行政書士試験にテキストはいらない?学習段階別の正しい活用法を解説

勉強法

2026年02月18日

「行政書士試験でテキストはいらない」
SNSなどでこんな声を見かけたことはありませんか?
「過去問をひたすら解いて合格できるなら、分厚いテキストを読み込む必要はないのでは?」
そう考える方もいらっしゃることでしょう。

しかし、結論から言うと、行政書士試験に合格するにはテキストが必要です。

本試験を分析すると分かりますが、過去問の知識だけでは合格点に届くことはできません
年度によっても違いますが、過去問演習だけで取れるのは「110〜120点程度」が限界です。それ以上を目指すなら、テキストを使った体系的な学習が求められます。

そこで本記事では、「テキストはいらない」と言われる理由を解説したうえで、学習段階ごとの正しいテキストの使い方を紹介していきます。正しいテキストの読み方、問題の解き方を解説した動画もありますので、こちらもぜひご覧ください。

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【目次】

1. 行政書士試験に受かるにはテキストが必要

冒頭でもお伝えしましたが、行政書士試験に受かるにはテキストが必要です。
SNSなどでは「行政書士試験はテキストなしでも合格できる」という声が散見されますが、行政書士試験はそれほど甘くありません。

1-1. 過去問の知識だけで取れる点数は、110点〜120点が限界

「テキストはいらない」という主張は、多くの場合「過去問をひたすら回せば受かる」という意味で使われています。つまり、テキストで体系的に学ばなくても、過去問の知識だけで合格できるという考え方です。

では、本当に過去問だけで合格点に届くのか。
前提として、行政書士試験は、択一式・多肢選択式が240点、記述式が60点の計300点満点です。合格点は180点ですが、記述式は合格者でも30点前後にとどまることが多いため、択一式で最低でも150〜160点は確保したいところです。

しかし一方で、択一式の本試験を分析すると、過去問で出題された知識だけで得点できるのは毎年110点〜120点程度しかありません。これでは、記述式で満点近く取らない限り合格できない計算になります。

この点を行政書士試験のメイン科目である民法・行政法で確認してみましょう。

① 【民法】過去問知識だけで解ける問題は2〜4問程度

民法の場合、過去問知識だけで解けるのは2〜4問程度の年がほとんどです。全9問出題されるうち、半分以上は過去問だけでは対応できません。

【民法】過去問知識のみで正答可能な問題の数

 問題数肢数
2025年4問18肢/45肢
2024年2問14肢/45肢
2023年6問21肢/45肢
2022年3問17肢/45肢
2021年3問15肢/45肢
2020年2問15/45肢

出典:伊藤塾YouTube「2025(令和7)年度 行政書士 本試験分析会 2日目

行政書士試験に合格するには、民法で最低でも5問は正解したいところです。過去問演習だけでは、民法で安定した得点を確保するのは難しいことが分かります。

② 【行政法】毎年4〜6問は過去問だけでは対応できない

行政法の場合、過去問と「同じ知識」で解けるのは7〜13問(19問中)で約4〜7割です。
民法より過去問でカバーできる範囲が広いものの、それでも毎年4〜6問は過去問だけでは対応できません。

【行政法】過去問知識のみで正答可能な問題の数

 2023年2024年2025年
過去問と同じ知識
で解ける問題
7問11問13問
過去問の関連知識
で解ける問題
6問4問2問
過去問だけでは
対応できない問題
6問4問4問

出典:伊藤塾YouTube「2025(令和7)年度 行政書士 本試験分析会 1日目

本試験で合格するには、行政法で最低でも「15〜16問(19問中)」を安定的に正解することが必要です。過去問だけでは、合格レベルには届かないことが分かります。

ここでは民法・行政法の2科目のみを取り上げましたが、憲法・商法・基礎知識といった他の科目でも同様の傾向が見られます。また、商法などはそもそもしっかりと対策できている人自体が少ない科目です。

全科目を合わせて分析すると、大体どの年でも、過去問知識だけで得点できるのは110点〜120点あたりが限界という結果になります。

択一式で150〜160点を目指すには、過去問知識に加えて40〜50点分の上乗せが必要であり、それを補うのがテキスト学習なのです。

※民法・行政法の勉強法については、以下の記事で詳しく解説しています。

1-2. なぜ行政書士試験で「テキストはいらない」と言われるのか

これは、ある程度までは、実際に過去問中心の勉強で点数が伸びるからです。
特に、学習の初期段階では、確かに「テキストよりも、過去問をやるべき」という意見の方が正しいともいえます。テキストばかり読んでいても得点は伸びませんし、テキストを用いたインプットよりも、過去問を中心としたアウトプットの方が学習効率が高いケースが多いからです。

しかし、学習の中期〜後期の段階になると、今度は過去問よりも「テキストの読み込み」の方が重要になります。

「過去問を10周したけど、本試験で解けなかった…」
「本試験で見たことがない問題ばかり出題される…」

こういったところで伸び悩みを感じるのは、この「過去問を主体とした勉強」から「テキストを主体とした勉強」への切り替えがうまくいっていないからです。

実際に合格者を見ていても、この切り替えができたことがきっかけで、一気に得点力が上がったという人は多いです。

合格者の声 
一井 京介さん(2022年 行政書士試験合格)

私はリベンジ組だった為、新しいことを覚えるという感じではありませんでしたが、 講義を受ける事によって「過去問の使い方」と「テキストを基準とした学習」というのが前年と大きく違う点でした。
最初の頃は直接問題を解く力が上がったと実感できたわけではありませんでしたが、後半になるにつれ知識に深みが増し一つ一つ知識が繋がっていく感覚を覚えました。
そして10月に行われた2回目の公開模試の段階では、前年より明らかに実力が数段上がっていることを実感することができました。

では、具体的にどのタイミングで、どのようにテキストを使えばよいのか。次章では、学習段階ごとのテキストの正しい使い方を説明していきます。

2. 行政書士試験に受かるための正しいテキストの使い方

テキストの使い方は、大きく3つの段階に分けて考えると効果的です。

● 第1段階:理解を重視してテキストを読む
● 第2段階:記憶すべき点を意識して読み込む
● 第3段階:記憶の仕方を考えながら読む

第1章で説明したとおり、初期段階では過去問中心の学習が効果的です。ただし、過去問だけでは体系的な理解が得られないため、テキストも並行して使います。
以下で、各段階でのテキストの使い方を詳しく説明していきます。

2-1. 【第1段階】理解を重視してテキストを読む

まずは勉強の初期段階です。この段階では、「理解」を重視してテキストを読むことが大切です。
「理解」といっても、完璧に分かる必要はありません。あくまで「書かれていることが分かればいい」くらいの感覚で読むのがポイントです。

このとき大切にして欲しいのが、テキストの全体像を把握すること。細かい論点は飛ばしても構わないので、「どこに何が書いてあるのか」「どういうことを勉強するのか」という全体像を掴むことを意識しましょう。

並行して過去問演習も行いますが、この段階では過去問を解けるようになる必要はありません。「解く」のではなく「読む」ようなイメージで、「どのような問われ方がされるのか」を意識しながら進めてみてください。

合格者の声 
林 愼一郎さん(2023年 行政書士試験合格)

過去問は読み物としてあくまでもテキストの理解度を図る教材として活用しまして、テキストを何回も繰り返して読みました。何回もテキスト読みをしているうちに理解度が深くなったのか、条文もスーッと頭に入ってくるようになった気がしました。

2-2. 【第2段階】テキストで記憶すべき点を意識して読み込む

テキストの全体像が分かってきたら、次は記憶すべきポイントを意識しながら読み込みます。
ここで大切なのは、テキストの情報を全部覚えようとしないこと。テキストに載っている情報のうち、試験で直接問われるのは一部だけだからです。
前提として、テキストの情報は、大きく以下の4つに分けられます。

概略その章で何を学ぶのか
という導入部分
説明制度の趣旨や背景など、
理解するための前提知識
具体例「たとえば〜」という形
で示される身近な事例
記憶
すべき点
要件、効果など、
試験で直接問われる情報

このうち、試験で出題されるのは「記憶すべき点」だけです。概略・説明・具体例は、記憶すべき点を理解し覚えやすくするための情報に過ぎません。

たとえば、制度趣旨を押さえていれば、細かい要件を忘れても「この制度はこういう目的だから、こうなるはず」と推測できるようになります。同じように、具体例があれば、抽象的なルールも「あの場面で使う話だな」とイメージしやすくなり、記憶に残りやすくなります。

では、どうやって「記憶すべき点」を見分けるのか。このとき手がかりになるのが過去問です。過去問で繰り返し聞かれている部分こそが、テキストで押さえるべきポイントになります。

過去問で押さえるべきポイントを掴んだら、そこを重点的に読み込んでいきましょう。

2-3. 【第3段階】記憶の仕方を考えながら読む

記憶すべきポイントが把握できたら、いよいよ本格的に覚える段階です。
第2段階までは「どこを覚えるか」を把握することが中心でしたが、ここからは実際に記憶へ定着させていくことが目標となります。

ここで多くの受験生がやりがちなのが、「とにかく繰り返し読んで覚えよう」とすること。しかし、これではなかなか頭に入りません。大切なのは、「どうやったら思い出せるか」を考えながら読むことです。

たとえば、

・ストーリー立てにして覚える
・似ているものは比較しながら覚える(聴聞と弁明など)
・語呂合わせを使う

のように方法は何でも構いません。自分に合ったやり方で、「どうやったら思い出せるか」を考えながら読んでいきましょう。

知識が定着していくと、初見の問題でも「この論点はあの話と関係があるな」と判断できるようになり、正答率が安定してきます。

3. テキスト「のみ」でも行政書士試験には合格できないので注意

ここまで、テキストの正しい使い方を紹介してきました。
一方で、「テキストはいらない」という考えと同じくらい危険なのが、「テキストだけ読んでいればいい」という考えです。

模試や過去問演習で「あ、これやったのに…何だっけ?」となった経験はないでしょうか。
テキストを見れば分かるのに、何も見ずには思い出せない。これは、インプットばかりでアウトプットが足りていない状態です。知識を得点に変えるには、アウトプットによって「思い出す練習」を繰り返す必要があります。

勉強しているのに得点が伸びないという人は、インプットかアウトプットか、どちらかに偏った勉強をしていることが多いです。

  • テキストばかり読んで、過去問演習に手を付けていない
  • 過去問だけを10周、20周と繰り返し、テキストに戻らない

これはどちらも偏った勉強法です。そうではなく、テキストと過去問を何度も往復しながら、インプットとアウトプットを繰り返すこと。「テキストはいらない」でもなく、「テキストだけ」でもなく、両方をバランスよく回していくことが大切です。

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4. 行政書士試験を目指すなら伊藤塾がおすすめ

ここまで、テキストの正しい使い方とアウトプットの重要性をお伝えしてきました。
とはいえ、「テキストのどこを覚えればいいか分からない」「自分の勉強法が正しいか不安」という方も多いのではないでしょうか。独学でテキストと過去問を行き来しながら、正しい勉強を続けるのは想像以上に大変です。

そこでおすすめしたいのが、伊藤塾の「行政書士合格講座を活用し、短期合格に最適化されたカリキュラムで勉強することです。

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伊藤塾は2002年の行政書士試験合格講座の開講以来、累計6,200人を超える行政書士を輩出してきた法律資格専門の指導校です。合格者占有率90.6%の最難関試験・司法試験を始めとして、司法書士試験など、法律系資格で圧倒的な実績を誇っています。

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5. 行政書士試験のテキストの使い方に関するよくある質問

Q. 市販のテキストが複数あって迷っています。途中で別のテキストに切り替えても良いでしょうか?

A. 原則として、一度決めたテキストを最後まで使い抜くことを強くおすすめします 。 「テキストを主体とした勉強」で大切なのは、知識の場所を「視覚的」に覚えるほど読み込むことです 。頻繁にテキストを変えると、情報の掲載位置や構成が変わり、記憶の定着を妨げてしまいます。もし今のテキストが合わないと感じても、まずはその1冊を完璧に理解・記憶することに集中しましょう。

Q. 「テキストを読み込む」際、具体的に何周くらいすれば合格ラインに届きますか?

A. 回数よりも「質」と「段階」が重要ですが、合格者の多くは少なくとも5周以上は反復しています 。 第1段階では全体像の把握、第2段階では要件・効果の選別、第3段階では理由付けとセットで記憶、というように、周回ごとに目的を明確にすることが合格への近道です 。単に文字を追うのではなく、各段階のポイントを意識して繰り返してください。

Q. 過去問の正答率が上がっているのに、模試や予想問題になると解けません。何が原因でしょうか?

 A. それは「過去問の答え」を暗記してしまい、内容を「理解」できていない典型的なサインです。 記事にある通り、過去問知識だけで取れるのは110〜120点が限界です 。未知の問題に対応できないのは、テキストに戻って「制度の趣旨(なぜこのルールがあるのか)」や「体系的な位置づけ」を確認する作業が不足しているためです。過去問を解く際も、「なぜこの肢が間違いなのか」をテキストの記述に基づいて説明できるかチェックしてみてください。

Q. 六法(条文)は、テキストとは別に読み込む必要がありますか?

A. はい、テキストと並行して条文を確認する習慣をつけるべきです。 テキストは条文を分かりやすく噛み砕いて解説していますが、本試験の択一式や記述式では、条文そのものの文言が問われます 。テキストで制度を理解(第1・2段階)したら、必ず根拠となる条文に立ち返り、テキストの知識と条文を紐付けて記憶する(第3段階)ようにしましょう。

Q. 記述式対策として、テキストのどの部分を重点的に覚えればいいですか?

A. テキストの「記憶すべき点」として挙げられている「要件」と「効果」を、自分の手で書き出せるまで徹底しましょう 。 記述式は、特定の事例に対して「どの条文の・どの要件に当てはまり・どのような法的効果が生じるか」を40字程度でまとめる試験です。第3段階で解説している「制度の理由(趣旨)」を理解しておくと、初見の事例でも「どの要件を書くべきか」を現場で判断できる能力が養われます 。

6. 【まとめ】行政書士試験の学習におけるテキストの活用法

本記事では、行政書士試験におけるテキストの重要性と、学習の進捗に合わせた正しい活用法について解説しました。
以下にポイントをまとめます。

  • 過去問だけでは合格点に届かない
    本試験において、過去問の知識だけで解ける問題は110〜120点程度にとどまります。合格に必要な180点(特に択一式での150〜160点)を確保するためには、テキストを用いた体系的な学習による知識の上乗せが不可欠です。

  • 学習段階に応じてテキストの読み方を変える
    テキストは漫然と読むのではなく、以下の3段階で活用することが効果的です。
    1. 初期:細かい論点は飛ばし、全体像の「理解」を優先して読む。
    2. 中期:過去問で問われている箇所を手がかりに、「記憶すべき点(要件・効果)」を絞り込む。
    3. 後期:語呂合わせや関連付けなど、「どうやったら思い出せるか」を意識して記憶に定着させる。

  • テキストと過去問の往復が鍵
    「テキストだけ」「過去問だけ」といった偏った学習では点数は伸びません。両者を何度も往復し、インプットとアウトプットを繰り返すことで、知識が得点力へと変わります。

行政書士試験の膨大な範囲の中から「試験に出る、記憶すべき箇所」を的確に見極め、独学でテキストと過去問をバランスよく往復し続けることは、決して容易なことではありません。

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伊藤塾 行政書士試験科

著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。