
宅建士試験と公務員試験は両立可能?公務員が宅建士資格を取るメリットも解説
キャリア
2025年10月06日


宅地建物取引士(宅建士)と公務員は、どちらも将来性が高く人気のある職業です。公務員試験と宅建士試験を両睨みで勉強する人も多いですが、「どちらが難しいのか」「両試験を同時に目指すことは可能か」といった疑問を持つ方も少なくありません。
また、公務員のなかには転職やキャリアアップを考え、宅建士の資格取得を目指す人も増えています。公務員が宅建士資格を持つことで、担当業務の幅が広がるだけでなく、転職時に自身の強みとしてアピールしやすくなるメリットもあります。
本記事では、宅建士試験と公務員試験の難易度の違いや、両方を並行して勉強できるのかについてわかりやすく解説します。さらに、公務員が宅建士資格を取得することで得られるメリットや、公務員採用における宅建士資格の評価についても触れていきます。
資格取得や就職活動を効率よく進めたいと考えている方にとって、本記事が判断の参考になれば幸いです。
【目次】
1. 宅建士試験と公務員試験はどっちが難しい?合格率から見る難易度
宅地建物取引士試験(宅建士試験)と公務員試験は、それぞれ出題内容や受験制度が大きく異なるため、単純に難易度を比較することはできません。試験との相性、学習スタイル、受験時期、順序、さらに予備校の活用状況などによっても、感じる難しさは人それぞれ異なります。
宅建士試験は、不動産取引に関する知識を問う国家資格です。近年の合格率はおおむね15〜17%で推移しており、決して易しい試験とはいえません。特に法律の学習が初めての方にとっては、専門用語の多さや独特な出題形式に戸惑いやすく、独学での合格は難易度が高いとされています。
一方、公務員試験は「国家総合職」「国家一般職」「地方上級」「市役所」など、複数の区分に分かれており、それぞれで試験科目や選考方式が異なります。たとえば、2024年度の国家一般職(行政区分)の対受験者倍率は約2.5倍で、試験では教養試験に加えて、専門試験、論文、面接など複数の選考プロセスがあります。知識だけでなく、文章力や人物評価といった総合的な対応力が求められる点も公務員試験の特徴です。
このように、両試験にはそれぞれ異なる種類の難しさがあります。どちらの試験が自分に合っているかを見極めるには、公務員試験で志望する職種・区分を明確にし、両試験の過去問を実際に解いてみることが効果的です。出題傾向に触れることで、自分に適した学習計画を立てやすくなるでしょう。
2. 宅建士試験と公務員試験の両立は可能?
宅建士試験と公務員試験は、どちらも難易度の高い試験なので、「両立は難しいのではないか」と考えられがちです。たしかに、十分な準備や努力なしに両方の試験に合格するのは簡単ではありません。しかし、学習の進め方を工夫すれば、同時に合格を目指すことも十分に可能です。
ここでは、宅建士試験と公務員試験の両立が可能である理由について、わかりやすく解説していきます。
2-1. 試験日程がズレている
宅建士試験と公務員試験が両立しやすい最大の理由の一つは、試験日程が大きく重ならない点にあります。
宅建士試験は毎年10月中旬に実施されるのに対し、公務員試験の一次試験は主に5月〜6月に行われ、二次試験の多くは夏にかけて順次実施されます。この日程のズレをうまく活用すれば、効率的な学習スケジュールを立てやすくなります。
たとえば、4月ごろから宅建士試験に向けて集中的に勉強を進めることで、法律の基礎知識を固めながら、試験に慣れることができます。そして、10月の宅建士試験が終了したタイミングで、翌年の公務員試験の対策に本格的に切り替えるという形で、段階的かつ無理のない学習が可能になります。
このように、両試験の時期的な特性を活かすことで、負担を分散しながら着実に実力を高めることができます。
2-2. 民法など一部の試験科目が共通している
宅建士試験と公務員試験の両立がしやすい理由の一つに、共通科目の存在があります。
宅建士試験では「民法」が重要な出題科目となっていますが、公務員試験(特に行政職や法律職)でも、民法は主要な科目として出題されます。したがって、どちらかの試験対策で民法を学んでいれば、もう一方でもその知識を活用することができ、効率的な学習が可能になります。
さらに、「法律の考え方」や条文の読み方といった基礎を身につけておけば、他の法律科目の理解もスムーズになり、学習全体の質を高めることにつながります。
また、宅建士試験では民法に加えて「建築基準法」や「都市計画法」など、不動産や都市行政に関連する分野も出題されます。これらは行政職の実務と親和性が高く、宅建士試験を通じて得た知識や法的思考力、文章読解力は、公務員試験でも大いに役立ちます。
3. 公務員なら宅建士の資格取得を目指すべき理由
公務員として働く予定の方や、すでに公務員として勤務している方の中には、「わざわざ宅建士資格を取る必要があるのか」と疑問に感じる方もいるかもしれません。
しかし実際には、宅建士資格を持っていることで業務の幅が広がるだけでなく、対外的な信頼やキャリアアップにもつながる場面が多くあります。
ここでは、公務員が宅建士資格を取得することで得られる主なメリットを、3つの観点から解説します。
3-1. 仕事の幅が広がる
公務員が宅建士の資格を持っていると、担当できる業務の選択肢が広がります。
特に市区町村役場や県庁などで不動産や土地利用に関する部署に配属された場合、宅建士としての知識が実務に直結する場面が多くあります。
たとえば、固定資産税の評価や土地の収用、都市計画に関する手続きなど、不動産に関連する業務では法的知識が求められます。
また、公営住宅の管理や地域再開発、公共施設の整備といった事業でも、宅建士試験で学ぶ民法や建築基準法などの法令知識が活かされます。
宅建士の資格があれば、こうした専門性の高い分野で積極的に関与できるため、業務の幅を広げる上で有効です。
3-2. 社内や取引先から信頼されやすい
宅建士は国家資格であり、取得すること自体が不動産や関連法制度に関する知識と専門性を有している証明になります。そのため、公務員として宅建士資格を保有していれば、同僚や上司、さらには外部の関係者からも一目置かれる存在になりやすいでしょう。
特に、民間の不動産会社や建設業者と協議・交渉を行う業務では、宅建の知識があることで共通の専門用語が理解でき、やり取りがスムーズに進む場面が増えます。結果として発言に説得力が増し、信頼感のある担当者として評価されやすくなります。
公務員が宅建士資格を取得することは、日々の業務効率や信頼・評価という面においても、確かなプラスの効果をもたらすはずです。
3-3. キャリアアップの際に自身の強みを活かしやすい
宅建士資格は、公務員としてのキャリア形成においても有利に働く場面があります。たとえば異動や昇進、人事評価などのタイミングで、「不動産に関する専門知識を持つ人材」として評価され、自身の強みとしてアピールしやすくなるでしょう。
実際、自治体や官公庁の中には、不動産取引や都市計画、用地取得といった業務に精通した職員を重宝する部署も多く存在します。宅建士資格を保有していれば、知識を活かせる部署への異動や、専門性を評価した昇任の可能性も高まります。
さらに将来的に公務員を退職して民間企業へ転職したり、定年後の再就職を考える場合にも、宅建士資格は大きな強みになります。不動産・建設・金融といった業界では宅建士の需要が高く、資格を活かしたセカンドキャリアの選択肢も広がるでしょう。
4. 宅建士資格があると公務員採用で有利になる?特別採用は?
宅建士資格を持っていると、公務員試験の採用で有利になるのか気になる方も多いでしょう。
ここでは、宅建士資格の有無が公務員採用にどのような影響を与えるのか、また「特別採用」といった制度が存在するのかについて解説します。
4-1. 専門的な知識があることの客観的な担保になる
宅建士資格を取得していることは、不動産取引や民法に関する基礎的かつ専門的な知識を有している証となります。これは、都市計画、建築、住宅政策などの業務に関心がある人にとって、専門性を示す有効なアピール材料になります。
履歴書やエントリーシートに宅建士の資格を明記すれば、「法律や不動産分野に積極的に取り組んできた意欲的な人材」として評価されやすくなります。とくに民間企業出身者や既卒者が社会人枠で公務員試験を受験する際には、これまでに培ってきたスキルや専門知識を裏付ける客観的な証拠として、宅建士は高い評価を受けることが少なくありません。
4-2. 目標に向かって努力できることをアピールできる
宅建士試験は、合格率が15〜17%前後とされる難関国家資格です。この試験に合格するには、長期的かつ計画的な学習が不可欠であり、「目標に向かって粘り強く努力できる人」という印象を相手に与えることができます。
特に面接の場では、「なぜ宅建を取得しようと思ったのか」「どのように学習計画を立て実行したのか」「どんな困難を乗り越え、何を得たのか」といった点を具体的に語れるよう準備しておくと、説得力が増し、面接官の記憶にも残りやすくなります。
公務員試験では、単なる知識やスコアだけでなく、主体性・継続力・自己管理能力といった人間的な側面も重要視されます。その意味でも、宅建取得の経験は、努力を継続できる姿勢の証明として高く評価される要素となるでしょう。
4-3. 宅建士資格を持っていることによる「特別採用」はない
一方で注意しておきたいのは、宅建士の資格を持っていることが、公務員採用において直接的な優遇措置や特別枠での合格に結びつくわけではないという点です。
一部の自治体では「経験者採用」や「資格免許職採用」など、特定の経歴や資格を前提とした採用枠が設けられているケースもありますが、宅建士単体で応募可能な特例採用や優遇制度は存在しません。そのため、宅建士資格の有無によって筆記試験が免除されたり、選考フローが変わることはなく、他の受験者と同様に通常の採用試験を受ける必要があります。
とはいえ、宅建士資格を保有していることが人事担当者の目に留まり、評価の一要素となる可能性は十分あります。特に、志望動機や自己PRの場面で資格取得の背景や活用イメージを明確に伝えられれば、他の受験者との差別化につながるでしょう。
宅建士資格を自身の強みとしてどう活かせるかを具体的に示すことが重要です。
5. 公務員が宅建を目指す際の注意点
公務員として働きながら宅建士資格取得を目指す方も増えています。自己研鑽としての資格取得は評価されやすい反面、職務に支障を与えないよう注意が必要です。
ここでは、公務員が宅建士試験合格を目指す上で知っておくべき重要なポイントについて解説します。
5-1. 副業で宅建士として働くことはできない
宅建士資格を持っていても、公務員は副業が原則禁止されているため、宅建士としての業務に従事することはできません。これは基本的に公務員であればどの業種でも同様です。公務員が宅建士資格を取得する場合、あくまで知識やスキルとしての活用にとどまり、宅建士として実務で働くことは事実上不可能だと考えておきましょう。
5-2. 資格手当は基本的にもらえない
民間企業では宅建士資格取得により資格手当が支給されることもありますが、公務員の場合、基本的に給与や手当の加算はありません。
一部の自治体では、難易度の高い資格取得者に対して表彰や金一封を支給することがありますが、宅建士資格が対象かどうかは自治体ごとに異なるため、勤務先の人事課や総務課に確認することが大切です。
宅建士資格の取得が直接的に収入アップや処遇改善につながることは稀であり、資格は業務の幅を広げるためや自己研鑽の一環として捉えることが重要です。
6. 宅建士試験合格を目指すなら受験指導校を活用すべき理由
効率良く短期での宅建士試験合格を目指したいなら、受験指導校を活用することが非常に効果的です。
宅建士試験は法律の専門知識を問われる難関国家試験で、合格率は例年15%前後に留まっています。
特に、公務員として働きながら勉強する場合は、仕事と学習を効率よく両立させることが不可欠です。
受験指導校では、宅建士試験合格に必要な知識を体系的に学べるカリキュラムを提供しています。
重要ポイントに絞った講義やテキストで学習できるため、限られた時間でも効率的に理解を深められます。特に通信講座は、通勤時間や隙間時間を活用して学べるため、忙しい公務員に適しています。
また、宅建士試験は法改正の影響を受けやすい試験でもあるため、最新の法律情報を反映した教材が利用できることも大きなメリットです。独学では新しい情報の収集や対策が難しいこともありますが、指導校ならタイムリーに改正内容を反映した教材を提供しています。
さらに、模擬試験を通じて、自身の実力や弱点を客観的に把握できる点も指導校の強みです。弱点を明確にすれば重点的な対策が可能になり、効率よく得点力を伸ばせます。独学では見落としがちなポイントも、専門講師が丁寧に指導してくれるため安心です。
このように、宅建士試験合格を確実に目指すなら、受験指導校の活用が効率的かつ安心です。特に忙しい公務員の方にとって、時間を有効に使い最新情報に対応しながら学べる指導校のサポートは、合格への近道となるでしょう。
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7. 宅建と公務員試験の関係に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 宅建と公務員試験ならどっちを先に勉強すべき?
A. どちらを先に勉強するかは、将来的に目指すキャリアや学習スタイルによって異なります。
宅建は法律の専門知識が必要なため、基礎的な法律知識があればスムーズに学べます。一方、公務員試験は法律以外にも政治・経済、時事問題など幅広い分野をカバーします。
法律初学者の場合には、まず宅建士試験の勉強から始めて、法律の基礎を固めてから公務員試験に取り組むのも効果的です。
Q2. 宅建はどれくらい勉強すれば合格できる?
A. 宅建士試験に合格するために必要な勉強時間は個人差がありますが、一般的には300〜500時間程度が目安とされています。これは、法律の学習が初めての人でも合格に到達できる学習時間として、多くの受験者に共通する基準です。
ただし、受験指導校を活用し、重要ポイントを効率よく学習できれば、300時間に満たない学習時間で合格ラインに達することも十分に可能です。
また、公務員試験と並行して宅建対策を行うことで、法律に関する理解を深めながら両試験に備えることができるため、相乗効果が期待できます。
Q3. 宅建の知識が公務員の仕事で活きることはある?
A. 宅建士としての専門知識は、公務員の業務においても十分に活用できます。
特に、不動産や土地の取り扱いが関係する部署ではその有用性が高く、市役所や県庁の都市計画課・財産管理課・住宅政策課などで役立つ場面が多く見られます。
たとえば、都市開発や区画整理の業務では、土地の権利関係や取引に関する知識が求められます。こうした場面で宅建の学習で得た民法や都市計画法などの知識が、法令遵守や適切な行政処理に貢献します。
また、公有財産の売却・取得を担当する際にも、不動産取引に関する専門知識があるとスムーズに業務を進めることができます。
さらに、宅建の勉強を通じて法律への理解が深まることで、住民からの相談対応や申請手続きにおいても、より的確で丁寧な対応が可能になります。法律知識を背景にした説明は、説得力があり、住民の信頼向上にもつながります。
8.宅建士試験は公務員試験と両立可能!公務員の仕事とも相性良し
本記事では、宅建士試験と公務員試験の難易度の違い、両立の可否、そして公務員が宅建士資格を取得するメリットについて詳しく解説しました。
主なポイントは以下の通りです。
◉ 宅建士試験と公務員試験の違い・難易度比較
宅建士試験は合格率15〜17%の法律系国家資格で、独学ではやや難易度が高め。
公務員試験は区分(国家総合職・一般職・地方上級など)により難易度が異なり、試験科目も幅広い。
難易度は一概に比較できず、学習スタイルや適性によって感じ方が変わる。
◉両立は可能か?
試験日程がずれているため、時期を分けた学習が可能。
民法など共通科目があり、効率よく勉強できる点も両立の利点。
◉公務員が宅建士を取得するメリット
業務の幅が広がる(不動産・都市計画・財産管理など)。
国家資格によって、信頼性・専門性が高まり評価されやすくなる。
昇進・異動・民間転職にも有利で、キャリアの武器になる。
◉宅建士資格は公務員採用に有利?
採用で直接的な優遇(特別枠など)はない。
ただし、「専門性」や「努力の証明」としてプラス評価される可能性は高い。
◉公務員が宅建士を目指す際の注意点
宅建士の副業(実務従事)は原則NG。
資格手当はほとんどの自治体で支給されない。
自己研鑽として取得する姿勢が重要。
◉合格に向けた学習方法
公務員のような多忙な人には、受験指導校(とくに通信講座)の活用が効果的。
最新の法改正にも対応でき、効率的かつ短期集中で合格を目指せる。
以上です。
公務員試験や公務員の職務と宅建士資格の相性はよく、公務員を目指す学生にとっても、現役の公務員の方にとっても、宅建士資格を取得することのメリットは大きいといえるでしょう。
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