司法書士は時間の無駄?将来性があり有望?資格の真実を解説します

キャリア

2025年10月02日

法律系の難関国家資格である司法書士ですが、ネットで検索すると「時間の無駄」などのネガティブなワードも見受けられます。

これから司法書士を目指そうと考えている方が、こういったマイナスな情報を見聞きすれば、当然不安な気持ちが増長されてしまうでしょう。

しかし、安心してください。実際には司法書士は将来有望な資格で、長期間の勉強が必要であることを考えても目指すべき資格であると断言できます。

本記事では、司法書士が時間の無駄と言われている理由や、将来性のある有望な資格である理由、司法書士として成功するための戦略などについて詳しく解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。

1.「司法書士は時間の無駄」と言われる理由とは?

「司法書士を目指すのは時間の無駄だ」と言われる主な理由は、長期間の勉強が必要になるにも関わらず、合格率が低いところにあります。

「あれだけ勉強したのにまた不合格だった・・・」と涙をのむ受験生が毎年相当数いるのです。

司法書士試験合格には、一般的に3,000時間程度の勉強時間が必要だと言われています。1日4時間の勉強だと2年以上かかる計算になるので、勉強時間の確保やモチベーションの維持が難しい試験だと言えるでしょう。

それに対して、司法書士試験の合格率は例年4〜5%前後で推移しています。勉強時間を考えると、合格率の高くない試験にチャレンジするのを躊躇してしまう気持ちも分かります。

ただ、この考えには大きな間違いがあります。

まず、勉強時間3,000時間はあくまでも目安であり、実際には人によって合格までに必要な勉強時間は大きく異なります。受験指導校を活用して効率よく勉強すれば、3,000時間よりもはるかに短い期間で合格を手にすることも十分可能です。

また、合格率は司法書士試験の実態を表していないことにも注意が必要です。司法書士試験は誰でも受験できる試験なので、記念受験生の数も毎年相当数います。実際に試験に向けて準備ができている受験生は、そこまで多くはないと考えられるのです。

このように、表面的な数字だけを見て「司法書士試験を目指すなんて時間の無駄だ」と考えるのは、自分の可能性を潰してしまうことに繋がってしまうでしょう。

※司法書士の勉強時間については、こちらの記事で詳しく解説しています。

※司法書士試験の合格率はなぜ低いのかその実態については、こちらの記事で詳しく解説しています。

2.司法書士が将来性のある有望な資格である理由

司法書士は登記の専門家で、人々の権利・利益を守る街の法律家です。

下記理由から、将来性があり目指しがいのある資格であるといってよいでしょう。

・超高齢化社会により司法書士の需要が増加している
・相続登記の義務化に伴いニーズが高まっている
・活躍の幅は無限大で年収1,000万以上も目指せる

それぞれ詳しく解説していきます。

※司法書士の将来性については、こちらの記事で詳しく解説しています。

※司法書士の独占業務については、こちらの記事で詳しく解説しています。

2-1.超高齢化社会により司法書士の需要が増加している

日本は人口の約5人に1人が75歳以上の後期高齢者という超高齢化社会に突入しています。これにより、司法書士の需要は今後も増していくと推測されます。

認知症などが原因で判断能力が著しく欠けてしまった場合、自分の財産を適切に管理していくことは困難です。家族であっても、全ての面でサポートするのは現実的に無理があるでしょう。

司法書士なら、成年後見人となって高齢者の財産管理をサポートしたり、身上監護を行うことができます。不動産など高額な財産を購入する際に、高齢者が不利にならないように契約を代理することも可能です。

また高齢者の増加に伴い、自分が亡くなった後に備えて遺言書の作成や家族信託などをするケースも増えるでしょう。登記の専門家である司法書士なら、遺言書や家族信託などで託された不動産の登記申請までを、ワンストップで対応することも可能です。

遺言執行者として遺言の内容を適切に実行することも可能であることを考えると、超高齢化社会で高齢者が増えれば増えるほど、財産管理や相続のサポートを求めて司法書士のニーズが増していくと考えられるのです。

2-2.相続登記の義務化に伴いニーズが高まっている

不動産登記制度の見直しによる法改正のため、令和6年4月1日から相続登記の義務化がスタートしました。相続した不動産の相続登記を放置することにより、誰がその不動産の所有者であるかわからない問題を解決するためにできた制度です。

これにより不動産の相続人は、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記をしなければならなくなりました。正当な理由なくこの相続登記を放置していると、10万円以下の過料を課せられる可能性があります。

相続登記の義務化は、令和6年4月1日より前に不動産を相続していた場合にも適用されます。つまり、これまで相続登記をせずに放置していた人も、期間内に登記を申請しなければいけなくなりました。

相続登記は自分でもできますが、必要書類は多岐に渡るうえ、登録免許税の計算などを自分で行うのは困難である場合が多いため、登記の専門家である司法書士に依頼するケースは今後増加することが予測されます。

2-3.活躍の幅は無限大!年収1,000万円以上も目指せる

司法書士の主な業務は、不動産登記や会社登記などの登記業務ですが、前述した遺言書の作成や家族信託、成年後見業務だけでなく、企業のコンサルティング業務や簡易裁判所における訴訟代理など、近年その業務範囲は拡大しています。他にも、司法書士として独立開業する、豊富な専門的知識を活かして大企業の法務部や総務部で働く、資格を活かして起業するなど、その働き方は多種多様です。

司法書士会の各種研修制度などを利用すれば、知識を研鑽しスキルを磨くこともできます。専門性の高さを売りにすれば、自身の市場価値をより高めることができるでしょう。

収入面でも、自分のやる気次第で上を目指せます。独立開業して経営が軌道に乗れば、年収1,000万円以上も夢ではありません。

「自分の頑張り次第で収入も満足感も得られる」

司法書士はチャンスの宝庫であり、目指すべき資格だといえるでしょう。

※司法書士の年収の実態については、こちらの記事で詳しく解説しています。

3.司法書士の勉強時間を無駄にしないための方法

司法書士で勉強した時間は決して無駄にはなりません。資格を取得すれば、それだけで社会的信頼と専門知識を身につけることができるからです。ここでは、司法書士で勉強した時間を無駄にしないための方法を2つご紹介します。

・キャリアプランを描きながら勉強する 
・最短での資格取得を目指す

3-1.キャリアプランを描きながら勉強する   

長く辛い勉強を乗り越えるためにも、勉強する際は将来なりたい自分を想像しましょう。資格取得後に多方面で活躍している姿を想像することで、勉強のモチベーションを保つことができます。

司法書士試験では、実務で必要な法律知識が問われます。法律の勉強は理解するまでに時間がかかるので、初めて勉強する方にとっては勉強の継続自体が難しい場合もあるでしょう。

そんな時は、資格取得後の未来の自分を想像してみてください。

「司法書士試験に合格後、大手司法書士事務所で勤務、数年間経験を積んだら独立開業し、ゆくゆくは司法書士連合会が行う人権問題にも取り組みたい」こう考えるだけでワクワクしてきませんか?

キャリアプランを考えれば、いつまでに合格したいという数字も見えてきます。目的が明確になればその分勉強の質も上がりますし、将来の夢があればその分勉強のモチベーションも保つことができます。

※司法書士の就職先については、こちらの記事で詳しく解説しています。

3-2.最短での資格取得を目指す 

司法書士試験は難関国家資格です。一般的に必要な勉強時間も3,000時間程度だと言われているので、どうしても数年後の合格を見据えて勉強してしまいがちです。

もちろん、法律初学者が独学での合格を目指そうとするなら、それなりの勉強時間は必要になるでしょう。その場合でも、できれば来年の試験に合格する気持ちで勉強計画を立てるのがお勧めです。

「3年後に受かればいいや」などと軽い気持ちで考えていると、勉強が非効率的になる恐れがあるからです。

また独学での合格が不可能とまではいえませんが、膨大な試験範囲を効率良く学習するためには、受験指導校のサポートを受けた方が良いでしょう。

司法書士試験合格に時間をかけるよりも、試験合格後のキャリア形成に時間をかける方が有意義です。ただ闇雲に勉強して合格できる試験ではないので、最短での合格を目指すためにも受験指導校で効率の良い勉強を行いましょう。

4.司法書士で成功するための戦略

取得した司法書士の資格を最大限に活かすためには、戦略を持って仕事をすることが重要です。司法書士は専門性の高い資格ですが、他の士業との差別化を図るためには自身の強みを最大限に活かす必要があるでしょう。

ここでは、司法書士として成功するための以下の3つの戦略について解説していきます。

・幅広いフィールドで活躍する多様性を身につける
・ダブルライセンスで業務範囲を広げる
・司法書士として独立開業する

4-1.幅広いフィールドで活躍する多様性を身につける

司法書士の資格を取得したからといって、従来の司法書士が行っている業務だけを行う必要はありません。幅広いフィールドで活躍するためにも、柔軟な思考を持って多様性を身につけることを心がけましょう。

本来の不動産登記・商業登記業務に加え、成年後見業務や遺言・家族信託などの生前対策、相続が発生した場合における被相続人の財産管理業務や企業のコンサルティング業務など、様々な業務を行うことで司法書士としてクライアントからの信頼度も上がります。

資格取得後に各種勉強会に参加したり、他士業との交流会に参加すれば、司法書士としての知見を広げることができるでしょう。

さらに司法書士試験は誰でも受験できる門戸の広い資格なので、法学部ではない社会人でも受験できます。社会人経験があれば、これまでの仕事の経験を司法書士として業務に活かすことができるでしょう。

4-2.ダブルライセンスで業務範囲を広げる

司法書士は専門性の高い資格ですが、他の資格と組み合わせることでさらに広範な業務範囲をカバーできるようになります。司法書士と相性の良い資格には、行政書士や宅建士、社労士や中小企業診断士、税理士などがあります。例えば行政書士のダブルライセンスなら、会社設立の際の法人登記と各種許認可申請をワンストップで対応できます。また社労士を取得すれば、会社設立後の就業規則の作成や助成金の申請など会社運営にも携わることができるでしょう。

ダブルライセンスならクライアントからの信頼度は増しますし、業務の幅が広がれば他の士業との差別化を図ることもできます。司法書士として独立開業した際に仕事を獲得しやすくなるなど、他の資格を取得することで司法書士の資格を十分に活かすことができるのです。

※司法書士のダブルライセンスについては、こちらの記事をご覧ください。

4-3.司法書士として独立開業する

司法書士の資格を最大限に活かしたいのであれば、独立開業するのがお勧めです。

前述したように、相続登記の義務化や超高齢化社会に伴い司法書士のニーズは増しています。独立開業すれば、街の法律家として多くの方の生活をサポートできるでしょう。

また司法書士本来の業務である登記業務以外に、「財産管理業務」や「簡易裁判所での訴訟代理業務」などの専門家であることをアピールできれば、他の司法書士との差別化を図ることができます。

独立開業して成功するには創意工夫と営業力が重要になりますが、「2023年版 司法書士白書」によると令和元年度から令和3年度における廃業率は2%前後となっています。このように数字だけ見れば、独立開業で失敗する可能性は低いと言えるのです。

独立開業すれば給料制ではなくなるので、経営が波に乗れば青天井で収入を上げることも可能となります。

必ずしも独立開業しなければいけない訳ではありませんが、独立開業すれば自分のアイデア次第で自由に働けるのが、司法書士の魅力の1つだと言えるでしょう。

※司法書士の独立開業については、こちらの記事で詳しく解説しています。

5.まとめ

司法書士は、社会的な信頼度が高く、将来性のある有望な資格です。

超高齢化社会に伴い成年後見や遺言書の作成、家族信託などの業務の増加に加え、相続登記の義務化に伴い不動産の名義変更や登記の仕事も増えています。

また、独立開業すれば自分のアイデア次第で青天井で稼ぐことも可能な点も大きな魅力といえるでしょう。

一般的には、合格までに3,000時間の勉強時間が必要などとも言われていますが、受験指導校を活用すれば、一般的に言われている勉強時間よりもはるかに短い勉強時間での合格が可能です。

さらに、合格率の低さが試験の実態を表している訳ではないことを理解すれば、「司法書士は時間の無駄ではない」ということがはっきりとお分かりになるかと思います。

何歳からでもチャレンジできる司法書士に少しでも興味があれば、ぜひ伊藤塾で一緒に学んでみませんか?

伊藤塾 司法書士試験科

著者:伊藤塾 司法書士試験科

伊藤塾司法書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法書士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。