
司法書士の認定考査の対策は?いつ受ける?日程や合格率を徹底解説!
試験詳細
2025年10月02日


司法書士試験に合格すると、次に訪れるハードルが「認定考査」です。
公表されているデータによれば、「認定考査」を突破している司法書士の割合は「79%」に達します。
最終合格から時間が経つほど対策は難しくなるため、できる限り早めに勉強を開始しましょう。
本記事では、次の点について取り上げました。
・認定考査の概要
・合格率や平均点
・過去問や対策の注意点
司法書士の認定考査が気になる方は、是非ご一読ください。
※司法書士の合格後の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
【目次】
1.司法書士の「認定考査」とは?
認定考査は、法務大臣から「認定司法書士」として認めてもらうための試験です。
考査に合格すると、認定司法書士として「簡裁訴訟代理等関係業務」を取り扱うことができます。
※簡裁訴訟代理等関係業務とは?
「簡易裁判所で取り扱う民事事件」の代理業務。
具体的には
・請求額140万円以下の民事訴訟
・支払い督促
・証拠保全手続き
・和解や調停 などを代理できる。
つまり、認定考査に合格すると簡易裁判所で「弁護士のような仕事」ができるのです。
日本司法書士会連合会によれば、司法書士の「79%」が認定考査に合格し、認定司法書士となっています。
認定考査は、司法書士としてのキャリアを築くために、欠かせない試験だといえるでしょう。
※認定司法書士については、次の記事で詳しく解説しています。
2.司法書士の認定考査の詳細
司法書士の認定考査の詳細を見ていきましょう。
・受験資格
・日程や試験時間
・考査の形式や内容
・申し込み方法
それぞれ説明します。
2-1.受験資格
認定考査の受験資格は、「特別研修を修了していること」です。
特別研修の課程を修了した司法書士であれば、経験年数に関わらず受験できます。
2-1-1.特別研修とは?
特別研修(「司法書士法第3条第2項第1号」に規定する研修)は、日本司法書士会連合会が主催する研修で、例年「5月下旬から7月上旬頃」にかけて実施されます。
合計100時間の研修を通じて、訴訟代理人として必要な能力を習得します。
【特別研修の内容】
研修方式 | 講義内容 | |
基本講義 (12時間) | 各自で動画視聴 | ・憲法 ・要件事実の基礎 ・事実認定 ・立証など |
グループ研修 (37時間) | ・オンライン研修 (21時間) ・集合研修 (16時間) | ・訴状や答弁書の作成 ・準備書面の作成 ・和解条項の作成など |
ゼミナール (18時間) | (双方向の) オンライン研修 | ・不動産訴訟及び金銭訴訟に関する事例研修など |
実務研修 (16時間) | 講義形式による研修 | ・法廷傍聴 ・傍聴記録の作成 ・講師による説明や質疑応答など |
模擬裁判 (13時間) | 集合研修 | ・金銭訴訟及び不動産訴訟に関する模擬裁判など |
総合講義 (4時間) | ・動画視聴 ・集合研修 | ・倫理的な論点に関する講義 ・応用事例など |
特別研修は、司法書士としての経験年数などに関わらず受講可能です。
2-2.日程・時間
認定考査は、例年「9月」に実施されています。
以前は6月に実施されていましたが、令和3年度から9月に変更されました。今後も同じ流れが続くものと予想されます。
考査時間(試験時間)は2時間で、午後1時〜3時のスケジュールで実施されています。
【参考:(令和7年度)考査の期日】
考査日 (試験日) | 令和7年9月14日(日) |
着席時刻 | 午後0時40分 |
指定時刻 | 午後0時50分 |
考査時間 | 午後1時〜3時(2時間) |
2-3.考査の形式・内容
認定考査は、全問記述式で実施され、次のような内容が問われます。
・事実認定の手法に関する能力
・立証活動に関する能力
・弁論及び尋問技術に関する能力
・訴訟代理人としての倫理に関する能力
・その他簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力
これらの知識は特別研修で習得することになっていますが、研修と試験の間にはギャップがあります。
試験特有の表現ルールなどもあるため、考査に備えた試験対策が必要です。
試験対策のポイントは後述します。
2-4.申し込み方法
認定考査の申し込みは、入会している司法書士会を通じて行います。
司法書士会に入会していない場合は、住所地を管轄する司法書士会を通じて申し込みましょう。
申請書類の提出は、「司法書士会へ持参」または「郵送(書留郵便)」によって行います。
申込の受付期間は「8月上旬」が締切です。
(※参考 令和7年度考査の締切:8月6日(水)午後5時必着)
3.認定考査の合格率や平均点
認定考査の認定率(合格率)や平均点は、次表のとおりです。
考査 受験者数 | 認定者数 | 認定率 | 平均点 | 認定 基準点 | |
令和6年 | 706人 | 438人 | 62.0% | 42.52点 | 70点中 40点以上 |
令和5年 | 728人 | 562人 | 77.2% | 44.63点 | 70点中 40点以上 |
令和4年 | 643人 | 420人 | 65.3% | 40.60点 | 70点中 40点以上 |
令和3年 | 591人 | 417人 | 70.6% | 43.80点 | 70点中 40点以上 |
令和2年 | 625人 | 494人 | 79.0% | 44.94点 | 70点中 40点以上 |
(参照:法務省 簡裁訴訟代理等能力認定考査)
過去5年間の認定考査の認定率(合格率)の平均は、70.82%です。
数字だけ見ると、難易度の低い試験のように感じるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
例えば直近でも、令和4年度のように、平均点を下回るだけで不合格になっている年があります。さらに遡ると、平成30年度試験では「認定率43.1%」と過去最低を記録しています。
一方で、認定考査の受講者は、全員が難関の司法書士試験に合格し、特別講習まで修了しているのです。
受講生のレベルの高さを踏まえると、かなり難関な試験だと考えられるでしょう。
4.認定考査の過去問はどこで入手できる?
認定考査の過去問は、法務省のHPから入手できます。
出題の趣旨や配点も公表されているため、確認してイメージを掴んでおきましょう。
(法務省 簡裁訴訟代理等能力認定考査)
なお、法務省のHPから入手できるのは直近5年分に限られています。
解答例も掲載されていないため、参考書などで確認が必要です。
5.認定考査対策の注意点
それでは、認定考査を突破するためには、どのように対策すればよいのでしょうか。
認定考査対策の注意点を解説します。
・最終合格から時間が経つほど、対策が難しくなる
・特別研修だけでは不十分
それぞれ見ていきましょう。
5-1.最終合格から時間が経つほど、対策が難しくなる
認定考査の対策は、司法書士試験の合格から時間が経つほど、難しくなります。
もし、認定司法書士になることを希望しているなら、合格発表後すぐに対策を開始しましょう。
司法書士試験合格後、なるべく時間をあけずに認定考査を受験することで、次のようなメリットを得ることができます。
・司法書士試験で学んだ知識を忘れる前に、認定考査に活かせる
・学習時間を確保しやすい
司法書士試験から、時間を空けるほど、対策の難易度は上がっていきます。
司法書士試験に最終合格(11月初旬)
↓
新人研修(12月中旬から開始)
↓
特別研修(5月下旬から7月上旬頃)
↓
認定考査(9月上旬)
上記のような流れを念頭に置いて、最終合格後すぐに認定考査対策を開始すると、比較的スムーズに突破できるでしょう。
※司法書士の合格後の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
5-2.特別研修だけでは不十分
認定考査の対策は、特別研修だけでは不十分です。
特別研修は、試験ではなく実務に主眼を置いた研修だからです。実務のイメージを掴む工夫が施されている一方で、試験対策のノウハウは教えてくれません。
例えば、
・試験特有の表現ルール
(実務で通用しても、試験では減点されるケースがある)
・「記述式」を突破するための、文書作成力
・初見の問題への対応力
上記のようなスキルを、特別研修だけで身につけることは、非常に難しいでしょう。
特別研修で身につける「実務能力」と「試験対策」の間には、大きなギャップがあります。
「特別研修を受講すれば大丈夫」と過信するのではなく、「認定考査」に特化した対策を行いましょう。
6.確実に合格するなら「認定考査対策講座」がオススメ
確実に認定考査に合格するためには、受験指導校の対策講座が効果的です。
認定考査は、市販の問題集自体が少なく、独学で壁を感じる人も多い試験ですが、講座を活用することで効率的に学習を進められます。
伊藤塾の「認定考査対策講座」では、要件事実論の基礎から、段階的に学べるカリキュラムが用意されています。初めて要件事実論を学ぶ方でも、入門編から無理なく学習をスタートできるのが魅力です。
講義は「30分1コマ」に区切られているため、スキマ時間を活用しながら着実に知識を身につけることができます。司法書士試験合格後の多忙な時期でも、無理なく学習を進めていけるでしょう。
さらに、研修に向けた「特別研修準備編」も用意しています。
裁判業務の経験がない方も、スムーズに特別研修に入っていくために、実務の流れを確認しておきましょう。
7.まとめ
最後に、今回のポイントを整理します。
◉ 認定考査は「簡裁訴訟代理等関係業務」を行うための試験
◉ 認定率は70%程度だが、43%まで落ちた年もある
◉ 受験者のレベルが高く、数字以上に難易度は高め
◉ 司法書士試験合格後、すぐに対策を開始するのが良い
2025年4月1日現在で、「79%」の司法書士が認定司法書士となっています。
難関の認定考査ですが、司法書士として活躍するために避けては通れません。
司法書士試験合格後、時間が経過する程、対策が難しくなっていくため、できる限り早めに勉強を開始しましょう。
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