予備試験はどのくらい難しい?予備試験の難易度が高い理由と対策方法

予備試験

2025年10月31日

司法試験の受験資格を得るには、予備試験ルートと法科大学院ルートの2通りがあります。どちらのルートを選択するのかを判断するうえで、試験の難易度は重要な要素の1つです。

予備試験の合格率は、4%前後で推移しており、数字だけを見て諦めてしまう方もいらっしゃるでしょう。しかし、試験の難易度は、合格率だけで判断することはできません。

予備試験はあくまで司法試験の受験資格を得るための試験であり、最終的に司法試験の合格を目指すのであれば、予備試験合格レベルの学力を身に付ける必要があります。合格率が低くても、予備試験の合格は決して不可能なものではありません。

この記事では、予備試験の試験内容や、司法試験など他の試験との比較などから予備試験の難易度を具体的に解説します。最後までご覧いただき、ルート選択の判断材料としてお役立ていただけると幸いです。

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1.予備試験は司法試験の受験資格を得るための試験

司法試験を受験するには受験資格が必要です。司法試験の受験資格を得る方法としては、①予備試験に合格する、②法科大学院を修了するの2パターンがあります。

法科大学院を修了するには、大学卒業後、法科大学院に2年もしくは3年間通学しなくてはなりません。つまり、大学入学から司法試験の受験資格を得るために最短で6年かかることになります。

一方、予備試験には受験資格がありません。そのため、高校生から予備試験に挑戦することもでき、17歳で合格した人もいます。つまり、司法試験合格の最速ルートは予備試験ルートと言うことになります。

2.予備試験の概要

予備試験には受験資格がなく、誰もが受験可能な試験です。では、合格率や試験日程・試験科目などはどのようになっているのでしょうか。合格率や試験科目などは試験の難易度を判断する指標ともなります。

ここでは、予備試験の合格率や日程・試験科目など予備試験の概要を紹介します。

2-1.予備試験の合格率

過去3年間の予備試験の受験者数・合格者数・合格率は次の表のとおりです。

受験者数 合格者数 合格率
令和6年度 12,569人 449人 3.6%
令和5年度 13,372人 479人 3.6%
令和4年度 13,004人 472人 3.6%

参照:司法試験予備試験の結果について/法務省

さらに過去をさかのぼっても予備試験の合格率は4%前後を推移しており、合格率だけを見ると、予備試験は非常に難易度の高い試験と言えるでしょう。

2024年度(令和6度)の司法試験の合格率は42.1%なので、単純に合格率だけを比較すると司法試験本番より予備試験の方が難しい試験と言うことになります。

2-2.予備試験の日程・試験科目

予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験と3段階の試験になっています。3つの試験全てに合格して初めて予備試験に合格できます。

試験の実施時期は、短答式試験が7月に1日の日程で、論文式試験が9月に2日間の日程で、口述試験が1月に2日間の日程でおこなわれます。予備試験は、最初の短答式試験から口述試験まで半年間に及ぶ長丁場の試験であり、日程の面でも過酷な試験と言うことができるでしょう。

予備試験は、試験科目も非常に多いです。各試験の試験科目は次のようになっています。

●短答式試験
・憲法
・行政法
・民法
・商法
・民事訴訟法
・刑法
・刑事訴訟法
・一般教養科目

●論文式試験
・憲法
・行政法
・民法
・商法
・民事訴訟法
・刑法
・刑事訴訟法
・法律実務基礎科目(民事)
・法律実務基礎科目(刑事)
・選択科目

●口述試験
・法律実務基礎科目(民事)
・法律実務基礎科目(刑事)

各試験に共通する科目でも、短答式試験と論文式試験とでは対策方法が異なるため、予備試験に合格するためには、多くの科目について試験に合わせた対策をしなくてはなりません。

※予備試験の試験科目については、こちらの記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

3.予備試験はなぜ難易度が高いと言われるのか

予備試験は合格率の低い試験であることから、難易度の高い試験と言われています。しかし、予備試験の難易度が高いのは、合格率が低いことだけを理由とするものではありません。

ここでは、次の4つのポイントから予備試験の難易度が高いと言われる理由についてより詳しく解説します。

  • 試験の合格率が低い
  • 試験範囲が広い
  • 3段階の試験がある
  • 予備試験の合格者のほとんどが司法試験に合格している

3-1.試験の合格率が低い

まず、予備試験の難易度が高いと言われる理由としては、合格率が低いことが挙げられます。合格率だけで難易度を判断することはできませんが、難易度を判断するうえで合格率が重要な指標となることは間違いありません。

予備試験の合格率が4%前後であるのに対し、他の士業系資格の合格率は次のようになっています。

・司法試験・・・42.1%(令和6年度)
・司法書士・・・5.3%(令和6年度)
・行政書士・・・12.9%(令和6年度)
・宅建・・・18.6%(令和6年度)

単純に合格率を比較すると、予備試験の難易度は難関の士業系資格である司法書士試験の合格率と同程度です。

一方、司法試験は合格率は高いですが、受験資格を得た人の合格率であり、単に合格率だけで難易度を判断することはできません。

3-2.試験範囲が広い

予備試験の試験科目の多さは先に説明したとおりです。さらに、予備試験は試験科目が多いだけではなく、それぞれの試験範囲が広いという特徴があります。

たとえば、民法は、総則、物権、担保物権、債権総論、債権各論、親族相続と6つの分野に分けられますが、その全てが試験範囲となります。大学などの講義では、1つ1つの分野で半期での講義がおこなわれるようなボリュームがあるため、民法1科目だけでも広い範囲での学習が必要です。

予備試験では、多くの科目で広い範囲を学ばなくてはならず、基礎的な部分をひと通り学ぶだけでも相当な時間が必要となります。

3-3.3段階の試験がある

予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験の3段階に分かれており、短答式試験に合格しないと論文式試験に進むことはできず、論文式試験に合格しないと口述試験に進むことはできません。

それぞれの試験では、同じ科目の試験であっても問われる能力が異なります。短答式試験では、主として知識を問われますが、論文式試験では分析力や論理力を問われます。予備試験の最大の難関は論文式試験です。論文式試験に合格するには、問題を解くだけでなく、それを時間内で正確な文章で伝える能力も要求されます。

予備試験に合格するためには、それぞれの試験で必要とされる能力を身に付けなくてはならず、合格レベルの能力を身に付けるのは容易ではありません。

ただし、それぞれの試験での合格点はそれほど高いものではありません。
例年の合格ラインは、短答式試験が6割程度、論文式試験が5割程度となっています。
難しい問題に正解できなくても、基本的な問題を確実に正解することで合格点に達することができます。

3-4.予備試験合格者のほとんどが司法試験に合格している

2024年度(令和6年度)の司法試験では、予備試験合格者の合格率は、92.84%で予備試験合格者のほとんどが本番の司法試験に合格しています。

過去3年間のデータでも、予備試験合格者の合格率は非常に高いものとなっています。

受験者数 合格者数 合格率
令和6年度 475人 441人 92.8%
令和5年度 353人 327人 92.6%
令和4年度 405人 395人 97.5%

参照:司法試験の結果について|法務省

司法試験と予備試験とでは、試験科目の多くが共通しています。予備試験の合格者のほとんどが司法試験に合格していることからすると、予備試験の難易度は司法試験と同程度の難易度と言うこともできるでしょう。

つまり、予備試験に合格するためには、司法試験に合格できるレベルにまで達する必要があります。

※令和6年度の予備試験合格率の様々なデータについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

※予備試験合格者の司法試験合格率合格率が高い理由は、こちらの記事で詳しく解説しています。

4.他の士業資格試験と予備試験との難易度比較

なぜ予備試験の難易度が高いと言われるのかについて説明しましたが、難易度について具体的なイメージを持つためには、他の試験と比較することも有効です。

ここでは、他の試験と比較することで、予備試験の難易度についてより具体的に解説していきます。

予備試験の受験を検討されている方の中には、他の士業資格を目指すべきか迷っている方もいらっしゃるでしょう。ここでの比較を、目指すべき資格の決定にお役立ていただけると幸いです。

4-1.司法試験合格レベルの学力が必要

予備試験の合格率は、毎年4%前後であるのに対し、2024年度(令和6年度)の司法試験の合格率は42.1%です。そのため、合格率だけを見ると予備試験の方が難易度が高いと言えそうです。

ただし、司法試験を受けるには受験資格が必要で、法律科目の学習を十分に行ってきた人だけが受けられる試験となっています。一方で、予備試験は誰もが受験できる試験のため単に合格率だけで難易度を決めることはできないでしょう。

司法試験も、受験資格を得た人の中でも合格率が42.1%の試験であり、難関の試験であることは間違いありません。

ただし、予備試験合格者のほとんどが司法試験に合格しており、法科大学院修了生と比べて合格率が圧倒的に高いことからすると、予備試験の合格者には、司法試験合格レベルの学力が備わっていると言えます。

つまり、予備試験合格には、司法試験合格レベルの学力が必要で、予備試験は、司法試験と同程度の難易度があると言えるでしょう。

4-2.司法書士・行政書士試験との比較

司法書士試験も、合格率が3〜5%程度で推移している難関の試験です。
試験科目も、憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法は予備試験と共通しており、試験範囲も広い試験となっています。

合格するために必要な勉強時間については、司法書士試験が3,000時間ほど、予備試験が2,000〜5,000時間とされています。

また、両試験の筆記試験の内容を比べると、司法書士試験は択一式と記述式を合わせて1日(5時間)で行われるのに対し、予備試験は短答式試験1日と論文式試験2日間(計17時間20分)と長時間に渡る試験となっています。

以上のことから、予備試験は司法書士試験よりやや難易度が高いと言えるでしょう。

次に、行政書士試験と比較をしてみます。
行政書士試験は、合格率が10%程度で推移している試験です。試験科目は予備試験に比べて少なく、配点の8割が短答式試験となっています。合格に必要な勉強時間も600時間程度と少なく、予備試験とでは難易度に圧倒的な差があると言えるでしょう。

5.予備試験を目指す本当の意味とは

予備試験の合格率が低いことからすると、法科大学院ルートを選択するのが楽なようにも感じますが、あくまでも最終的な目的は司法試験に合格することです。

法科大学院ルートと予備試験ルートとでは最終的な合格率に圧倒的な差があり、最終的な司法試験の合格可能性を高めるためには予備試験ルートに挑戦すべきと言えるでしょう。

予備試験と司法試験の試験科目は共通するものが多く、予備試験の学習は司法試験の学習ともなるため無駄になることがありません。

また、法科大学院入試においても、予備試験の学習はそのまま入試対策となります。

そのため、司法試験に合格するためには、できる限り早い段階で予備試験の学習に取り組むべきです。
司法試験の合格には2,000〜5,000時間程度の学習が必要とされています。どのルートを選択するにしても数年単位での学習が必要となるため、ルート選択に悩んで時間を無駄にするべきではありません。

まずは、予備試験対策から司法試験の学習をスタートし、少しでも合格に近づく努力を始めましょう。

6.予備試験の対策方法

予備試験の対策方法は大きく分けて、①独学で勉強する、②受験指導校を利用するの2つの方法があります。法律科目を学習するには、大学や法科大学院の講義を利用することもできますが、講義を受講するだけでは予備試験合格のために十分な対策はできません。

ここでは、①独学で勉強する、②受験指導校を利用するの2つの方法について、特徴やおすすめの方法を解説します。

6-1.独学で勉強する

前提として、予備試験の対策を独学で行うことはおすすめできません。

予備試験の合格には、試験科目についてインプットとアウトプットの両面で十分な対策が必要です。

法律科目の学習は、高校までの学習とは異なり専門的な分野を扱うため、初めのうちはテキストを読んでも理解できないことがほとんどでしょう。法律科目の学習を効率的に進めるためには、講義などでわかりやすい説明を受けることが重要です。独学で闇雲に勉強しても知識が定着せず、成果をあげるのは難しいでしょう。

さらに、論文式試験については、独学での合格は不可能に近いものがあります。論文式試験は特定の解答を記載するだけでなく、それを必要十分な量でわかりやすく記載しなくてはなりません。回答や採点基準は公表されないため、自分の作成した論文が合格点に達するものであるのかを自分自身で判断することは極めて困難なものと言えます。論文試験対策では、合格者などによる添削を受けることが不可欠です。

以上のとおり、予備試験を独学で勉強するのは難しく、独学での対策はおすすめできません。

6-2.受験指導校を利用する

予備試験に合格するには、受験指導校を利用するのがおすすめです。特に、伊藤塾は、受験指導校の中でも圧倒的な合格実績を誇っています。
2024年度(令和6年度)の司法試験で予備試験ルートの合格者は441名ですが、そのうち 95.7% もの422名が伊藤塾の有料講座を受講しています。

伊藤塾では、司法試験・予備試験の十数万通に及ぶ再現答案を分析・解析し、カリキュラムや講義・教材へ還元しています。
したがって、伊藤塾の提供するノウハウの通りに学習を進めていただければ、予備試験対策を最も効率的に進めることができるでしょう。

予備試験の合格に必要な知識を効率的に学ぶためには入門講座の受講をおすすめします。
講座を受講することで、テキストを読むだけでは理解できないことも理解を進めることができます。オンラインでのサポート体制も充実しており、理解できない部分については納得するまで質問が可能です。

独学での学習が最も難しい論文試験についても、入門講座の段階から充実した対策講座が用意されています。特に答練などでの添削指導は重要で、論文式試験に対応する力をつけるためには添削を受けることで、自己評価と実際の評価との差を埋める努力が不可欠です。

予備試験対策には、ぜひ伊藤塾の利用をご検討ください。

7.予備試験の難易度に関するFAQ

Q.予備試験の合格率はどのくらいですか?

A.予備試験の合格率は3.5〜4%前後で推移しています。令和6年度は3.57%(受験者12,569人、合格者449人)でした。一方、司法試験本試験の合格率は42.1%と高いですが、これは受験資格を持つ人だけが受験できるためです。

Q.予備試験はどのくらい難しいのですか?

A: 予備試験は司法試験と同程度の難易度があります。

  • 合格率が4%前後と非常に低い
  • 試験範囲が広く、科目数が多い
  • 短答式・論文式・口述試験の3段階がある
  • 予備試験合格者の92.84%が司法試験に合格している(=司法試験合格レベルの学力が必要)

Q.予備試験の試験科目は何ですか?

A.短答式試験、論文式試験、口述試験によって科目が変わります。

  • 短答式試験:憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、一般教養科目
  • 論文式試験:上記7科目+法律実務基礎科目(民事・刑事)+選択科目
  • 口述試験:法律実務基礎科目(民事・刑事)

各試験は異なる能力を問われるため、科目ごとに試験形式に合わせた対策が必要です。

Q.予備試験の合格点はどのくらいですか?

A.例年の合格ラインは、

  • 短答式試験:約6割
  • 論文式試験:約5割

難しい問題に正解できなくても、基本的な問題を確実に正解すれば合格点に達することができます。

Q.予備試験と法科大学院ルート、どちらが良いですか?

A.予備試験ルートが最短ルートです。

  • 予備試験には受験資格がない(誰でも受験可能)
  • 法科大学院は大学卒業後2〜3年通学が必要(最短6年)
  • 予備試験合格者の司法試験合格率は92.84%と圧倒的に高い
  • 法科大学院修了生より合格率が高い

Q.予備試験は独学で合格できますか?

A: 独学での合格は困難です。

  • 法律科目は専門的で、テキストだけでは理解が難しい
  • 論文式試験は添削指導が不可欠(自己評価が困難)
  • 採点基準が非公表のため、合格レベルの判断が極めて困難

受験指導校の利用がおすすめです。

Q.予備試験は他の資格試験と比べてどのくらい難しいですか?

A.合格率で比較すると下記のようになります。

  • 司法試験:同程度の難易度
  • 司法書士試験(合格率5.3%):やや予備試験の方が難しい
  • 行政書士試験(合格率12.9%):予備試験の方が圧倒的に難しい
  • 宅建(合格率18.6%):予備試験の方が圧倒的に難しい

8.まとめ

予備試験は合格率も低く難易度の高い試験です。しかし、予備試験の合格はあくまで通過点・手段であり、最終的な目的は司法試験の合格です。

司法試験合格のためには、予備試験ルートが最短ルートであることは間違いありません。合格率という見た目の難易度に惑わされることなく、正しい努力を続ければ誰にでも合格のチャンスはあります。

正しい努力を継続するには、受験指導校の利用がおすすめです。受験指導校のノウハウを利用して、効率的に合格に向けての努力を継続するようにしましょう。

伊藤塾では、「盤石な基礎」と「合格後を考える」を指導理念に、司法試験合格はもちろんのこと、合格後の活躍まで見据えたお一人おひとりへの丁寧なサポートで、受講生の皆様を全力で支えています。

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無料での体験受講や説明会も実施しておりますので、司法試験の受験に興味をお持ちの方は、ぜひ一度伊藤塾までお問い合わせください。

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2024年 司法試験合格者1,592人中 1,436名(90.2%)※1
2024年 予備試験合格者 449人中 405名(90.2%)※2
伊藤塾有料講座の受講生でした。
※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)

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祝賀会ムービー

著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。