
宅建士試験における「税・その他」の攻略法!覚え方や出題傾向とは?
勉強法
2025年10月06日


宅建士試験では、「税・その他」と呼ばれる分野から合計8問が出題されます。全問題数が50問であることを考えると、決して軽視できない、合否に直結する重要な分野だといえます。
専門性の高い内容も含まれることから、一見馴染みにくさを感じられるかもしれませんが、実際には出題内容に一定のパターンがあります。ポイントを押さえて対策すれば、短期間でも得点源に変えられる分野です。
本記事では、「税・その他」の出題傾向、頻出テーマ、効率的な覚え方、そして学習時のポイントまでをわかりやすく解説します。「税・その他」の得点が伸びない、苦手と感じている方に役立つ内容をまとめていますので、ぜひ最後までご一読下さい。
【目次】
1. 宅建士試験における「税・その他」とは?
この章では、まず宅建士試験における試験範囲を確認した上で、「税・その他」の出題数や目標点数について解説していきます。
1-1. 宅建士試験の試験科目
宅建士試験は、四肢択一式のマークシート方式で実施され、全50問・50点満点で構成されています。試験科目は以下の4つに大きく分類されます。
試験科目 | 問題数 | 出題の概要 |
権利関係 | 14問 | 民法、借地借家法、 不動産登記法、区分 所有法 など |
宅建業法 | 20問 | 宅建業者の業務、契 約、報酬規定など |
法令上の制限 | 8問 | 都市計画法、建築基 準法 など |
税・その他 | 8問 | 税制、地価公示法、 不動産鑑定評価基 準、統計 など |
この中でも特に「税・その他」に関する問題は、大きく次のように分けることができます。
【本試験で必ず解答する問題(3問)】
・所得税や固定資産税などの「税制」に関する問題2問(問23、問24)
・不動産鑑定評価基準、地価公示法から1問(問25)
【登録講習を修了していない受験者のみ解答する問題(5問)】
・いわゆる「5問免除科目」のこと
・景品表示法・住宅金融支援機構、統計などから5問(問46〜問50)
登録講習を修了した受験者は、5問免除科目の解答が免除され、試験時間も10分短縮されます。ただし、免除対象となるのは問46~問50に出題される5問のみで、問23~問25の3問については全受験者が解答対象です。つまり、登録講習を受けた場合でも、「税・その他」の一部は対策が必要ということになります。
※5問免除については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 宅建士試験の5問免除とは?範囲や申込み・登録講習について詳しく解説
1-2. 「税・その他」の出題数および目標点
「税・その他」は、宅建士試験全50問のうち8問を占める重要な分野です。内容は暗記中心で、出題傾向にも一定のパターンがあるため、効率的に対策をすれば得点源として安定しやすい特徴があります。
目標得点としては、一般受験者で5問以上、登録講習修了者で2問以上の正解を目指すのが理想です。特に問23〜問25は、3問中2問を確実に正解することが、合格に向けた効果的な戦略となります。
2. 「税・その他」の頻出分野および出題傾向
「税・その他」は一見馴染にくい印象を受ける分野ですが、出題されるテーマや内容には明確なパターンがあります。ここでは、出題頻度の高い分野とその傾向について、国税・地方税・その他・5問免除科目の4つに分けて解説していきます。
2-1. 国税|所得税、印紙税、登録免許税、贈与税
宅建士試験における国税に関する出題は、「所得税(譲渡所得)」「印紙税」「登録免許税」「贈与税」の4分野が中心です。いずれも不動産取引に関連する内容で、特に印紙税と登録免許税は、出題パターンがほぼ決まっているため得点しやすい項目です。
一方、譲渡所得や贈与税は計算を伴うこともあり、やや難易度が高い傾向があります。それでも全体としては暗記が有効な分野で、過去問の繰り返しにより出題傾向を把握しやすいのが特徴です。
まずは確実に得点を狙える印紙税と登録免許税から対策を始めましょう。
2-2. 地方税|不動産取得税、固定資産税
宅建士試験における地方税の出題は、「不動産取得税」と「固定資産税」の2種類が中心です。この2つは、都道府県や市町村が課税する地方税で、実務でも必須の知識です。
出題傾向として「1年ごとに交互に出題される」と評価されることもありましたが、令和5年および令和6年の本試験では2年連続で不動産取得税に関する問題が出題されたため、注意が必要です。
内容は主に課税対象や課税標準、軽減措置に関するものが多く、比較的ワンパターンな設問が多いため、短時間の学習でも得点を狙いやすい分野と言えるでしょう。
2-3. その他|地価公示法、不動産鑑定評価基準
「税・その他」の3問のうち1問は、地価公示法もしくは不動産鑑定評価基準から出題されます。この分野は、内容がやや専門的で、法律的な言い回しや独特な用語が多く、苦手意識を持つ受験生も少なくありません。過去問と異なる切り口の問題が出されることもあり、難易度にばらつきがある点も特徴です。
ただし、出題傾向を分析すると、繰り返し問われる基本事項も存在します。対策としては、過去に出題された内容を優先的に押さえ、あまり細かい知識の暗記にまで深入りしないことが重要です。出題の意図を見極め、確実に取れる問題を得点しましょう。
2-4. 5問免除科目|住宅金融支援機構、景品表示法、統計など
「税・その他」における「その他」に該当する問題として出題されるのが、この5問免除に該当する問題です。住宅金融支援機構、景品表示法、統計、土地や建物に関する実務知識などが出題対象です。
問題自体は比較的素直で、細かい知識知識がなくても感覚的に解ける問題も多いです。統計問題なども出題形式が偏っているので、基礎知識を暗記していれば正解しやすい傾向にあります。
ただし、出題範囲が広く、専門的な知識を問われることもあるので、独学では対策が難しい場合もあります。該当分野を確実に得点するには、出題されるポイントを抑え、得点に結びつく知識に絞って暗記することが重要です。
3. 宅建士試験における「税・その他」の覚え方・ポイント
「税・その他」は出題数こそ8問と限られていますが、出題範囲が広く、数字や制度の細かい知識が求められるため、苦手意識を持つ受験生も少なくありません。全てを完璧に覚えようとするのではなく、出題されやすい箇所に絞ってメリハリをつけて学習することが重要です。
この章では、「税・その他」を効率的に攻略するための学習ポイントや、記憶のコツについて解説していきます。
3-1. 税の種類を「国税」と「地方税」に分類して整理する
「税・その他」の中でも税制に関する問題は、まず「国税」と「地方税」に分けて理解するのが効果的です。
国税には所得税・登録免許税・印紙税・贈与税などが含まれ、地方税には不動産取得税・固定資産税などが該当します。税の種類を分類することで、出題分野の全体像が掴みやすくなり、学習が効率的になります。
特に「どの税がどのタイミングで発生するか」「誰が納めるのか」といった視点を整理すると、各税の特徴が明確になり、混乱を防げます。
初めにこの分類を頭に入れておくだけでも、以降の学習がスムーズになります。
3-2. 細い数字は表にして視覚的に記憶する
「税・その他」の分野では、不動産取得税の控除額や免税点、床面積の条件、税率の区分など、細かい数字が数多く登場します。こうした情報は文章で覚えようとすると混乱しやすく、記憶にも定着しにくいため、表や図にまとめて視覚的に整理するのが有効です。
例えば、不動産取得税における課税標準の1200万円控除につき、「床面積50㎡以上240㎡以下」などの条件をセットにして表にまとめておけば、数字と条件がセットで頭に入りやすくなります。
目で見て確認できる形にすることで、記憶の手がかりが増え、試験本番でも正確に思い出しやすくなります。
3-3. 語呂合わせやイメージ記憶を活用する
「税・その他」の分野では、年数、税率、控除額など覚えるべき情報が多く、単純な丸暗記では記憶が定着しにくいと感じる受験生も多いでしょう。そこで効果的なのが、語呂合わせやイメージ記憶の活用です。
語感やリズムを使って覚えることで、記憶に残りやすくなり、試験中に思い出す手がかりとしても機能します。
また、数字とビジュアルを組み合わせてストーリーを作る「イメージ記憶」は、記憶に深く刻む手法として有効です。抽象的な数字を具体的なシーンやキャラクターに結びつけて記憶することで、試験本番でも「イメージが浮かぶ」→「数字が思い出せる」→「正解できる」という流れが作りやすくなります。
受験勉強においては機械的に繰り返すことも重要ですが、楽しく覚えられる工夫を取り入れることが、モチベーションの維持にも繋がります。覚えることが苦手だと感じる方こそ、様々な記憶術を積極的に取り入れていくと良いでしょう。
3-4. 過去問を繰り返して出題パターンに慣れる
「税・その他」は出題数が限られているため、過去問の分析がとても有効です。
この分野では、問われやすいテーマや数字の傾向に明確なパターンがあります。したがって、過去の出題に何度も触れることで、試験本番でも似た形式の問題に対応しやすくなります。
また、問題を解くたびに間違えた箇所を見直し、なぜ誤答になったのかを確認する習慣をつけることで、知識の定着が深まります。過去問をただ解くだけでなく、選択肢ごとに根拠を説明できるようになることを目指しましょう。
繰り返し演習することで、出題傾向に慣れ、少ない勉強時間でも効率よく得点力を伸ばすことができます。
3-5. 出題数が少ないため、深追いせず全体とのバランスを重視する
「税・その他」は全50問中8問と、出題数自体は限られています。そのため、全体の学習時間に対する配分には注意が必要です。
ポイントを抑えて学習すれば得点源になり得る分野ではありますが、細かい内容まで深掘りしすぎると、より得点効率の高い宅建業法や権利関係の学習時間が不足する恐れがあります。
合格を目指す上では、満遍なく全体の得点力を底上げする戦略が重要です。完璧を求めすぎず、必要な知識を取捨選択することが、時間対効果の高い学習に繋がります。
4. 「税・その他」について整理したいなら、「宅建士合格講座」を活用しよう
「税・その他」の分野は、内容が幅広く出題形式も独特なため、独学では学習の優先順位や暗記ポイントが掴みにくいと感じる方も多いでしょう。そんな時に活用したいのが、伊藤塾の「宅建士合格講座」です。
この講座では、法律初学者でも無理なく理解できるように工夫された講義に加え、出題傾向を踏まえた効率的な教材が揃っています。1コマ30分の講義はスキマ時間に学習しやすく、オンライン学習にも完全対応しています。問題演習アプリ「It’s D」を使えば、過去問の演習や復習もスマホ一つで完結できます。
また、「スタンダードコース」「スタンダードコース プラス」「法律既修者コース」の3つから自分のレベルや目的に合ったカリキュラムを選べるのも魅力です。オンライン質問会やカウンセリングも用意されており、疑問点をすぐに解消できるサポート体制も万全です。
特に「税・その他」のように要点を絞って暗記する必要がある科目では、出題されやすい内容に的を絞ったプロの解説が大きなアドバンテージとなります。
短期間で効率よく合格を目指したい方は、伊藤塾の合格講座を積極的に活用してみて下さい。
※こちらも読まれています。
→ 宅建の通信講座はなぜ伊藤塾がおすすめなのか?宅建士合格講座の魅力を徹底解説
5. 宅建士試験の「税・その他」に関するQ&A
Q. 「税・その他」に関する問題の難易度は?
A.「税・その他」の難易度は年度によってばらつきがあるため、一概には言えません。基本的には暗記で対応できる設問が多いものの、制度改正や細かい数字を問う問題が出る年もあります。内容に慣れていない受験生にとっては難しく感じることもあるため、過去問演習で出題傾向を早めに掴むことが重要です。
Q. 「税・その他」に関する問題は捨ててもいい?
A. 出題数が少ないことから「捨て科目」と考える人もいますが、「税・その他」は全50問中8問を占める重要分野です。内容は暗記中心で対策しやすく、出題パターンも安定しています。特に登録講習修了者にとっては、残る3問の正答が合否を左右することもあります。完全に捨てるのではなく、効率的に得点できる部分だけでも拾う戦略が有効です。
Q. 「税・その他」はいつから勉強すればいい?勉強時間はどれくらい?
A.「税・その他」は暗記中心で短期間でも対策が可能なため、民法や宅建業法について一通り目処が立ってから取り組むのが効果的です。他の科目に影響が出ない程度に勉強時間を確保し、出題傾向を意識しながら効率よく知識を整理しましょう。後回しにしすぎると時間不足になるため、計画的に取り組むことが大切です。
6.宅建士試験「税・その他」の出題傾向と攻略法 まとめ
本記事では宅建士試験における「税・その他」の出題傾向と攻略法について解説しました。
以下にポイントをまとめます。
◉ 出題構成と目標点数
・宅建士試験は四肢択一式のマークシート方式で、全50問・50点満点です。
・「税・その他」は、全受験者が解答する3問(所得税・固定資産税などの税制2問、不動産鑑定評価基準・地価公示法1問)と、登録講習を修了していない受験者のみが解答する5問(いわゆる5問免除科目:景品表示法・住宅金融支援機構・統計など)で構成されます。
・目標点数は、一般受験者で5問以上、登録講習修了者で2問以上の正解を目指すのが理想です。特に問23〜問25の3問中2問を確実に正解することが、合格に向けた効果的な戦略となります。
◉頻出分野と出題傾向
・国税
所得税(譲渡所得)、印紙税、登録免許税、贈与税が中心です。特に印紙税と登録免許税は出題パターンが決まっており、得点しやすい分野です。
・地方税
不動産取得税と固定資産税の2種類が中心です。これらは実務でも必須の知識であり、課税対象、課税標準、軽減措置に関する比較的ワンパターンな設問が多いため、短時間の学習でも得点を狙いやすいです。
・その他
地価公示法または不動産鑑定評価基準から1問出題されます。専門用語が多いですが、過去に出題された内容を優先的に押さえ、細かい知識の深入りは避けることが重要です。
・5問免除科目
住宅金融支援機構、景品表示法、統計などが出題対象です。問題自体は比較的素直で基礎知識があれば正解しやすいですが、出題範囲が広いため、ポイントを絞った暗記が肝要です。
◉効率的な攻略法・覚え方
・税の種類を「国税」と「地方税」に分類して整理することで、全体像が掴みやすくなり、学習が効率的になります。
・細かい数字は表や図にまとめて視覚的に記憶するのが非常に有効です。
・ 語呂合わせやイメージ記憶を活用することで、多くの情報を楽しく記憶し、試験中に思い出す手助けとなります。
・過去問を繰り返して出題パターンに慣れることが重要です。間違えた箇所を見直し、なぜ誤答になったのかを確認する習慣をつけましょう。
・出題数が限られているため、細かい内容まで深追いせず、宅建業法や権利関係など他の主要科目とのバランスを重視することが、時間対効果の高い学習に繋がります。
・「税・その他」は、民法や宅建業法について一通り目処が立ってから取り組むのが効果的です。完全に「捨て科目」とするのではなく、効率的に得点できる部分だけでも拾う戦略が有効です。
以上です。
本記事で解説したとおり、「税・その他」は、適切に学習すれば必ず得点源となります。しかし、出題範囲が広いため、細かい知識にまで深入りしてしまうと時間が足りず中途半端な結果となってしまう恐れもあります。このように、要点を絞って暗記する必要がある科目では、出題されやすい内容に的を絞ったプロの解説が大きなアドバンテージとなります。
もし独学で、学習の優先順位や暗記ポイントが掴みにくいと感じた場合には、伊藤塾「宅建士 合格講座」のようなサポートを活用するのも有効な一助となるでしょう。
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