官僚になるには?大学・学部は関係ない?試験から採用まで全ルート解説
公務員の基本情報
2025年05月02日

「官僚になるには、東大や法学部出身じゃないと難しいの?」
こんな噂を耳にして、官僚になるのは無理だと諦めていませんか?
実は、官僚になるために「出身大学・学部」は関係ありません。地方大学、文学部出身などでも官僚になって活躍している人はたくさんいます。
そこで本記事では、官僚になるにはどうすれば良いのか、そして官僚とはどのような仕事をしているのかを分かりやすく解説します。
この記事を読めば、官僚になるための方法を理解し、今から何をすべきか具体的な計画を立てるヒントが得られるはずです。官僚に興味がある方は、ぜひご一読ください。

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【目次】
1.そもそも「官僚」とは
「官僚」とは、国家公務員のうち中央省庁(本府省)に勤務し、政策の企画・立案などに関わる職員を指します。ただし、法律で「官僚」という厳密な定義があるわけではなく、あくまでも「通称」にすぎません。
一般的には、「国家公務員採用総合職試験」に合格し、幹部候補として採用された国家公務員を「官僚」と呼ぶケースが多いです。「キャリア」「キャリア官僚」などと呼ばれることもあり、将来的に事務次官・局長といった幹部職に就くことが期待されています。
一方、同じ本府省勤務の国家公務員でも、一般職試験に合格して採用された職員は「官僚」ではなく、「ノンキャリア」などと呼ばれます。
2.官僚になるには2つの関門がある
官僚になるには、「①採用試験(国家公務員採用総合職試験)」と「②官庁訪問」の2つの関門を突破する必要があります。

2-1.①国家公務員採用総合職試験
官僚になる最初の関門は、「国家公務員採用総合職試験(採用試験)」に合格することです。
採用試験は、「教養区分」・「法律区分」・「政治・国際・人文区分」などに分かれており、筆記試験・人物試験が実施されます。
◎試験内容の例
教養区分 | 法律区分 | |
筆記 試験 | ●基礎能力試験 (文章理解、判断・数的推理、自然、人文、社会に関する時事など) ●総合論文試験 | ●基礎能力試験 (文章理解、判断・数的推理自然、人文、社会に関する時事など) ●専門試験 (憲法、行政法、民法など) ●政策論文試験 |
人物 試験 | ●企画提案試験 ●政策課題討議試験 ●人物試験(個別面接) | ●人物試験(個別面接) |
採用試験に合格すると、「採用候補者名簿」に氏名が記載され、次のステップである「官庁訪問」に参加する資格を得ることができます。
※国家公務員採用総合職試験は、こちらの記事で詳しく解説しています。
2-2.②官庁訪問
採用試験に合格した後、次の関門となるのが「官庁訪問」です。
これは、民間企業でいう就職活動のようなものと考えると分かりやすいでしょう。各省庁が独自に業務説明会や面接などを実施し、合格者が志望する省庁を訪問して、自身をアピールするのです。
官庁訪問では、採用試験の成績はあまり関係がありません。試験の成績ではなく、その省庁で働きたいという熱意や、幹部候補としての適性が重視されます。
官庁訪問の競争率は、非常に高いです。採用試験に合格したからといって、必ずしも希望省庁から内定を得られるわけではありません。
内定を得るためには、志望する省庁の政策や業務内容を深く理解し、自分がどのように貢献できるかを具体的に示すことが必要です。たとえば、「〇〇政策に関心があり、自らの経験を活かして△△の提案をしたい」など、具体的な関心を伝えつつ、自分の強みを伝えると効果的です。
3.官僚の仕事内容
官僚の仕事は多岐にわたりますが、主な業務として以下の3つが挙げられます。
・政策の企画・立案
・予算の編成
・国会対応
それぞれの仕事内容を詳しく見ていきましょう。
3-1.政策の企画・立案
官僚の中心的な業務の一つが、政策の企画・立案です。
これは、今の日本が抱えている問題、たとえば「社会保障を維持するにはどうすればいいか」、「不況を防ぐには、どういった経済政策が必要か」といった課題に対し、国としてどう解決していくか、具体的な政策を考えていく仕事です。
国内外の事例を調べたり、関連する統計データを分析したり、大学教授などの専門家に話を聞いたりして情報を集めていきます。そして、省内はもちろん、他の省庁や、関係する企業・利益団体、NPOなど多くの人と打ち合わせを重ね、意見を調整していきます。
これらの過程を通じて、新しい政策が立案されたり、法律の草案が作成されたりするのです。まさに国の将来を作りあげていく仕事だといえるでしょう。
3-2.予算の編成
予算編成も、官僚の大切な仕事です。
各省庁の政策を実現するには莫大なお金が必要ですが、税金など使えるお金には限りがあります。そのため、財務省の主計官という11人の官僚が、限られた国家予算を「どの省庁に」「どれだけ配分」するかを割り当てています。
各省庁の官僚(担当者)は、自省庁で必要な予算を編成するために、毎年夏から秋にかけて財務省に予算要求をしていきます。過去のデータなどを分析して、「なぜ、この政策に、いくら必要なのか」を省内で調整していくのです。
省としての希望額(予算要求)が決まったら、主計官と「この予算は本当に必要か」「もっと少なくできないか」といった交渉(予算折衝)を何度も重ねます。この交渉を経て、国全体の予算案が固まっていきます。
3-3.国会対応
「国会対応」も、官僚にとって避けられない業務です。
国会の会期中、各省庁の官僚は、議員からの質問に担当大臣がスムーズに答えられるよう、想定される質問・回答案をまとめた「想定問答」と呼ばれる資料を作成しています。
また、新しい法律案や予算案を国会で審議するときには、その趣旨や内容、必要性について、事前に議員に説明し、理解してもらうための仕事も行っています。
国会の会期中は、担当業務が終わっても、議員からの急な質問に備えて待機するケースも珍しくはありません。深夜まで待機が続くこともあるので、大変なことは事実でしょう。
しかし、自分が関わった法案が成立し、国の制度として実現する瞬間は、まさに官僚冥利に尽きる瞬間です。
4.官僚になるために出身大学・学部は関係ない
官僚になりたい方の中には、「特定の大学や学部を卒業していないと無理なのでは?」と不安に思う人が多いです。しかし、官僚になるのに出身大学・学部は関係ありません。
4-1.採用試験では「出身大学」を書く項目がない
採用試験で使用される「面接カード」には、出身大学に関する項目がありません。
冒頭にも、「出身校や会社名などが特定されるような記入は避けてください」とはっきり記載されています。つまり、出身大学を気にする必要はまったくないのです。

(出典:国家公務員採用総合職試験 面接カード見本を加工して作成|人事院)
4-2.なぜ東大出身者の割合が多いと言われるのか
とはいえ、事実として合格者の中には東大出身者の割合が多いです。
これは大学名で選考された結果ではなく、大学入試の段階から積み重ねてきた学力・思考力の違いによるものです。
実際、東大以外にも、全国の様々な大学の学生が合格しており、地方大学の出身者も増えています。官僚になるために本気で努力できれば、出身大学は関係ありません。
4-3.法学部以外でも合格できる
同様に、「法学部が有利」というイメージもありますが、実際には経済学部、理工学部、文学部など、様々な学部の出身者が合格し、官僚として活躍しています。
特に総合職試験では、法律区分以外にも、教養区分、経済区分、政治・国際・人文区分などがあり、どの学部でもチャレンジしやすくなっています。
法学や経済学などの専門知識が問われますが、全く関係のない学部でも心配はいりません。
受験指導校などを使えば、十分に対策できるでしょう。
5.合格を勝ち取るには「早く動きはじめる」ことが大切
ここまで、官僚になるのに出身大学・学部は関係がないことを解説しました。
しかし、だからといって誰でも合格できる試験ではありません。官僚を目指すなら、とにかく早く動きはじめることが大切です。
この章では、具体的にいつから対策するべきなのか、大学時代に何をしておけばいいのかなど、特に意識して欲しいポイントを紹介します。
5-1.筆記試験対策は大学1〜2年から始めるのが理想的
筆記試験の対策は、大学1〜2年から始めるのがおすすめです。
最近は19歳から受験できる秋の教養区分合格をメインで目指し、リスクヘッジとして法律区分などの春試験対策も併行して進めておく、というのがスタンダードな受験プランになっています。
一般的に、春試験の筆記試験で合格レベルに達するには、約1,500時間の勉強が必要といわれています。1,500時間分の勉強を1年間で行うとすれば、「週28時間・1日あたり4時間」が必要です。決して不可能ではありませんが、かなりタイトなスケジュールになるでしょう。
人物試験対策の意味でも、できれば勉強一辺倒になるのではなく、大学の部活動やサークル、アルバイトなどに充てる時間を確保したいところです。
そうすると、2年程度かけて勉強するのが理想的です。特に、「教養区分」は大学1年時から始めると、シンプルに受験回数が増える上、最短で大学2年生の秋に合格することができます。
ただし、大学3年の秋〜冬から始めて合格する人もいるので、いつからスタートしても遅すぎることはありません。
5-2.いろいろな経験を積んでおこう
官僚になるためには、筆記試験の対策をするだけでなく、様々な経験を積んでおくことが大切です。特に、官庁訪問では人物評価が重視されるため、部活動やサークル、アルバイト、ボランティア活動など、アピールできる経験が多いほど有利になります。
これらの経験は輝かしい実績でなくても構いません。「〇〇大会で全国優勝した」、「アルバイトで売上No.1を達成した」といった結果ではなく、何に取り組み、そこから何を学んだのかを言語化することが求められます。
官僚としての適性をアピールする方法を考えて、大学1〜2年時から、材料となる経験をたくさん積んでおきましょう。
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6.官僚になるなら受験指導校に通うのがおすすめ
官僚になるには、筆記試験・人物試験の両方の対策が必要ですが、これらを独学で進めるのは容易ではありません。そこでおすすめしたいのが、受験指導校を活用することです。
6-1.「合格に必要な知識」に絞り込んで学べる
筆記試験は、受験区分により異なりますが、法律系や経済系など膨大な分野から出題されます。独学では、どの分野をどの程度学習すべきか判断するのが難しく、非常に効率が悪いです。
受験指導校では、長年の指導経験と試験分析に基づいて、「合格に必要な知識」に絞り込んだカリキュラムが組まれています。洗練されたテキストやプロ講師の講義を通じて、迷うことなく学習を進められるでしょう。分からない点も講師に直接質問できるので、独学よりもはるかに短い勉強時間で、合格レベルに達します。
6-2.集団の中でアピールする人間力を養える
官庁訪問では、集団の中で自分をアピールする力が求められます。
集団討論やプレゼンテーション、集団面接の場で、コミュニケーション能力や論理的思考力、ディスカッションの仕方など、自分の考えや適性を伝える力が問われるのです。
受験指導校では、模擬面接や集団討議、ゼミなどの実践的トレーニングを通じて、こうした「人間力」を養うことができます。同じ志を持つ仲間と切磋琢磨できる環境で学ぶことで、多くの刺激をもらえるでしょう。
合格することはもちろん、官僚として必要な資質も身につけることができます。
7.まとめ
記事のポイントをまとめます。
1.官僚とは、本府省で政策の企画・立案に関わる国家公務員
「官僚」とは、本府省で政策の企画・立案に関わる国家公務員です。
法律上の定義はありませんが、一般的には「国家公務員採用総合職試験」に合格した職員が該当します。
2.官僚になるには2つの関門がある
官僚になるには、「①国家公務員採用総合職試験(採用試験)」に合格した後、「②官庁訪問」で内定を得ることが必要です。採用試験は「法律区分」「教養区分」などに分かれており、合格すれば官庁訪問の資格を得られます。官庁訪問では、各省庁の幹部候補としての適性が評価され、競争率は非常に高いです。
3.官僚になるのに、出身大学・学部は関係ない
採用試験の面接カードには出身大学を書く項目がなく、出身大学は関係ありません。
東大以外からも多くの合格者が出ています。また、法学部だけでなく、様々な学部の出身者が官僚として活躍しています。
4.合格を勝ち取るには「早く動きはじめる」ことが大切
合格には約1,500時間の学習が必要とされ、大学2年時から対策するのが理想的です。
人物試験に向けて、様々な人生経験を積むことも欠かせません。「〇〇大会優勝」などの実績ではなく、「経験から何を学んだかを言語化できること」が評価されます。
5.官僚になるなら受験指導校に通うのがおすすめ
独学では効率が悪いため、受験指導校の活用をおすすめします。
受験指導校では「合格に必要な知識」に絞った学習ができ、ゼミや模擬面接などを通じて、自分をアピールする力が養えます。
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