
宅建士試験はどれくらい難しい?偏差値60相当?合格への道筋を解説
難易度・合格率
2025年09月15日


宅建士試験は、どれくらい難しい試験なのでしょうか?
「合格率が16%しかない」
「6人に1人しか合格できない」
「大学の偏差値だと60相当ある」
このように聞くと、とても難しい試験のようにも思えます。
しかし、合格率だけでは宅建士試験が本当に難しいのかを判断することはできません。「ライバルの学力」「問題の形式」「合格点」など様々なポイントを考慮して、はじめて本当に難しいのか判断できるからです。
結論から言えば、確かに宅建士試験は簡単な試験ではありませんが、決して手が届かない資格ではありません。重要なのは、いかに質の高い学習を行えるかということです。
そこで今回は、宅建士試験の難しさを様々な角度から解説します。科目ごとの難易度や特徴も紹介するので、是非ご一読ください。
※宅建士の資格の詳細については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→【完全版】宅建とは?試験の詳細や宅建士の仕事内容など資格のすべてを徹底解説!
【目次】
1.宅建士試験は難しい?合格率は16%前後
宅建士試験の難易度を考える上で、まず注目したいのが合格率です。
合格率 | |
2024年(令和6年度) | 18.6% |
2023年(令和5年度) | 17.2% |
2022年(令和4年度) | 17.0% |
2021年(令和3年度) | 15.6%(12月) |
17.9%(10月) | |
2020年(令和2年度) | 13.1%(12月) |
17.6%(10月) |
宅建士試験の過去5年間の合格率の平均は、16.7%です。つまり、宅建士試験は受験者の約6人に1人しか合格できない、非常に合格率の低い試験だと言えるでしょう。
ただし、試験の難易度は合格率だけで決まるわけではありません。詳細は2章で後述しますが、本当の難易度を知るためには「ライバルの実力」「出題形式や問題の難易度」、「合格に必要な点数」など、様々なポイントを考えることが必要です。
1-1.他の法律資格と比較するとやや易しい
宅建士試験の合格率を、他の法律資格と比較してみましょう。
資格 | 合格率 |
宅建士 | 15%〜18% |
行政書士 | 10%〜13% |
司法書士 | 4%〜5% |
司法試験(予備試験) | 3%〜4% |
社労士 | 5%〜7% |
中小企業診断士 | 5%〜7% |
たとえば、行政士試験の合格率は12%前後、司法書士試験は5%前後、司法試験(予備試験)は4%前後となっています。合格率だけを見ると、宅建士試験は他の難関資格試験よりはやや易しいと言えます。
簡単ではありませんが、法律資格の中では比較的チャレンジしやすい資格だと言えるでしょう。
1-2.大学受験にすると偏差値60相当
宅建士試験の難易度を、大学受験の偏差値に換算すると、どの程度なのでしょうか。合格率16%を正規分布を用いて換算すると、偏差値60に相当します。
一般的には、偏差値60を超える大学が「難関大学」と呼ばれることが多く、合格には相当の努力が必要です。ただし、高校生が受験する「大学受験」と、働きながら受験する人が多い「宅建士試験」を単純に比較することはできません。
大学受験では、主に高校までの学習内容が出題範囲となりますが、宅建士試験では、法律知識や実務への応用力が問われます。また、大学受験は1〜2回しか受験しない人が大半ですが、宅建士試験は何度もチャレンジしている人がたくさんいます。偏差値60という数字は、宅建士試験の難しさを確認するための、1つの指標として捉えましょう。
2.合格率だけでは分からない|本当の難易度を決める3つの要素
資格試験の難しさは、合格率だけでは分かりません。「合格率が低いけれど簡単な試験」や「合格率が高いのに難しい試験」もあるからです。
例えば、最難関として知られる司法試験の合格率は45%で、他の法律資格と比べてもかなり高い数字です。しかし、だからといって司法試験が簡単なわけではありません。合格率が高いのは、受験生全体のレベルが高いからであって、合格には膨大な勉強が必要です。
このように、試験の難しさは合格率だけで決まるわけではありません。そこでこの章では、次の3つのポイントから、宅建士試験の難易度を解説します。
・ライバル受験生の学力
・出題の形式
・合格に必要な点数
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.ライバル受験生の学力|勉強していない人もいる
ライバル受験生の学力は、試験の難易度に大きく影響します。競争試験では、ライバルの学力が高くなるほど、合格も難しくなるからです。この点、宅建士試験を受験する人のレベルは、必ずしも高いとは言えません。
宅建士試験の受験者数は、年間20万人を超えており、全員がきちんと勉強している訳ではないからです。中には、全く勉強していない人や、記念受験の人も含まれています。しっかりと勉強した人に限れば、合格率は跳ね上がる可能性が高いでしょう。
2-2.出題の形式|難しい記述問題は無し
出題の形式も、試験の難易度を左右するポイントの1つです。例えば、行政書士試験や司法書士試験では、記述式の問題が出題されます。ゼロから自分で解答を作成するため、対策がとても難しく、多くの受験生を悩ませる原因となっています。
しかし、宅建士試験で出題されるのは、マークシート形式の択一式問題のみです。さらに選択肢の数も4つしかありません(行政書士や司法書士は5つ)。
つまり、極論を言えば、当てずっぽうで解答しても25%の確率で正答できるのです。宅建士試験は、受験生にとって非常に取り組みやすい試験だと言えるでしょう。
2-3.合格に必要な点数|36点が目安
試験の難易度は、合格に必要な点数によっても変わってきます。ここ数年の宅建士試験の合格点は36点前後で推移しています。正答率で言えば「7割〜8割」が目安です。正答率7割〜8割と聞くと、一見すると高く感じるかもしれません。
しかし、本試験の問題をしっかりと分析していくと、決して無理な点数ではないことが分かります。
詳細は後述しますが、36点というのは、実は難しい問題を捨ててしまっても、十分に到達できる点数なのです。学習方法さえ間違わなければ、合格点に到達することは決して難しくありません。
3.難しい問題は捨てても合格できる|2024年宅建士試験の分析
前述のとおり、宅建士試験に合格するためには、7割〜8割の正答率(36点程度)が必要です。一見するとかなり難しいように感じますが、本試験を分析すると意外な事実が見えてきます。
実は、宅建士試験では難しい問題に解答する必要はありません。基本的な問題を間違えないだけで、36点には十分に到達できるのです。まずは、次のデータをご覧ください。
・難易度A→多くの受験生が正答できる問題
・難易度B→正答率が半分程度の問題
・難易度C→多くの受験生が間違える問題
【2024年 宅建士試験の分析】
科目 | 難易度 | 科目 | 難易度 | ||
権利関係 | 問1 | B | 宅建業法 | 問26 | A |
問2 | B | 問27 | A | ||
問3 | B | 問28 | C | ||
問4 | A | 問29 | A | ||
問5 | B | 問30 | A | ||
問6 | C | 問31 | A | ||
問7 | C | 問32 | A | ||
問8 | C | 問33 | A | ||
問9 | B | 問34 | A | ||
問10 | B | 問35 | B | ||
問11 | A | 問36 | B | ||
問12 | B | 問37 | B | ||
問13 | A | 問38 | A | ||
問14 | B | 問39 | B | ||
法令上の 制限 | 問15 | B | 権利関係 | 問40 | B |
問16 | A | 問41 | B | ||
問17 | A | 問42 | A | ||
問18 | A | 問43 | A | ||
問19 | A | 問44 | A | ||
問20 | B | 問45 | A | ||
問21 | C | その他 | 問46 | A | |
問22 | B | 問47 | A | ||
税 | 問23 | C | 問48 | B | |
問24 | A | 問49 | A | ||
問25 | B | 問50 | B |
(参考:2024(令和6)年 宅建士試験の分析|伊藤塾)
2024年の本試験を分析すると、半分以上の受験生が正答できる簡単な問題(難易度Aの問題)が50問中24問(全体の48%)を占めています。さらに、勉強している人でも間違えるような難問は6問(全体の20%未満)しか出題されていません。
難易度 | 問題数 | |
A(易しい) | 24問 | A・Bランクが 44問(88%) |
B(標準) | 20問 | |
C(難しい) | 6問 |
つまり宅建士試験では、受験生の半分が正答できる基本的な問題を、確実に正答するだけで十分に合格点に達することができるのです。
さらに宅建士試験は、四肢択一式のマークシート形式で実施されます。そのため、難問と呼ばれるCランク問題についても、6問中2問程度は得点できる可能性が高いです。
そうすると、宅建士試験の合格点である「36点(正答率7割〜8割)」に到達することは決して難しくありません。勉強の方向さえ間違わず、しっかりと対策を進めていけば、誰でも合格できる試験だといえるでしょう。
4.難しい科目はどれ?各科目の特徴
宅建士試験は、大きく分けて4つの科目から構成されています。
科目 | 特徴 |
宅建業法 | ・比較的取り組みやすい ・出題数が多く、得点源とするべき科目 |
権利関係 | ・出題のバリエーションが豊富 ・論理的思考が必要 |
法令上の制限 | ・難しい専門用語が多い ・ある程度は暗記が必要 |
税、その他 | ・年によって、難易度の差が大きい |
それぞれの科目には特徴があり、難易度も異なります。
4-1.宅建業法
宅建業法は、比較的取り組みやすいと感じる受験生が多い科目です。権利関係(民法)ほど難しくはなく、法令上の制限ほど覚える知識も多くないからです。
ただし、配点の割合は高く、多くの受験生が得点源にしてきます。宅建業法に苦手意識を持ってしまうと、宅建士試験の合格は遠のきます。宅建士の実務にも直結するため、力を入れて学習しましょう。
4-2.権利関係
権利関係は、民法や借地借家法を中心とした科目です。
物件の売買や賃貸借など、不動産取引の基本的なルールを理解しているかが問われます。バリエーション豊かな問題が出題されるため、単純な暗記では対応できません。
・条文の知識がそのまま聞かれる問題
・判例の趣旨を理解しているかが問われる問題
・たくさんの登場人物が出題される事例問題 など
具体的なケースに当てはめて、権利の優先関係を問う問題も多いので、法律の基本的な考え方をしっかりと身につけておくことが必要です。出題範囲も広く、他の科目と比べても難易度が高い科目といえるでしょう。
4-3.法令上の制限
法令上の制限では、建築基準法や都市計画法など、不動産の利用を制限する法律が出題されます。出題数はそれ程多くありませんが、難しい専門用語がたくさん登場します。そのため、最初は問題文を理解することすら難しく感じるでしょう。
ある程度は暗記をする必要があるため、何度も繰り返すことが大切です。焦らず、丁寧に進めていきましょう。
4-4.税・その他、免除科目
税・その他では、「不動産に関する税制の知識」や「不動産鑑定評価基準等」に関する問題が出題されます。
試験年度によって難易度の差が大きく、問題ごとの難易度もはっきりとしています。簡単な問題や、過去問で出題された問題を確実に正答できるようにしましょう。
5.宅建士試験の勉強時間は?|目安は300〜500時間
一般的に、宅建士試験の勉強時間の目安は、300〜500時間だと言われています。もちろん、この時間はあくまでも目安であり、個人差が大きいのが実情です。それまでの経験や学習環境によって、必要な勉強時間は大きく異なります。
例えば、法学部出身だったり、不動産関連の仕事に就いていたりする人は、比較的短期間で合格できる可能性が高いでしょう。
一方、全くの初学者の場合は、基礎から学ぶ必要があるため、500時間以上の勉強時間が必要になるかもしれません。また、勉強時間の質も重要です。やみくもに長時間勉強するだけでは、宅建士試験に合格することはできません。
・試験科目毎の特性を押さえる
・科目毎の目標を決めておく
・丸暗記ではなく、かみ砕いて理解する勉強を行う
上記のようなポイントを押さえて勉強しないと、いくら時間をかけても得点が伸びなくなってしまいます。短期間の勉強で合格する人がいる一方で、いくら勉強しても得点が伸びずに、合格が難しいと感じる人もいるのは、勉強の進め方が間違っているからです。
宅建士試験は、とにかく長時間勉強すれば合格できる試験ではありません。大切なのは「勉強の質」を高めることです。正しい合格戦略を立てて、計画的に学習を進めていきましょう。
※宅建士試験の合格に必要な勉強時間については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→【500時間必要?】宅建試験の合格に必要な勉強時間について徹底解説!
6.難しい宅建士試験に合格したい方は、伊藤塾へお任せください
宅建士試験を難しいと感じている方は、ぜひ伊藤塾をご活用ください。私たちが、宅建士試験で伊藤塾を強くオススメする理由は次の2つです。
・数多くの難関法律資格で、圧倒的な合格実績がある
・宅建士合格講座のカリキュラムを、全面的にバージョンアップしている
それぞれの理由について、さらに詳しく見ていきます。
6-1.難関法律資格について、圧倒的な合格実績がある
伊藤塾は、法律資格専門の受験指導校として、高い合格実績を維持しています。膨大な合格者のデータから作成したカリキュラムと、実力ある講師陣の相互作用で、数多くの受験生を最短合格へと導いています。
宅建士試験は、不動産資格ではありますが、法律系国家資格の入口的な位置づけとなっている試験です。司法試験・予備試験で長年培ったノウハウを、宅建士試験の特性に応じた内容へカスタマイズして、あなたを最短での合格に導きます。
※こちらも併せてお読みください。
→ 宅建の通信講座はなぜ伊藤塾がおすすめなのか?宅建士合格講座の魅力を徹底解説
7.宅建士試験に関するFAQ5選
Q1. 宅建試験に合格後、すぐに「宅建士」として働けますか?
A. いいえ、合格しただけでは宅建士として働くことはできません。合格後、2年以上の実務経験がない場合は「登録実務講習」を修了し、受験地の都道府県知事への「資格登録」、そして「宅地建物取引士証」の交付を受けて、初めて宅建士として業務を行えます。
Q2. よく聞く「5点免除(登録講習)」は誰でも受けられますか?
A. いいえ、誰でも受けられるわけではありません。「宅地建物取引業に従事している方」が対象です。この講習を修了すると、修了試験日から3年以内の宅建試験において、例年問46〜50の5問が免除されます。
Q3. 実際のところ、宅建士の平均年収はいくらくらいですか?
A. 勤務先の規模や営業成績で大きく変動しますが、厚生労働省の職業情報サイトによると、宅建士が主に活躍する「不動産営業」の全国平均年収は521万4,800円です。多くの企業では、これに加えて毎月1〜3万円程度の資格手当が支給されます。
Q4. 宅建士になるまで、合計でいくら費用がかかりますか?
A. 独学の場合、総額で約10万円前後が目安です。主な内訳は、受験料(12,000円予定)、テキスト代(約1万円)、登録実務講習(約2万円、該当者のみ)、資格登録手数料(37,000円)、取引士証交付手数料(4,500円)です。 ※各手数料は都道府県により異なる場合があります。
Q5. 宅建の勉強はいつから始めるのがベストですか?
A. 宅建試験は例年10月の第3日曜日に行われます。一般的に300〜500時間の学習が必要とされるため、そこから逆算し、試験の約半年前(3月〜4月頃)からスタートすると、基礎から応用、直前対策まで余裕を持って進められます。
8.まとめ
最後に、今回の記事のポイントをまとめます。
◉宅建士試験の難易度は次のとおり
・宅建士試験の合格率は16%程度
・他の法律資格と比べると、やや高い合格率
・大学受験の偏差値にすると60相当
◉合格率の他にも考慮すべきポイントがある
「ライバルのレベル」→全く勉強していない受験生もいる
「出題の形式」→取り組みやすいマークシート形式(四肢択一)のみ
「合格点数」→36点が目安。ただし難問は捨ててもOK
◉勉強時間は300時間〜500時間が目安だが個人差が大きい
◉大切なのは勉強した「時間」ではなく、勉強の「質」
◉質の高い勉強をすれば、はるかに短い時間で合格できる
以上です。
宅建士試験は難しい試験ではありますが、誰でも合格できる試験です。いかに質の高い学習を行えるかが、宅建士試験合格のカギを握っています。
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