宅建の登録実務講習とは?落ちた人もいる?登録講習との違いも解説!

基本情報

2025年08月27日

「宅建の登録実務講習って何?」
「登録講習とは違う講習?」
「落ちる人もいる?」
「合格したら、すぐに宅建士になれるんじゃないの?」

こんな疑問をお持ちではありませんか?

「登録実務講習」は、宅建士に必要な実務経験の代わりとなる講習です。受講しないと宅建士になれない人も多いため、試験に合格する前から、全体像をきちんと理解しておくことが必要です。

難しい講習ではないものの、油断していると落ちてしまうケースも…

自分は「不動産会社で働いていたから関係ない!」という方も、少しお待ち下さい。残念なことに、「自分の勤務経験が、必要な実務経験として認められなかった」というケースも、意外と少なくないのです。

そこで、この記事では、

 ◉ 宅建の登録実務講習の概要
 ◉ 講習の流れや、具体的な内容
 ◉ 必要な実務経験をカウントするための注意点

について解説します。

今から合格後の流れを知っておけば、試験勉強のモチベーションも、より一層アップさせることができるでしょう。

※宅建士の資格の詳細については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【完全版】宅建とは?試験の詳細や宅建士の仕事内容など資格のすべてを徹底解説!

1.宅建の登録実務講習とは?

宅建の「登録実務講習」は、宅建士に必要な実務経験が不足している合格者が受けるべき講習です。実は、宅建士を名乗るためには、試験合格以外にも「2年間の実務経験」が必要とされてます。

知識だけでは、不動産業の専門家としては認められないということですね。もっとも、宅建業未経験者でもチャレンジできる宅建士試験では、実務経験が全くない合格者も多いのが実際のところ。

では、せっかく宅建士試験に合格しても、宅建業で働いたことがなければ、宅建士を名乗ることはできないのでしょうか?

もちろんそんなことはなく、「登録実務講習」を受講することで、「2年間の実務経験」がなくても、宅建士として登録することが認められます。つまり「登録実務講習」は、「宅建士として必要な実務能力を身につけるための講習」といったイメージで捉えておくのがよいでしょう。

1-1.宅建合格後の流れ

1-2.2年以上の実務経験とは?

ここで注意したいのが、不動産業界で働いていても「2年間の実務経験」として認められない場合があることです。宅建士に必要な実務経験としてカウントされるには、次のような条件を満たしている必要があるからです。

・実務経験先である宅地建物取引業者に備え付けている「従業者名簿」に氏名等が載っていること(他の仕事を兼務している期間や、昼間部の学生である期間は認められない)
・免許を受けた宅地建物取引業者として、取引に関する具体的な業務を行っていること  (宅地建物取引業者の従事者としての顧客への説明、物件の調査など)
・主たる業務が宅地建物取引業であること
・宅地建物取引業の取引実績があること

よくあるのが、不動産会社で働いてはいたものの、「受付や秘書」、「総務関係(人事、経理、財務等)」などの、一般的な管理業務しか行っていなかったケースです。

この場合、いくら不動産会社で勤務している期間が長かったとしても、必要な実務経験としては認められない可能性があります。これに気づかず、「登録実務講習」の受講を見送ってしまうと、宅建士としてデビューすることができなくなってしまうため、十分に注意しましょう。

2.登録実務講習の内容

登録実務講習で学習する内容は、以下のとおりです。

科目時間実施方法
宅地建物取引士制度に関する科目1時間通信講座が多い
宅地又は建物の取引実務に関する科目37時間通信講座が多い
取引実務の演習に関する科目12時間スクーリング


実際には、宅建士実務で必須になる「契約書」や「重要事項説明書」の作成に関する内容が、講義内容の中心となります。必要なテキストや資料を参考にしつつ、実際に「契約書」や「重要事項説明書」を作れるようになることが、登録実務講習の目的だといえるでしょう。

最後に実施される修了試験では、与えられた事例に対して、実際に「契約書」や「重要事項説明書」を作成する問題も出題されます。どちらも、宅建士として活躍するためには、当然のように求められるスキルです。実務で使えるよう、しっかりと学習していきましょう。

3.登録実務講習の流れ

次に、登録実務講習の流れについて見ていきましょう。登録実務講習は、以下のような流れで実施されます。

1.通信講座(1ヶ月間程度)
2.スクーリング(1〜2日)
3.修了試験

「通信講座」と「スクーリング」で「合計50時間程度」の講義を受講し、最後に修了試験に合格することで講習修了となります。それぞれ説明します。

3-1.通信講座(1ヶ月間程度)

登録実務講習の第1ステップは、通信講座です。

登録実務講習実施機関に申し込みを行い、教材が送られてくることで、講習がスタートします。通信講座で使われる教材は、実施機関によって異なるものの、「テキスト」「問題集」「DVD」等の教材が準備されていることが一般的です。

通信講座では、1ヶ月程度の期間で「38時間」の講義を受講する必要があります。受講スケジュールの指定はないため、空いた時間を活用し、ゆとりをもったスケジュールで学習を進めていきましょう。

3-2.スクーリング(1〜2日程度)

通信講座の受講が終わったら、スクーリングに進みます。

スクーリングでは、講師1名に対して、受講生20人以下で対面講義が実施されます。講義時間は「12時間」。法律で決められているため、実施機関による違いはありません。

一方、スクーリングのスケジュールは実施機関によって異なっており、「1日コース」で「12時間」の講義全てが実施される場合もあります。ただし、かなり大変なスケジュールとなることが予想されるため、自信がない場合は避けるのが無難かもしれません。

スクーリングで受講する内容は、修了試験の合否にも直接影響してきます。修了試験合格に向けて、集中して受講しましょう。

3-3.修了試験

最後に「修了試験」に合格すれば、登録実務講習は修了となります。

修了試験の合格ラインは「80%」。これも法律で決められているため、実施機関による違いはありません。なお、修了試験では記述式の問題も出題されますが、スクーリングで使用したテキストを使用しながら、回答を作成することができます。

スクーリング中には、講師から修了試験に関するヒントが与えられる場合も多いです。講師が説明した箇所にマーカーを引いたり、付箋を貼ったりしながら、スクーリングを受講しておくと、修了試験にスムーズに合格することができるでしょう。

4.登録実務講習に落ちることはある?

登録実務講習を受講する際、最も気になるのが「修了試験に落ちることはあるのか」という点です。結論からいうと、登録実務講習の修了試験に合格できず、講習を修了できないケースはあります。ただし、きちんと講習を受けていれば、修了試験に合格できない可能性は低いでしょう。

実際、殆どの合格者は無事に講習を修了し、宅建士としてデビューしています。登録実務講習で学ぶ内容は、宅建士の実務でも必要になる知識やスキルばかりです。

大切なのは、登録実務講習を単なる通過儀礼と考えるのではなく、宅建士として必要な知識を身につける重要な機会だと捉えることです。講習に真摯に取り組み、必要な知識やスキルをしっかりと身につけて、宅建士としてのスタートを切りましょう。

5.よくある質問

最後に、よくある質問について回答します。

よくある質問
・合格後いつまでに受講する必要がある?
・登録実務講習の費用はどれくらい?
・登録講習とは違うの?

それぞれ見ていきましょう。

5-1.合格後いつまでに受講する必要がある?

合格後、登録実務講習を受講するまでの期限は、特に設定されていません。

そのため、合格後すぐに受講しなくても、合格が無効になったりするようなことはありません。ただし、合格後1年を超える期間が経過してしまうと、資格登録後に「法定講習」という別の講習を受講する必要が出てきます。

せっかく試験に合格しても、資格登録していないと「宅建士」を名乗ることもできないため、できる限り早めに受講するのが望ましいでしょう。

※法定講習とは?
合格後1年を超えている場合の「宅地建物取引士証」の交付や、5年毎の更新をする場合に必要となる講習のこと。

5-2.登録実務講習の費用はどれくらい?

実施機関によって異なるものの、概ね「2万円」前後となることが一般的です。

なお、宅建士と登録するには、他にも

・資格登録手数料(37,000円)
・取引士証交付申請手数料(4,500円)

等の費用が必要になります。ある程度まとまった金額が必要になるため、事前に準備しておきましょう。

5-3.登録講習とは違うの?

名称が似ているため、混同されやすいですが「登録講習」と「登録実務講習」は全く異なる講習です。

※「登録講習」と「登録実務講習」の違い

 受講するタイミング効果
登録講習試験前宅建試験の科目が一部免除される
登録実務講習試験合格後必要な実務経験の代わりになる


※宅建士試験でメリットが大きい「登録講習」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士試験の合格率はなぜ低い?合格点や難易度をデータをもとに徹底解説!

6.まとめ

この記事では、

 ◉ 登録実務講習の概要や位置づけ
 ◉ 講習で学ぶ内容や講習の流れ
 ◉ 実務経験をカウントする際の注意点
 ◉ 登録実務講習と登録講習の違い

についてお伝えしました。

登録実務講習は、実務経験が不足している受験生が、宅建士としてデビューするために欠かせない講習です。事前に登録実務講習について理解しておくと、宅建合格後の準備にもスムーズにとりかかることができるでしょう。

もしも、その前に「宅建士試験の合格自体が難しいかも…」と感じている方は、法律専門指導校である伊藤塾にご相談ください。

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宅建士試験にチャレンジしたい方は、ぜひ伊藤塾で一緒に頑張りましょう。

※こちらも併せてお読みください。
→ 宅建の通信講座はなぜ伊藤塾がおすすめなのか?宅建士合格講座の魅力を徹底解説

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伊藤塾 宅建士試験科

著者:伊藤塾 宅建士試験科

伊藤塾宅建士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、宅建士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。