講師が解説!2025年行政書士試験の解答速報と合格発表までの過ごし方
試験詳細
2025年11月27日
2025年度(令和7年度)行政書士試験、本当にお疲れさまでした。
受験された皆様は、自己採点の結果を見て、さまざまな思いを抱えていらっしゃることと思います。
伊藤塾が集計したデータを見る限り、2025年度(令和7年度)の行政書士試験は、
「択一式で得点を稼いで、記述式は耐える年だった」
といってよいでしょう。
択一式の平均点は例年より高く、一方で記述式は過去最高レベルの難しさでした。
「記述式が全然書けなかった…」
「択一式がボーダーラインで悶々としている…」
などの不安な気持ちで過ごされている方も多いと思います。
ただ、立ち止まってばかりもいられません。再チャレンジするなら、できるだけ早く勉強を再開するべきですし、ボーダーラインの人も一旦気持ちを整理して、合格発表までの過ごし方を考えることが必要です。
そこで本記事では、2025年度(令和7年度)行政書士試験の解答速報と、伊藤塾講師陣の総力を挙げた分析をお届けします。さらに、合格発表までの過ごし方や来年の合格に向けた具体的なステップも解説します。
今年の試験から見えてくる傾向と対策を、ぜひ今後の指針として役立ててください。
【目次】
1. 2025年度(令和7年度)行政書士試験の解答速報
2025年(令和7年)行政書士試験の解答速報は、以下よりPDFでご確認いただけます。
まずは、ご自身の解答と照らし合わせて自己採点を行ってみてください。
ここからは、2025年11月13日までに集計した伊藤塾のデータに基づき、今年の行政書士試験の全体的な傾向と総評をみていきます。
1−1. 択一式の平均点は例年よりかなり高め(暫定値)
択一式については、おそらく「解きやすい!」と感じた人が多かったのではないかと思います。速報データを見る限り、平均点も例年よりかなり高めの傾向です。
■択一式平均点等統計データ(暫定)
| 2025年 | 2024年 | 2023年 | |
| 全体 | 157.7/240点 | 143.9/240点 | 146.9/240点 |
| 法令等択一式 | 99.0/160点 | 104.9/160点 | 108.4/160点 |
| 基礎知識 | 42.3/56点 | 39.1/56点 | 38.5/56点 |
| 多肢選択式 | 16.4/24点 | 11.4/24点 | 15.9/24点 |
(出典:伊藤塾|2025年度 本試験分析会1日目)
参考までにお伝えすると、2011年以降の行政書士試験で最も択一式の平均点が高かったのは158.4点(2017年)でした。今年の平均点である157.7点は、それに迫る高さです。
そのため、今年の試験については「択一式でいかに得点を稼げたかが、合否に直結する可能性が高い」と考えられます。
1−2. 記述式は難化!解きにくい…と感じた人が多かったはず
択一式とは対照的に、記述式は「解きにくい!」と感じた人が多かったはずです。全体的に書きにくい問題が多く、ここ数年でもかなり難しかったと考えてよいでしょう。
以下、行政法と民法に分けて、それぞれの問題を具体的にみていきます。
1−2−1. 行政法の記述式は難易度B+?
行政法の記述式は、4年連続「行政事件訴訟法」からの出題でした。
被告適格も4年連続ですので、少なくとも「被告が誰なのか」は正答したかった問題です。
以下は、今年の記述式で部分点がつく可能性が高いキーワードと、キーワードごとの正答率をまとめたものです。
(※当日の速報値を元にしたデータなので、あくまでも参考としてご活用ください)
行政法の記述式は、4年連続「行政事件訴訟法」からの出題でした。
被告適格も4年連続ですので、少なくとも「被告が誰なのか」は正答したかった問題です。
以下は、今年の記述式で部分点がつく可能性が高いキーワードと、キーワードごとの正答率をまとめたものです。
(※当日の速報値を元にしたデータなので、あくまでも参考としてご活用ください)
| キーワード | 正答率 |
| ①裁決固有の手続き上の瑕疵を理由に | 14% |
| ②Y市を被告として | 88% |
| ③裁決の取消訴訟を提起すべきである | 53% |
(出典:伊藤塾|2025年度 本試験分析会1日目)
正答率を見ると、「②Y市を被告として」は多くの方(88%)が書けていますが、「①裁決固有の瑕疵」は14%と非常に低かったです。そのため、「③裁決の取消訴訟」と「②Y市が被告」という2つのキーワードを書いて、部分点を狙っていくというのが現実的な対応だったと考えられます。
なお、伊藤塾の藤田講師によれば、「難易度B+(できれば取っておきたいが、2択まで絞れていればOK)」というのが現場で解いた肌感覚だそうです。(※公式見解ではありません)
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1−2−2. 民法の記述式は過去最高レベルの難しさ
民法の記述式は、過去最高レベルの難しさでした。
以下は、問題45、問題46それぞれについて、完答者の割合と、部分点が付く可能性が高いキーワード、キーワードごとの正答率(暫定値)をまとめたものです。
(※当日の速報値を元にしたデータなので、あくまでも参考値としてご活用ください。)
【問題45】
完答者:2.5%
キーワード
①「夫婦の日常家事の範囲内」(38.3%)
②「信じるにつき正答な理由」(26.7%)
【問題46】
完答者:4.2%
キーワード
①「事務管理」(85.8%)
②「有益な費用」(5.0%)
(出典:伊藤塾|2025年度 本試験分析会2日目)
どちらの問題も、完答者の割合は数%という結果でした。ちなみに例年の場合、記述式の完答者は20〜30%となるケースが多く見られます。
おそらく、行政法以上に「難しい!」と感じた人が多かったはずです。
2. 講師が徹底分析!2025年度(令和7年度)行政書士試験の講評
ここからは、2025年度(令和7年度)行政書士試験のポイントを、伊藤塾講師陣が総力を挙げて徹底解析した講評動画を紹介します。
2−1. 総評、基礎知識、多肢選択式、行政法(記述式を含む)
まずは、試験全体の総評、基礎知識、多肢選択式、行政法(記述式を含む)の内容を、志水講師・坂本講師の解説でお届けします。
2−2. 基礎法学、憲法、商法、民法(記述式を含む)
次に、基礎法学、憲法、商法、民法(記述式を含む)について、井内講師・髙橋講師・平林講師の解説でお届けします。
3. 【択一式の結果別】合格発表までの過ごし方おすすめプラン
試験が終わってから合格発表までの約2ヶ月間、どのように過ごすべきか悩んでいる方も多いと思います。
そこで、択一式の得点状況に応じて、合格発表までの過ごし方を紹介したフローチャートを用意しました。それぞれの質問に回答すると、自分にあった過ごし方が分かります。

3−1. 択一式の点数が150点未満だった人(合格の可能性が低い人)
「択一式で思うように得点できなかった…記述式も書けなかった…」
このように、今年の合格は厳しいと感じている方も、まずはご自身を労ってあげてください。結果はついてこなかったとしても、1年間勉強を続けてきたのは本当にすごいことです。
その上で、今後の動き方を考える前に、まず「来年も行政書士試験を受けるのか」を、今一度ご自身に問いかけてみてください。
行政書士試験は、紛れもなく難関試験の一つです。
「今年、30点足りなかったから、来年は30点分の勉強をすれば合格できる」
このように考えている人もいますが、残念ながらこれは違います。
厳しいようですが、いくら頑張っても今年と同じやり方で勉強すれば、同じ結果にしかなりません。
来年合格するためには、
● なんとかして勉強時間を大幅に増やす
● 勉強のやり方を根本的に改める
など、大きな変化を起こす決意が必要です。
その決意があるのかを今一度ご自身で振り返って、もし本気で「来年は絶対に受かりたい!」と思うなら、4章に進んでください。
3−2. 択一式の点数が150点〜170点だった人
択一式の点数が150点〜170点という方は、いわゆるボーダーラインにいる状態です。
特に、今年は記述式が難しかったので、不安な気持ちで過ごされている方が多いのではないかと思います。
「一旦、忘れてリフレッシュする!」と決めるのも一つの方法ですが、おそらくほとんどの人は「何もしない」と決めても、試験のことが頭から離れないはずです。
「もし落ちたらどうしよう…」
「来年に向けて、少しでも勉強しておいた方が…」
常にこんなことを考えていては、いくら勉強から離れてもリフレッシュなどできません。そこで、今このタイミングでこそオススメしたいのが、以下2つの分野を集中的にやり込むことです。
・会社法
・民法のうち家族法(相続・親族)
試験対策では手薄になりがちな分野ですが、行政書士の実務では必ず必要になります。
合格後も役立ちますし、もし令和8年試験を受けることになっても、大きなアドバンテージになります。何より、単純に勉強の楽しさを感じられるはずです。
伊藤塾では、こういった方々に向けて、「会社法集中講義」「家族法(親族・相続)集中講義」という2つの講義を用意しています。
今まさにボーダーラインにいて何も手につかない…という方はぜひ受講を考えてみてください。
3−3. 択一式の点数が170点を超えていた人
択一式の点数だけで170点を超えている場合、合格している可能性が十分にあります。
このゾーンにいる方々は、「合格発表まで何もしない!」と決めて、しばらく好きなことをして過ごすのもよいでしょう。
まずはこれまで頑張ってきたご自身をねぎらってあげてください。
ただ、合格発表まで悶々とする日々が続く人も多いと思いますし、せっかく身についた勉強習慣をなくすのも、もったいないです。
そこで、合格発表後どうしたいのかによって、以下2つの選択肢を考えてみましょう。
3-3-1. すぐに登録しないなら、他資格へのステップアップ
すぐに行政書士として登録するつもりがない方は、ぜひ他資格へのステップアップを考えてみてください。たとえば、司法書士、社労士などは行政書士の仕事と相性が良いので、将来的に必ず役立つはずです。
特に司法書士は、行政書士試験と民法、会社法(商法)などの科目が重複しているので、大きなアドバンテージをもってスタートできます。
人によっては11月、12月から勉強して、翌年合格する人もいますが、基本的には翌々年(2027年)の合格を目指すことになります。
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3-3-2. 開業を考えているなら、開業準備一択
「合格できたら行政書士として開業する!」
こう考えているなら、開業準備一択です。
択一式の得点だけで180点を超えており、合格がほぼ確定しているなら、事業計画の作成、事務所選びなどの準備を進めていきましょう。
「合格の可能性は高いけど、記述式に自信がない…」という方は、本格的な準備ではなく、実務の勉強をするのがおすすめです。
伊藤塾では各ジャンルの第一線で活躍している実務家を招いて、「明日の行政書士講座」を無料で配信しています。こういった動画を見て、実務のイメージを掴みつつ、開業してどんな分野を扱うのか考えてみてください。
なお、さらに詳しく行政書士実務の体系的な知識・技術を身につけたい方に向けて、「行政書士実務講座」も用意しています。
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4. 2026年度(令和8年度)行政書士試験の合格に向けた3つのステップ
「来年こそは絶対に合格する!」
その覚悟が決まった方に向けて、ここからは2026年度(令和8年度)行政書士試験に向けて、必要な3つのステップをご紹介します。
4−1. ステップ①:まずは今年の点数を結果として受け入れる
まず、今年の試験結果をありのまま受け入れましょう。
「2択まで絞ったのが全部はずれた。運が悪かったんだ…」
「あそこでケアレスミスさえしなければ、受かったはずだ…」
本気で頑張ってきた人ほど、このような気持ちが込み上げてきて、結果を受け入れるのが難しいかもしれません。
ただ、それも含めて、あなたがこの1年間勉強してきた「結果」です。
色々な事情はあったにせよ、本気で来年受かりたいと思うのであれば、 「今年の結果が、現時点での自分の実力なんだ。」と受け入れて改善するしかありません。
きつい作業ですが、来年の再挑戦で確実に合格を手にするためには避けて通れない作業です。
4−2. ステップ②:不合格になった原因を分析する
結果を受け入れたら、不合格になった原因を徹底的に分析することが必要です。
「どうして合格できなかったのか」を知るために、まず今年の試験がどんな試験だったのかを見ていきます。
以下の表は、2023年〜2025年の各年度の択一式試験で「各難易度の問題が何点分出題されたか」をまとめたものです。
【択一式ランク別得点データ】
| 難易度 | 2025年 | 2024年 | 2023年 |
| Aランク | 128点 | 100点 | 108点 |
| Bランク | 64点 | 80点 | 72点 |
| (A+Bに正解した ときの合計点) |
(192点) | (180点) | (180点) |
| Cランク | 48点 | 60点 | 60点 |
(出典:伊藤塾|2025年度 本試験分析会1日目)
Aランク:条文や基本判例を中心とした基本知識に関する問題。必ず正解すべき問題。
Bランク:比較的細かい条文や判例の知識に関する応用的な問題。半分以上は正解したい問題。
Cランク:一定の知識があっても解答が困難な問題。
2025年度の試験は難しかったと感じた人もいるかもしれませんが、2025年度の本試験では、「Aランクの問題」だけで128点分、「Aランク+Bランク問題」の合計点は192点分ありました。つまり、基本的な問題を取りこぼさないだけで、合格点(180点)を超える点数、あるいはそれに近い点数が取れていたはずなのです。
その中で、択一式の点数が明らかに届かなかったというのは、やはり「何か」が決定的に足りていなかった、ということです。
ご自身が間違ったAランク・Bランクの問題をすべてピックアップして、以下の2点を考えてみてください。
・どの問題に正解できていたら合格できていたのか
・なぜその問題を間違ってしまったのか
なお、原因分析に使える「自己分析シート」も用意しましたので、ぜひご活用ください。
4−3. 来年に向けた学習戦略を構築する
原因分析ができたら、それを改善するための、来年に向けた学習戦略を構築します。
不合格となった原因を正しく分析できていれば、おそらく以下のいずれかに集約されるはずです。
・知識が不足していた(そもそも知らない問題が多かった)
・知識の整理ができていなかった(知っているのに、正解できなかった)
・当てはめができなかった(事例問題などで、結論が導けなかった)
これらの原因に応じて、来年の学習戦略が変わってきます。
たとえば、「知識不足」が原因なら基礎からやり直す必要がありますし、「当てはめ」が原因なら、問題を解くときの思考過程を根本から見直す必要があります。
「自分1人では原因がよく分からない」、あるいは「原因は分かっているけど、どう対処していいか分からない」という方は、ぜひ一度プロのアドバイスを受けることを考えてみてください。
伊藤塾では、ご自身の本試験結果を元に、これからの方向性を講師やクラスマネージャ―、実務家に相談できる無料のカウンセリングを実施しています。
本試験を受けて生じた悩みや疑問を解消できる貴重な機会ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
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5. 2025年行政書士試験の解答速報(講評)と受験生へのアドバイス
本記事では、2025年度(令和7年度)行政書士試験の解答速報と伊藤塾講師による講評、そして合格発表を待つ受験生がどのように過ごしたらよいのかを択一式試験の点数別に解説しました。
以下にポイントをまとめます。
- 2025年度(令和7年度)行政書士試験は、「択一式で得点を稼いで、記述式は耐える年だった」と総評されています。
- 択一式の平均点は例年よりかなり高く(暫定値157.7/240点)、択一式でいかに得点を稼げたかが合否に直結する可能性が高いと考えられます。
- 記述式は全体的に難化し、ここ数年でもかなり難しかったとされています。特に民法の記述式は過去最高レベルの難しさであり、問題45、問題46ともに完答者は数%(2.5%、4.2%)という結果でした。
- 行政法の記述式(行政事件訴訟法)では、「Y市を被告として」は高い正答率(88%)であったものの、「裁決固有の手続き上の瑕疵」の正答率は非常に低く(14%)、部分点を狙う対応が現実的でした。
- 択一式の得点状況に応じた合格発表までの過ごし方(推奨プラン)
◦ 択一式が150点〜170点のボーダーラインの方は、試験対策では手薄になりがちな会社法や民法のうち家族法(相続・親族)を集中的に学習するとよいでしょう。
◦ 択一式が170点を超えている方は、他資格へのステップアップ(司法書士、社労士など)や、行政書士としての開業準備をするとよいでしょう。 - 2026年度(令和8年度)の合格を目指す場合、まず今年の点数を現時点での自分の実力としてありのまま受け入れ、不合格の原因(知識不足、知識の整理不足、当てはめができないなど)を徹底的に分析する必要があります。
- 2025年度の試験では、Aランク(必ず正解すべき基本問題)とBランク(応用的な問題)の問題だけで合計192点分が出題されており、基本的な問題を取りこぼさないことが合格点到達の鍵です。
来年こそ絶対に合格するという強い決意をお持ちの方、また、現在の実力を正確に把握し、最適な学習戦略を構築したい方は、ぜひ伊藤塾のサポートをご活用ください。
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また、合格ボーダーラインの方向けに、会社法や家族法の講座(「会社法集中講義」「家族法(親族・相続)集中講義」)、合格が手中にあり、実務への準備を考えている方向けに行政書士実務に関する専門的な講座(行政書士実務講座)、合格後は司法書士へのステップアップを検討している方には「司法書士 入門講座」も用意しておりますので、ぜひご活用ください。
伊藤塾の「行政書士 合格講座」は、合格はもちろんのこと、実務家となった際の活躍までをも考えた講義が特徴です。
伊藤塾は、あなたの再挑戦を力強くサポートさせていただきます。