女性司法書士という選択肢|年収や働き方、成功の秘訣とは?

キャリア

2025年10月02日

法律系の資格である司法書士は、「男性の仕事」というイメージが強いかもしれませんが、女性でも十分活躍できる仕事です。

妊娠・出産・育児など、自分のライフステージに合わせて柔軟に仕事ができる上、男性と同じように稼げる司法書士は、女性の強みを活かせる仕事の1つだと言えるでしょう。

この記事では、女性司法書士の割合や平均年収、女性司法書士の魅力について詳しく解説していきます。

1.女性司法書士の現状と割合

女性司法書士の現状を確認するために、まずは「司法書士試験合格者における女性の割合」及び「司法書士会会員数における女性の割合」を確認していきます。

1-1.司法書士試験合格者における女性の割合

令和2年度から令和6年度に実施された司法書士試験における女性合格者割合の推移は、次の通りです。

試験年度女性合格者の
割合(全体比)
令和6年度
(2024年度)
32.8%
令和5年度
(2023年度)
29.9%
令和4年度
(2022年度)
27.6%
令和3年度
(2021年度)
29.7%
令和2年度
(2020年度)
26.6%

参照:司法書士試験|法務省

このように、直近5年間の女性合格者の割合は、年々増加傾向にあります。

令和6年度に行われた司法書士試験においては、全体の3割以上が女性合格者という結果となりました。

1-2.司法書士会会員数における女性の割合

司法書士白書によると、司法書士会会員数における女性の割合は、次のように推移しています。

年度女性会員数
令和5年4,385人(19.0%)
令和4年4,234人(18.5%)
令和3年4,112人(18.1%)
令和2年4,067人(17.9%)
令和元年3,972人(17.6%)
平成30年3,869人(17.2%)
平成29年3,747人(16.8%)
平成28年3,639人(16.5%)
平成27年3,506人(16.2%)
平成26年3,395人(15.9%)

参照:司法書士白書 2023年版

司法書士会の会員数は、平成26年の15.9%から令和5年には19.0%と、こちらも年々増加傾向にあることがわかります。

また、全国の司法書士会ごとの女性の割合を比べると、もっとも高いのは東京会の24.9%、もっとも低いのは長崎県会の6.6%と、地域によって偏りが大きいことがわかります。

2.女性司法書士の平均年収はどれくらい?

女性司法書士の平均年収は公表されていませんが、司法書士は男女で仕事内容に差異があるわけではないので、女性司法書士であっても男性司法書士と同じように稼ぐことができます。

厚生労働省が提供している職業情報提供サイトjobtagによると、令和6年の司法書士の全国平均の年収は765.3万円となっています。

家事・育児などによる時短勤務などをする場合を除き、男性と同様にフルタイムで就業ができるならば、女性も同様の年収が見込めると言ってよいでしょう。

上記の年収には、勤務司法書士も経営者司法書士も含まれていることから、独立開業すれば年収1,000万円稼ぐことも夢ではありません。

司法書士会が行った女性司法書士を対象とするアンケートでは、「現在の状況をどのように感じているか」という質問に対し、「非常に満足」「やや満足」と回答している割合は、

◉「男性も女性も平等に仕事ができる」に対し76.3%
◉「他から干渉されずに自由で独立した仕事ができる」に対し 60.5%
◉「専門性の高い仕事ができる」に対し82.7%
◉「自分の労働時間を管理できる」に対し62.3%

と高い満足度を示しています。

参照:司法書士白書2022年度版

司法書士は、性別によって年収に差が出る職業ではなく、むしろ女性ならではの視点で依頼者のニーズに答えることができる女性司法書士は、自分の強みを活かした仕事をすることで、男性と同じように稼げる仕事であると言ってよいでしょう。

※司法書士の年収については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

3.女性司法書士の働きやすさと魅力とは?

司法書士は女性にとって働きやすい職業の1つです。

ここでは、女性司法書士の魅力を3つご紹介します。

3-1.男女関係なく活躍できる環境で働ける

性別に関係なく、自分の努力次第で活躍できるフィールドを広げられるのも、司法書士という仕事の大きな特徴の1つです。

司法書士事務所に勤務して働く場合でも、男性司法書士と同じ業務を扱うことができますし、独立開業すれば、自分の営業能力次第で顧客を獲得できます。

また、産前・産後の休暇で資格が消えてしまうこともないので、休暇後に不利な扱いを受けてしまうこともありません。

すでに2章でご紹介したように、実際に女性司法書士として働いている方を対象としたアンケートでは、男女平等に仕事ができると考えている人が76.3%にものぼることを考えると、司法書士の仕事は男女関係なく活躍できる環境であることがわかります。

3-2.ライフステージに合わせて柔軟な働き方ができる

司法書士は、出産・育児・家事などとうまくバランスをとりながら、その人のライフステージに合わせて柔軟な働き方ができるのが大きな魅力です。

独立開業すれば、自宅を事務所として働くこともできるので、育児や家事の合間を縫って働くことも可能になります。

子育てをしながら空いた時間を有効活用して働けるので、無理のない範囲で自分の活躍の場を広げることができるでしょう。

女性が働く上で、出産・育児とどうバランスをとっていくかは重要なテーマです。働く時間や働く場所を自由に決めやすい司法書士は、女性にも人気の職業になっているのです。

また、そもそも、難関資格である司法書士の資格を持っているだけで需要が大きいので、産前産後で仕事を失ってしまうこともありません。

仕事と家庭を両立しながら働く女性にとって、司法書士は最適な仕事の1つであると言えるでしょう。

3-3.女性ならではの視点から問題を解決できる

女性司法書士が活躍できる要因は、女性ならではの強みを活かして仕事をできることにあります。

例えば、女性司法書士の強みとして次のようなものが挙げられます。

◉ 細やかな気配りで依頼者の信頼を獲得しやすい
◉ 女性にしかわからない悩みに共感できる
◉ 事務作業を丁寧に行うことで依頼者の信頼を獲得しやすい

特に、依頼者が女性の場合にはセンシティブな悩みを抱えていることも多く、男性司法書士には相談しづらいこともたくさんあります。

女性専用窓口を設けている司法書士事務所もあるほど、女性司法書士への相談を求める依頼者のニーズは高いことがわかります。

こうした、女性ならではの強みを活かすことで、依頼者の満足いく結果を実現できるのも、女性司法書士が社会に求められる理由の1つとなっているのです。

4.今後ますます高まっていく女性司法書士のニーズ

女性の社会進出が進むにつれて、今後ますます女性司法書士のニーズは高まっていくものと推測されます。

例えば、司法書士の業務の1つである成年後見業務においては、依頼者の自宅に伺い親密なコミニュケーションをとる必要があります。特に依頼者が女性の場合には、同性である女性司法書士に対応を望むケースも多く、女性司法書士のニーズが高いと言えます。

また、単純に女性の方が話しやすいという理由で、女性司法書士を希望する方もいるでしょう。

女性司法書士が今後も増えていけば、男性司法書士には相談しづらいことも相談できるようになり、市民に身近なリーガルサービスを提供できるようになります。

資格を活かして企業のコンサルティング業務を行ったり、語学が得意であれば渉外業務に携わることもできるので、女性であっても男性と同じようにグローバルに活躍することができます。

もし、女性ならではの強みを活かして自由に働きたいと考えるのであれば、司法書士試験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

5.まとめ

司法書士は、ライフステージに合わせて柔軟な働き方ができる上、男性と同じように収入を得ることができる数少ない職業の1つです。

出産・育児と仕事を両立しやすい司法書士は、女性にとって非常に魅力的な仕事だと言えるでしょう。

女性ならではの強みを活かして仕事をすれば、顧客のニーズを満たすことができるので、独立開業後も経営を安定させることができるでしょう。

もし、女性としての立場を活かし、生涯を通じてやりがいのあるプロフェッショナルな仕事を探しているのであれば、ぜひ、あなたも司法書士を目指して勉強を始めてみませんか。

伊藤塾 司法書士試験科

著者:伊藤塾 司法書士試験科

伊藤塾司法書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法書士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。