「資格試験に挑戦しよう！」「よし、勉強を始めるぞ！」と決意したものの、「どう進めればいいのか分からない…」と手が止まってしまう。 これが、多くの大人が直面する現実です。

「勉強時間がない」「テキストを読もうとすると眠くなる」「集中できない」「覚えられない」
こうした中で10代の頃のように「丸暗記」や「一夜漬け」といった力技で乗り切ろうとしても上手くいきません。
忙しい大人が勉強を続けて結果を出すためには、根性論ではなく、今の自分に合った「大人の勉強法」を取り入れる必要があります。

そこでこの記事では、大人の脳の特性や、生活スタイルに合った効率的な勉強法を解説します。勉強の仕方が分からない方は、ぜひご一読ください。

1. なぜ大人になると勉強の仕方が分からなくなる？

「勉強の仕方が分からない」という悩みは同じでも、あなたが過去に「どれくらい勉強に取り組んできたか」によって、つまずく原因は異なります。
まずはご自身の経験に合わせて、なぜ勉強の「やり方」で迷ってしまうのかの原因を探っていきましょう。

1-1. 学生時代に勉強をしてこなかった人

まず、学生時代にあまり勉強をしてこなかった人の場合です。
このタイプの方がつまずく原因は、「そもそも、自分に合った勉強のやり方を知らない」という点が大きいと考えられます。

● どのテキストを選べばいいのか分からない
● ノートはどうやって取ればいいのか分からない
● そもそも何時間勉強すればいいのか分からない
● 計画の立て方が分からない　など

しかし、これは決して悪いことばかりではありません。過去のやり方に固執しないため、正しい勉強法を吸収しやすいというメリットもあるからです。
2章でご紹介する「大人のための勉強法」を実践すれば、着実にステップアップできます。

1-2. 学生時代に勉強をしてきた人

一方で、学生時代に勉強を頑張っていたのに、大人になって勉強の仕方が分からなくなったという人もいます。この場合、学生時代の成功体験がかえってつまずきの原因になっている可能性があります。

たとえば、こんな方法で受験を乗り切った経験はないでしょうか。

● 英単語をノートに何十回も書いて覚えた
● ひたすら過去問をこなしていた
● 大量の知識をとにかく丸暗記した

こうした方法での成功体験があると、大人になっても無意識に同じやり方を選んでしまいがちです。しかし、多くの場合、学生時代と同じようには進みません。

「暗記がなかなか進まない」「まとまった時間が取れない」「体力が続かない…」

かつてのように勉強が進まず、かといって他の方法も分からず、「勉強の仕方が分からない」という状態に陥ってしまうのです。このタイプの方は、一度、学生時代のやり方はリセットして、今の自分に合った勉強法に切り替える意識が大切になります。

2. 大人が実践するべき勉強の仕方とは？

では、大人はどのように勉強と向き合えば良いのでしょうか。学生時代とは異なる、大人が実践すべき勉強の仕方を3つのポイントからご紹介します。

● 暗記ではなく「理解」に比重をおく
● 勉強の中心はスキマ時間
● 習慣化の力をうまく使おう

それぞれ見ていきましょう。

2-1. 暗記ではなく「理解」に比重をおく

まず大切なのが、「暗記」ではなく「理解」を中心とした勉強にシフトすることです。

一説によれば、暗記力などの受験で求められる知能（流動性知能）は、18〜25歳頃をピークに低下していくそうです。意味のない数字や単語を無理やり覚えることは、大人には難しいと思っておきましょう。その代わりに、「なぜそうなっているのか？」という理由付けの理解に力を注いでください。

たとえば、料理のレシピで想像してみましょう。調味料の分量を、ただ数字として暗記しようとすると大変ですが、

• 肉を柔らかくするためにハチミツを入れる
• 臭みを消すためにショウガを入れる

などのように「理由」が分かっていれば、自然と覚えられるはずです。

勉強もこれとまったく同じです。「なぜ？」という理屈で納得した知識は、脳に深く刻まれ、簡単には忘れません。

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2-2. 勉強の中心はスキマ時間

次に意識を変えたいのが、時間の使い方です。
「勉強は机に向かって、1時間以上やるものだ」という思い込みは捨ててしまいましょう。これは、時間に余裕のあった学生時代だからこそできた方法です。

仕事や家事に追われる大人の勉強では、まとまった時間は「取れたらラッキー」くらいのボーナスと捉え、生活の中に散らばっている「スキマ時間」を活用するのが基本スタイルです。

◉スキマ時間の例

● 通勤電車の往復で1時間
● 昼休みの食後に30分
● 寝る前のリラックスタイムに10分

これらをかき集めるだけでも、1日の中でかなりの時間を確保できるはずです。勉強時間は「ない」のではなく、スキマ時間を見つけて「創り出す」ものだと考えてみましょう。

2-3. 習慣化の力をうまく使おう

最後に大切なのが、モチベーションに頼るのではなく、「習慣」の力を使うことです。

仕事でクタクタになって帰宅した夜に、「さあ、今から勉強しよう！」と気合で机に向かうのは至難の業です。毎晩そんな決断を繰り返していると、おそらく1週間も経たずに勉強をやめてしまいます。

そうではなく、まずは簡単なことから始めて、勉強を「歯磨きのような当たり前の習慣」にしていくことを目指しましょう。たとえば、「まずは1週間、毎日10分だけテキストを開く」というように、とにかく小さく始めていきます。そして、10分が継続できたら、次は20分、30分と少しずつ負荷を上げていくのです。

1ヶ月ほど続けて、「勉強しないと、なんだか落ち着かない」という感覚になれば、モチベーションの波に左右される心配はなくなります。

3. 大人が勉強を始めるときの3つのステップ

ここからは、実際に勉強を始めるための手順を「教材の選び方」「ゴール設定」「スケジュールの立て方」の3つのステップでご紹介します。

3-1. ステップ①：教材を選ぶ

まず、教材はできるだけ薄くて、内容がやさしいものを一冊選びましょう。
いきなり分厚い本格的な教材を選ぶと、内容が理解できず、挫折の原因になります。まずは入門書のような教材で、ざっくりとした全体像を掴むことを優先しましょう。

そして、その1冊を終えた後、得た知識をもとに「この部分はもっと詳しく知りたい」「自分にはこの著者の説明が分かりやすい」といった基準を持って、2冊目の教材を探しにいきます。

この2冊目には、その分野で「王道」と呼ばれるような定評のある教材を選ぶのがおすすめです。資格試験の勉強であれば、この段階で過去問題集も購入して、知識のインプットとアウトプットを繰り返せる環境を整えましょう。

3-2. ステップ②：勉強のゴールを設定する

教材が決まったら、次に勉強のゴールを設定します。
ここでのポイントは、漠然とした目標ではなく、「具体的な数値」やはっきりとした「期限」を決めることです。

◯良い例
「今年の11月の第2日曜日に、〇〇の試験を受ける」
「来年の3月末までに、TOEICで730点をとる」

✕悪い例
「いつか行政書士の資格を取りたい」
「英語が話せるようになりたい」

このゴール設定がハッキリしている程、「いつまでに・何をすべきか」が明確になり、後述するスケジューリングもスムーズに進められます。

3-3. ステップ③：スケジューリングをする

ゴールが決まったら、それを日々のスケジュールに落とし込んでいきます。
仕事のプロジェクト管理と同じように、まずは「半年後までにテキストを終わらせ、過去問を1周する」といった大きな計画を立て、それを月単位、週単位、日単位のタスクへと細かく分解していきましょう。

ここで大切なのが、「計画はズレるもの」という前提で、必ずスケジュールに余裕を持たせることです。大人の日常は、急な残業や家庭の用事など、予定外の出来事がつきものです。そのため、週に1日程度は、何も計画を入れない「予備日」をあらかじめ作っておくことを強くおすすめします。

計画が遅れたらその予備日で調整し、順調に進んでいれば復習や休息にあてる。この柔軟な計画性こそが、大人が勉強を長く続けるための秘訣です。

4. 今日からできる大人の勉強テクニック3選

4章では、日々の学習効率を高めるための実践的テクニックとして、「目次のコピー」「セルフ・レクチャー」「ポモドーロ・テクニック」の3つを紹介します。

4-1. 「目次のコピー」で全体像を掴む

1つ目のテクニックは、「目次のコピー」を活用することです。
新しいテキストを買ったら、勉強を始める前に、まず目次のページをコピーして手元に用意してください。そして、勉強中は常にそのコピーを横に置いておきましょう。

大人の脳は、それぞれの知識をバラバラに覚えるのは苦手ですが、全体の流れを理解してから学ぶと一気に記憶に残りやすくなります。

目次を見ながら勉強すると、「今、自分は全体のどこを学んでいるのか」「この章と次の章はどうつながっているのか」を確認できるため、頭の中が整理されて、理解のスピードが格段に早くなります。

4-2. 「セルフ・レクチャー」を活用する

2つ目のテクニックは、「セルフ・レクチャー」です。
これは、学んだ内容を、目の前に生徒がいると仮定して自分の言葉で説明してみるというシンプルな方法です。

テキストを黙読するだけでは「分かったつもり」になりがちですが、いざ説明しようとすると、必ず言葉に詰まる部分が出てきます。そこが、あなたの理解が不足している部分です。

「人に教える」というアウトプットを前提とした学習は、単にインプットするだけの学習よりも、はるかに理解を深めてくれます。

4-3. 「ポモドーロ・テクニック」で勉強を効率化する

3つ目は、「ポモドーロ・テクニック」です。
やり方は非常にシンプルで、「25分間の集中＋5分間の休憩」というサイクルを繰り返すだけです。

まず、スマートフォンのタイマーなどを25分にセットし、アラームが鳴るまでは勉強だけに集中します。そして5分間の休憩では、スマホを見ずに深呼吸やストレッチをして、意識的に脳を休ませてあげてください。

人の集中力は長時間続きません。無理に続けようとしてダラダラしてしまうより、短時間で区切って休憩を挟む方が、結果的に勉強効率が良くなります。

※資格試験の勉強法は、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

5. 大人になってからの勉強は「楽しい」と感じる人が多い

ここまで、大人の勉強法について様々な方法をお伝えしてきましたが、最後にぜひお伝えしたいことがあります。

それは、「大人になってからの勉強は、本当に楽しい」ということです。
学生時代の勉強は、多くの人にとって「やらされるもの」でした。試験のため、受験のため、という義務感が先に立っていたはずです。

しかし、大人の勉強は違います。自分が知りたいことを、自分のペースで、自分の目的のために学べます。たとえば、法律を学べば世の中の仕組みが見えてくる、新しい知識を得るたびに視野が広がっていく、昨日できなかったことが今日はできるようになる…こうした実感が、大人の勉強の醍醐味です。

実際に、伊藤塾で学んだ方々からは、「勉強が楽しかった」という声が多く寄せられています。

ご覧のように大人の勉強は、決して苦しいものではありません。むしろ、学生時代よりも深く、楽しく学べるはずです。

「しばらく勉強から離れていた…」という方も、ぜひこの記事で紹介した方法を参考に、自分のペースで、楽しみながら勉強を進めていってください。

※資格試験の勉強法は、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

6. 法律系の資格試験を目指して勉強するなら伊藤塾がおすすめ

「今まで勉強してこなかった自分が、本当に合格できるのだろうか」
「記憶力が落ちているのに、仕事と勉強を両立できるだろうか」

このような勉強の悩みを抱えている方々に向けて、さまざま講座を開講しているのが、当コラムを運営する伊藤塾です。

伊藤塾は開塾以来、約30年にわたり、数多くの法律家を世に送り出してきた法律資格専門の受験指導校です。司法試験や司法書士試験、行政書士試験といった法律系資格において、業界トップクラスの合格実績を誇っています。

【伊藤塾の2024年度合格実績】
・司法試験:合格者1,592名中1,436名が伊藤塾を利用（占有率90.2%）
・予備試験:合格者449名中405名が伊藤塾を利用（占有率90.2%）
・司法書士試験:合格者737名中433名が伊藤塾を利用（占有率59%）

さらに、これらの難関資格で培ったノウハウを他の資格試験にも活かして、宅建士、賃貸不動産経営管理士、社労士、中小企業診断士などでも次々と実績を伸ばしています。

上記のような資格取得を目指している方は、ぜひ一度、伊藤塾の講座をチェックしてみてください。あなたの合格を、力強くサポートさせていただきます。

7. 大人の勉強の仕方に関するよくある質問（Q&A）

Q. 仕事で疲れ切っていて、どうしてもテキストを読む気になれません。 

A. 「耳からの勉強（オーディオブック）」を試してみてください。
目が疲れている時に活字を追うのは苦痛です。そんな時は、音声教材や読み上げ機能を使って「耳」で勉強しましょう。満員電車の中や家事をしながらでもインプットが可能になり、目や身体を休めながら学習を進められます。

Q. 家ではテレビや家族が気になって集中できません。どこで勉強するのがおすすめですか？

A. 「サードプレイス（第3の場所）」を持ちましょう。
自宅（第1の場所）と職場（第2の場所）以外の、カフェ、図書館、コワーキングスペースなどを勉強場所として決めてしまうのがおすすめです。多少の雑音がある環境の方が、「カフェ効果」と呼ばれる心理効果で、静かすぎる自室よりも集中力が高まることが分かっています。

Q. 勉強したつもりでも、すぐに忘れて定着している実感がありません。

A. 「インプット」よりも「アウトプット」の比率を高めましょう。
テキストを読むだけでは記憶に残りません。読んだ内容を「ブログやSNSに書く」「家族や友人に説明する（つもりで独り言を言う）」など、外に出す行動をセットにしてください。「人に教える」という前提で勉強するのが、最も学習定着率が高い方法です。

Q. 夜勉強しようとすると、どうしても眠気に勝てません。

A. 無理に戦わず「15分だけ仮眠（パワーナップ）」をとりましょう。 眠いまま勉強しても効率は上がりません。コーヒーを飲んでから15〜20分程度の短い仮眠をとると、目覚めた直後にカフェインが効き始め、驚くほど脳がクリアになります。あるいは、夜は早く寝て「朝活」に切り替えるのも、多くの成功者が実践している方法です。

Q. 独学だと孤独でモチベーションが続きません。どうすれば良いですか？

 A. 忙しい社会人が短期間で合格したいなら、受験指導校（資格スクール）の利用をおすすめします。 

独学は孤独なだけでなく、スケジュールの管理や教材選びなど、勉強そのもの以外に多くのエネルギーを使います。 受験指導校（資格スクール）を利用すれば、合格に必要なノウハウが凝縮されたカリキュラムに沿って進めるだけで済みます。「強制的に勉強する環境」を整えることで、モチベーションに左右されず、最短ルートで合格を目指すことが可能です。

8. 勉強の仕方が分からない大人のための効果的な勉強法 まとめ

本記事では、「勉強の仕方が分からない」と悩んでいる大人のための効果的な勉強法について解説しました。
以下にポイントをまとめます。

• 「勉強の仕方が分からない」と悩む大人が結果を出すためには、丸暗記や根性論ではなく、脳の特性や生活スタイルに合った「大人の勉強法」を取り入れる必要があります。
• 学生時代に勉強経験が少ない人は、正しい勉強法を知らないことがつまずきの原因であり、学生時代に勉強を頑張っていた人は、当時の成功体験（丸暗記など）が現在のつまずきの原因となっている可能性があるため、一度やり方をリセットすることが大切です。
• 大人が実践すべき勉強法として、暗記力が低下する大人の脳に合わせて、「暗記」ではなく「なぜそうなっているのか」という「理解」に比重をおくと覚えやすくなります。
• 時間の使い方については、「机に向かって1時間以上やるものだ」という思い込みを捨て、通勤時間や昼休みなどの生活の中に散らばっている「スキマ時間」を中心として活用するのが基本スタイルです。
• 勉強を継続するためには、モチベーションに頼るのではなく、簡単なことから始めて「歯磨きのような当たり前の習慣」にしていくことが重要です。
• 勉強を始める際の３ステップ
  1.「薄くて内容がやさしい教材」を選びましょう。
  2.「具体的な数値」や「はっきりとした期限」を決めたゴールを設定しましょう。
  3. 急な用事に対応できるよう「予備日」を設けた柔軟なスケジューリングを行いましょう。
• 日々の学習効率を高めるテクニック3選
  1. 全体像を掴むための「目次のコピー」
  2. 理解が不足している部分を見つけ深めるための「セルフ・レクチャー」
  3.「25分集中＋5分休憩」を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」
• 大人になってからの勉強は、義務感からではなく、自分の目的のために学べるため、「本当に楽しい」と感じる人が多いという実感があります。
• 仕事で疲れているときは「耳からの勉強（オーディオブック）」を試すことや、集中できないときは自宅や職場以外の「サードプレイス」を持つことが推奨されます。
• 勉強した内容を定着させるためには、インプットよりも「アウトプット」の比率を高めることが重要であり、眠気に勝てない場合は「15分程度の仮眠（パワーナップ）」をとるか、「朝活」に切り替える方法が効果的です。
• 独学ではモチベーションが続かない人には受験指導校（資格スクール）の利用がおすすめです。モチベーションに左右されることなく、最短で合格ルートで合格を目指すことが可能です。

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