【2025年度】法科大学院(ロースクール)入試の難易度と対策を解説

法科大学院

2025年10月31日

司法試験の受験資格を得るには、以下の2つのルートがあります。
①予備試験ルート:予備試験に合格する
②法科大学院ルート:法科大学院に進学し、修了もしくは最終学年進学時点で一定の成績を収めて学長認定を取得する
近年では、法曹コースの導入と法科大学院の最終年度での受験資格が認められたことにより、法科大学院ルートでも今までより2年も早く司法試験に挑戦できるようになりました。また、法科大学院在学中受験者の司法試験合格率が予備試験合格者の司法試験合格率に次ぐ高さとなったことから、法科大学院ルートの人気が高まっています。
今回は、令和7年度の法科大学院入試の実施状況をご紹介するとともに、入試制度や難易度、試験対策などについて解説します。司法試験への挑戦を検討している方、どの法科大学院を受験すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

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1.2025年度(令和7年度)法科大学院の入学者選抜実施状況等

2025年度(令和7年度)の法科大学院入試では、志願者数が大幅に増加し、過去最高の競争率を記録しました。ここでは、文部科学省が公表した最新データをもとに、入試の実施状況について詳しく解説します。

1-1. 全体の入試実施状況

2025年度(令和7年度)の法科大学院入試全体の状況は、以下のとおりです。

年度 入学定員 志願者数 受験者数 合格者数 入学者数 競争倍率 定員充足率
令和7年度 2,157人 15,271人 13,180人 3,747人 2,058人 3.52 0.95
令和6年度 2,197人 13,513人 11,660人 3,811人 2,076人 3.06 0.94
令和5年度 2,197人 12,174人 10,540人 3,782人 1,971人 2.79 0.9
令和4年度 2,233人 10,564人 9,393人 3,683人 1,968人 2.55 0.88
令和3年度 2,233人 8,341人 7,431人 3,312人 1,724人 2.24 0.77

参照:各法科大学院の令和3年度~令和7年度入学者選抜実施状況等|文部科学省

令和7年度の法科大学院入試では、志願者数が15,271名に達し、前年度から1,758名(13.0%)も増加しました。受験者数も13,180名と、前年度から1,520名増加しています。

その結果、競争倍率は3.52倍となり、過去5年間で最も高い数値を記録しました。令和3年度の2.24倍と比較すると、わずか4年間で1.28ポイントも上昇しており、法科大学院入試が年々難化していることがわかります。

この背景には、法曹コースの普及と在学中受験制度の認知度向上があります。法学部を3年で早期卒業し、法科大学院2年と合わせて最短5年で司法試験に挑戦できる制度が整備されたことで、法科大学院ルートの魅力が高まっているのです。

また、2024年度司法試験における法科大学院在学中受験者の合格率が、既修コースで61.3%という高水準を記録したことも、法科大学院人気を後押ししています。

1-2. 競争倍率ランキング(上位校)

令和7年度入試において、競争倍率が高かった法科大学院の上位校は以下のとおりです。

大学名 定員 志願者 受験者 合格者 入学者 競争倍率 倍率前年比 定員充足率
専修大学 28人 427人 383人 36人 25人 10.64 2.64 0.89
筑波大学 36人 354人 325人 42人 35人 7.74 0.99 0.97
日本大学 60人 447人 413人 61人 44人 6.77 ▲1.34 0.73
法政大学 30人 416人 366人 75人 38人 4.88 0.07 1.27
上智大学 40人 244人 213人 46人 34人 4.63 1.17 0.85
神戸大学 80人 729人 641人 145人 68人 4.42 1.39 0.85
関西学院大学 30人 435人 380人 90人 31人 4.22 1.03 1.03
慶應義塾大学 220人 1,411人 1,306人 315人 164人 4.15 1.2 0.75
東北大学 50人 470人 407人 98人 49人 4.15 ▲0.12 0.98
東京都立大学 40人 351人 286人 69人 38人 4.14 0.26 0.95
学習院大学 30人 153人 127人 31人 20人 4.1 0.58 0.67
広島大学 20人 116人 108人 27人 17人 4 0.79 0.85
同志社大学 70人 723人 593人 152人 63人 3.9 0.93 0.9
大阪公立大学 30人 209人 149人 42人 29人 3.55 0.63 0.97
明治大学 40人 689人 593人 168人 58人 3.53 1.02 1.45
立命館大学 70人 709人 636人 184人 83人 3.46 0.88 1.19
東京大学 230人 1,184人 1,026人 304人 216人 3.38 ▲1.01 0.94
一橋大学 85人 324人 324人 97人 86人 3.34 0.11 1.01
九州大学 45人 246人 197人 63人 39人 3.13 0.49 0.87
琉球大学 16人 58人 53人 17人 15人 3.12 0.65 0.94
北海道大学 50人 230人 193人 63人 45人 3.06 0.84 0.9
名古屋大学 50人 287人 235人 78人 58人 3.01 0.47 1.16
早稲田大学 200人 1,474人 1,023人 359人 212人 2.85 0.54 1.06
京都大学 160人 627人 568人 201人 160人 2.83 0.01 1
大阪大学 80人 660人 524人 185人 82人 2.83 0.45 1.03
愛知大学 20人 100人 95人 35人 15人 2.71 0.26 0.75
関西大学 40人 235人 202人 76人 49人 2.66 ▲3.58 1.23
中央大学 160人 1,309人 1,246人 474人 150人 2.63 0.56 0.94
岡山大学 24人 121人 105人 41人 29人 2.56 ▲0.29 1.21
福岡大学 20人 68人 61人 27人 15人 2.26 ▲0.10 0.75
南山大学 20人 96人 74人 34人 19人 2.18 ▲0.32 0.95
創価大学 28人 47人 46人 22人 19人 2.09 0.13 0.68
金沢大学 15人 58人 47人 25人 13人 1.88 ▲0.40 0.87

令和7年度入試では、競争倍率が4倍を超える法科大学院が12校となり、前年度の7校から大幅に増加しました。特に注目すべきは以下の点です。

10倍以上の競争倍率となったのは専修大学(10.64倍)の1校のみですが、これは前年度の8.00倍から2.64ポイントも上昇した結果です。

7倍以上では筑波大学(7.74倍)が、前年度の6.75倍からさらに上昇しました。

6倍以上では日本大学(6.77倍)がランクインしていますが、前年度の8.11倍からは下降しています。

4倍以上の法科大学院は、法政大学(4.88倍)、上智大学(4.63倍)、神戸大学(4.42倍)、関西学院大学(4.22倍)、慶應義塾大学(4.15倍)、東北大学(4.15倍)、東京都立大学(4.14倍)、学習院大学(4.1倍)、広島大学(4.00倍)の9校となりました。

もっとも、10倍超の倍率となった専修大学については定員充足率(入学者数÷入学定員)が0.89と定員を下回っていることから、他の法科大学院と併願している受験生が多かったものと推測されます。同様に、7倍台の筑波大学、6倍台の日本大学についても定員充足率が1を下回っており、上位志望校との併願受験が多いことが考えられます。

1-3. 難関法科大学院の入試動向

司法試験合格実績で上位を占める難関法科大学院の令和7年度入試状況は、以下のとおりです。

法科大学院 定員 志願者 受験者 合格者 入学者 競争倍率 倍率前年比 定員充足率
東京大学 230人 1,184人 1,026人 304人 216人 3.38 ▲1.01 0.94
京都大学 160人 627人 568人 201人 160人 2.83 0.01 1
慶應義塾大学 220人 1,411人 1,306人 315人 164人 4.15 1.2 0.75
一橋大学 85人 324人 324人 97人 86人 3.34 0.11 1.01
早稲田大学 200人 1,474人 1,023人 359人 212人 2.85 0.54 1.06
中央大学 160人 1,309人 1,246人 474人 150人 2.63 0.56 0.94
神戸大学 80人 729人 641人 145人 68人 4.42 1.39 0.85


これらの難関法科大学院では、志願者数が軒並み高水準を維持しています。特に慶應義塾大学は志願者数1,411名と前年度から大幅に増加し、競争倍率も4.15倍(前年比+1.20ポイント)に上昇しました。

東京大学は、志願者数こそ前年度から減少したものの、依然として1,000名を超える受験者を集めています。京都大学は定員充足率がちょうど1.00となっており、入学定員と入学者数が一致する安定した状況を維持しています。

早稲田大学と中央大学は、いずれも志願者数が1,000名を超える大規模校として、多くの受験生を集めています。特に中央大学は前年度比で倍率が0.56ポイント上昇しており、人気の高まりを示しています。

2.法科大学院の入試制度

法科大学院については、同じ大学でも複数のコースが設置されているため、入試制度を複雑と感じる方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、法科大学院入試の難易度を解説する前提として、入試制度について詳しく解説します。

2-1. 法科大学院入試は各大学が独自に実施している

現在の入試制度では、各法科大学院に共通の試験はありません。

かつての法科大学院入試では、大学入試の共通テストのような位置付けで適性試験が実施されていました。しかし、法科大学院受験生の減少にともなって適性試験は廃止され、現在は、各大学が独自に試験を実施しています。

各大学の実施する入試については、既修者コースと未修者コースに分けられており、既修者コースでは法律の論文試験、未修者コースでは小論文試験とする大学が多くなっています。

このため、受験する法科大学院ごとに試験内容や出題形式、評価基準が異なります。志望校を決めたら、早めに各大学の募集要項を確認し、試験の特徴を把握しておくことが重要でしょう。

2-2. 既修者コースの入試制度

各法科大学院が設置する既修者コースは、次の3つの選抜方式に分けられています。

  • 5年一貫型選抜
  • 特別選抜(開放型)
  • 一般選抜

5年一貫型選抜について

5年一貫型選抜は、大学を3年で早期卒業する法曹コースを設置する大学と協定を結び、法曹コースの成績と面接結果をもとに入学者を選抜する方法です。5年一貫型選抜では、入試の段階で法律の論文試験は課されません。

この制度を利用すれば、法学部入学から最短5年で司法試験の受験資格を得ることができます。法学部3年(早期卒業)+法科大学院2年(既修コース)という組み合わせにより、従来の法科大学院ルートよりも2年早く司法試験に挑戦できるのです。

5年一貫型選抜では、法曹コースでの成績評価が重要になります。そのため、大学入学後の早い段階から高いGPAを維持することが求められます。

特別選抜(開放型)について

特別選抜(開放型)は、法曹コース修了予定者が協定関係にない法科大学院を受験する場合の選抜方法です。たとえば、中央大学の法曹コース修了予定者が、慶應義塾大学を受験する場合は特別選抜(開放型)を受験できます。

特別選抜(開放型)の入試では、法曹コースの成績や面接に加えて、法律の論文試験が課されます。5年一貫型選抜とは異なり、筆記試験が必要になる点に注意が必要です。

この制度により、法曹コース在籍者は協定校以外の上位校にもチャレンジできるようになっています。

一般選抜について

既修者の一般選抜は、法曹コースとは関係なく、広く一般の人が受験できる選抜方法です。既修者コースの一般選抜では、法律の論文試験によって選抜する大学が多くなっています。

法律論文試験では、憲法、民法、刑法の3科目が中心となり、大学によっては商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法なども出題されます。試験時間や出題形式は大学ごとに異なりますが、いずれも法律基本科目についての深い理解と論述力が求められます。

特別選抜(開放型)と一般選抜は、併願できます。法科大学院によっては、法律の論文試験以外の試験を課したり、英語の能力を示す資料など独自の提出物を課したりするところもあるので、詳しい試験内容については、各法科大学院のサイトで確認するようにしてください。

2-3. 未修者コースの入試制度

未修者コースの入試制度には、次の2つがあります。

  • 特別選抜
  • 一般選抜

未修者コースについては、各法科大学院が社会人枠、グローバル法曹枠など、特別の選抜方法を実施していることがあります。未修者の特別選抜は、法曹コースとは関係ありません。

未修者の特別選抜について

特別選抜を受験できるのは、他学部出身者、社会人経験者など各大学が指定する条件を満たす人だけです。未修者の特別選抜では、筆記試験を実施せずに、提出書類と面接試験のみで選抜する大学が多くなっています。

社会人枠では、通常3年以上の実務経験が求められます。グローバル法曹枠では、海外での学習経験や語学力が評価されることがあります。いずれの場合も、志望理由書や自己推薦書などの提出書類が重視されますので、自分の経験や法曹を志す理由を明確に説明できるよう準備しておくことが大切です。

未修者の一般選抜について

未修者の一般選抜は、大学を卒業した人、卒業見込みの人なら誰でも受けられる試験で、法学部出身者でも未修者の一般選抜を受験する人は少なくありません。未修者の一般選抜では、小論文試験によって合否が判定されます。

小論文試験では、法律知識は原則として不要とされていますが、論理的思考力、文章構成力、問題発見能力などが問われます。与えられた課題について、多角的に分析し、自分の考えを筋道立てて説明する力が必要になります。

ただし、後述するように、未修者コースの司法試験合格率は既修者コースと比べて低い傾向にあります。そのため、未修者コースを受験する場合でも、入学前から法律の基礎学習を進めておくことが推奨されます。

3.法科大学院入試の難易度

法科大学院入試の難易度は、入試倍率だけでは測れません。ここでは、入試倍率や各法科大学院の特徴をもとに、法科大学院入試の難易度について解説します。

3-1. 入試倍率について

令和7年度の入試状況では、半数以上の法科大学院が入学者定員割れとなりましたが、入試倍率自体はほとんどの大学が2倍を超えています。34校中33校が競争倍率2倍以上となっており、法科大学院入試が決して「簡単な試験」ではないことがわかります。

さらに、令和3年度から5年連続で志願者数が増加し続けており、今後もさらに受験者が増加する可能性が考えられるでしょう。

過去5年間の推移を見ると、令和7年度の競争倍率3.52倍は、令和3年度の2.24倍と比較して1.28ポイントも上昇しています。年平均で約0.32ポイントずつ上昇している計算になり、この上昇ペースが続けば、令和8年度には3.8倍を超える可能性もあります。

この上昇傾向は、法曹コースの導入と在学中受験制度の認知度向上により、法科大学院ルートの魅力が高まっていることを示しています。特に、既修コースの在学中受験者の司法試験合格率が61.3%という高水準を維持していることが、受験生の法科大学院志向を強めているといえるでしょう。

そのため、どの法科大学院を受験する場合であっても、入試の難易度が易しいとは言えません。今後は、受験生の増加により難易度が上がる可能性もあります。

3-2. 倍率だけでは測れない「本当の難易度」

法科大学院入試の難易度を正確に把握するには、倍率以外の要素も考慮する必要があります。ここでは、3つの視点から「本当の難易度」を見極める方法をご紹介します。

①司法試験合格実績との相関

司法試験で高い合格実績を誇る法科大学院は、倍率が中位であっても、実質的な入試難易度は高いといえます。

たとえば、東京大学(競争倍率3.38倍)、京都大学(同2.83倍)は、倍率だけを見ると全体の中では中位に位置しています。しかし、これらの法科大学院への入学者の多くは、大学入学後の早い段階から予備試験の学習を進めており、法律基本科目について高度な知識を持っています。

このような受験生と競うことになるため、実際の合格難易度は倍率の数字以上に高いのです。難関法科大学院では、「倍率は低めでも、受験者全体のレベルが高い」という構造になっていることを理解しておく必要があります。

②定員充足率の読み方

定員充足率が1.0を下回っている(定員割れしている)法科大学院であっても、「入りやすい」とは限りません。

令和7年度で定員充足率が1.0を下回る法科大学院は34校中22校ありますが、これは主に以下の理由によるものです。

併願受験が一般的
多くの受験生が複数の法科大学院を併願しており、上位校に合格した受験生は下位校に入学しません。そのため、合格者数に対して入学者数が少なくなり、定員割れが生じやすくなります。

特待生制度による選択的入学
学費全額免除や半額免除の特待生として合格した場合、経済的な理由から他の法科大学院を選択することもあります。

重要なのは、定員割れしている法科大学院でも、すべての大学で競争倍率が2倍以上となっているという事実です。つまり、受験者の半数以上は不合格になっているのです。

③倍率の上昇トレンド

過去5年間の倍率推移を見ると、一貫した上昇傾向が続いています。

年度 競争倍率 前年比
令和3年度 2.24倍
令和4年度 2.55倍 +0.31
令和5年度 2.79倍 +0.24
令和6年度 3.06倍 +0.27
令和7年度 3.52倍 +0.46


この上昇トレンドは、今後も継続する可能性が高いと考えられます。法曹コース設置大学の増加、在学中受験制度のさらなる浸透により、法科大学院ルートを選択する受験生は増え続けるでしょう。

法科大学院によって受験生のレベルも変わるため、倍率の高さが難易度と比例するわけではありません。法科大学院入試の難易度を判断するには、倍率だけでなく、受験する法科大学院入試の特徴も考慮する必要があるでしょう。

3-3. 入試難易度の高い法科大学院の特徴

入試の競争倍率が他の法科大学院と比較して高くなっていなくても、司法試験で高い合格実績を誇る法科大学院は、入試難易度が高いと言ってよいでしょう。

たとえば、東京大学、京都大学、慶應義塾大学を見てみましょう。令和7年度入試における競争倍率は、東京大学が3.38倍、京都大学が2.83倍、慶應義塾大学が4.15倍となっており、倍率だけを見ると法科大学院の中でも中位から上位に位置しています。

しかし、これらの法科大学院は司法試験の合格実績も豊富なことから、受験生のレベルが高いです。そのため、倍率は中位であっても、入試難易度は最上位と言えるでしょう。

実際、これらの法科大学院に進学する受験生の多くは、大学入学後の早い段階から予備試験の学習を進めており、法律基本科目について高度な知識を持っています。そのような受験生と競うことになるため、倍率の数字以上に難易度が高いといえます。

さらに、一橋大学、神戸大学、早稲田大学、中央大学なども、司法試験合格実績が高く、入試難易度は高いといえます。これらの大学を目指す場合、予備試験の短答試験に合格できるレベルの基礎学力を身につけておくことが望ましいでしょう。

4.法科大学院入試の試験対策

ここでは、法科大学院入試の試験対策について、具体的なステップを踏まえて解説します。

4-1. できるだけ早いタイミングで法律基本科目の学習を始める

法科大学院入試に臨むに当たっては、法律基本科目の学習は欠かせません。これは、未修者コースの受験生にも当てはまります。

法科大学院に入学する目的は、司法試験に合格することです。司法試験に合格するには、法科大学院に入学する前の段階で、法律基本科目の学習をひと通り終えていることが重要です。

では、どのようにして法律基本科目の学習を進めればよいのでしょうか。

もっとも効率的かつ網羅的に法律基本科目を学ぶ方法は、予備試験の学習です。

大学入学後にいきなり司法試験や法科大学院入試は受験することができないため、大学生がまず受験できるのは予備試験となります。したがって、大学入学後のできるだけ早いタイミングで、予備試験の学習を始めることが、法科大学院入試の試験対策としても非常に有効です。

4-2. 予備試験の学習が法科大学院入試に有効な理由

予備試験の学習のゴールは、予備試験に合格することではありません。司法試験に合格することです。

したがって、予備試験の学習は、予備試験ルートで司法試験合格を目指している人だけでなく、法科大学院ルートを選択した人にとっても、必須の学習であると言ってよいのです。

早期に予備試験の学習を始めるメリットは以下のとおりです。

メリット1:学部試験の成績が上がり、高いGPAを獲得できる

メリット2:特別な法科大学院入試対策をしなくても、好成績での合格が期待できる

メリット3:特待生として合格できる可能性もある

メリット4:司法試験合格率の高い難関法科大学院への合格が期待できる

メリット5:法科大学院入学後、すでに予備試験の学習を進めてきた周囲との学力差に苦しまずに済む

メリット6:司法試験に合格する可能性が高くなる

4-3. 司法試験の学習は法科大学院に入学してからでは遅い

「本格的な司法試験の学習は、法科大学院に入学してから始めればよい。」と考えている人は意外と多いのではないでしょうか。

しかし実際には、法科大学院に入学してから本格的に司法試験の学習を始めるのでは「遅い」といってよいでしょう。

例えば、2024年度司法試験における法科大学院在学中受験者の合格率を見てみると、既修コースの61.3%に対し、未修コースは29.4%と大きく差が開きました。

この合格率の差を見れば、「法科大学院に入学してから司法試験の学習を始めるのでは遅い」といわれる理由がお分かりになるかと思います。

5.よくある質問(FAQ)

法科大学院入試についてよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 法学部以外の出身でも法科大学院に合格できますか?

A. はい、合格できます。未修者コースは、法律知識がない人でも受験できる制度として設計されています。実際、他学部出身者や社会人経験者も多数合格しています。

ただし、司法試験合格を最終目標とするならば、法学部出身かどうかに関わらず、大学入学後のできるだけ早い時期から予備試験の学習を始めることを強くおすすめします。

Q. 予備試験と法科大学院、どちらのルートが有利ですか?

A.どちらか一方を選ぶのではなく、両方を視野に入れた学習が最も合理的です。

予備試験ルートのメリット

  • 合格すれば法科大学院が不要(時間・学費の節約)
  • 予備試験合格者の司法試験合格率は約95%と極めて高い
  • 最短ルートで司法試験に挑戦できる

法科大学院ルートのメリット

  • 在学中受験で複数回のチャンスがある
  • 既修コースの合格率61.3%と高水準
  • 充実した学習環境と仲間との情報共有

最適解:予備試験学習→法科大学院入試も併願

Q. 働きながら法科大学院を目指せますか?

A.はい、可能です。未修者コースの社会人特別選抜を活用することができます。

社会人向け入試の特徴

  • 筆記試験なし(書類審査+面接のみ)の大学が多い
  • 通常3年以上の実務経験が求められる
  • 夜間開講・土曜開講の法科大学院も存在する

仕事を続けながら予備試験の学習を開始し、ある程度学習が進んだ段階で法科大学院受験を検討するのがよいでしょう。入学前にある程度の法律知識を獲得しておくことが、社会人が法科大学院で成功する鍵となります。

Q. GPAはどの程度重要ですか?

A.GPAの重要度は、受験する選抜方式によって異なります。

5年一貫型選抜(法曹コース)の場合

GPAは極めて重要です。法曹コースの成績が主要な選抜基準となるため、上位校を目指すならGPA 3.5以上が目安となります。

予備試験の学習を進めていれば、学部の授業内容が復習になり、自然とGPAが上がります。実際、法曹コースで高いGPAを維持している学生の多くは、予備試験の学習を並行して進めています。

一般選抜の場合

法律論文試験の得点が最も重要であり、GPAは補助的な評価材料にとどまります。ただし、奨学金や特待生の選考では、GPAが重視されることもあります。

Q. 法科大学院入試の勉強は独学で可能ですか?

A.理論的には可能ですが、予備校を利用する方が圧倒的に効率的です。

独学の課題

  • 法律科目の体系的理解が困難
  • 論文の書き方について客観的な添削指導が受けられない
  • 学習のペースメーカーがなく、モチベーション維持が難しい
  • 最新の試験情報や合格ノウハウの入手に遅れが生じる

受験指導校を利用するメリット

  • 司法試験を知り尽くした経験豊富な講師陣による指導
  • 論文添削による個別フィードバック
  • 最新の試験情報と蓄積された合格ノウハウ
  • 同じ目標を持つ仲間との切磋琢磨

独学で合格する人もいますが、時間と労力を考えると、受験指導校を利用して効率的に学習する方が賢明でしょう。

6.法科大学院(ロースクール)入試についてまとめ

法科大学院入試の難易度は、倍率だけでは判断できません。受験する法科大学院を決める際には、倍率だけでなく、司法試験の合格実績なども考慮することが大切です。

令和7年度の入試では、志願者数が15,271名と過去最高を記録し、競争倍率も3.52倍に上昇しました。令和3年度の2.24倍と比較すると、わずか4年で1.28ポイントも上昇しており、この傾向は今後も続くことが予想されます。そのため、早めの対策が必要になるでしょう。

どの法科大学院を受験する場合であっても、法律基本科目の学習は必要です。法律基本科目をマスターするために有効な方法は、予備試験の学習です。

法科大学院への進学の目的は司法試験合格です。そのため、予備試験の学習は、法科大学院への入試対策はもちろん、司法試験合格に直結する非常に重要な学習であることは間違いありません。

もし司法試験合格を目指しているのなら、予備試験ルート、法科大学院ルート問わず、大学入学後のできるだけ早いタイミングで予備試験の学習を始めることが大切です。

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※1(講座内訳:入門講座698名、講座・答練337名、模試401名)
※2(講座内訳:入門講座231名、講座・答練126名、模試48名)

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著者:伊藤塾 司法試験科

伊藤塾司法試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法試験や法曹に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。