宅建士の合格点を徹底分析!過去の推移・最高点・予想点・目標点など

基本情報

2025年09月15日

「宅建士試験の合格点の推移が知りたい
「何点あれば確実に合格できる?」
「過去の最高合格点は?」

宅建士試験に合格するには、何点が必要なのでしょうか?数年前までは「35点」が目安と言われていました。

しかし、ここ5年間に限っていえば「35点」で合格できる年度は少なくなっています。合格点は年によって大きく変動するため、丁寧な分析が欠かせません。

本記事では、次の点について取り上げました。

・過去の合格点(合格基準点)の推移
・最高合格点や最低合格点
・点数別の合格可能性
・科目別の目標点数 など

宅建士試験の合格点について、受験生が気になるポイントを徹底的に分析しました。是非ご一読ください。

※宅建の合格率や難易度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士試験の合格率はなぜ低い?合格点や難易度をデータをもとに徹底解説!

※宅建士の資格の詳細については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【完全版】宅建とは?試験の詳細や宅建士の仕事内容など資格のすべてを徹底解説!

1.宅建士試験の合格点は?過去10年の推移

宅建士試験は、50点満点(1問1点)のマークシート形式で実施されます。合格点(合格基準点)は、「36点〜37点」が目安だと言われていますが、年によって大きく変動します。

【過去10年間の合格点の推移】

年度合格点受験者数合格者数
令和6年度37点241,43644,992
令和5年度36点233,27640,025
令和4年度36点226,04838,525
令和3年度
(12月)
34点24,9653,892
令和3年度
(10月)
34点209,74937,579
令和2年度
(12月)
36点35,2614,610
令和2年度
(10月)
38点
(最高点)
168,98929,728
令和元年度35点220,79737,481
平成30年度37点213,99333,360
平成29年度35点209,35432,644
平成28年度35点198,46330,589
平成27年度31点
(最低点)
194,92630,028
平均合格点35.33点 

※令和2年度・3年度は感染症拡大防止のため2回に分けて実施
出典:(一財)不動産適正取引推進機構|試験実施概況(過去10年間)

1-1.合格点の最高は「38点」

直近10年間で、合格点が最も高かったのは、令和2年度(10月)試験です。

合格には「38点」が必要で、前年より「3点」も高い点数でした。当時の宅建士試験では、35点〜36点あれば、高確率で合格できると言われていたため、多くの受験生が涙を飲むことになりました。

1-2.合格点の最低は「31点」

一方で、平成27年度のように「31点」で合格できた年もあります。ただし、10年近く前の試験であり、現在の宅建士試験に「31点」で合格できる可能性は限りなく低いです。

1-3.合格点の平均は「35点」

過去10年間の合格点の平均は「35.33点」です。年による変動が大きいため「35点」で合格できない年も多いです。

2.【点数別】合格の可能性を過去データから検証

具体的な点数別に、合格できる可能性を見ていきましょう。過去10年間の試験をベースに「35点〜38点」の点数それぞれで、合格できる年がいくつあるのかを検証します。

2-1.「35点」で合格点に達する可能性は50%未満?

合格点の過去10年の平均点「35点」で宅建士試験に合格できる可能性は、どの程度あるのでしょうか?過去10年間のデータを元に、仮に得点が「35点」だった場合に合格できる回数をカウントすると、次のようになります。

年度合格点35点の合否合格可能性
(5年単位)
合格可能性
(10年)
令和6年度37点不合格29% 
令和5年度36点不合格50%
令和4年度36点不合格
令和3年度
(12月)
34点合格
令和3年度
(10月)
34点合格
令和2年度
(12月)
36点不合格
令和2年度
(10月)
38点不合格
令和元年度35点合格 
平成30年度37点不合格80%
平成29年度35点合格
平成28年度35点合格
平成27年度31点合格

直近10年間で見た場合の合格率は「50%」です。「12回」実施されている試験のうち、6回が合格、6回が不合格です。

ただし、直近5年間に限定して確認すると、合格率は「29%」にまで低下します。35点では、「7回」実施されている試験のうち、たった「2回」しか合格できません。

2-2.「36点〜37点」で合格点に達する可能性は84%?

同様に「36点〜37点」で合格できる回数をカウントしてみましょう。

年度合格点36点37点
令和6年度37点不合格合格
令和5年度36点合格合格
令和4年度36点合格合格
令和3年度
(12月)
34点合格合格
令和3年度
(10月)
34点合格合格
令和2年度
(12月)
36点合格合格
令和2年度
(10月)
38点不合格不合格
令和元年度35点合格合格
平成30年度37点不合格合格
平成29年度35点合格合格
平成28年度35点合格合格
平成27年度31点合格合格
合格可能性75%92%

「36点〜37点」あれば、8割以上の確率で合格できることが分かります。最低でも「36点」以上を取得できるように、勉強を進めていきましょう。

2-3.「38点」あれば確実?目標点数は80%が目安

直近10年間に限れば、「38点」あると確実に合格できます。ただし、今後どうなるかは分かりません。

令和2年度試験の「38点」以上に合格点が上がる可能性もゼロではありません。確実に合格点に達するには、「80%(40点)」を目標に対策すると良いでしょう。

なお、目標とするのはあくまでも「本試験で80%」取れる実力です。過去問では「100%」正解できる実力が必要です。

3.合格点に達するには?科目別の目標点数

次に、科目別の目標点数を見ていきましょう。

科目配点目標の得点目標の得点率
宅建業法20点16点以上80%
権利関係14点8点以上60%超
法令上の制限8点6点以上70%〜80%超
税・その他8点6点以上70%
全体50点40点以上80%

3-1.宅建業法の目標点数は「16点以上」

宅建業法では「16点以上」の得点を目指しましょう。例年「20問」程度が出題されており、配点は20点です。16点を取得するには、80%以上の正答率が必要です。

宅建業法は宅建士の業務に直結する内容が多く、合格後も必要な知識が詰まっています。全体に占める割合も高いため、しっかりと理解し、確実に得点しましょう。

3-2.権利関係の目標点数は「8点以上」

権利関係では「8点以上」を目標にすると良いでしょう。合計14問が出題されるため、60%超の正答率で達成できます。

民法を中心に、不動産物権変動や抵当権など、権利関係の基本的な概念をマスターすることが求められます。不動産取引のトラブル事例などにも触れておくと、より理解が深まるでしょう。

3-3.法令上の制限の目標点数は「6点以上」

法令上の制限では「6点以上」を目標に対策を進めましょう。必要な正答率は、70%〜80%が目安です。条文の丸暗記ではなく、各規制の目的や趣旨をつかむことを心がけましょう。

3-4.税・その他の目標点数は「6点以上」

税・その他の分野でも「6点以上」は必要です。

固定資産税や不動産取得税などの税制、地価公示法、不動産鑑定評価基準など、様々なジャンルから出題されます。税・その他は試験年度によって、難易度の差が大きいです。過去問で出題されている問題を、確実に正答できるよう対策しましょう。

4.宅建士試験の合格点の決め方は?

宅建士試験の合格点(合格基準点)の決め方は、公表されていません。ただし、合格率が「15%〜18%台」の間で安定的に推移していることを踏まえると、一定の調整がなされている可能性が高いでしょう。

例えば、次のような影響を受けていることが考えられます。

・問題の難易度
・受験者の数
・受験者の平均点
・社会の情勢(宅建士を増やしたいのか、減らしたいのか)

基準が公表されていない以上、正確なところは分かりません。必要以上に合格点の決まり方を気にするのではなく、確実に合格できる点数を取れるように試験対策を行いましょう。

5.宅建士の合格点は高すぎる?難しくなった?

宅建士試験は難しくなったという意見を聞くこともあります。実際のところ、どうなのでしょうか?過去のデータから解説します。

5-1.過去10年間の推移

過去10年間の合格点・合格率を比較すると次のとおりです。

年度合格点合格率
令和6年度37点18.6%
令和5年度36点17.2%
令和4年度36点17.0%
令和3年度
(12月)
34点15.6%
令和3年度
(10月)
34点17.9%
令和2年度
(12月)
36点13.1%
令和2年度
(10月)
38点17.6%
令和元年度35点17.0%
平成30年度37点15.6%
平成29年度35点15.6%
平成28年度35点15.4%
平成27年度31点15.4%

確かに、合格点(合格基準点)は平成の終わりごろから上昇傾向です。特に、令和2年度(10月)と令和3年度(10月)では、合格点が非常に高くなっています。一見すると難しくなったようにも見受けられるでしょう。

しかし一方で、合格率に大きな変化はなく「15%〜18%台」の間で安定的に推移しています。合格点が上昇傾向にあるにもかかわらず、合格率が大きく変わっていないことから、試験の難易度が上がったわけではないと推測できます。

※宅建士の難易度については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士試験はどれくらい難しい?偏差値60相当?合格への道筋を解説

5-2.宅建士試験の合格点が上がった理由

では、なぜ宅建士試験の合格点は上がっているのでしょうか。その理由として考えられるのは、受験生のレベルの向上です。

近年、宅建士試験対策の教材や講座が充実してきたことで、受験者の理解度や得点力が上がっている可能性があります。また、宅建業界の注目度が高まり、より多くの優秀な人材が受験するようになったことも、合格点上昇の要因かもしれません。

優秀な受験者が増える程、合格点を上げなければ、合格率が上昇してしまいます。そのため、合格率を一定に保つために、合格点が上がっている可能性があるのです。とはいえ、正しい方法で対策すれば、誰でも合格できる試験であることに変わりはありません。自分のペースで着実に学習を進め、宅建士試験合格を目指していきましょう。

※宅建士試験の合格率については、次の記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士試験の合格率はなぜ低い?合格ライン・合格点や難易度を徹底解説!」

6.【2024年試験】井内講師による合格点の分析

最後に、2024年宅建士試験の合格点(合格基準点)について、動画で解説します。既に合格発表が終わっている試験ではありますが、直近の試験傾向や合格点の変化が詳しく分析されています。是非ご覧ください。

・総評と難易度の分析について
・Bランク問題の重要性と特徴
・成績診断アンケートの平均点
・権利関係の重要性と合格に向けたアプローチ
・法令上の制限とその対策
・Bランク問題の重要性と戦略
・合格予想点など 

井内講師による2024(令和6)年 宅建士試験の分析

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7.【Q&A】宅建士の合格点についてのよくある質問

7-1.Q.宅建士試験の合格点はいつ分かる?

宅建士試験の合格点は、合格発表日に「不動産適正取引推進機構」のHPに掲載されます。

伊藤塾でも毎年、井内講師によるYouTube動画「宅建試験総評」の中で、「予想合格点」について解説しています。

※2023年度の動画はこちら→井内講師による「2023年度 宅建試験総評」(予想合格点の話は3分30秒〜)
※2022年度の動画はこちら→井内講師による「2022年度 宅建試験総評」(予想合格点の話は4分40秒〜)

7-2.Q.過去問だけで合格点に達するのは可能?

過去問だけで合格したという話は一定数聞こえてきます。しかし、本当にテキストも使わず、勉強で使用したものは唯一「過去問のみ」といった形で合格を果たした人のことは、ほとんど聞いたことがありません。

ほとんどの人は、テキスト等を活用して、しっかりと知識をインプットしながら、過去問に取り組んでいます。インプットとアウトプットのバランスや、学習の手順などに自信のない方は、受験指導校の「合格のために考え尽くされた効率的なカリキュラム」を活用されるとよいでしょう。

8.まとめ

最後に今回の記事のポイントをまとめます。

◉ 合格点は年によって大きく変動する
◉ 過去10年の最高点は38点、最低点は31点
◉ 過去10年間の平均的な合格点は35点
◉ ただし、35点で合格できる年は少ない
◉ 確実に合格するためには「38点以上」が必要

宅建士試験の対策には、ぜひ法律資格専門の指導校である伊藤塾をご活用ください。

※こちらも併せてお読みください。
→ 宅建の通信講座はなぜ伊藤塾がおすすめなのか?宅建士合格講座の魅力を徹底解説

「今年はさらにバージョンアップしたコースをご用意!!「2025年合格目標 宅建士合格講座」 のご紹介です!」

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伊藤塾 宅建士試験科

著者:伊藤塾 宅建士試験科

伊藤塾宅建士試験科が運営する当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、宅建士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。