司法試験に受験回数制限ってある?5回落ちないための対処法

司法試験

2025年10月31日

「司法試験に受験回数の制限ってあるの?」
「司法試験合格までにどれくらい受験する必要があるんだろうか」
「何年も合格できずに浪人し続けると就活に影響する?」

司法試験は文系最難関とも言える国家試験で、毎年1回、7月に実施されます(2023年から7月に変更)。

もし試験に落ちてしまったら今後の人生に影響がありそうな感じがして、ネガティブな考えに陥ってしまう人も多いでしょう。

司法試験には受験回数の制限がない時代もありましたが、現在では受験回数に制限が設けられています。

そこで、本記事では受験回数の制限について解説していくと共に、回数制限が設けられた背景やその理由などをご紹介していきます。

受験回数に引っかかってしまった場合の対象法もあわせて解説していきますので、司法試験対策が思うようにいっていない人もぜひ参考にしてみてください。

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1.司法試験の受験回数制限について

司法試験に受験回数制限があるかどうか、まずは司法試験法を確認してみましょう。

【司法試験の受験資格等】
第四条 司法試験は、次の各号に掲げる者が、それぞれ当該各号に定める期間において受けることができる。
 一 法科大学院の課程を修了した者 その修了の日後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間
 二 司法試験予備試験に合格した者 その合格の発表の日後の最初の四月一日から五年を経過するまでの期間
参照:司法試験法4条1項2号


このように、司法試験の受験資格を得るためには「法科大学院の過程を修了した者」か「司法試験予備試験に合格した者」のどちらかである必要がありますが、どちらであっても受験資格取得後の最初の4月から5年間で5回までと回数制限があることが明記されています。

なお、予備試験自体は受験資格も受験回数も制限はないため、幅広い層の方が気兼ねなく受ける事ができる試験となっています。

2.司法試験合格者は何回で合格してるの?

司法試験は受験資格を得てから5年間で5回受験する事ができますが、合格者は合格までに何回受験しているのでしょうか。

合格者の受験回数と全合格者における受験回数別の合格率の関係を確認してみましょう。

※予備試験制度が開始された平成23年から5年経過後の平成28年以降のデータからご紹介いたします。

 1回目2回目3回目4回目5回目
平成28年     
合格者数867人333人206人124人53人
合格率54.80%21.00%13.00%7.80%3.30%
平成29年     
合格者数870人292人180人140人61人
合格率56.40%18.90%11.70%9.10%4.00%
平成30年     
合格者数862人269人187人134人73人
合格率56.50%17.60%12.30%8.80%4.80%
令和元年     
合格者数884人282人139人108人89人
合格率58.90%18.80%9.30%7.20%5.90%
令和2年     
合格者数960人222人126人85人57人
合格率66.20%15.30%8.70%5.90%3.90%
令和3年     
合格者数1,024人173人101人76人47人
合格率72.10%12.20%7.10%5.30%3.30%
令和4年     
合格者数1,046人180人88人47人42人
合格率74.60%12.80%6.30%3.30%3.00%

参考:司法試験の結果について

この表を見てみると、どの年度も1回目の受験者の合格率が高くなっているのがわかります。

特に、令和3年は72.1%、令和4年は74.6%と合格者の7割以上が1回目の受験で合格していて、2回目の受験まで含めると、実に8割以上が2回以内の受験で合格しているのがわかります。

また、受験回数が増加すればするほど合格率が低くなっていく傾向にあるのがわかります。

これは、受験回数が増加するほどインプット重視の非効率的な勉強方法に走ってしまったり、周りが合格していくことへのプレッシャーに耐えきれず諦めてしまったり、モチベーションの低下により受験を続けることができなくなってしまったりすることなどが要因に挙げられるでしょう。

特に、5回目の受験に関していえば平均合格3.43%とかなり低い数字になっているところをみると、司法試験の受験資格を得てから1〜2回以内での合格を目指すことが大切かもしれません。

3.司法試験合格者の受験回数の平均はどれくらい?

上記の表を基にして受験回数の平均値を出してみました。

年度平均受験回数
平成28年度1.84回
平成29年度1.85回
平成30年度1.88回
令和元年度1.83回
令和2年度1.66回
令和3年度1.56回
令和4年度1.47回


このように、合格者の平均受験回数も2回以内で収まっているという数字になりました。

特に令和4年度に関しては平均1.47回と過去でも一番低い数字となっています。

このように、平均受験回数も年々減少傾向にあることを考えると、司法試験を受験するまでにどれだけ実力をつけることができるかが、司法試験合格に当たっては重要な事になってくるでしょう。

4.受験回数制限の背景やその理由

そもそも司法試験にはなぜ回数制限が設けられているのでしょうか。

受験回数制限の流れを見てみましょう。

期間受験回数制限
〜2005(平成17年)
旧司法試験制度
なし
2006(平成18年)〜2014(平成26年)
新司法試験制度開始
5年間で3回
2015年(平成27年)〜
現行の司法試験制度開始
5年間で5回


このように、司法試験はかつて受験回数が設けられていない時期がありました。

その後、2度の法改正を経て、現在の5回の回数制限が設けられるようになりました。

それでは、受験回数制限の目的やその背景についてご紹介していきます。

4-1.司法試験浪人の増加を抑制するため

2005年(平成17年)までの受験回数に制限がなかった旧司法試験時代には、司法試験浪人と呼ばれる、司法試験になかなか合格できず試験を受け続け、自身の進路をなかなか決める事ができない受験生が多く存在しました。

もちろん、司法試験は文系最難関の国家資格であり、合格するためには膨大な量の知識を習得する必要があることから、数年の浪人は覚悟する必要があったかもしれません。

しかし、浪人生活が長引けば長引くほど精神的な負荷は高くなっていき、年齢が上がるにつれて一般企業に就職することも困難になる可能性が高くなっていきます。

そのため、受験制限を設けることで、人生で最も様々なものを吸収できる、あるいは吸収すべき世代である20代のうちに、受験生に進路変更の機会を与えようとしたのです。

一度は5年間で3回の受験回数が設けられましたが、試験対策の勉強時間を長くとる目的で法科大学院修了後1〜2年間受験しない「受け控え」が目立つようになるなど、3回の制限では受験期間を短縮させることはできないということ、受験生の心理的負担を減らして、「法曹離れ」に歯止めをかけることを目的として、受験回数は現行の5年間に5回へと変更されることになったのです。

4-2.法科大学院の学習効果を最大限発揮させるため

5年間で5回という回数制限が課された理由の一つに、法科大学の教育効果を最大限発揮させる必要があるという意見があります。

受験回数制限制度は、旧司法試験の下での過度の受験競争状態の解消を図るとともに、プロセスとしての法曹養成制度を導入する以上、法科大学院における教育効果が薄れないうちに司法試験を受験させる必要があるとの考え方から導入したものであり、合理的な制度である。
参照:法曹養成制度検討会議第6回,事務局提出資料


この意見を見ると、5年間という期間は法科大学院の教育効果が顕著に現れる期間であって、この期間内に受け控えさせることなく司法試験を受験させることにより、法科大学院の教育効果を最大限発揮させるために受験制限を設けたと言えるでしょう。

つまり、受験回数制限は、法科大学院修了者のほとんどがこの期間内に合格することを想定して設けられた制限期間であるといえるのです。

5.もし司法試験に5回落ちてしまったら

【司法試験の受験資格等】
第四条 
 第一項又は第二項の規定により司法試験を受けた者は、その受験に係る受験資格(第一項各号に規定する法科大学院の課程の修了若しくは司法試験予備試験の合格又は第二項第一号に規定する法科大学院の課程の在学及び当該法科大学院を設置する大学の学長の認定をいう。以下この項において同じ。)に対応する受験期間(第一項各号に定める期間又は第二項第二号に掲げる期間をいう。)においては、他の受験資格に基づいて司法試験を受けることはできない。
参照:司法試験法4条4項


5回の受験でも司法試験に合格する事ができなかった場合、再度受験をすることはできませんが、もう一度受験資格を取り直して司法試験を受験することはできます。

つまり、予備試験に再度合格するか、法科大学院を修了することで、再度司法試験の受験資格を得る事ができます。

仮に5回試験に落ちてしまっても、司法試験に再チャレンジするか、進路変更をするかの選択肢はまだこちらに与えられているのです。

しかし、すでに5回不合格になっていることを考えると、自身の勉強の方向性やスタイルを見つめ直す必要があります。

少なくとも、今まで通りの勉強を続けたのでは合格は難しいと考え、学習スケジュールを組み直す必要があるでしょう。

特に、今まで独学で勉強してきた方や、法科大学院の講義のみで勉強を進めていた方は、予備校を利用して効率良く勉強することもぜひ選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

6.まとめ

司法試験には5年間で5回という制限が存在します。

また、受験回数が増えれば増えるほど合格率も下がっていく傾向にあることから、5回不合格にならないためのもっとも有効な対処法とは、「できる限り早い段階での合格を目指すこと」と言えるでしょう。

早い段階で司法試験に合格するためには、無駄を省き効率良く勉強を進める必要があります。

幅広く膨大な学習を必要とする司法試験において、効率よく学習を進めていくためには、多くの司法試験合格者が選択したように予備校を利用するということは、もはや必須と言ってもよいかもしれません。

ぜひ、短期間で司法試験に合格できるよう、予備校を賢く利用していただければと思います。

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祝賀会ムービー

著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。