司法試験や予備試験における過去問の使い方総まとめ!

予備試験

2025年10月31日

「司法試験の過去問っていつから始めればいいんだろう?」
「過去問を初見で解きたいから直前期に1回やればいいのだろうか」
「予備試験の過去問だけでなく司法試験の過去問まで手をつけるべきなのだろうか」

このように司法試験や予備試験の過去問については、その扱い方に悩む方が多いかと思います。

現行の司法試験は平成18年から始まっており現在までで17年分、予備試験に関しても現在までで12年分もの過去問の蓄積があります。

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この過去問の取扱い方によって試験の合否が決まると言っても過言ではないくらい、過去問は両試験において重要なものになりますが、一度でも解いてしまうと初見の問題ではなくなってしまうため、過去問をやり始める時期について悩んでしまう方が非常に多いのが現状です。

この記事では、司法試験および予備試験における過去問の重要性や過去問にとりかかるタイミング、過去問演習の効果的なやり方などを紹介していきますので、今後司法試験の受験を考えている、あるいは予備試験の受験を控えている方々はぜひ参考にしてみて下さい。

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1.司法試験および予備試験における過去問の重要性

司法試験は文系最難関の試験で、その出題範囲も広く、合格するためにはそれ相応の知識量が必要とされる試験となります。

また、予備試験は平均合格率4%と、こちらも文系最難関の試験であることは疑いようがないでしょう。

試験科目は法律基本7科目に選択科目(論文式のみ)、予備試験ではそれにプラスして民事実務・刑事実務、一般教養(短答式のみ)で合計11科目とその出題範囲は非常に広く、合格するためにはそれぞれの科目に関して深く理解する必要があります。

司法試験も予備試験も、勉強期間に比例して合格率が上がる試験ではないため、合格できるかどうかはいかに効率的かつ効果的な学習方法を確立できたかどうかにかかっています。

そして、一番効率のいい勉強方法は過去問をひたすら繰り返すことであると言えるのです。

以下、過去問の重要性について解説していきます。

1-1.出題意図や出題傾向を把握する

司法試験に合格すると、弁護士、検察官、裁判官になる事ができます。

また、予備試験とは、「法科大学院を修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎素養を有するかどうかを判定する」(司法試験法5条)ための試験で、予備試験に合格すると、司法試験の受験資格を得る事ができます。

法曹は法律を扱う専門家であるため、法律に関する幅広い知識が必要になります。

そのため、自ずと司法試験の出題範囲も広くなり、必要とされる理解も深くなりがちな傾向にあります。

しかし、いくら文系最難関の試験といっても、全ての法律分野から無作為に出題されているわけではなく、実際の出題にはある程度の偏りが見られる傾向にあります。

数あるテーマの中から、特に重要度の高いテーマが、角度を変えて繰り返し問われているのです。

ある論点に関して、実際の試験ではどのように問われているのか、重要な分野はどこなのか、これを実際に体感するためには過去問を自分自身で解いてみる必要があります。

一度自分の頭で考えてみないと、問題の本質を理解する事ができないからです。

たしかに、過去に出題された問題がそのまま同じ形で出題されることはありません。

しかし、過去問を解けば、法律や関連する論点を理解するのに重要なポイント、出題者の意図、出題傾向、押さえておくべき部分が見えてきます。

まずは、試験でどの分野がどのように問われ、どうやって解答すればいいのか、どの程度書けば合格できるのかを知ったうえで、そこを目標に効率よく勉強するようにしましょう。

1-2.過去問はどの演習書よりも優れた良問である

司法試験および予備試験の論文式の試験問題は、「司法試験(予備試験)考査委員」と呼ばれる問題作成にかかわる専門の委員会が作成しています。

同委員は、裁判官や弁護士、大学教授など法律の専門家30人くらいで構成されていて、1年かけて次の年度の試験問題を作成しています。

司法試験や予備試験の問題作成に長い間携わっている組織で、かつメンバーも法律のプロフェッショナル、問題の作成ノウハウも豊富にある委員会が作成した試験問題は、当然良問であると言えるのです。

過去問よりも演習問題や予想問題を重視する方もいますが、予想問題はあくまでも予想であり、実際に試験に出るとは限りません。

また、考査委員は著名な演習書などは確認している可能性もあり、演習書の問題がそのままの形で出題される可能性はかなり低いのです。

であればより質の高い問題に数多く当たり、本番の出題傾向を知ることが重要で、問題の質という点では過去問に勝るものはないのです。

司法試験や予備試験特有のひねりが効いた問題や出題意図を把握し、実践的な演習を積むことができる過去問を後に回しておくのは勿体ないです。

出来る限り早く過去問に当たり、自分の立ち位置を把握するようにしましょう。

1-3.過去問を繰り返すだけでかなりの実力がつく

過去問を解く際一番重要なことは、とにかく繰り返し問題を解くことです。

優秀答案や予備校講師の解説を聞いたりして問題を検討する以外に、特に必要な基本書などは必要ありません。

もちろん演習書も必要ないため、余計な費用も、演習書選択にかかる時間も省くことが出来ます。

また、過去問は市販されている過去問集を購入して行うことも出来ますが、問題だけであれば法務省のHPから誰でも手軽に入手することが出来ます。

そのため、最新年度の問題が掲載されていなくて市販の過去問集の購入を迷っている方でも、気軽に解き始めることが出来るでしょう。

とにかくシンプルに過去問を何度も繰り返し解き続ける事がポイントです。

複数のテキストを並行して曖昧な知識の量を増やすよりも、過去問の問題集1冊を徹底的にマスターしたほうが、司法試験合格の力は身につきます。

限られた時間で効率よく合格に必要な力を付けるためにも、過去問を中心とした勉強を心がけるようにしましょう。

2.過去問演習のメリット

過去問演習を繰り返し行えば司法試験や予備試験に合格する実力を付ける事が出来ますが、具体的にはどのような力がつくのでしょうか。

ここからは、過去問演習を繰り返し行うことで得られるさまざまなメリットについてご紹介していきます。

2-1.時間配分を正確に行えるようになる

司法試験や予備試験は限られた厳しい時間制限の中で、与えられた問題に対して適切な処理をすることが求められる試験です。

そのため、たとえ時間をかければ解ける問題であっても、制限時間内に答案を書ききることが出来ないのであれば試験に合格することはできません。

過去問は両試験で実際に出題された問題です。

そのため、時間を測って問題を解くことで、どの問題にどの程度時間をかけられるのか、また、配点を確認しながらどの問題に比重を置きしっかり書くのかなどの、ペース配分を正確に行えるようになります。

答案でいかに自分の知識を披露できるかではなく、いかに制限時間内に一定水準の答案を書ききれるかが重要な試験であることを理解し、常にペース配分を意識した勉強を心がけましょう。

2-2.現在の自分の実力を客観的に把握する事ができる

司法試験および予備試験で実際に出題された問題を解き、優秀答案やボーダーラインギリギリの答案と比べる事で、現在の自分にどれくらいの実力があるのかを客観的に把握することが出来ます。また、それにより、自分の得意な分野、苦手な分野も把握することができるでしょう。

また、他の答案と比べる事で自分の勉強の方向性が間違っていないかも確認することが出来ます。

過去問を繰り返し解くことで論述の精度は上がっていくため、自分が合格に近づいていることを実感する事ができ、答案を書けるようになっていく事でモチベーションアップにも繋がるでしょう。

このように、現在の自分の立ち位置を把握し、ゴールとなる合格への道筋を正確に把握できるのも、過去問演習の利点のうちの一つなのです。

2-3.出題意図や出題傾向の把握

実際の試験では数ある法律的な論点から無作為に出題されている訳ではなく、重要な論点が形を変えて繰り返し問われています。

そのため、過去問を解くことで出題可能性の高い分野を重点的に勉強することができ、メリハリのある勉強をすることができます。

また、例えば憲法特有の答案構成の型や、民法の要件事実を意識した問題構成の仕方など、その科目特有の型や答案の流れを知ることができ、また近年刑法は学説を問われることもあるなど、問題のトレンドを知ることも出来ます。

自分の中で科目毎に答案の型を持っていると答案を作成する際にスピーディーに正確な答案を作成することが可能です。

過去問を数多くこなすことで、答案の型をなるべく早く身につけるようにしましょう。

3.過去問の取り組み方

過去問を解く際に重要なポイントは以下の点となります。

 ◉時間制限など本番と同じ条件で解く
 ◉すぐに解答を見ずに、自分の頭で妥当な解答をひねり出す
 ◉合格ラインは押さえて、完璧は目指さない

時間配分を身に着けるため、出来る限り本番と同じ時間配分で問題を解いてみるといいでしょう。

また、問題を繰り返していくうちにある程度の答案構成についてはすぐにできるようになっていくため、問題によっては本番よりも厳しい時間制限で答案を作成してみると効果的な学習をすることが出来るでしょう。

問題を解く際には必ず自分の頭で考えるようにしてください。

本番では試験委員が想定する100点満点の答案を作成することはまず出来ないと考え、自分の考える答案構成で妥当な結論を導く訓練を常にしておくべきだと言えるからです。

司法試験も予備試験も相対評価の試験なので、基本的なところを落とさず奇をてらった回答を控えるようにすれば、自ずと合格点を超える事になります。

もちろん、正解筋を大幅に外してしまうのは避けたいところですが、仮に外したとしても、問題文に散りばめられている事実を使って自分なりに説得的に論文を作成することが出来れば、相対的に合格に届くことになるのです。

予備校の講義や、過去問の出題趣旨、模範答案及び再現答案の読み込みを徹底的に行うことで、「評価される答案」のポイントを理解し、相対的に合格の評価が取れるような答案の作成を心がけましょう。

4.過去問はいつから始めればいいの?

過去問をやり始めるタイミングは人それぞれで一概にどのタイミングで始めなきゃいけないタイミングというのは存在しません。

自分の学習進度に併せて適切なタイミングで行うべきですが、目安としては各科目のインプットが一通り終わったタイミングと考えておくと良いでしょう。

インプットが終わってないタイミングで問題を解こうとしても、問題を解けないどころか解説を呼んでも意味が分からないという状態になってしまう可能性があるため、少なくとも問題に対応する分野のインプットが終わってから問題にあたった方が効率的です。

ただし、インプットを完璧に仕上げてから問題演習に移るべきだという考えは捨てましょう。

司法試験や予備試験の試験範囲は膨大で、全てを完璧にインプットすることは不可能に近いです。

上位の合格者でも、全てしっかり理解し切る前に合格することができたという声が多く聞かれます。

そのため、インプットを一通り終えた段階でなるべく早めに過去問に取り掛かるようにしてください。

出来れば合格までに短答式の過去問集を3週、論文式の各過去問を最低2〜3回は起案出来るように逆算して学習スケジュールを立てるようにしましょう。

5.過去問って何年分やればいいの?

結論としては、現行の司法試験制度に移行した2006年(平成18年)以降、予備試験であれば2011年(平成23年)以降、全ての年度の問題を解くべきです。

ただし、社会人受験生等どうしても時間的に全ての年度を解くのは難しい方であれば、最低でも直近5年分はやるようにしましょう。

時間があれば両試験の過去問もこなせると、出題された論点に網羅的にあたることができます。

また、出題傾向のトレンドを知る為には最低でも5年分程度の過去問検討は必要になってくるのです。

ただ、問題の傾向は変化しているとはいえ、問われていることの本質は基本的に変わっていません。

問題の本質を捉え、出題者の意図を正確に汲み取れるようになるために、過去問はなるべく全年度解くようにしましょう。

なお、一般教養に関しては過去問を解く必要はなく、見るとしてもどのような形式の問題が出るのか確認する程度にとどめるべきです。

また、予備試験における選択科目は2022年(令和4年度)から実施されたものなので、まだ過去問の蓄積がありません。

そのため、過去問は司法試験の過去問にあたるようにしましょう。

短答式の過去問に関しても同様で、できれば全年度の過去問を解くようにすると本番でも安定して8割程度得点できる知識をつける事ができるでしょう。

また、短答式の過去問の場合、予備校の問題集であれば解答に正答率が記載されている事があります。

例えば正答率20%程度など、極端に正答率が低いものに関しては後回しにして正答率の高いものから優先的に潰していくなど、メリハリを付けて勉強する事も有効です。

6.司法試験・予備試験の互いの過去問までやるべきか

すでに述べたように、時間があれば両試験の過去問までこなせると、出題された論点に網羅的にあたることができます。

両試験の出題傾向は少し異なりますが、問われている事や問題の本質は変わりません。

まだ試験で問われていない論点を網羅的に潰すためにも、出来れば両試験の過去問にも触れられるといいと思います。

ただし、あくまでも優先は該当する試験の過去問なので、該当する試験の過去問が終わっていないのに別試験の過去問に力を入れすぎる事のないように注意すべきです。

また、司法試験の問題は予備試験の問題よりも当然難しく、問題文の長さもかなり違います。もちろん、司法試験の問題を予備試験受験の段階ですべて完璧に解ける必要はないため、仮に解けなくても落ち込んでモチベーションが下がる事がないようにしましょう。

7.過去問で答案作成力を養うために

司法試験および予備試験の過去問は法務省のホームページで確認する事が出来ます。

しかし、法務省は問題を掲載しているのみで、模範答案や解説などは掲載されていません。

論文式試験出題の趣旨など試験に関する雑感は公表されますが、あくまでも総評的な解説にとどまり、具体的にどうやって答案を構成していくかまでは公表されていません。

そのため、実際に解いた問題を添削してもらったり、模範答案や優秀答案と見比べて自分の答案を検討するためには予備校の論文講座を受講するのが最も効率のいい勉強法と言えるでしょう。

司法試験、予備試験の天王山は間違いなく論文式試験です。

論文式試験では、単なる知識の吐き出しではなく、基礎知識からの思考、またその過程を時間内に論理的にわかりやすく表現する能力が試されます。

答案作成に数多くあたり、講義や添削でのアドバイスを活用して自分の弱点を把握し、克服することは、必ず最終合格に近づくことへつながります。

市販されてる過去問集の参考答案に書かれている知識や論点などを追って終了、といった勉強方法では答案作成力を養うことはできません。

その点、予備校であれば指導経験豊富な実力のある講師が、受験生が苦手とするポイントを押さえ、本試験を見据えて、「時間内に合格答案を仕上げる」という観点から実践的指導を行うため、合格に必要な答案作成力を効率良く養うことが出来ます。

また、例えば伊藤塾の答練では、自分で添削内容をオーダーメイドできる制度が存在します。

答案を作成した際に迷いが生じた点や答案上には書かなかった点など、自分自身の答案に即した質問をすることで、疑問や不安を明快に解消することができます。

リスト化された論点と照合して点数を割り出す画一的な採点方法は採用せず、一通の法律論文として、基礎知識を前提とした論理的思考過程が表現できているかを添削することで、より本試験に近い実力判定を可能にしています。

このように、予備校であれば手厚い解説講義を受ける事ができるため、自分で調べて問題を解くよりも時間もかからずかつ正確な理解を得る事が出来ます。

このような点から、予備試験の過去問を解く際には併せて予備校の解説講義を受講するのをおすすめします。

8.まとめ

当コラムでは、過去問の使い方を解説してまいりました。

ポイントは以下のとおりです。

 ◉一番効率のいい勉強方法は過去問を解くこと
 ◉過去問を解く際一番重要なことは、とにかく繰り返し問題を解くこと
 ◉時間制限など本番と同じ条件で解く
 ◉すぐに解答を見ずに、自分の頭で妥当な解答をひねり出す
 ◉合格ラインは押さえて、完璧は目指さない

ぜひ、過去問を有効に使って司法試験合格を目指しましょう。

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伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。