学習用におすすめの六法は?ポケット六法・デイリー六法・判例六法・六法全書の違いと使い方を解説
基本情報
2025年10月31日
司法試験や大学の講義で法律を学習する際には、六法が欠かせません。六法とは、憲法、民法、刑法などの6つの法律を示す言葉としても用いられますが、ここでは、6つの法律を中心に多数の法令が収録された法令集のことを「六法」として紹介します。
※「六法」についてはこちらの記事もご参照ください。
六法とは?司法試験受験に必要な六法を詳しく解説します
学習用に使用される頻度の多い六法としては、ポケット六法、デイリー六法、判例六法などが挙げられます。法律の学習を始めるのに、どの六法を選ぶべきかとお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
学習を始めたばかりの方には、初学者にも使いやすいポケット六法やデイリー六法がおすすめです。これらはコンパクトで持ち運びにも便利なため、日々の学習にも役立ちます。
一方、判例が併記されている判例六法は情報量が多く、学習がある程度進んできた段階での購入を検討するとよいでしょう。
今回は、学習用におすすめの六法について、それぞれの違いや使い方、六法を選ぶ際の基準を解説します。どの六法を購入すべきかお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
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【目次】
1.学習用におすすめの六法は?
書店ではさまざまな六法が販売されています。その中でも使用者も多く学習用におすすめの六法は、次の3種類の六法です。
◉ポケット六法
◉デイリー六法
◉判例六法
3種類の六法は、どれも基本六法を中心とした法令を収録したものですが、それぞれに特徴があります。ここでは、それぞれの六法の特徴を紹介します。
なお、六法全書や模範六法は、合格後の実務向けの六法です。目当ての法律をすぐに探すのが難しく、持ち運びも大変なので学習用としては必要ありません。
1-1.ポケット六法
ポケット六法は、法律書籍を取り扱う最大手の出版社である有斐閣から出版されている六法です。毎年9月ころに最新版が発売され、最新の令和7年版(2024年9月発売)には199の法令が収録されています。
ポケット六法は、その名のとおり持ち運びしやすいハンディ型の六法です。コンパクトながら、平素の学習において必要十分な量の法令が収録されています。最新の改正条文には傍線が引かれており一目で分かる仕様となっています。また、各条文の末尾には関連する参照条文も記載されているため、条文相互の関係を理解しやすいのも特徴です。
学部の試験やロースクール入試では、ポケット六法が貸与される大学も多くあります。
1-2.デイリー六法
デイリー六法は、三省堂から出版されている六法です。ポケット六法と同じく毎年9月ころに最新版が発売されます。最新の令和7年(2025年)版(2024年9月発売)での収録法令数は248件となっています。
デイリー六法も持ち運びのしやすい六法です。三省堂が「見やすさ・使いさすさを追及した六法」で、フォントの見やすさや、条文中の括弧書きを網掛けした仕様などが特徴となっています。特に、初学者の方には、括弧書きの多い条文を読むのに苦手意識を持つ方も多いので、括弧書きの網掛けの評判が高いようです。
デイリー六法は、二回試験で貸与される六法で、ポケット六法と同じく学部試験やロースクール入試でも使用されています。
1-3.判例六法
判例六法は、基本六法など主要な法令について、各条文の末尾に関連判例が記載されている六法です。判例六法もポケット六法と同じく有斐閣から出版されている六法で、通常版と収録法令の多いプロフェッショナル版の2種類があります。
最新の令和7年(2025年)版での収録法令数は、通常版が141件でプロフェッショナル版は374件です。ただし、判例付きの法令数は通常版が32件に対してプロフェッショナル版は44件と大きな差はありません。プロフェッショナル版は2分冊で持ち運びには適しておらず、学習用の六法としては通常版で十分です。
なお、通常版には租税法関連の法令・判例は収録されていません。そのため、租税法の学習に判例六法を使用する場合にはプロフェッショナル版が必要となるでしょう。
法律の学習を進めるうえで、判例の理解は欠かせません。判例六法を使用すると、条文を参照する際に関連判例も合わせて確認できるため、インプット学習には有用な六法といえます。
ただし、各条文についての情報量が多いため、条文を参照するという目的では使いにくいケースも多いです。また、試験では判例六法を使用できないため、論文試験対策のアウトプット学習をする際には他の六法を使用するようにしましょう。
2.それぞれの六法の違いと使い方
ここでは、先に紹介した3種類の六法について、それぞれの違いを解説します。
2-1.ポケット六法とデイリー六法の違い
ポケット六法とデイリー六法は、ともに持ち運びがしやすい六法で、学部やロースクール入試でも貸与されるスタンダードな六法です。
収録法令数は、デイリー六法の方が多くなっています。ただし、普段の学習で使用する主要な法令はどちらにも収録されており、学習用としては収録法令数の差を気にする必要はありません。
結局のところ、ポケット六法とデイリー六法の最も大きな違いは、字のフォントや条文の括弧書きの網掛けなどのレイアウトです。どちらのレイアウトが見やすいと感じるかは人それぞれなので、ポケット六法とデイリー六法で迷ったときには、自分にとって見やすい方を選んでおけば問題はありません。
2-2.ポケット六法・デイリー六法と判例六法の違い
ポケット六法・デイリー六法と判例六法との違いは、参照判例が記載されているか否かです。
条文の参照のみを目的として使用するのなら、ポケット六法やデイリー六法を選ぶと良いでしょう。条文と判例を結びつけてインプット学習を進めたい場合には、判例六法がおすすめです。
持ち運びや普段の学習の際にはポケット六法やデイリー六法、インプットを中心とした学習の際には判例六法と両方を使い分けている方も少なくありません。
3.六法を選ぶ際の基準
ここでは、六法を選ぶ際の基準を紹介します。六法を選ぶ際の基準は、次の4点です。
◉読みやすさ・使いやすさ
◉持ち運びのしやすさ
◉収録法令数
◉大学の講義での指定
以下、それぞれの基準について個別に解説します。
3-1.読みやすさ・使いやすさ
六法は、普段の学習において常に参照するものです。そのため、六法を選ぶうえでは、読みやすさ・使いやすさが最も重要な基準といえるでしょう。
どの六法を読みやすい、使いやすいと感じるかは人それぞれです。自分にとって読みやすいと感じる六法を選ぶようにしてください。六法は毎年買い替えるものなので、使用している六法が読みにくいと感じる場合には、翌年に違う六法に変更するのも良いでしょう。
3-2.持ち運びのしやすさ
六法を持ち運ぶ機会が多い方にとっては、持ち運びのしやすさも重要です。持ち運ぶ機会の多い方は、判例六法ではなくポケット六法やデイリー六法を選ぶようにしましょう。
筆者の周りでは、普段は判例六法で学習していても持ち運び用としてポケット六法を使用している人が多かったです。
3-3.収録法令数
収録法令数は六法によってさまざまです。判例六法のプロフェッショナル版には374件の法令が収録されており、ポケット六法(199件)とは大きな差があります。
しかし、普段の学習において収録法令数の差を感じることはないでしょう。司法試験や学部の学習で使用するには、ポケット六法に収録された法令数で十分です。
そのため、特定の分野の法律を専門的に学習する場合はともかく、司法試験や学部の学習では収録法令数を気にする必要はありません。
3-4.大学の講義での指定
大学の講義を受講していると、六法を指定されるケースもあります。その場合には、普段の学習でも指定された六法を使用すれば問題ありません。
講義用と普段の学習用でポケット六法とデイリー六法を使い分けている方もいますが、講義で指定された六法を特に読みにくいと感じる場合以外には使い分けの必要はないでしょう。
4.その他の六法
ここでは、その他の六法として、六法全書と司法試験用六法の特徴を解説します。
4-1.六法全書
六法全書は、有斐閣から出版されている最大の収録法令数を誇る六法です。最新の令和7年(2025年)版では793件の法令が収録されています。
六法全書を使用しているのは実務家や教授がほとんどで、学生や受験生で六法全書を使用している人はほとんどいません。6千ページを超えるボリュームで持ち運びに適さず、目的の条文を検索するのが大変なので、普段の学習用としてはおすすめできません。
4-2.司法試験用六法・予備試験用六法
司法試験用六法、予備試験六法は、司法試験、予備試験の論文試験で貸与される六法です。
ポケット六法やデイリー六法などとレイアウトが異なるため、論文対策を目前に控えるような場合には実際に使用して慣れておくことをおすすめします。
入手方法としては、先輩から譲り受けたり、フリマサイトから購入する、もしくは、第一法規より毎年試験前に最新版が発売されていますので、そちらを購入するのもよいでしょう。
5.学習用六法についてFAQ
Q1.電子版の六法アプリは、紙の六法の代わりになりますか?
A. 検索性の高さは魅力ですが、現時点では完全な代替は難しいです。多くの資格試験では電子機器の持ち込みが禁止されており、書き込みの自由度や複数条文の参照しやすさも紙に劣る場合があります。自宅での調べ物には電子版、普段の学習や試験対策には紙の六法というように、両者を併用するのが最も効率的です。
Q2.六法に書き込みをする際、おすすめのボールペンや色分けルールはありますか?
A.消せるボールペンの0.5mm以下が、裏写りしにくく修正も容易なため人気です。色分けは、「青=原則・定義」「緑=例外」「オレンジ=要件」「ピンク=効果」のように、自分の中でルールを決めて一貫させることが重要です。これにより、条文の構造が視覚的に理解しやすくなります。
Q3.六法を毎年買い替えないと、具体的にどのようなリスクがありますか?
A.最新の法改正に対応できず、古い知識のまま学習を進めてしまうリスクが最大のデメリットです。例えば、近年の民法(債権法・相続法)や刑法(侮辱罪厳罰化など)のような大きな改正があった年に古い六法を使い続けると、試験で致命的な失点につながる恐れがあります。
Q4.司法試験や予備試験で貸与される「試験用六法」は、どこで購入できますか?
A. 試験会場で貸与されるものと全く同じではありませんが、同等の仕様のものが「司法試験・予備試験用法六法」として第一法規株式会社から市販されています。例年、試験の数ヶ月前に最新版が発売されるため、インターネットにて確認することをおすすめします。
Q5.「ポケット六法」と「小六法」は、具体的に何が違うのですか?
A.「ポケット六法」は有斐閣が出版する特定の”商品名”です。一方、「小六法」は出版社を問わず、収録法令を基本六法とその関連法令に絞ったコンパクトな法令集の”一般的なカテゴリ名”として使われることが多いです。学習用としては、情報量が豊富で受験生に広く使われている「ポケット六法」が最初の1冊として推奨されます。
6.学習用六法に関するまとめ
Q1.学習用の六法として、どのような種類がおすすめですか?
A.法律の学習用としては、主にポケット六法、デイリー六法、判例六法の3種類が推奨されています。これらは多くの学生や司法試験受験生に利用されています。一方で、「六法全書」や「模範六法」は実務向けであり、学習用としては適していません。
Q2.初学者にはどの六法が使いやすいですか?また、その特徴は何ですか?
A.法律学習を始めたばかりの初学者には、ポケット六法やデイリー六法が特におすすめです。どちらもコンパクトで持ち運びやすいハンディ型です。
•ポケット六法(有斐閣)は、改正条文が傍線で示され、各条文末尾に関連条文が記載されているのが特徴です。学部の試験などで貸与されることも多いスタンダードな六法です。
•デイリー六法(三省堂)は、フォントの見やすさや、条文中の括弧書きが網掛けされている点が特徴で、初学者からの評判が高いです。
Q3.判例六法はどのような学習段階で役立ちますか?また、試験での使用について注意点はありますか?
A.判例六法は、学習がある程度進んだ段階での購入が推奨されます。主要法令の各条文末尾に関連判例が記載されているため、条文と判例を結びつける「インプット学習」に特に有用です。ただし、試験(論文試験など)では判例六法は使用できません。そのため、試験対策のアウトプット学習では、判例が記載されていない他の六法(ポケット六法やデイリー六法など)を使用する必要があります。
Q4.ポケット六法とデイリー六法の主な違いは何ですか?どちらを選べば良いですか?
A.どちらも持ち運びやすく、大学やロースクールの試験で貸与されることもある標準的な六法です。収録法令数はデイリー六法が若干多いですが、学習においてその差を気にする必要はほとんどありません。最も大きな違いは、字のフォントやレイアウト(例:デイリー六法の括弧書きの網掛け)です。ご自身にとって読みやすいと感じる方を選ぶのが最適です。
Q5.六法を選ぶ際の重要な基準は何ですか?
A.六法を選ぶ上での最も重要な基準は「読みやすさ・使いやすさ」「持ち運びのしやすさ」「収録法令数」は、司法試験や学部の学習ではほとんど気にする必要はありません。また、大学の「講義での指定」があれば参考にすると良いでしょう。
Q6.六法全書や司法試験用六法は、学習用としてどう位置づけられますか?
A.•六法全書は、有斐閣から出版されている最大の法令集ですが、主に実務家や大学教授が使用するものです。6千ページを超える大ボリュームで持ち運びにも不向きなため、学習用としてはおすすめできません。
•司法試験用六法・予備試験用六法は、これらは司法試験や予備試験の論文試験で会場で貸与される六法です。ポケット六法などとはレイアウトが異なるため、論文対策を本格的に始める段階で、実際に触れて慣れておくことが強く推奨されます。
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※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)
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