰が決めるのですか?
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行政書士法第10条の2第1項により、行政書士は事務所の見やすい場所に報酬額を掲示する義務があります。報酬額自体は各行政書士が自由に決められ、日行連の報酬統計はあくまで実勢の参考値で、強制力のある料金表ではありません。なお同条第2項は、日行連と各行政書士会に統計の作成・公表を求めた規定です。
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報酬はいつ支払われますか?
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前払い、後払い、着手金併用など事務所により異なります。許認可業務では着手金(半額程度)+成功報酬の二段階払いという形式を採用する事務所も多く見られます。。継続的な顧問契約では、月額固定払いとなります。
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顧問契約はできますか?
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スポット業務が中心の士業ですが、産廃事業者・建設業者・法人クライアントとの月額顧問契約を結ぶケースもあります。月額3万円〜5万円程度の継続顧問契約で、安定した収入を作る事務所も増えています。
6. 行政書士の仕事内容と報酬まとめ
日本行政書士会連合会の2025年度報酬額統計調査(487業務)によれば、行政書士の業務報酬は相場で5,000円から33万円超まで幅があります。業務の選び方一つで収入は数倍変わります。
本記事の要点をまとめると下記になります。
- 平均・相場・最大値の3つの数字で読み解くことが重要
- 補助金・任意後見など新興分野の需要が拡大中
- 初年度は低難易度×高案件数の業務で経験を積むのが定石
- 3〜5年目に専門特化することで単価2倍以上が現実的
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