【2025最新】行政書士の基礎知識(一般知識)対策を科目別に紹介

基本情報

2025年09月10日

2024年に「一般知識等」が「基礎知識」科目へと変わり、出題内容も一部変更となりました。この変化に戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか?

実は、変化があったのは出題内容だけではありません。ここ数年で、試験における位置づけも大きく変わっています。かつては「足切り(基準点落ち)を回避することが大切」と言われた科目が、今や「得点源とすべき科目」へと変化しているのです。

そこで本記事では、2025年時点の最新データを踏まえて、科目別の特徴や目標点数、具体的な対策について解説します。

この記事を読めば、「基礎知識」の最新傾向が分かり、得点源にするための対策が実践できるでしょう。行政書士試験合格を目指す方は、是非ご一読ください。

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1.行政書士試験の「基礎知識(旧:一般知識)」とは

基礎知識科目は、行政書士として必要な基礎知識を問う試験科目です。

2023年度まで「一般知識等」という名称でしたが、2024年度の改正によって「基礎知識」へと名称が変わり、出題内容も一部変更されました。

以下では、2024年の試験結果をもとに、改正後の基礎知識科目について説明します。

1-1.試験科目・出題数

基礎知識科目は、主に「一般知識」「諸法令」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の4つに分かれています。それぞれの出題数の目安は次のとおりです。

科目出題数
(※2024年
の例)
内容
一般知識5問・政治、経済、社会
時事問題など
諸法令
(※行政書士法等
行政書士業務と
密接に関連する
諸法令)
2問・行政書士法
・戸籍法
・住民基本台帳法など
情報通信・
個人情報保護
4問・IT用語、AI等に関する知識
・情報公開法
・個人情報保護法
・公文書管理法
・プロバイダ責任法
などの法律
文章理解3問・高校、大学受験の
現代文のような内容
合計14問 

科目ごとの出題数ははっきりと決まっているわけではありません。例えば、2024年試験の場合、もともと「一般知識」から3問、「諸法令」から4問が出題されると予想されていました。しかし、実際の出題数は「一般知識」が5問、「諸法令」から2問でした。これは改正1年目だったことが影響していると言われています。

2025年以降は、一般知識の出題数が減り、諸法令の出題数が増えることも十分に考えられます。上記の出題数はあくまでも目安として考えてください。

1-2.合格基準点

基礎知識科目では、「6問/14問(24点/56点)」の正解が合格基準点として設定されています。合格基準点に達しなければ、たとえ法令科目が満点でも合格はできません。

★行政書士試験の合格基準点

次の要件のいずれも満たした者を合格とする。
(1) 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者
(2) 行政書士の業務に関し必要な基礎知識科目の得点が、24点以上である者
(3) 試験全体の得点が、180点以上である者

とはいえ、基礎知識科目の合格基準点落ちを過度に恐れる必要はありません。

正答率の高い問題が多いため、しっかりと勉強をしていれば、合格基準点を下回る可能性は低いです。合格基準点落ちに怯える科目ではなく、積極的に得点を稼ぎにいく科目と考えておきましょう。

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1-3.問題の難易度

基礎知識科目の大きな特徴は、総じて問題の難易度が低めであることです。

一見すると、範囲が広く、膨大な学習が必要に思えるかもしれません。しかし、実は「民法、行政法」と比べて、はるかに浅い知識しか問われません。

実際、2019年以降の本試験では、受験生の平均点が「36点以上/56点(9問以上正解/14問)」というケースが続いています。テキストで重点的に扱われていないのに、受験生の正答率が高い問題も多いです。新聞やニュースに日頃から触れている受験生であれば、特別な対策をしなくてもある程度は正解できるでしょう。

2.基礎知識(旧:一般知識)の目標点数は「9問/14問」以上

基礎知識科目では、最低でも「9問/14問」以上を目標にしましょう。一見高そうに感じますが、決して難しい得点ではありません。

科目ごとの目標点数(正解数)は次のとおりです。

科目目標正答数
一般知識2問/5問
諸法令
(※行政書士法等
行政書士業務と
密接に関連する
諸法令)
2問/2問
情報通信・
個人情報保護
3問/4問
文章理解2〜3問/3問
合計9問/14問

基本的には、「諸法令」「個人情報保護」「文章理解」で得点を稼ぎつつ、「一般知識」「情報通信」で逃げ切るというイメージで進めていきましょう。

「諸法令」と「個人情報保護」は、基礎知識科目の中でも対策がしやすい科目です。どちらも条文ベースの知識が問われるため、勉強すれば確実に正解できます。

文章理解も正答率が9割を超えるような問題が中心なので、最低でも2問、できれば3問(全問)正解したいところです。

なお、インターネット上では、「基礎知識科目は、とにかく合格基準点(6問/14問)を突破することが大切だ」という声が見られますが、これはやや古い知識です。

確かに、数年前まではこのイメージが該当していました。問題の難易度が今より高く、出題科目も対策のしづらい「一般知識(政治・経済・社会)」が中心だったからです。

しかしここ数年は、合格基準点落ちに怯える科目ではなく、むしろ得点源とするべき科目へと傾向が変わっています。最低でも「9問/14問」、できれば「10問/14問」以上を目指して対策を進めましょう。

3.【改正1年目の結果は?】2024年本試験「基礎知識」の分析

2024年試験は「一般知識等」から「基礎知識」へと改正された初めての試験でした。どのような出題だったのか、出題テーマ、正答率などのデータを確認してみましょう。

 正答率科目テーマ
問4784.1%一般知識政治
問4886.8%一般知識中東およびパレスチナ
問4938.9%一般知識日本円の外国為替
問5081.2%一般知識日本における外国人
問5176.5%一般知識ジェンダー
問5287.0%諸法令行政書士法
問5397.0%諸法令住民基本台帳法
問5441.4%情報通信デジタル環境での情報流通
問559.7%情報通信欧米の情報通信法規制
問5651.2%情報通信デジタル庁
問5759.3%個人情報保護個人情報保護法
問5896.3%文章理解空欄補充
問5995.9%文章理解文章整序
問6093.4%文章理解短文挿入

(出典:2024年度 行政書士本試験分析会|伊藤塾)

改正1年目の2024年試験では、一般知識から5問、諸法令から2問、情報通信・個人情報保護から4問、文章理解から3問の出題でした。

最も特徴的なのは、正答率80%以上の問題だけで8問を占めていることです。つまり、これらの問題を確実に得点するだけで、合格基準点の6問はクリアできるのです。正しい対策ができていれば基準点落ちになるケースは少ないでしょう。

「9問/14問」以上という目標点数を取ることも、決して難しくはありません。正答率7割以上の問題に正解するだけで達成できるからです。むしろ、2024年試験の難易度をベースにすれば「10問〜11問/14問」は正解したいところです。

では、基礎知識科目で確実に高得点を得るためにはどう対策すればいいのか、次章からは、基礎知識の対策ポイントを科目別に解説します。

4.「一般知識」の対策ポイント

一般知識は、政治・経済・社会・歴史などの幅広い知識が問われる科目です。大学入試の「政治経済」のようなイメージが最も近いかもしれません。

「一般知識」対策のポイントは、次の3つです。

・過去問から関連知識を広げる
・行政書士の実務を意識する
・日頃からニュースに触れる

4-1.過去問から関連知識を広げる

「一般知識」対策で大切なのは、過去問から関連分野まで知識の幅を広げることです。

例えば、過去問で「為替レート」が出題されたなら、「プラザ合意」や「日本経済の歴史」など、関連する経済知識まで学習範囲を広げましょう。

過去問で出題された項目は、形を変えて再度出題されることが多いです。単に答えを覚えるのではなく、その周辺知識まで理解することで、確実に得点力をアップできます。

4-2.行政書士の実務を意識する

「一般知識」の問題は、行政書士の実務に関わる内容からも出題されます。

2024年試験でも、外国人の在留資格に関する内容が「一般知識」として出題されました。これは正に、行政書士が実務で関わる社会問題を意識した出題でしょう。

日頃から、「なぜこの知識が行政書士に必要なのか」という視点で学習すると、出題の意図が理解しやすくなります。

4-3.日頃からニュースに触れる

「一般知識」は、政治・経済・社会・時事問題と幅広い範囲から出題されます。日頃から新聞やニュースに触れる習慣をつけることも大切なポイントです。

2024年の試験でも、為替問題や中東情勢、ジェンダー問題など、社会的に注目されているテーマが出題されました。そして、中には「こんな大事件があったら、ニュースになっているはずだ…でも見たことがない…ということは誤っている」といった、常識的な判断だけで解ける問題が少なくありませんでした。

細かな点を覚えていなくても、日頃からニュースに触れていたことで正解できた受験生も多かったはずです。試験直前だけでなく、普段の生活で時事問題に関心を持つことが、効果的な試験対策となるのです。

5.「諸法令」の対策ポイント

「諸法令」は、行政書士が実務上関わる法律に関する基本的な知識が問われる科目です。

出題の中心は「行政書士法・住民基本台帳法・戸籍法」だとされていますが、2024年試験では、行政書士法と住民基本台帳法の2科目しか出題されませんでした。

2025年以降どうなるかは不明なので、「行政書士法」を最優先に取り組みつつ、住民基本台帳法・戸籍法も並行して対策するのが良いでしょう。

試験対策のポイントは次の2つです。

・条文ベースの勉強をする
・平成17年以前の過去問で引っかけポイントを把握する

5-1.条文ベースの勉強をする

「諸法令」で最も重要なのは、条文をしっかりと読み込むことです。

2024年の試験で出題された問題も条文の知識が問われる内容でした。条文ベースの勉強をしていた方なら確実に得点できたはずです。

因みに、行政書士法や戸籍法はそもそも専門の研究者が少ない分野です。民法や行政法のように深い知識を持つ試験委員が少なく、専門的な解釈論よりも、条文そのものの知識が直接問われる傾向が強いと言われています。

そうすると、今後も条文ベースの出題が中心となる可能性は高いでしょう。「ここが問題になりそうだ」というポイントを意識しながら条文を読み込んでいくことで、確実な得点が期待できます。

5-2.平成17年以前の過去問で引っかけポイントを把握する

「諸法令」は2024年から新設された科目です。しかし、実は平成17年以前の試験では一般知識等科目として、「行政書士法」などの法令が出題されていました。

平成18年以降出題されなくなっていましたが、当時の過去問を解けば、引っかけポイントのイメージは掴めるはずです。例えば、「行政書士会ができること」と「日本行政書士会連合会ができること」の違いなどは、最も狙われやすいポイントです。

平成17年以前の過去問や、受験指導校の演習などを通じて、これらの引っかけパターンに慣れておきましょう。

6.「情報通信・個人情報保護」の対策ポイント

「情報通信・個人情報保護」も、対策すれば確実に得点できる科目です。

次の3つのポイントを押さえて、対策を進めましょう。

・「情報通信」では基本的なIT用語や生成AIの知識を押さえる
・「個人情報保護法」は重要な部分に絞って対策する
・デジタル行政に関する知識を学ぶ

6-1.「情報通信」では基本的なIT用語や生成AIの知識を押さえる

情報通信では、基本的なIT用語や最新のデジタル技術に関する知識が問われます。

例えば、2024年試験でも、生成AIに関する用語「ハルシネーション(AIが間違った情報を正しいように見せる現象)」を問う問題が出題されました。

正答率は高くありませんでしたが、生成AIに親しんでいる受験生なら対策しなくても正解できる問題でした。今後もこうした新しい技術に関する用語が出題される可能性はあります。

すべての用語を網羅することは難しいですが、ニュースなどで目にする代表的なIT用語や、過去問で出題された用語は、最低限押さえておきましょう。インターネットで検索してざっと目を通しておくだけでも効果があります。

6-2.「個人情報保護法」は重要な部分に絞って対策する

個人情報保護法については、以下の4つの内容を重点的に学習しましょう。

・法律の目的(趣旨)
・個人情報、個人データ、保有個人データの定義
・それぞれの規制内容
・適用除外

個人情報保護法は条文が複雑ですが、これらのポイントに絞って学習するだけでも、安定的な得点が期待できます。法令科目と同じスタイルで、条文ベースの対策を行いましょう。

6-3.デジタル行政に関する知識を学ぶ

近年、行政のデジタル化が進み、デジタル庁の設置など新たな動きがあります。これらに関する基礎知識も出題されます。

2024年試験でも「デジタル庁」に関する問題が出題され、比較的高い正答率(51.2%)となりました。日頃から、デジタル行政に関する最新のニュースや政策に関心を持ち、基本的な制度や取り組みについて理解しておくことが必要です。

特に、行政手続きのオンライン化やマイナンバー制度などは行政書士の実務にも関わる内容なので、しっかり押さえておきましょう。

7.「文章理解」の対策ポイント

「文章理解」は、基礎知識の中でも最も正答率の高い科目です。試験対策としては、次の3つのポイントを意識しましょう。

・継続的な読解力トレーニングを行う
・時間配分に注意する
・要約力を鍛える

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7-1.継続的に読解力のトレーニングを行う

得手不得手がはっきりした科目なので、まずは過去問などを解いてみて、自分は文章理解が得意なのか、そうでないのかを確認するといいでしょう。

そのうえで、苦手意識を感じた方は、毎日少しずつトレーニングを積み重ねていくことが大切です。文章理解の力は一朝一夕には身につきません。1日10分でも良いので、文章理解の問題を解く習慣をつけましょう。高校や大学受験の現代文の問題集なども活用できます。また、新聞や雑誌の社説、専門書、憲法の判例など、さまざまな文章に触れることで、複雑な論理展開にも慣れることができます。

7-2.時間配分に注意する

「文章理解」では、時間をかけすぎないことが大切です。

正答率が高いからと言って時間をかけすぎると、他の科目の解答時間が足りなくなる恐れがあります。「1問あたり5分」程度を目安に解きましょう。

コツは、最初に問題文を読むときは、全体の流れを把握することに集中し、細部にこだわりすぎないようにすることです。問題によっては、選択肢を先に確認してから文章を読む方法も有効でしょう。

決められた時間内に解く訓練をすることで、本番でも慌てずに対応できるようになります。

「時間との勝負」という意識を持って取り組みましょう。

7-3.要約力を鍛える

「文章理解」で高得点を取るには、要約力を鍛えることも効果的です。

例えば、憲法の判例を読み、その要点を自分の言葉でまとめる練習をしてみましょう。200字から300字程度で要約することで、文章の論理構造を把握する力が身につきます。

行政書士とは、結局のところ「文書を作る仕事」に他なりません。文章力を鍛えることは試験対策だけでなく、将来の実務でも必要なのです。

「何が(誰が)」「どうした」という主語と述語の関係を明確にしながら、文章の骨格をつかむトレーニングを行いましょう

※行政書士の勉強法についてはこちらにて詳しく解説しています。

8.まとめ

最後に、記事のポイントをまとめます。

1.行政書士試験の「基礎知識」科目とは
「基礎知識」は2024年から名称変更された科目で、「一般知識」「諸法令」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の4科目から計14問が出題されます。合格基準点は「6問/14問」の正解ですが、問題の難易度は総じて低めで、正答率も高い科目です。

2.目標点数は「9問/14問」以上を設定すべき
合格基準点は6問ですが、最低でも9問以上の正答を目標にすべきです。「諸法令」「個人情報保護」「文章理解」で確実に得点し、「一般知識」「情報通信」で補完するイメージで対策を進めましょう。以前は「合格基準点を超えることが大切」と言われていましたが、ここ数年は「得点源とするべき科目」に変わっています。

3.「一般知識」と「情報通信」は日常的に触れることが大切
これらの科目は範囲が広いため、試験対策だけで全てを網羅することは難しいです。
勉強として捉えるのではなく、日常的にニュースや情報に接することを心がけましょう。常識的な判断で解ける問題もあるので、基本的な知識を確実に押さえることが大切です。

4.「諸法令」と「文章理解」は確実に得点を狙える科目
「諸法令」では、条文ベースの勉強を行い、平成17年以前の過去問で引っかけポイントを把握しましょう。条文をしっかり理解していれば確実に得点できます。
「文章理解」も正答率が高い科目ですが、時間配分に注意が必要です。苦手意識のある方は、継続的な読解力トレーニングを行い、1問あたり5分を目安に解くトレーニングを積みましょう。

以上です。

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伊藤塾 行政書士試験科

著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。