女性の検察官は増えている?検察官の男女比やキャリアについて解説
法曹
検察官(検事)の仕事は、かつて「男性社会」と呼ばれていました。しかし、男女共同参画基本計画の策定もあり、現在では女性検察官の割合も着実に増加しています。2024年秋には女性初の検事総長も誕生することが濃厚といわれています。
今回は、女性検察官を目指す方に向けて、女性検察官の現状を詳しく解説します。検察官の男女比や検察官任官時の平均年齢などを具体的な数値で紹介しますので、どうぞ最後までご覧ください。
【目次】
1. 女性検察官は増加している
政府の推進する男女共同参画基本計画では、2025年度末までに女性検察官の割合を「30%以上とする目標」が掲げられています。最初に男女共同参画基本計画が定められた2000年の時点では、女性検察官の割合は10%にも満たない数字でした。
その後、検察官以外でも女性の社会進出が進んでいく中で、女性検察官の割合も着実に増加しています。ここでは、検察官の男女比について詳しい数字を確認するとともに、裁判官や弁護士の男女比についても見ていきましょう。
1-1. 検察官の男女比
男女共同参画基本計画が定められた2000年以降の、女性検察官の割合は次のとおりです。
| 2000年 | 9.20% |
| 2005年 | 13.80% |
| 2010年 | 19.00% |
| 2015年 | 22.40% |
| 2020年 | 25.40% |
参照:男女共同参画局「様々な分野における女性の参画(I-1-10図)」
女性検察官の割合は着実に上昇を続けていますが、目標の30%までには至っておりません。
2020年の司法試験合格者に占める女性の割合は25.3%であり、女性検察官の割合とほぼ同等の数字です。女性検察官の割合をさらに増加させるには、女性合格者の割合の増加も必要となるでしょう。2020年時点で法科大学院に在籍する女子学生は34.0%であり、女性合格者の増加が期待される状況と言えます。
1-2. 裁判官・弁護士の男女比
検察官と同じく法曹三者と呼ばれる裁判官と弁護士の男女比は、次の表のとおりです。
| 女性裁判官 | 女性弁護士 | |
| 2000年 | 10.90% | 8.90% |
| 2005年 | 13.70% | 12.50% |
| 2010年 | 16.50% | 16.30% |
| 2015年 | 20.00% | 18.20% |
| 2020年 | 22.60% | 19.10% |
参照:男女共同参画局「様々な分野における女性の参画(I-1-10図)」
裁判官や弁護士についても、検察官と同様に女性の割合は着実に上昇しています。しかし、弁護士については、目標の30%には遠い数字となっているのが現状です。
裁判官や検察官に比べて女性弁護士の割合が少ない理由としては、裁判官や検察官は公務員であるため福利厚生が整っているのに対して、弁護士は女性が長く働くのに不安があるという点が挙げられるでしょう。
日弁連では、女性弁護士が働きやすい環境の整備に取り組んでいます。育児期間の会費免除など具体的な施策も実施しており、今後、弁護士についても女性の割合が増加することが期待されます。
こうした現状からは、司法試験に合格し法曹三者を目標とするのに際し、女性であることを不利に感じる必要はないと言えるでしょう。
2. 初の女性検事総長が誕生
検察官の人事では、東京高検検事長が時期の検事総長となるのが通例です。2023年1月、法務省の人事で畝本直美氏が東京高検検事長に起用されました。
2024年9月には現在の検事総長である甲斐行夫氏が定年を迎える予定で、畝本氏が初の女性検事総長に起用される見込みです。かつて検察は「男性社会」と言われていましたが、女性検察官の割合が増加し、ついに検察官のトップである検事総長を女性が務める見込みまで至りました。
今回の人事を受けて、検察官を目指す女性の方はますます増えていくのではないでしょうか。男女共同参画基本計画が目標とする、女性検察官30%の数字は遠くない未来に実現される可能性もありそうです。
現在の検事総長の甲斐行夫氏は、伊藤塾が実施する「明日の法律家講座」の講師を務めていただいたこともあります。伊藤塾のインターネット講座受講中の方は、「明日の法律家講座」のバックナンバー視聴も可能です。
明日の法律家講座 東京校45回
少年事件・審判を考える 講演・質疑応答(1999年4月24日実施)
講師:甲斐行夫氏
3. 検察官になるには?
ここでは、男女にかかわらず検察官になるための方法を紹介します。検察官任官時点での平均年齢や検察官の一般的なキャリアについても解説しますので、検察官になるイメージ作りのためにご活用ください。
3-1. 司法試験に合格する
検察官になるには、原則として司法試験に合格する必要があります。司法試験は、法科大学院を修了するか(2023年より法科大学院在学中受験が可能)、予備試験に合格して初めて受験できる試験です。
2022年の司法試験合格率は45.50%でしたが、受験資格を得るために相当の努力を重ねた方々が受験したうえでの数字なので難関試験であることに変わりはありません。
司法試験に合格すると、1年間の司法修習を受けることになります。司法修習は、裁判官、検察官、弁護士のうち、どの道を選ぶ場合でも必ず受けなくてはなりません。修習生は、司法修習中に修了後の進路を決めます。
検察官を志望する司法修習生は、修習中に検察官としての資質を認められる必要があります。修習期間の中でも、検察修習は検察官としての資質を試される重要な機会となります。
3-2. 検察官任官の平均年齢
直近5年間の検察官の任官者数と男女別の数、平均年齢は次のとおりです。
| 任官者数 | 男性 | 女性 | 平均年齢 | |
| 平成30年度 | 69人 | 48人 | 21人 | 27.2歳 |
| 令和元年度 | 65人 | 37人 | 28人 | 27.2歳 |
| 令和2年度 | 66人 | 42人 | 24人 | 26.7歳 |
| 令和4年度 (4月期) | 72人 | 44人 | 28人 | 26.4歳 |
| 令和4年度 (12月期) | 71人 | 36人 | 35人 | 26.2歳 |
直近の採用実績を見ると、女性検察官の割合は30%を大きく超えています。この傾向が続いていけば、検察官全体に占める女性検察官の割合が30%を超えるのも時間の問題と言えそうです。
任官の平均年齢は、修習生全体の平均年齢よりは少し若くなっています。もっとも、いずれの年も最高齢は30歳を越えており、年齢を重ねていても検察官になることを諦める必要はありません。
3-3. 検察官のキャリア
検察官は、任官の直後から刑事事件の捜査や刑事裁判の公判を担当します。実際の事件を担当し、上司の指導を受けながら検察官としての能力を身に付けていかなければなりません。
任官から4〜5年が経過すると、東京地検や大阪地検などの大規模な検察庁に配置され、検察官としての一通りの経験を積むことになります。この期間の検察官のことをA庁検事と言います。
A庁検事の期間を終えると、シニア検事と呼ばれるようになり、弁護士職務を経験したり、外部の機関で検察官としての能力を活かして仕事をしたりと、捜査・公判以外の経験を積むことも可能です。
検察官としての働き方は多種多様で、キャリアを積み重ねることで様々な経験を積むことができます。
参照:法務省「検事のキャリア(その1)」
4. 女性検察官の働き方
女性検察官には、男性検察官と比べたときの強みもあります。また、公務員として福利厚生が手厚く保障されているため、妊娠・出産を経験する女性にとっても働きやすい環境が整備されています。
4-1. 女性検察官の強み
女性検察官は、柔らかい雰囲気で被疑者や参考人からの話を聞き出しやすい面があります。特に、性被害の女性被害者の聴取では女性でなくては聞き出しにくい部分もあるでしょう。
また、一般的に女性は男性に比べて感情に寄り添うのが上手い人が多いです。1つ1つの事件に感情移入し過ぎるのは問題もありますが、事件の当事者の感情を知ることで事件の全貌が見えてくることもあります。
4-2. 妊娠・出産を経ても復帰できる
検察官は国家公務員です。そのため、産休や育休の制度も整っており、妊娠・出産を経ても仕事に復帰できます。
実際、子育てをしながら検察官を続ける女性も少なくありません。もちろん、子育てをしながら仕事を続けるには家族の理解も必要ですが、それは他の仕事も同じです。公務員としての福利厚生が充実しているのは、女性にとっても働きやすい職種と言うことができるでしょう。
5. 女性検察官に関するよくある質問(FAQ)
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2026年現在、検察官全体に占める女性の割合は何%ですか?
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法務省が令和6年12月に公表した「司法分野における女性の参画拡大に係る取組状況」によると、2023年度時点で検察官(検事)全体に占める女性の割合は28.0%です。政府の第5次男女共同参画基本計画が掲げる「2025年度末30%」の目標に着実に近づきつつあります。
検事任官者に絞ると、直近5年平均(2019〜2023年度)の女性割合は約41%で、母集団となる司法修習終了者の女性割合(同期間平均約27.8%)より1割以上高い水準で推移しています。
出典:法務省「司法分野における女性の参画拡大に係る取組状況」
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女性検察官の年収はどのくらいで、男性検察官との給与差はありますか?
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検察官の給与は「検察官の俸給等に関する法律」によって号俸ごとに金額が定められており、性別による給与差は法令上ありません。任官直後から定年まで号俸に応じて昇給し、検事総長を頂点として階級ごとに金額が決まる仕組みです。
国家公務員として男女同一賃金が法的に保証されているうえ、産前産後休暇・育児休業の取得が昇給・昇任に直接の不利益を与えにくい人事制度となっている点も特徴です。
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法曹三者の中で、女性の割合が最も高いのは検察官ですか?
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2020年(令和2年)時点の数字で比較すると、女性検察官25.4%、女性裁判官22.6%、女性弁護士19.1%と、検察官が最も高い割合となっています。2023年度には検察官(検事)全体の女性割合がさらに28.0%まで上昇しました。
検察官と裁判官は国家公務員で福利厚生・育休制度が整備されているのに対し、弁護士は個人事業主としての側面が強くライフイベントとの両立がしにくいことが、3者の差を生む一因と指摘されています。
出典:内閣府男女共同参画局「様々な分野における女性の参画」/法務省「司法分野における女性の参画拡大に係る取組状況」
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女性検察官は性犯罪など特定の事件だけを担当するのですか?
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女性検察官だからといって担当事件が限定されることはありません。男性検察官と同様に、殺人・強盗・経済犯罪・特捜事件など、刑事事件全般を担当します。任官直後から地方検察庁で幅広い事件処理を経験する点は男女共通です。
ただし、性被害の女性被害者から事情を聴く場面では、被害者の心情に配慮して女性検察官が担当することがあり、適性や被害者の希望に応じた配置調整は実務上行われています。
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女性が検察官になるために特別な要件や採用枠はありますか?
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女性だからといって特別な受験要件はなく、男性と同じく司法試験合格・司法修習修了が必須です。性別による検察官採用枠(いわゆる女性枠)も設けられていません。検事任官は司法修習中の検察修習での評価などを総合して決定されます。
法務省は第5次男女共同参画基本計画で「女性検察官の積極的な登用」を掲げており、説明会・パンフレットへの女性検事の活躍事例掲載、法科大学院への女性検事派遣など、志望者の裾野拡大に取り組んでいます。
出典:法務省「司法分野における女性の参画拡大に係る取組状況」
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何歳まで女性検察官を目指せますか?年齢制限はありますか?
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検事任官に法的な年齢制限はなく、司法試験合格・司法修習修了の要件を満たせば、年齢にかかわらず採用される可能性があります。法務省「最近における検事の採用実績」では、任官者の最高齢が毎年30歳を超えています。
社会人経験を経て司法試験に合格し、30代以降で検事任官する女性もおり、前職の経験を捜査・公判で活かすキャリア形成も可能です。
出典:法務省「最近における検事の採用実績」
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女性検察官は転勤が多く、結婚・出産との両立は難しいのではないですか?
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検察官はおおむね2〜3年ごとに全国転勤がある職種ですが、法務省では配偶者との同居配慮や、4月期の保育所申込みが可能な時期に合わせた人事の早期内示など、家庭事情に配慮した運用が制度化されています。
産休・育休からの復帰後には研修機会の付与や育休中の職務関連情報の提供も行われており、子育てをしながら検察官を続ける女性は実際に多数存在します。
出典:法務省「司法分野における女性の参画拡大に係る取組状況」
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女性検察官は男性中心の職場で働きにくいということはありませんか?
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かつて「男性社会」と呼ばれていた検察も、女性割合が着実に上昇し、2023年度には新任検事の約4割が女性となるなど、女性がマイノリティとは言えない構成に変化しています。
2024年7月には畝本直美氏が戦後33代目にして初の女性検事総長に就任し、就任会見で「誰もが活躍できる柔軟な職場環境を整備したい」と方針を示しました。組織トップからの明確なメッセージにより、女性が働きやすい環境整備が進んでいます。
出典:検察庁「検事総長の紹介」
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女性検察官として活躍するロールモデルにはどんな人がいますか?
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代表的なロールモデルは、2024年7月に就任した畝本直美検事総長です。1988年(昭和63年)に検事任官し、高知地検検事正、最高検公判部長、広島高検検事長(女性初)、東京高検検事長(女性初)を経て、戦後初の女性検事総長に到達しました。
検察庁の検事採用情報サイトでは、子育てをしながら勤務する若手女性検事のインタビューも公開されており、トップから若手まで多様な女性検察官のキャリア像を知ることができます。
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女性検察官は育児休業や育児短時間勤務を実際に利用できるのですか?
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検察官は国家公務員のため、産前産後休暇・育児休業・育児短時間勤務・部分休業など、両立支援制度をすべて利用できます。多くの女性検察官が実際にこれらの制度を活用し、出産後も検察官として復帰しています。
法務省は育休中の職員への職務関連情報の提供、復帰後の研修機会付与、早出遅出勤務・フレックスタイム制の積極活用など、継続就業のための具体的な支援策を実施しています。
6. 検察官の男女比やキャリアに関するまとめ
女性検察官の数は着実に増加しています。検察官は、妊娠・出産を経ても復帰できる仕事で、女性であっても一生の仕事と考えられる職業と言えるでしょう。女性初の検事総長も誕生する見込みで、キャリアのトップを目指すことも可能です。
伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。
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2025年 予備試験合格者 452人中406名(89.8%)※2
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※1(講座内訳:入門講座640名、講座・答練321名、模試471名)
※2(講座内訳:入門講座228名、講座・答練131名、模試47名)
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