行政書士試験の記述式は部分点を狙え!なぜ捨ててはダメなのか理由を解説

勉強法

2025年10月07日

行政書士試験の合否を分ける、配点60点の記述式問題。
「いつまでたっても書けるようにならない…」という苦手意識から、「いっそのこと捨ててしまおうか…」と考えている方もいるのではないでしょうか。

確かに、理論上は記述式を捨てても、行政書士試験に合格することはできます。
合格点180点に対して、択一式と多肢選択式の満点は240点。ならば、「記述は苦手だから、そちらに集中した方が効率的だ」という考え方も一理あるでしょう。

しかし実際には、その方法は決しておすすめできません。なぜなら、択一式・多肢選択式で8割以上の得点を目指すよりも、記述式で部分点を拾っていくほうがはるかに簡単で、合格できる可能性も高いからです。

この記事では、データに基づき「なぜ記述式を捨ててはいけないのか」を明らかにするとともに、「部分点の取り方」や多くの受験生が気になるであろう「採点の仕組み」を紹介するほか、「過去問を使った記述式の実演動画」や「科目別の対策」なども解説して、記述式への苦手意識を払拭するサポートをしていきます。
ぜひこの記事を読んで、記述式を得点源に変えていきましょう。

【目次】

1.行政書士試験の記述式を捨てるのはNG!部分点を狙おう

行政書士試験の記述式対策では、「完璧な答案を書かなければ」とプレッシャーを感じている人が多いようです。その結果、いつまでたっても解答が書けるようにならず、苦手意識をもってしまい、「捨てる」という考えに至っています。
しかし、記述式で本当に大切なのは、自信をもって書けるようになることではなく「部分点」を取ることです。

1-1.記述式0点で合格点を超えるのは難しい

まず、記述式を捨てると、合格は基本的に「運任せになる」と思ったほうがいいでしょう。
択一式・多肢選択式だけで180点を超えるには、10年に一度しか出題されないようなマイナー論点や、重箱の隅をつつくような細かい問題の対策も必要になるからです。

以下のデータをご覧ください。
これは、令和6年度行政書士試験について、問題の難易度別の出題数をまとめたものです。
Aランク問題にすべて正解したら90点分の点数があるという具合に、各難易度の問題にすべて正解すると、合計何点取れるのかを計算しています。

問題の難易度 択一式 多肢
選択式
合計点
(累計点)
当該ランク以下の難易度
の問題のみ、全て正答
したときの合否
Aランク
(正答率80%〜)
15題 1題 62点 不合格
Aランク
(正答率70%〜)
6題 2題 28点 (90点) 不合格
Bランク
(正答率60%〜)
10題 2題 44点 (134点) 不合格
Bランク
(正答率50%〜)
9題 1題 38点 (172点) 不合格
Bランク
(正答率40%〜)
6題 1題 26点 (198点) 合格
Cランク
(正答率30%〜)
5題 2題 24点 (222点) 合格
Cランク
(正答率30%未満)
3題 3題 18点 (240点) 合格

(出典:2024年度 行政書士本試験分析会 2日目|伊藤塾

行政書士試験の合格点は180点。つまり、記述式0点で行政書士試験に合格するには、正答率50%以上の問題を1問も落とさないことを絶対条件にしつつ、正答率の低い難問も積極的に拾っていく必要があるということになります。

一方で、行政書士試験は、そもそも8割・9割といった得点を狙うような試験ではありません。
いわゆる「重箱の隅をつつく」ような細かい知識問題も出題されており、なかには受験指導校のプロ講師ですら即答できない問題もあります。
そのような難問も含めて対策をするのは、記述式で平均的な点数を取るよりも、よほど難しいです。

1-2.合格者でも「完璧な答案」は書けない!平均点は30点前後

かといって、「記述式で満点を狙う」というのも正しい戦略ではありません。実は、合格者でさえも、記述式を完璧に解答できている人はほとんどいないからです。
公表されているデータはありませんが、伊藤塾の行政書士試験科「坂本講師」の分析によると、合格者の平均点はおおよそ30点前後。もし40点もあればかなり高得点の部類に入るそうです。

つまり、合格者でさえ「記述式が解けた」と感じている人はごく少数しかおらず、ほとんどの人が記述式に苦手意識を持ちつつも、なんとか部分点をかき集めて合格しているのです。

・択一式と多肢選択式で正答率の高い問題を取りこぼさずに、150点〜160点を目指す。
・記述式は、部分点を積み重ねて、3問あわせて30〜40点を目指す。
・択一式と多肢選択式、記述式の合計で180点を突破する

これが行政書士試験の王道の合格パターンです。
もし1問でも記述式に完答できれば、かなり良い結果だと考えてよいでしょう。記述式は1問あたり10点取れれば十分、というイメージでいると、心理的なハードルもかなり軽くなるはずです。

2.記述式の部分点はどう採点される?気になる採点者の目線

では、記述式の部分点はどのような基準で採点されるのでしょうか。2章では、模擬試験などで採点者が意識しているポイントをお伝えします。

【記述式:部分点の採点ポイント】

・条文・判例などの「キーワード」が書けているか
・問題に対する解答になっているか

なお、行政書士試験の正式な採点基準は公表されていません。
ここでお伝えする内容は、あくまでも模擬試験などで評価している内容です。合格者の声などから予想したものではありますが、本試験と完全に一致するものではない点、あらかじめご了承ください。

2-1. 条文・判例など、部分点の対象となるキーワードが書けているか

採点ポイントの1つ目は、「解答に条文・判例などのキーワードが書けているか」です。
キーワードとは、たとえば「第三者の定義」「手続きの名称」「法律行為の要件や効果」など、その問題の規範となる用語を指します。こういったキーワードが答案に含まれていれば、模範解答とまったく同じ文章ではなくとも、部分点がつく可能性は高いです。

より具体的にイメージしていただくために、伊藤塾にて開催された2025(令和7)年度 第1回公開模擬試験で出題した問題(地方自治法における住民訴訟)について、担当の藤田講師がどのように採点したか、そのポイントをご紹介します。

部分点がついた
キーワード
藤田講師の採点ポイント
「住民監査
請求」
(6点)
(1)比較的多くの答案で、本キーワードを記述する
ことができていました。

(2)「住民審査請求」や「住民監査」等、正確な理
解が疑わしい答案については、加点できませんでし
た。
「A市長」
(4点)
(1)本キーワードについては、正確に記述すること
ができていた答案は、3割程度にとどまりました。

(2) 他方、「A市」と記述している答案が非常に多
かったです。いま一度、抗告訴訟の被告と住民訴
訟の被告について、ご自身のテキストを確認して
おきましょう。
「Bらに
損害賠償請求
することを
求める」
(4点)
(1)本キーワードは、住民Xは、「損害賠償請求
『することを求める』ことができる」にとどまる、
というところがポイントです。要するに、直接Bら
に損害賠償請求することはもちろん、A市長に代位
して損害賠償請求することもできない、ということ
です。

(2) その観点からすると、本キーワードについて正
確に解答することができていた答案は、ほとんどあ
りませんでした。もっとも、同様の趣旨が読み取れ
るものについては、加点しています。
「住民訴訟」
(6点)
(1)比較的多くの答案で、本キーワードを記述する
ことができていました。

(2)なお、住民訴訟と住民監査請求は、「住民監査
請求を経て、住民訴訟を提起する」という関係にあ
るため、「住民訴訟を経て、住民監査請求をする」
等、住民監査請求前置主義についての理解が疑わし
いものについては加点できませんでした。

(引用:伊藤塾note「【先行公開】第1回 公開模擬試験 採点講評 完全版」

このように、「住民監査請求」や「住民訴訟」といったキーワードが答案に含まれていれば、そのキーワードごとに設定された点数が加算されていく、というイメージです。
ただし、藤田講師のコメントにもあるように、単語が似ていても法的に不正確だったり、キーワードが書けていても制度の理解が根本的に間違っていたりすると加点されません。

2-2.問われている内容に対して、正面から答えているか

採点ポイントの2つ目は、「問題文で問われていることに答えているか」です。
どれだけ正しいキーワードをたくさん書いても、設問の趣旨から外れた解答をしてしまうと、大幅な減点、あるいは0点になってしまいます。

たとえば、問題文で「Aは、誰を被告として、どのような訴えを提起すべきか」と問われたとします。この場合、解答には「誰が被告か」と「どの訴訟か」という2つの要素を必ず含めなければなりません。したがって、答案は必ず「Aは、〜を被告として、〜訴訟を提起する」という形式になります。これ以外はありえません。

しかし、実際の答案では、問われている内容に対する答えになっていなかったり、自分が知っている知識をただ書き連ねてしまったりといった答案が散見されます。

(例)Aの訴えが認められるには、法律上の利益を有し、出訴期間内に訴えを提起する必要がある など

これでは、「①誰を被告として、②どのような訴えを提起すべきか」という問いの答えになっていません。いくら法律的な理解が正しくても、規範となるキーワードが入っていても、部分点はつきにくいでしょう。

当たり前のように思えますが、意外とここで減点になっている方は多いです。
答案を書き出す前に、まず「何を問われているのか」を読解して、その問いの形式に沿って答えることを徹底しましょう。

3.【実際どう解く?】過去問で記述式試験の現場検証をしてみました!

では、実際の試験では、どのように記述式の問題を解いていけばよいのでしょうか。
より具体的なイメージをつかむために、伊藤塾・行政書士試験科パーソナルトレーナーの高木さんに実際の過去問を解いてもらい、藤田講師の解説も交えながら、当時の思考過程などを深掘りしていただきました。

「どのように問題文を読んでいくのか」「どのキーワードに注目するか」「時間配分はどうするか」など、試験本番で使える実践的なコツが満載です。
行政書士試験の記述式に苦手意識がある方は、ぜひご覧ください。

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4.行政書士試験の記述式を捨てずに部分点を取る勉強法

動画で具体的な解き方のイメージがつかめたら、次はその技術を自分のものにするための、具体的な勉強法を3つご紹介します。

・択一式の問題を解くときに、常に記述式の視点を持つ
・事実関係を正確に整理する練習をする
・問題の言い回しを「そのまま」活用するクセをつける

これらを、日々の学習に加えるだけで、記述式への対応力は大きく変わってきます。

4-1.択一式の問題を解くときに、常に記述式の視点を持つ

まずは、択一式の問題を解くときも、常に記述式の視点を持ちましょう。
ただ正解を選ぶだけでなく、「この問題の根拠となっている条文や判例のキーワードは何か?」と自分に問いかけ、すぐに答えを思い出す習慣をつけるようにしてください。

たとえば、代理に関する択一問題を解いたときは、「もしこの論点が記述式で問われたら、どのようなことが聞かれるだろう?」と一度立ち止まって考えてみましょう。
そこからさらに、「表見代理なら3つの類型があって、それぞれの要件として○○と△△が必要だ…」というように、知識を深掘りしていくのです。

もしキーワードがすぐに浮かばなければ、それはまだ知識が曖昧な証拠です。
面倒くさがらずに、その都度テキストに戻って確認しましょう。
この地道な繰り返しが、記述式の本番でキーワード(規範)をスムーズに引き出す力になります。

4-2.事実関係を正確に把握するトレーニングをする

次に、問題文の事実関係を正確に把握するトレーニングを行いましょう。
記述式の問題、特に民法では、登場人物や法律関係が複雑に絡み合っていることが多く、頭の中だけで考えていると、いつの間にか登場人物の関係を取り違えてしまいます。
事実関係を間違えると、いくら正しい知識があっても、根本的に見当違いの解答になってしまい、部分点は期待できません。

これを防ぐためには、問題文を読んだら、まず登場人物の関係性を簡単な図に書き出すクセをつけるのが効果的です。

たとえば、「AがBに土地を売り、BがCに転売した」というような事案なら、「A→B→C」と矢印でつなぐだけでも、頭の中が驚くほどクリアになります。この一手間が、ケアレスミスを防ぎ、解答の精度を大きく高めてくれるのです。

4-3.問題の言い回しを「そのまま」活用するクセをつける

最後に、問題文の末尾の表現を「そのまま」利用するクセをつけましょう。
これは、問われていることと違う内容を答えてしまうミスを防ぐ、最も簡単かつ効果的な方法です。

たとえば、

  • 「~を請求できるか。」と問われたら、「~請求することができる。」または「~請求することはできない。」と結ぶ。
  • 「誰を被告とすべきか。」と問われたら、「~を被告とすべきである。」と結ぶ。

というように、できる限り問題文と同じ言い回しで解答するクセをつけましょう。
一見、簡単そうに見えますが、本番の緊張感から、つい思いついた内容をそのまま書いてしまい、終わってから「問いに答えていなかった」と気づくという人は本当に多いものです。
すぐには身につきませんので、普段の勉強から常に意識して取り組みましょう。

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5.【科目別】記述式の対策ポイント

ここからは、科目ごとの特性に合わせた、より具体的な対策のポイントを見ていきましょう。
記述式問題は、行政法から1問、民法から2問が出題されますが、両科目で少し性質が異なります。科目ごとの特性に合わせた対策をすることで、より効率的に得点力を伸ばすことができます。

5-1.行政法の記述式対策

行政法の記述式は、出題範囲が比較的限られており、対策を立てやすいのが特徴です。
以下は、伊藤塾の坂本講師が過去18年間の記述式本試験問題について、出題分野を分析した結果です。

(出典:伊藤塾YouTube「2024年度 行政書士本試験分析会 2日目」)

ご覧のとおり、行政事件訴訟法からの出題が圧倒的多数を占めています。
したがって、行政法の記述式対策は、まず行政事件訴訟法に力を入れるのが、最も効率的かつ得点に結びつきやすいということになります。
特に、行政事件訴訟法に関する「訴訟類型」と「被告適格」は、絶対に押さえておくべき最重要テーマです。

5-1-1.訴訟類型は記述式の超頻出論点

行政法の記述式で最もよく問われるのが、行政事件訴訟法の「訴訟類型」です。
たとえば、令和4年度本試験のように、「どのような訴訟を起こすことが適切か」と問われる問題が典型的なパターンです。

取消訴訟、無効等確認訴訟、義務付け訴訟、差止め訴訟といった主要な訴訟について、それぞれどういう場合に使えるのか(訴訟要件)を理解しておきましょう。特に、義務付け訴訟や差止め訴訟に特有の要件(例:「重大な損害を生ずるおそれ」など)は、他の訴訟との違いを意識しながら正確に覚えることが必要です。

合格者の中には、訴訟類型を選択するための流れを樹形図などにまとめていた、という方もいました。

◉実際に合格者が使っていたテキストの例

訴訟類型は、それぞれを個別に暗記するのではなく、まず全体像をおさえた上で、どのような場合にどの訴訟を選択するのか、という判断の流れを身につけましょう。

5-1-2.被告適格も部分点がつきやすい

訴訟類型とよくセットで問われるのが、「誰を被告とすべきか」(被告適格)です。
これも行政事件訴訟法の頻出項目であり、正確な理解が求められます。

苦手な人が多いですが、仮に他の部分が間違っていても、被告適格さえ正しく書けていれば、そこだけで部分点がつく可能性もあります。

「国」なのか、それとも「行政庁(大臣・知事など)」なのか、あるいは「地方公共団体」なのか。事案に応じて的確に判断できるようになりましょう。

※行政法の勉強法は、次の記事で詳しく解説しています。

5-2.民法の記述式対策

行政法とは対照的に、民法は出題範囲が膨大です。
そのため、民法の対策は、個別の知識を追いかけるよりも、なぜその結論になるのかという法的な「考え方」を深く理解することが重要になります。

それと同時に、民法全体の体系を頭に入れておき、「今、自分は何を問われているのか」を判断できる力を養っておきましょう。

たとえば債権の問題が出たら、まず債権全体の体系図をイメージし、その中から「どの債権回収の手段を用いるべきか」を判断していく、といった具合です。

(出典:伊藤塾YouTube「2024年度 行政書士本試験分析会 1日目」)

このように、常に全体から個別の論点へ「寄せていく」ようなイメージで考える視点を身につければ、初めて見る問題でも、どの知識を使えばよいか瞬時に判断できるようになります。

「答え」を覚えるのではなく、その結論に至る「考え方」を理解する。そして、常に民法の全体像を意識し、そこから個別の論点を特定していく。この視点こそが、膨大な量の知識を求められる民法を攻略するカギとなるのです。

※民法の勉強法は、次の記事で詳しく解説しています。

6.「記述式で一発逆転!出題予想演習」を最大限に活用して得点アップを狙おう

ここまで、記述式で部分点を取るための考え方や勉強法をお伝えしてきました。
行政書士試験全体の5分の1の配点を占める記述式問題。ここで、いかに得点を伸ばすことができるかが、合格に直結してきます。
最後に、坂本講師から今年度の出題予想を詰め込んだ「記述式で一発逆転!出題予想演習」の活用法や記述式の得点目標の捉え方などをお伝えします。

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7.行政書士試験の記述式の部分点に関するよくある質問(FAQ)

Q. 択一式で得点力の高い受験生は、記述式対策を後回しにしても大丈夫でしょうか?

A. 結論から言えば、記述式対策を捨てることは推奨されていません。択一式・多肢選択式の満点(240点)だけで合格点(180点)を超えるためには、正答率の低い難問も積極的に拾う必要があり、これは記述式で平均的な点数を取るよりもはるかに難しいからです。

Q. 記述式の解答において、最終的な結論が間違っていた場合でも、途中のキーワードは採点対象になりますか?

A. 採点ポイントの前提として、「問題文で問われていることに対して正面から答えているか」が重要であり、設問の趣旨から外れた解答は大幅な減点、あるいは0点になる可能性があります。しかし、結論が間違っていたとしても、問題の規範となる正しいキーワードが含まれており、かつ法的に不正確な記載がなければ、そのキーワードに対して部分点がつく可能性は高いと考えられます。

Q. 記述式対策において、行政法と民法のどちらに、より多くの時間を割くべきでしょうか?

A. 記述式は行政法から1問、民法から2問出題されますが、対策の性質が異なります。行政法は出題範囲が比較的限られており、特に行政事件訴訟法の「訴訟類型」と「被告適格」が頻出テーマです。
一方、民法では、個別の知識よりも法的な「考え方」や「体系」を深く理解する必要があるため、その習得に時間を要します。そのため、「記述式で確実に部分点を取る」という戦略においては、行政法(行政事件訴訟法)の頻出論点に時間を割くことが効率的ではありますが、両科目の特性に合わせた対策とバランスを意識することが重要です。

8.行政書士試験の記述式は部分点を狙え!のまとめ

本記事では、行政書士試験において記述式問題を「捨てる」という選択は、極めてリスキーな戦略であり、合格を目指す上では、徹底して「部分点」を狙う戦略が王道であることを解説しました。
以下にポイントをまとめます。

◉記述式を捨てるべきではない理由

  • 択一式・多肢選択式(満点240点)だけで180点を超えるためには、正答率50%以上の問題をすべて正答することに加え、正答率の低い難問も積極的に拾う必要があり、これは記述式で部分点を拾うよりもはるかに難しいといってよいでしょう。
  • 記述式3問合計で30〜40点(1問あたり10点取れれば十分)を目標に部分点を積み重ねて、択一・多肢選択式の得点(150点〜160点)と合わせて180点を突破するのが王道の合格パターンです。

◉記述式の採点基準と部分点の狙い方

  • 正式な採点基準は公表されていませんが、採点者の目線では条文・判例などの「キーワード」が書けているかが重要です。模範解答と全く同じでなくとも、キーワードごとに設定された点数が加算されるイメージです。
  • 「問題文で問われている内容に対して正面から答えているか」が重要であり、問われた形式(例:「誰を被告として、どのような訴えか」)に沿って解答することを徹底しないと、大幅な減点または0点になる可能性があります。

◉得点力を高める具体的な勉強法

  • 日々の学習では、択一式の問題を解くときも「記述式の視点」を常に持ち、根拠となる条文や判例のキーワードをすぐに思い出す習慣をつけることで、知識を深掘りすることができます。
  • 特に複雑な事案(民法など)では、事実関係を正確に整理するトレーニングとして、登場人物の関係性を簡単な図に書き出すクセをつけ、ケアレスミスを防ぎましょう。
  • 解答のミスを防ぐため、問題文の末尾の表現(例:「〜を請求できるか。」)を「そのまま」解答に活用するクセをつけましょう。

◉科目別の記述式対策の要点

  • 行政法は出題範囲が比較的限られており、過去の出題の傾向(過去18年間で行政事件訴訟法が61%を占める)から、行政事件訴訟法の「訴訟類型」と「被告適格」に集中して時間を割くことが、最も効率的に得点に結びつきます。
  • 民法は出題範囲が膨大なため、個別の知識ではなく、「なぜその結論になるのか」という法的な「考え方」と、民法全体の「体系」を深く理解し、常に全体像から論点を特定する視点を養うことが攻略のカギとなります。

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伊藤塾 行政書士試験科

著者:伊藤塾 行政書士試験科

伊藤塾行政書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの行政書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、行政書士試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。