女性弁護士が活躍できる理由とは?女性弁護士が少ない理由についても解説
法曹
弁護士を含む法曹職は、まだまだ男性が多くの割合を占めていますが、働き方改革や男女共同参画社会基本法の影響で、女性弁護士の割合も着々と増加しています。
女性弁護士は、女性ならではの強みを生かして、今後もその活躍の幅を広げていくことが予想されます。
この記事では、女性弁護士の現状や女性弁護士が少ない理由、今後女性弁護士が活躍すべき理由について解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1. 女性弁護士の現状
まずは、女性弁護士の現状に関するデータを確認してみましょう。
1-1. 女性弁護士の数は着々と増えている
弁護士における女性の割合は、昭和50年代では5%にも満たない数字になっており、女性が法曹として働くことは難しいと思われてきました。
しかし、1999年に男女共同参画社会基本法が制定されて以降、女性弁護士の割合は着実に増加しており、令和6年(2024年)11月1日現在では20.2%となっています。
参考①:男女共同参画局|あらゆる分野における女性の参画拡大
参考②:日本弁護士連合会|第四次日本弁護士連合会男女共同参画推進基本計画
司法試験合格者に占める女性の割合で見てみると、平成4年(1992)以降はおおむね2〜3割で推移しており、令和6年(2024年)は30.21%という結果となっています。
参考:令和6年司法試験の採点結果
また、法曹教育を専門的に行う法科大学院における女子学生の割合は、令和2(2020)年時点で女子学生が34.0%と3割以上を占めていることからも、今後の司法分野での女性の参画拡大が期待されています。
参考:男女共同参画局|さまざまな分野における女性の参画
1-2. 日本弁護士連合会でも女性弁護士を増やす試みを行っている
日弁連では、2007年に「日本弁護士連合会男女共同参画施策基本大綱」を制定したことを機に、女性弁護士が少ない現状を解消しようとさまざまな取り組みを行っています。
◉内閣府男女共同参画局「はばたく女性人材バンク」事業への協力
◉育児期間中の会費等免除制度の運用
◉性別による差別的取扱等の防止に関する活動
こうした取り組みも相まって、着々と増えている女性弁護士ですが、令和5年(2023年)の司法修習終了者(75期)の進路別女性割合をみると、裁判官任官者38.2%(29人)、検察官任官者49.3%(35人)であるのに対し、弁護士登録者については、人数は255人と多いものの、割合は26.4%にとどまっています。
参照:司法修習終了者の進路別人数丨日本弁護士連合会
このように、裁判官や検察官と比べまだまだ女性弁護士の割合が少ないことを考えると、弁護士という職業が女性にとって魅力的であること発信する機会を設けたり、女性が働き続けられる環境整備や、ワーク・ライフバランスを意識した取り組みを進めることが必要になるでしょう。
1-3. 企業内弁護士は女性の割合が高い
弁護士全体における女子の割合はまだまだ低い数字となっていますが、対象を企業内弁護士に限って見てみると、女性の割合は高くなります。
企業内弁護士の全体における女性の割合は、2012年に40%を超えて以降、2017年を除き継続して40%前後を推移しています(2017年は39.6%)。とくに2022年は41.6%と過去最高の数字となっており、企業内弁護士としてキャリアを積む女性弁護士の数が年々増えている事がわかります。
参考:日本組織内弁護士協会(JILA)|企業内弁護士の男女別人数(2001年~2025年)
企業内弁護士として働く場合、正社員として安定した収入を得られることに加え、育児や家事などと両立できワークライフバランスを実現しやすい点、企業の福利厚生を活用できる点が、女性にとっての大きなメリットであると言えるでしょう。
2. なぜ女性弁護士は少ないのか
それでは、男性に比べ女性の弁護士が少ない理由はどこにあるのでしょうか。
2-1.「弁護士は年配の男性」というイメージが強い
女性弁護士は着実に増加してはいますが、法曹業界は旧態依然としていて、なかには年配の男性弁護士の影響力が強い弁護士事務所も存在します。
また、世間的にも「弁護士は年配の男性」というイメージがまだまだ強く、若い女性の弁護士よりも、年配の男性弁護士の方が頼りがいがあると思われてしまう事もあるかもしれません。
近年、女性の社会進出やテレビなどで女性の弁護士が活躍するようになった事から、「弁護士と言えば男性」という世間のイメージは少しずつ変わってきてはいますが、女性にとって働きやすい環境を整備していくことは今後の課題であるといえるでしょう。
2-2. 出産や子育てとの両立が難しい
近年、産休や育休制度が充実し、男性の育休取得などの割合も増えてきてはいますが、やはり出産や育児の負担が大きいのは女性であるのが一般的です。
出産・育児と仕事との両立をどのように実現すべきかは社会全体の問題として捉えるべき課題ですが、弁護士の場合は自営業である事も多く、そもそも出産休暇や育児休暇という制度自体がない事もあります。
仕事だけでなく、家庭との両立を考えなければいけないところが、女性弁護士が少ない要因のひとつといえるでしょう。
3. 女性弁護士ならではの強み
女性弁護士の人数が少ない現状から見ると、今後も女性弁護士に将来性がないように思われるかもしれませんが、むしろ女性弁護士ならではの強みを活かして、さまざまなフィールドで活躍する事が可能です。
ここからは女性弁護士がこれからの社会で活躍できる理由をご紹介します。
3-1. 相手の記憶に残りやすく、信頼を得やすい
女性弁護士は数が少ないため、依頼者に顔と名前を覚えてもらいやすく、女性ならではの柔らかい雰囲気と親身になって相談を聞く事で、依頼者の信頼を得る事ができるでしょう。
3-2. 女性の依頼者であれば女性の弁護士に話を聞いてほしい
依頼者全員に当てはまるわけではありませんが、女性の依頼者の場合、「自分と同じ女性に相談したい」「女性の方が話しやすい」という事で、女性弁護士を希望する方も少なくありません。
弁護士と依頼者の関係は信頼関係が重要です。
特に男性弁護士には言いにくいデリケートな問題を相談する場合、女性弁護士へのニーズは非常に高く、そういった意味でも女性の弁護士の増加がおおいに期待されているといえるでしょう。
3-3. 女性にしかわからない悩みに共感できる
依頼者が女性の場合、男性弁護士ではどうしても理解、共感しにくい部分が出てきてしまい、信頼関係を築く事が難しいケースがあります。
ここでは、大きく3つの場面を想定してご紹介します。
◉離婚問題
離婚問題は、家庭事情や経済状況などのデリケートな情報を詳細に説明する必要があります。
特に、DV(ドメスティックバイオレンス)やセックスレスなどが原因で離婚を検討している場合には、男性弁護士に話すには抵抗がある人が多いでしょう。
また、家事や育児をしてくれない、夫が不倫をしているなど離婚原因も、相談相手が女性であれば悩みを共感してもらいやすく、安心して相談することができるでしょう。
◉女性をターゲットにした企業に関するトラブル
依頼者が女性をターゲットにした商品を販売する化粧品会社や女性用下着の販売会社等である場合や、女性の従業員が多い企業の場合、顧客も女性であることから、弁護士も女性を希望する場合が多いです。
顧客トラブルに対して、女性目線で親身に寄り添うことで、円満な解決を導くことが可能になります。
◉性被害者
性犯罪の問題は非常にデリケートな問題です。被害者が女性の場合、被害状況等を男性の弁護士に話すのは抵抗ある場合が多いものです。
女性の弁護士であれば、加害者に対する対応だけでなく、被害者に寄り添い、心のケアまで行うことができるでしょう。
声を上げることが難しい性犯罪の被害者を救うためには、同じ女性である弁護士の力が必要になるのです。
4. 女性弁護士が活躍できるフィールドは今後ますます広がる
時代の変化とともに女性弁護士の需要が高まっている昨今、女性が活躍できる場面は年々増え続けています。
最近では、女性弁護士の認知度も高まり、女性の弁護士が在籍していることをアピールする法律事務所も増えてきているなど、依頼者にとっても女性弁護士を探しやすい環境になってきています。
離婚、不倫、DV、痴漢、セクハラ、マタハラなど、女性が被害者である問題について、同性として共感できるという女性ならではの強みを活かして、女性弁護士への期待は今後ますます大きくなっていくでしょう。
また、企業内弁護士として企業法務に携わった後、CLO(最高法務責任者)を目指したり、英語が得意であれば渉外弁護士として世界を股にかけて活躍するなど、その活躍の場は大きく広がっています。
企業内弁護士は、産前・産後休暇や、育児休暇の制度がしっかり確立されていたり、福利厚生が整っていたりと女性にとって働きやすい環境が揃っていることが魅力です。
渉外弁護士として世界を股にかけてグローバルに活動する場合、女性であることのハンディキャップは、ほとんど感じなくなるでしょう。
このように、女性弁護士は今後さまざまなフィールドで活躍する事が期待されているのです。
5. 女性弁護士に関するよくある質問(FAQ)
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弁護士全体に占める女性の割合はどれくらいですか?
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日本弁護士連合会によれば、2024年(令和6年)11月1日時点で登録弁護士に占める女性の割合は20.2%です。1970年代後半(昭和50年代)には5%未満でしたが、半世紀で約4倍に拡大し、2024年に初めて2割を突破しました。日弁連は1999年(平成11年)の男女共同参画社会基本法制定以降、基本計画策定や育児期間中の会費免除制度など、女性弁護士増加に向けた取り組みを継続しています。
出典:男女共同参画局「あらゆる分野における女性の参画拡大」/日本弁護士連合会「第四次日本弁護士連合会男女共同参画推進基本計画」
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司法試験合格者に占める女性の割合はどれくらいですか?
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法務省発表によれば、2025年度司法試験の合格者1,581人のうち女性は479人で、女性比率は30.30%となりました。前年の30.21%に続き、2年連続で3割を超えています。1992年以降はおおむね20〜30%台で推移してきましたが、近年は安定して3割台を維持しており、若手法曹における女性比率の高まりが続いています。
参考:法務省「令和7年司法試験の結果について」
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裁判官・検察官と比べて女性弁護士の割合は少ないのですか?
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はい、司法修習終了者(75期)の進路別データを見ると、裁判官任官者の女性比率は38.2%、検察官任官者は49.3%に達するのに対し、弁護士登録者は26.4%にとどまります。法曹三者の中で弁護士の女性比率が最も低い状況です。弁護士は個人事業主的な側面が強く、福利厚生面で身分保障のある裁判官・検察官と差があることが、女性の進路選択に影響していると指摘されています。
参考:日本弁護士連合会「司法修習終了者の進路別人数」
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一般の弁護士と企業内弁護士で女性比率はどれだけ違いますか?
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弁護士全体では女性比率が約20%ですが、企業内弁護士に限ると2022年(令和4年)には41.6%と過去最高を記録し、約2倍の比率に達しています。企業内弁護士は2012年以降ほぼ40%前後で安定推移しており、女性に選ばれる働き方として定着しています。産前・産後休暇や育児休業、福利厚生が整い、ワークライフバランスを実現しやすい点が背景にあると考えられています。
出典:日本組織内弁護士協会(JILA)「企業内弁護士の男女別人数(2001年〜2025年)」
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女性が弁護士になる際に年齢制限や性別による制約はありますか?
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ありません。司法試験は年齢制限・性別制限ともになく、法科大学院ルート(修了後または在学中に受験)または予備試験ルートのいずれかを経て、司法修習を修了すれば弁護士登録が可能です。社会人経験を経てから法曹を志す女性も増加しており、20代から60代まで多様な経歴を持つ女性弁護士が実際に活躍しています。
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法科大学院に通う女性の割合はどれくらいですか?
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内閣府男女共同参画局の資料によれば、2020年(令和2年)時点で法科大学院の女子学生比率は34.0%となっており、3割を超えています。司法試験合格者の女性比率(約30%)と概ね一致する水準で、法曹養成段階から一定数の女性が学んでおり、今後さらなる女性法曹増加の基盤として期待されています。
出典:内閣府男女共同参画局「さまざまな分野における女性の参画」
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女性弁護士は出産や育児と仕事を両立できますか?
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両立は可能ですが、勤務形態によって難易度が異なります。企業内弁護士は産前・産後休暇や育児休業制度が整っており両立しやすい一方、自営的な働き方が中心となる法律事務所では制度面の整備が課題となる場合があります。日本弁護士連合会は2007年(平成19年)に男女共同参画施策基本大綱を制定し、育児期間中の会費免除制度などのサポート体制を整備しています。
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なぜ女性弁護士は男性に比べて少ないのですか?
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主な要因は二つあります。第一に「弁護士は年配の男性」というイメージが業界や社会に根強く残っていること、第二に弁護士は自営業的な働き方が多く、出産・育児との両立に制度面のハードルが残ることです。近年は日弁連の取り組みや働き方の多様化、企業内弁護士という選択肢の拡大により、状況は徐々に改善されつつあります。
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女性弁護士はどのような分野で活躍していますか?
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離婚・DV・性犯罪被害といった女性当事者が多い分野に加え、企業法務(インハウス)、CLO(最高法務責任者)、渉外弁護士、女性向け商材を扱う企業の顧問など、活躍領域は年々広がっています。女性ならではの共感力や信頼を得やすい強みが、デリケートな相談やグローバル案件で評価されており、今後さらに活躍の場が拡大すると見込まれています。
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これから女性が弁護士を目指す場合、何から準備を始めればよいですか?
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最初のステップは、司法試験の受験ルート(法科大学院ルートまたは予備試験ルート)を選ぶことです。次に各ルートに応じた学習計画を立て、基礎科目(憲法・民法・刑法など)から学習を開始します。社会人や子育て中の女性でも、オンライン講座や通信講座を活用すればライフステージに合わせて学習を進めることが可能です。
6. 女性弁護士が活躍できる理由のまとめ
女性弁護士の数は着実に増加していますが、男性の弁護士に比べるとまだまだ数が少ないのが現状です。
企業内弁護士の場合、仕事と育児を両立できる環境が整っていることが多いですが、法律事務所などでも、女性弁護士が仕事をしやすいよう、ワークライフバランスを実現できる環境を整えていく事が今後の課題となるでしょう。
その際にも女性弁護士が新しい環境作りのイニシアチブを取っていくことは間違いありません。
女性ならではの強みを活かして活躍の場が広がっている女性弁護士。
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が伊藤塾有料講座の受講生でした。
※1(講座内訳:入門講座640名、講座・答練321名、模試471名)
※2(講座内訳:入門講座228名、講座・答練131名、模試47名)
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