「公務員試験に落ちたらどうしよう」の不安を乗り越える4つの選択肢

基本情報

2025年09月12日

「公務員試験に落ちたらどうしよう…」と不安な方は多いのではないでしょうか?

・新卒で公務員試験を目指している方
・今の会社を辞めたくて、働きながら必死で公務員を目指している方
・仕事を辞めて、公務員試験に集中している方

様々な立場の方がいますが、本気で頑張っている人ほど、大きな不安を抱えているはずです。

その不安は、おそらく採用まで消えることはありません。
筆記試験で高得点をとっても、面接の結果が良くても、その都度新たな心配が湧き出てくるからです。

これを払拭したいなら、「もしも落ちたらどうするか」を考えてみるしかありません。

「万が一落ちても人生が終わるわけではない」
「努力が別の形で実を結ぶ可能性もある」

これが分かるだけでも、心はかなり楽になるはずです。
そこで、本記事では次の点を取り上げました。

◉この記事を読んで分かること
・公務員試験の結果が不安な人に伝えたいこと
・万が一、落ちてしまった場合の選択肢
・公務員試験から行政書士試験への挑戦がオススメな理由

公務員試験に落ちたらどうしよう?…と不安な方は、是非ご一読ください。

 2025年合格目標 行政書士 公開模擬試験(全2回)
【期間限定割引50%OFF!】
今だけ¥6000⇒¥3000
■ 毎年、合格者や受験生から高い評価を受けている模擬試験を受験したい方
■ 業界最大規模の受験者数を誇る模擬試験で本試験をシミュレートしたい方
■ 充実した特別講義で、復習の方向性を確認したい方
★公開模試受講生限定特典★ 志水講師のオンライン質問会付き

1.「公務員試験に落ちたら…」と不安な方へ伝えたいこと

公務員試験が近づくと、「もしも落ちたらどうしよう」という不安が日に日に大きくなっていきます。

・筆記試験の直前には、「思ったような点数が取れなかったらどうしよう…」
・自己採点が終わると、「名前を書き忘れていないかな?マークシートは薄くなかっただろうか…?」
・面接が近づくと、「緊張で固まったらどうしよう?上手く答えられなかったら…」
・面接が終わっても「一発足切りになったらどうしよう…変なこと言ってしまった気がする…」 など

この不安は、おそらく採用が決まるまで無くなりません。1つのハードルを超えるたびに、また新たな心配事が湧き出てくるものだからです。

ただし、1つだけ伝えたいのは「過剰に不安になる必要はない」ということです。

公務員試験は、「努力が報われる試験」だと言われています。本番で多少失敗しても、合否が大きく変わることはないでしょう。あなたが今までしてきた努力は、決して無駄になりません。

公務員試験に集中していると、「不合格=八方塞がり」のように感じて、必要以上に不安になってしまう人も多いです。

しかし、実際にはそのようなことはないのです。万が一落ちても、公務員試験に再挑戦することもできますし、民間に就職する道もあります。

様々な選択肢を考えている内に、思わぬ九方目が見つかることもあります。過剰に不安がらず、今できることを着実にこなしていきましょう。

1-1.公務員試験に全て落ちる人の割合

公務員試験に全て落ちてしまう人の割合は、公表されていません。
参考までに、各試験の倍率を見てみましょう。

【令和5年 公務員試験の倍率】

倍率
国家公務員採用
一般職試験
(大卒程度)
2.5倍
(※官庁訪問が必要)
東京都職員
採用試験
(I類B採用試験・
行政・一般方式)
2.4倍
裁判所事務官
一般職試験
(大卒区分)
4.2倍

平均的には、どの試験種でも、2倍から4倍程度になっているケースが多いです。

国家公務員試験の場合、最終合格後に「官庁訪問・職場訪問」などで採用面接が行われるので、内定までの倍率はさらに高くなるでしょう。

そのため、複数の試験を併願しても、全ての試験に落ちてしまう人が一定数出ることは事実です。ただし、受験指導校などできちんと対策している人に限れば、そこまで多くはないと感じます。

例えば、伊藤塾本科講座受講生の場合、2024年国家一般職受験における1次試験合格率は79.3%、2次試験(最終)合格率は90.9%にも上ります。きちんと努力を重ねれば、大半の人が合格を勝ち取れているのです。
「伊藤塾の公務員試験対策講座」

2.公務員試験に落ちたらどう乗り越える?4つの選択肢

とはいえ、「公務員試験に落ちたらどうしよう…」という不安はできるだけ早く解消したいものです。不安を払拭するには、万が一不合格だった場合の選択肢を考えておくことが効果的です。

「あ、落ちても意外と大丈夫なんだな」
「公務員以外の道もありかもしれない」

これが分かるだけでも、心の負担はかなり軽くなるはずです。
では、公務員試験に不合格だった場合の選択肢を4つ見ていきましょう。

・民間企業へ就職・転職する
・公務員試験を再受験する
・大学院へ進学する
・行政書士試験に挑戦する

それぞれ詳しく説明します。

2-1.民間企業へ就職・転職する

最も一般的なルートは、民間企業へ進路を変えることです。

・新卒であれば、民間企業の就職活動を始める
・今の会社を辞めたくて頑張っていたのなら、別の会社へ転職する など

公務員試験の面接対策は、民間企業の就活でも活かせるので、経験が無駄になることはありません。SPI試験、面接試験などでも、大きなアドバンテージになるでしょう。

ただし、公務員試験の合格発表のタイミングでは、すでに募集を締め切っている企業も多いです。希望の業種・企業に行けるかは、運に左右されることになるでしょう。

「落ちたら民間企業に行く」と考えているなら、予め公務員と民間を併願しておくのがおすすめです。

※公務員試験と民間の併願は、次の記事で詳しく解説しています。
「公務員と民間の併願はきつい?おすすめする理由や成功の秘訣を解説」
「公務員と民間を併行して準備した先輩たち 」

2-2.公務員試験を再受験する

どうしても公務員になりたいなら、諦めずに再挑戦する方法もあります。
「なぜ不合格だったのか」、「何が足りなかったのか」、「次はどうすればいいのか」を見つめ直して再チャレンジすれば、翌年合格できる可能性も高くなるでしょう。

・1年間の公務員試験浪人をする
・フリーターをしながら公務員試験を目指す
・民間企業で働きながらの再受験する
・社会人経験を積んでから、社会人枠での再受験する

このように様々なアプローチが考えられます。

ただし、再受験が必ず合格につながるとは限りません。また、公務員試験浪人を続けると、民間への就職が不利になる可能性も出てきます。「自分は将来どうなりたいのか」をしっかりと考えた上で、慎重に判断しましょう。

※あわせてこちらの記事も読まれています。
 公務員試験は独学での合格は無理?独学合格のための対策や注意点を徹底解説!

2-3.大学院へ進学する

中には大学院へ進学する人もいます。学生の身分を保ちつつ公務員試験に再挑戦できる上、大学院修了後は、より専門性の高い職種への就職も可能です。

過去には公務員試験がきっかけで法律を面白いと感じ、法科大学院へ進学して弁護士になったという人もいました。人によっては、このように思わぬ道が見つかるケースもあるでしょう。

ただし学費などの金銭的負担は、非常に大きいです。あくまでも、自分の興味、経済状況など、様々な条件が揃っている場合の選択肢と言えるでしょう。

2-4.行政書士試験に挑戦する

新たな選択肢として考えたいのが、行政書士試験への挑戦です。

行政書士は、行政に関わる専門職(士業)として、独立開業も可能な資格です。公務員試験で学んだ知識が直接活かせるので、大きなアドバンテージを持って勉強をスタートできます。

そもそも、あなたはなぜ公務員になりたかったのでしょうか?公務員試験を目指した理由を、もう一度振り返ってみてください。

・激務の一般企業はイヤだ
・社会的信用のある仕事がしたい
・法律に関わった仕事がしたい
・安定感のある働き方がいい 
・人からすごいと言われる仕事がしたい
・専門的な仕事がしたい など

きっかけは様々だと思いますが、現状を変える方法は公務員試験だけではありません。

「一般企業はイヤだ」、「社会的信用のある仕事がしたい」、「法律に関わった仕事がしたい」といった理由で公務員を目指している人は、行政書士などの国家資格でも現状を変えられる可能性があります。

自分の将来について真剣に考えた結果、「実は公務員でなくても良かったんだ…」と気づくケースも多いです。

※あわせてこちらの記事も読まれています。

3.公務員試験から行政書士試験への挑戦がオススメな理由

公務員試験から行政書士試験への挑戦がオススメな理由について、さらに詳しく説明します。

・勉強する内容が共通している
・人物試験が必要ない
・社会的なステータスを得られる
・行政書士として独立・開業できる

それぞれ見ていきましょう。

3-1.勉強する内容が共通している

行政書士試験の試験科目は、公務員試験で学習した内容と重なる部分が多いです。

特に「行政法・民法・憲法」などの法律科目は、公務員試験で培った知識をそのまま活用できます。

さらに、一般知識や文章理解などの分野も共通しているので、かなりのアドバンテージを持って試験対策をスタートできます。今までの努力を無駄にすることなく、新たな目標に向かって挑戦できるのは、行政書士試験の大きなメリットだといえるでしょう。

3-2.人物試験が必要ない

公務員試験の難関の一つが、面接や集団討論、グループワークなどの人物試験です。
人物試験に不安を感じている人は決して少なくないでしょう。

しかし、行政書士試験では、このような人物試験が実施されません。そのため、人物試験が苦手な人にとっては、実力を十分に発揮できる試験だと言えます。

とにかく筆記試験で高得点を取ればいいので、公務員試験より対策しやすいと感じる人も多いです。

もちろん、筆記試験だけで合否が決まるからこそ、しっかりと勉強する必要がありますが、努力次第で確実に合格することができます。

3-3.高い社会的信用を得られる

行政書士は、弁護士、司法書士、税理士などと並ぶ「八士業」の一つとして高い社会的評価を得ている職業です。

国や自治体への許認可申請を独占業務としており、扱える書類は1万種類以上とも言われています。外国人の入管業務(国際業務)、相続業務、会社設立、行政庁への不服申立てなど、様々な場面で活躍しており、企業や個人からも信頼されている存在です。

「社会的に信用された仕事に就きたい」
「法律に関わった仕事がしたい」

このように考えている人にとっては、行政書士も魅力的な仕事になり得るでしょう。

3-4.行政書士として独立・開業できる

行政書士資格を取得すると、独立開業という新たな道が広がります。自分の事務所を構えて、自由な働き方を実現できるのは、公務員にも民間企業にもない魅力です。

開業後は、得意分野に特化したサービスを提供したり、他の士業と連携したりすることで、収入アップのチャンスもあります。また、民間企業に勤務しながら、副業として行政書士業務を行う人もいます。

自分のライフスタイルに合わせて、柔軟に働き方を選べるのは、行政書士の大きなメリットだと言えるでしょう。

4.公務員試験に落ちた後、行政書士に挑戦する注意点

ここまで、あなたにとって、行政書士試験が新たな選択肢になり得ることをお伝えしました。しかし、決して万人にオススメできるわけではありません。

特に新卒だったり、安定性を最も重視している場合は、次のような点に注意が必要です。

・新卒で、行政書士試験一本に絞るのは、非常にリスクが高い
・公務員ほどの安定性は期待できない

それぞれ詳しく説明します。

4-1.新卒なら就職活動を並行して行うべき

新卒で公務員試験に落ちてしまった場合は、就職活動も並行して進めた方が良いでしょう。たった一度の新卒カードを捨てて、試験に全振りすることは避けるべきです。

就職活動を進めながらでも、あるいは民間企業で働きながらでも、行政書士試験に合格することはできます。

むしろ、民間企業での経験が、行政書士になってから活きることも多いです。新卒で行政書士試験一本に絞るのは、リスクが高いと考えておきましょう。

4-2.公務員ほどの安定性はないことを理解しておこう

行政書士は国家資格ですが、公務員ほどの安定性は期待できません。公務員のような身分保証はなく、収入も、顧客の数や専門分野、タイミングによって大きく変動するからです。

特に独立開業した直後は、安定した収入を得るまでに時間がかかる場合もあるでしょう。

ただし、これは行政書士に限った話ではありません。医師であっても、弁護士であっても、公務員と比較すればどの職業も「安定性が低い」という評価は避けられません。

その代わりに、公務員では感じられないやりがいと自由度の高さを得ることができるのです。努力次第で収入が青天井に上がっていく醍醐味も、公務員にはない魅力です。

5.公務員試験との比較|試験科目・難易度など

それでは、公務員試験と行政書士試験ではどのような違いがあるのでしょうか?
試験科目や難易度を比較しつつ、両者の違いを見ていきましょう。

5-1.試験科目の違い

行政書士試験の科目は、大きく法令等科目と基礎知識科目に分けられます。

行政書士試験と公務員試験の科目

(※赤字が共通する科目)

行政書士試験の試験科目公務員試験
の対応科目
法令等
科目
(40問)
基礎法学(2問)社会科学
憲法(5問)憲法
民法(9問)民法
行政法(19問)行政法
商法(5問)商法
(※選択科目として)
基礎知識
科目
(14問)
一般知識
(政治・経済・社会)
社会科学
行政書士法等
行政書士業務と密接に関連する諸法令
なし
情報通信・
個人情報保護
なし
(※知識分野で似た問題もある)
文章理解文章理解

5-1-1.法令等科目

行政書士試験の法令等科目では、基礎法学、憲法、民法、行政法、商法(会社法)から合計40問が出題されます。

この内、行政法と民法だけで全体の6割以上を占めており、出題範囲の大半が重なっています。問題の難易度も、公務員試験より若干難しいものの、大きなレベル差はありません。

例えば、民法であれば「裁判所事務官」の問題をイメージすると良いでしょう。行政法や民法を中心に、公務員試験の知識をブラッシュアップしていけば、十分に対応できます。なお、商法(会社法)については、公務員試験では勉強していない人が多いかもしれません。

ただし、行政書士試験でも力を入れて勉強する人は少ないです。あまり手を付けずに合格する人もいるので心配する必要はありません。

5-1-2.基礎知識科目

基礎知識科目では、「一般知識」「諸法令」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」など、合計14問が出題されます。

このうち「一般知識」の内容は、公務員試験の「社会科学」や時事対策でほぼカバーできるでしょう。「文章理解」もここ数年、公務員試験より易しめの問題が出題されています。
したがって、「諸法令」と「情報通信・個人情報保護」の対策さえすれば十分に対応できます。

5-2.難易度の比較

では、公務員試験と行政書士試験はどちらが難しいのでしょうか?
過去3年間の合格率を比較してみましょう。

【行政書士試験と公務員試験の合格率】

試験年度行政書士
試験
公務員試験
(国家一般職)
2023年(令和5年度)13.98%39.6%
2022年(令和4年度)12.13%34.6%
2021年(令和3年度)11.18%32.1%

合格率だけを比較すると、公務員試験の方が行政書士試験よりも高くなる傾向があります。ただし、実際に公務員から行政書士に挑戦した人の話を聞くと、行政書士試験の方が対策しやすかったという人も多いです。

その理由として、次のような内容が挙げられます。

・法律科目の勉強だけで良いから
(※民法・行政法がメインで、数的処理や経済系科目はない)
・一般論文試験がないから
・面接やグループワークなどの人物試験がないから

結局、公務員試験と行政書士試験のどちらが難しいと感じるかは、人によって異なります。法律科目の得意・不得意、人物試験の得意・不得意などに左右されるからです。

例えば、面接やグループディスカッションに苦手意識を持つ人にとっては、行政書士試験の方が自分のペースで挑戦できると感じるケースもあります。

6.公務員試験に受かってから行政書士試験を目指す人もいる

ここまで、公務員試験に落ちた場合の選択肢として、行政書士という道があることを説明しました。一方で、中には公務員試験に受かってから、そのまま11月の行政書士試験を目指す人もいます。

特に、会社を辞めて公務員試験を受けた人の中には、8月の合格発表後、そのまま行政書士試験の勉強にシフトする人が珍しくありません。その理由としては、次のような内容が挙げられます。

・合格発表(8月)から採用(4月)まで、時間的な余裕がある
・せっかく学んだ知識が抜け落ちる前に、武器となる国家資格を取っておきたい
・採用後に備えて、行政法をしっかりと勉強しておきたい など

これらの理由は、いずれも的を射ています。

公務員試験で培った知識を無駄にせず、あなたがさらにステップアップする選択肢として、行政書士試験は非常に有効なのです。

実際、現職の公務員に「公務員試験の勉強で、採用後に一番役立った科目は?」と質問すると、「行政法の知識は欠かせない、特に行政手続法は毎日使っている」と返ってくるケースが多いです。

・採用後のスキルを高める
・将来に備えて資格を取る
・新たな選択肢として行政書士を考える

いずれのケースでも、公務員試験が終わった後、行政書士試験を目指すことは非常におすすめの選択です。

7.まとめ

最後に、今回の記事のポイントをまとめます。

・「公務員試験に落ちたら…」と過剰に不安になる必要はない
・きちんと努力すれば、合格できるケースが大半
・万が一落ちても、乗り越える方法はたくさんある

・民間企業へ就職・転職する
・公務員試験を再受験する
・大学院へ進学する など

・現状を変える方法は、公務員になることだけではない
・新たな選択肢として検討したいのが、行政書士試験への挑戦

・勉強する内容が共通しているから
・人物試験が必要ないから
・社会的な信用を得られるから
・行政書士として独立・開業できる

以上です。

公務員試験に落ちたらどうしようと、不安になる気持ちは分かります。

しかし、いくら不安を感じても、立ち止まっているだけでは何も変わりません。大切なのは、前を向いて一歩ずつ進んでいくことです。

不安を払拭するためにも、今できることを着実にこなしていきましょう。

行政書士試験に挑戦したい方は、ぜひ法律資格専門の指導校である伊藤塾へご相談ください。

伊藤塾では、行政書士試験で必要な内容を、初歩からしっかり学習していくことができる「行政書士合格講座」を開講しています。

「2025年合格目標 行政書士合格講座」はこちら

夢の実現に向けて、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
伊藤塾が、あなたの挑戦を全力でサポートいたします。

伊藤塾 行政書士試験科

著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。