【2025年】国家公務員の福利厚生一覧!休暇・諸手当から海外留学まで魅力を一挙掲載
公務員の基本情報
2025年02月28日

国家公務員の福利厚生は、とても充実しているのをご存知でしょうか?
休暇制度では、年間20日の年次有給休暇に加え、夏季休暇や最大3年間の育児休業もあります。住宅手当は月額最大28,000円、そして定年退職時の退職金の平均は2,000万円以上と言われています。
また、キャリアアップのための研修制度が充実しているのも魅力の一つです。国家総合職として採用されれば、国費での海外留学のチャンスもあるのです。
本記事では、こうした国家公務員ならではの休暇制度、諸手当、共済組合の福利厚生、研修制度などについて具体的に解説していきます。
国家公務員の福利厚生が気になる方は、是非ご一読ください。

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【目次】
1.国家公務員の福利厚生は充実している?
国家公務員には、充実した休暇制度、住宅サポート、保険、年金など、生活を支える福利厚生が用意されています。民間企業とも比較しつつ、各制度の内容を見ていきましょう。
1-1.さまざまな休暇制度
休暇制度は、国家公務員の福利厚生の中でも、特に充実している部分です。
いつでも自由に使える年次休暇(有給休暇)は「年間20日」付与されており、取得率も民間企業の平均を大きく上回っています。さらに、夏季休暇が3日間あり、年次休暇と組み合わせることで、1週間以上の休暇をとることも可能です。
他にも、育児休業や「男の産休」、結婚休暇などのワークライフバランスを重視した休暇が用意されています。それぞれの休暇制度の詳しい内容は、2章で詳しく解説します。
1-2.住宅面の福利厚生(官舎など)
住宅面でのサポートが充実していることも、国家公務員ならではの特徴です。
全国各地に、官舎(国家公務員宿舎)と呼ばれる職員住宅があり、民間の賃貸住宅と比べて格安な家賃で入居することができます。
【宿舎使用料の水準(東京23区の場合)】
新築〜15年 | 築26年 (宿舎全体の平均) | |
独身用 | 16,700円 | 13,400円 |
世帯用(係長補佐) | 60,000円 | 48,100円 |
世帯用(幹部) | 139,400円 | 116,300円 |
官舎に入居しない場合も、住居手当として家賃の一部が補助されます。
例えば、月額家賃8万円のアパートに住む場合、最大で「月2万8000円」の住居手当が支給されます。転勤がある場合も、住居費の負担を抑えながら生活できるでしょう。
1-3.公的医療保険(短期給付)や厚生年金(長期給付)
医療保険や年金でも、一般的なサラリーマンが加入する制度と比べて、手厚く保障されています。
例えば、医療保険(短期給付)では、大きな病気やケガで高額な医療費がかかった場合、法律で定められた「高額療養費」に加えて、追加の「附加給付」が設けられています。国民健康保険や協会けんぽと比べ、医療費の負担を少なくする仕組みになっているのです。
厚生年金(長期給付)も、国家公務員独自の上乗せ制度があります。
「年金払い退職給付」という制度が設けられており、大企業などの「企業年金」に相当する部分が用意されています。

このように、国家公務員の医療保険や年金制度は、現役時代から退職後までを手厚くサポートする仕組みとなっているのです。ライフプランを考える上でも、大きな安心材料だといえるでしょう。
2.【国家公務員の福利厚生①】休暇制度の一覧
休暇制度があっても、実際に取得できなければ意味がありません。
国家公務員の場合、充実した休暇制度が用意されているだけでなく、実際の取得率も高いことが大きな特徴です。
それぞれの休暇がどのように取得でき、どの程度活用されているのかを見ていきましょう。
2-1.自由に使える年次休暇|平均取得日数は16日以上
年次休暇は、いつでも理由を問わずに、取得できる休暇です。毎年「20日」が付与されており、「1時間単位」で使用することができます。
【年次休暇の使い方】
「遊びに行きたいから、1日休みたい」
「今日は余裕があるから、お昼から休もう」
「用事があるから、2時間早く帰る」 など
因みに、人事院のデータによれば、2023年の平均使用日数は「16.2日」でした。
民間企業(有給休暇)の平均取得日数は「11日」なので、国家公務員の方が5日以上多いことがわかります。
国家公務員 | 民間企業 | |
平均付与日数 | 20日 | 16.9日 |
平均取得日数 | 16.2日 | 11.0日 |
取得率 | 81% | 65% |
最近は、「月1日は必ず年次休暇を取得する」といった取り組みを行っている省庁も増えています。例えば、厚生労働省では、全職員向けに「厚生労働省働き方・休み方改革推進戦略 ~「休むことも仕事です。今度こそ本気です。」という取り組みが実施されており、職場全体で休暇を取得しやすい雰囲気がつくられています。
新規採用者からも、「4月から年次休暇を取得できた」といった声が数多く聞こえてきます。
2-2.安心の育児休業・休暇制度|男性の取得率も79%以上
国家公務員は、産休・育休などの制度も抜群に整っています。
なかでも男性職員の育休取得率は圧倒的に高く、2023年度の実績は79%に達しています。
男性 | 女性 | |
1週間以上取得した人の割合 | 79.1% | 104.8%※ |
2週間以上取得した人の割合 | 73.9% | 104.8%※ |
(民間企業の取得者の割合) | (30.1%) | (84.1%) |
(出典:内閣人事局|「国家公務員(一般職)の育児休業の取得状況」を加工して作成)
育児休業は「最大3年」まで認められており、1年間は給与の50〜60%程度が支給され続けます。また、期間は短いものの、100%の給与が保障される休暇制度も設けられています。職場全体で子育てを支援する体制が整っているのです。
【国家公務員の育児に関する休暇・休業制度】
日数 | 給与 | |
産前休暇 | 予定日前の6週間 (予定日以降、出産日 までの期間を含む) | 100% |
産後休暇 | 8週間 | 100% |
妻の出産 | 2日以内 | 100% |
男性の育児参加 | 5日以内 | 100% |
子の看護 | 5日以内(1暦年) | 100% |
育児休業 | 最大3年間 | 50〜60% (1年間まで) |
2-3.リフレッシュするための夏期休暇
夏季休暇は、7月から9月の間に「3日間」取得できる特別休暇です。
いわゆる「夏休み」をイメージするとわかりやすいでしょう。年次休暇とは別に付与されるため、年次休暇と組み合わせることで、まとまった休暇を取得することも可能です。
例えば、「土日+夏季休暇3日間+年次休暇2日間」を組み合わせれば、9日間の連休をとることもできます。実際に、多くの職員が長期休暇を取得して、海外旅行などでリフレッシュをしています。
2-4.病気やケガをしたときの病気休暇
病気や怪我をしたときに取得できるのが「病気休暇」です。
病気休暇は、年次休暇とは別に「90日」まで認められており、この期間中も給与が100%保障されています。さらに、その後も療養が必要な場合は、休職制度が用意されています。休職中も1年間は、給与の80%が支給されます。
2年目以降は給与は支給されませんが、共済組合から「傷病手当金(給与の3分の2)」が支給されるので、経済的に不安を感じるケースは少ないでしょう。万が一の際でも、安心して療養に専念することができます。
2-5.結婚・忌引きなどの特別休暇もある
人生の節目となる出来事に対しても、特別な休暇が用意されています。
結婚の場合は「5日間」、親族が亡くなった場合は「1日〜7日間」の忌引休暇が認められます。これらの休暇は年次休暇とは別に付与されるため、必要なときに必要な日数を取得することができます。
2-6.週休3日制が拡大される可能性も
週休3日制(選択的週休3日)の拡大も検討されています。
国家公務員の「選択的週休3日制」とは、勤務時間の合計を維持した上で、週休日を追加できる制度です。現在は、育児・介護を行う職員だけが対象ですが、人事院によって、一般職員にも拡大することが検討されています。
実施時期などは決まっていませんが、早ければ2025年にも全職員に導入されるといわれています。決定すると、さらに働きやすくなることは間違いありません。
3.【国家公務員の福利厚生一覧②】給与以外の諸手当一覧
国家公務員には、給与以外にも様々な手当が用意されています。
どのような手当があり、実際にいくらもらえるのか、具体的な内容を見ていきましょう。
3-1.勤務地で変わる地域手当
地域手当は、物価や生活費の高い地域で働く職員をサポートする手当です。
支給額は「基本給×地域ごとの支給割合」によって計算されます。例えば、東京特別区に勤務しており、給与が30万円の場合、地域手当の金額は毎月「6万円」です。
他の地域に転勤した場合でも、1年〜2年は前任地の支給率が保障される制度が整っています。
【地域手当の支給割合】
地域 | 支給割合 |
東京特別区 | 20% |
東京都、横浜市、大阪市 など | 16% |
神奈川県、大阪府、さいたま市 千葉市、名古屋市 など | 12% |
愛知県、京都府、仙台市、静岡市 神戸市、広島市、福岡市 など | 8% |
茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県 静岡県、三重県、滋賀県、兵庫県 奈良県、広島県、福岡県 など | 4% |
3-2.通勤手当・住宅手当
通勤手当は、実際にかかる交通費が全額支給されます。
例えば、電車やバスを利用する場合は定期券相当額が、自家用車や自転車で通勤する場合は距離に応じた金額が支給されます。
住宅手当は、民間の賃貸住宅に住む職員に対して、最大月額「2万8千円」が支給されます。
東京23区内で一人暮らしをする場合、月8万円のアパートに住めば、家賃の35%が補助されるため、住居費の負担を大きく減らすことができます。
3-3.年2回のボーナス(期末・勤勉手当)
年2回、ボーナスとして期末・勤勉手当が支給されます。
2024年度の場合、ボーナスの支給月数は基本給の4.6ヶ月分でした。つまり月給30万円の職員なら、6月と12月にそれぞれ「約69万円」のボーナスが支給される計算となります。
因みに、公表されているデータによれば、2024年12月ボーナスの平均支給額は「72万2000円」です。採用1年目でも6月から30%程度のボーナスが支給され、12月からは満額を受け取ることができます。
3-4.配偶者や子どもの扶養手当
結婚や出産など、ライフステージの変化に応じて手当額が変わるのも特徴です。
配偶者がいる場合は月額6,500円、子どもがいる場合は一人につき月1万円の扶養手当が支給されます。
なお、「配偶者に対する扶養手当」は2026年に廃止されますが、代わりに「子どもに対する扶養手当」が拡大される予定です。
配偶者 | 子ども (一人あたり) | |
現在 | 6,500円 | 10,000円 |
令和7年度 | 3,000円 | 11,500円 |
令和8年度 | 廃止 | 13,000円 |
これらはあくまでも「国家公務員の手当」なので、国の「児童手当(子ども手当)」は別途支給されます。
3-5.退職後の生活を支える退職手当
退職手当は、在職期間や退職時の俸給月額などに基づいて計算されます。
内閣人事局によれば、2023年に定年退職した人の平均支給額は「2,147万円」でした。
つまり、現行制度であれば、大卒で採用されて定年まで勤務した場合「2,000万円以上」の退職金を受け取ることができます。
以前より少なくなったといわれる国家公務員の退職金ですが、決して低い金額とはいえないでしょう。
4.【国家公務員の福利厚生③】おトクな国家公務員共済組合連合会(KKR)
国家公務員が所属する「国家公務員共済組合連合会(KKR)」では、医療保険や年金以外にも、様々な福利厚生サービスが提供されています。
旅行・ホテルの割引や年会費無料のゴールドカードなど、生活をより豊かにする特典が用意されているのです。各省庁独自の福利厚生と合わせて、国家公務員が利用できるサービスを紹介します。
4-1.旅行・ホテルなどの割引制度
国家公務員向けの福利厚生施設として、「KKRホテルズ&リゾーツ」という宿泊事業が展開されています。
東京、京都、箱根など、全国の人気観光地で「KKRホテル」が運営されており、一般価格より割安な組合員料金で利用することができます。
また、提携しているレジャー施設も特別料金で利用可能です。遊園地や水族館などの入場券が割引価格で購入できるので、レジャーや家族旅行の費用を抑えられるでしょう。
4-2.年会費無料のゴールドカード(クレジットカード)
KKRの組合員は、年会費無料でゴールドカード(クレジットカード)を作ることもできます。通常、年会費が1万円以上かかるケースが多いゴールドカードですが、KKRメンバーズカードは永年無料です。
空港のラウンジが利用できるほか、旅行傷害保険なども付帯されており、民間のゴールドカードと同等のサービスを無料で受けることができます。
4-3.各省庁独自の福利厚生(ベネフィットなど)
KKRの福利厚生に加えて、各省庁独自の福利厚生制度も利用できます。
多くの省庁では、民間の福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」に加入しているため、全国の飲食店やエステ、ジム、映画館などで割引が受けることが可能です。
5.【国家公務員の福利厚生④】ケース別の手厚い保障一覧
他にも、国家公務員には様々な手厚い保障が設けられています。
具体的なケース別に、保障の内容を見ていきましょう。
5-1.子どもが生まれたとき
国家公務員や配偶者が出産したときは、出産費+出産費附加金として「52万8千円」が支給されます。
国家公務員共済組合 | 国民健康保険 協会けんぽ など | |
支給額 | 528,000円 ・出産費 488,000円 ・附加金 40,000円 | 488,000円 ・出産費 488,000円 ・附加金 なし |
因みに、協会けんぽや国民健康保険に加入している場合、出産費附加金「4万円」は支給されません。出産時に手厚い保障が受けられることも、国家公務員ならではのメリットです。
5-2.お金を借りたいとき
共済組合によって、住宅を購入する際や、急な出費が必要になったときの貸付制度も用意されています。いずれも民間の金融機関より有利な条件で利用できるケースが多く、返済は給与天引きで行われます。
・一般貸付
・教育貸付
・結婚貸付
・医療貸付 など
5-3.医療費が高額になったとき
医療費が高額になった場合のサポート制度も充実しています。
例えば、平均的な給与の職員の場合、1ヶ月の総医療費が「100万円」かかったとしても、自己負担額は2万5千円程度まで抑えることができます。
金額 | |
総医療費 | 1,000,000円 |
本来の自己負担額 (3割負担の場合) | 300,000円 |
国家公務員共済組合 でカバーされる金額 (高額療養費+一部負担金払戻金) | 274,970円 |
最終的な自己負担額 | 25,030円 |
これは、国家公務員共済組合ならではの「附加給付」が設けられていることが大きな要因です。本来の自己負担金は30万円ですが、高額療養費+一部負担金払戻金として、共済組合から「274,970円」が支給されるため、自己負担額は「25,030円」まで抑えられるのです。
6.福利厚生だけではない!キャリアアップもできる充実の研修制度
国家公務員の魅力は福利厚生だけではありません。
自身のスキルをアップさせたり、キャリアアップするための研修制度が整っていることも大きな特徴です。
例えば、採用時には約2週間の初任研修があり、公務員としての基本的な心構えから仕事の進め方まで、丁寧に学ぶことができます。その後も、「3年目フォローアップ研修」や「中堅係員研修」や「係長研修」などステージや意欲に応じた研修が実施されています。これらの研修を通じて、公務員として必要なリーダーシップやコミュニケーション力、マネジメントスキルを磨いていくのです。
社会人として長く働き続けるには、成長できる環境であることも欠かせません。
国家公務員は、福利厚生だけではなく、スキルアップできる研修制度も充実しているからこそ、長く安定的に働くことができるのです。
6-1.国家総合職なら国費で海外留学もできる
さらに、国家総合職で採用された職員を中心に、海外の大学院で学べる留学制度も設けられています。国が費用を負担して、ハーバード大学をはじめとした世界トップクラスの大学院で、1年〜2年間、専門的な知識を学ぶことができるのです。
人事院が実施している留学制度(派遣研修制度)では、毎年150人程度の職員が海外に留学しています。外務省はもちろん、財務省、厚生労働省、文部科学省など、多くの省庁の職員が、留学経験を活かして政策の立案に携わっているのです。
留学中は、それまでの給与に加えて日当も支給されるので、経済的な心配をする必要もありません。国家公務員は、成長意欲が高い人にとっても非常に魅力的な職場です。
7.まとめ
記事のポイントをまとめます。
◉福利厚生① 充実した休暇制度
・年間20日の年次休暇に加え、3日間の夏季休暇もある
・育児休業は最大3年まで取得可能で、男性の取得率も79%
・病気休暇は90日まで給与が100%保障される
◉福利厚生② 諸手当などの手厚いサポート
・地域手当や住宅手当など、各種手当が充実
・医療費や出産費の負担を減らす給付制度もある
・定年退職すると、2000万円以上の退職金がもらえる
◉福利厚生だけではなく、キャリアステージに応じた研修も充実
◉総合職で採用されると、国費で海外留学もできる
以上です。
待遇面の良さは、国家公務員の大きな魅力です。今回紹介した福利厚生は、その代表例といえるでしょう。
国家公務員は、安定性が高く、急な倒産やリストラの心配もほとんどありません。
また、キャリアパスが明確で、成長するための研修制度も充実しています。ワークライフバランスを重視する方にも、キャリアアップを目指す方にも、魅力的な仕事なのです。
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