社労士は意味ない・仕事がない?【2025年決定版】25,408人調査で判明した開業・勤務の実態

基本情報

2025年10月06日

社労士(社会保険労務士)について調べると、Yahoo!知恵袋や各種掲示板で「意味ない」「仕事がない」「食えない」といったネガティブな意見を目にすることがあります。合格率わずか6.9%(令和6年度)の超難関資格にも関わらず、なぜこのような厳しい意見があるのでしょうか。

結論を先にお伝えします。これは調査データを見ると、異なる実態が浮かび上がります。2024年11月に発表された全国社会保険労務士会連合会の大規模実態調査(回答者25,408人)と官公庁の最新データによると、社労士は収益性と需要拡大の傾向が確認される資格であると言えるでしょう。

開業社労士の収益実態

・平均年間売上:1,658万円
・年収1,000万円以上:全体の3割強
・顧問契約による安定収入:売上の71.9%
・1事務所あたり平均顧問契約:33.2社


勤務社労士の活躍実態

・大企業中心に活躍:53%が従業員100人以上の企業(25%が従業員1000人以上の企業)
・管理職率:55.5%(役員7.2%、部長12.8%、課長19.3%、係長16.2%)
・実務従事率:65.7%が実際に社労士関連業務に従事
・平均従事年数:11.3年の安定就業

この記事では、これらのデータを基に、なぜ社労士が「意味のある収益性と需要拡大の傾向が確認される資格」なのか、開業社労士・勤務社労士それぞれの魅力を詳しく解説します。

1.「社労士は意味ない・仕事がない」という5つの懸念

1-1.懸念①「求人が少ない」→ 多様な業界での活躍実績

勤務社労士の活躍分野
社労士事務所・法人 25.7%
製造業 10.7%
金融・保険・不動産業 9.6%
サービス業 9.4%
公務 6.9%
医療・介護・福祉 6.2%
その他15業種 31.5%

出典:2024年度社労士実態調査

この多様性は、社労士が「社労士事務所だけの資格」ではなく、あらゆる業界で必要とされる汎用性の高い専門資格であることを示しています。

1-2.懸念②「競争激化で食えない」→ 336万社の潜在的市場

潜在市場

・全国の中小企業数:336万社(2021年6月時点)
・社労士の顧問契約総数:46.2万社
・未開拓市場:約290万社(86.2%)

出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数」

社労士1人あたり平均33.2社の顧問契約に対し、潜在顧客は336万社。これは1社労士あたり約72社の潜在顧客が存在することを意味し、市場には相当な規模の潜在的需要があることが伺えます。

1-3.懸念③「AI代替で仕事がなくなる」→71.5%が相談業務需要増と回答

過去5年間の業務別需要変化

業務分野 需要が「増えた」 需要が「減った」
労働・社会保険相談業務 71.5% 19.2%
各種規程作成・改定 66.2% 23.9%
コンサル業務 57.7% 29.8%
手続業務 59.1% 32.0%
給与計算業務 50.1% 36.2%

出典:2024年度社労士実態調査

全ての業務分野で需要増加が需要減少を上回っています。特に、AIでは代替困難な相談業務・コンサル業務で70%前後の需要増加を記録。これは社労士業務が単純作業から高付加価値サービスに進化していることを示しています。

1-4.懸念④「資格だけでは意味がない」→ 20-30代で41.7%が賃金メリットを実感

【実態調査データ】年代別資格取得メリット

年代・役職 賃金面
メリット
キャリア形成
メリット
転職
メリット
20-29歳 41.7% 29.2% 33.3%
30-39歳 34.2% 26.6% 31.6%
役員クラス 24.3% 38.9% 15.0%
部長クラス 25.6% 38.6% 19.7%
課長クラス 24.5% 39.0% 23.0%

出典:2024年度社労士実態調査 

このデータは、年代に関係なく社労士資格に確実なメリットがあることを証明しています。若年層では賃金面・転職でのメリットが高く、管理職層ではキャリア形成に大きく貢献していることがわかります。

1-5.懸念⑤「食えない資格」→民間給与平均を上回る収益実績

社労士の収益優位性

・民間給与平均年収:460万円国税庁 令和5年分調査
・開業社労士平均売上:1,658万円(経費差引後でも1,000万円レベル)
・勤務社労士の管理職率:55.5%(一般的な管理職年収800-1,200万円)

社労士は民間平均を上回る収益を実現できる資格です。

2.【開業社労士の実態】「仕事がない」という懸念に対する収益データ

2-1.開業社労士は平均売上1,658万円である

年間売上分布
年間売上 平均値 1,658万円
500万円未満の割合 36.5%
500万円~1,000万円の割合 約35%
1,000万円以上の割合 30%強
1億円以上の割合 2.0%

出典:2024年度社労士実態調査

このデータの注目点は、年収1,000万円以上が3割強存在することです。また年収が1億円以上を超えている人も2%(推定約550人)います。これは開業社労士の成功可能性の高さを示しており、適切な戦略があれば高収益を実現できる可能性は十分にございます。

収入安定性の要因

・顧問契約:売上の71.9%(継続収入)
・スポット契約:売上の28.1%(単発収入)
・1事務所あたり平均顧問契約:33.2社
・全国の顧問契約総数:46.2万社
出典:2024年度社労士実態調査

平均33.2社の顧問契約により、売上の7割が継続収入として確保されています。これは一般的なサラリーマンよりもはるかに安定した収入構造を持っていることを意味します。

2-2.開業社労士の年代別パターン

30歳開業モデル:5年で600万円→2,800万円の驚異的成長

期間 年齢 従業員数 年間売上 顧問契約数
開業5年未満 30-34歳 1.0人 600万円 12.5社
開業5-9年 35-39歳 4.0人 2,800万円 50社
開業10-14年 40-44歳 4.0人 2,700万円 54社


40歳開業モデル:安定的に1,800万円達成

期間 年齢 従業員数 年間売上 顧問契約数
開業5年未満 40-44歳 1.0人 700万円 12社
開業5-9年 45-49歳 3.0人 1,800万円 35社
開業10-14年 50-54歳 3.0人 1,898万円 42社


50歳開業モデル:定年後も1,200万円のセカンドキャリア

期間 年齢 従業員数 年間売上 顧問契約数
開業5年未満 50-54歳 1.0人 500万円 9社
開業5-9年 55-59歳 1.0人 1,000万円 20社
開業10-14年 60-64歳 2.0人 1,200万円 28社

出典:2024年度社労士実態調査

どの年代で開業しても継続的な成長が期待でき、特に若年開業では短期間で劇的な売上拡大が望める。これは「社労士では食えない」という噂が完全に間違いであることが言えるでしょう。

2-3.「手続だけ」から「総合コンサル」へ業務内容は進化している

受託業務の内訳と需要トレンド

業務分野 平均割合 需要増加率 将来性評価
手続業務 41.5% 59.1% 安定継続
相談業務 14.3% 71.5% 急拡大
規程作成 10.4% 66.2% 急拡大
コンサル業務 7.3% 57.7% 高付加価値
給与計算 14.2% 50.1% 安定継続
助成金業務 4.8% 42.1% 専門特化

出典:2024年度社労士実態調査 

従来の手続業務(41.5%)は安定した収益基盤を提供しつつ、相談業務(71.5%増)、規程作成(66.2%増)、コンサル業務(57.7%増)という高付加価値分野で急激な需要拡大が発生。これは社労士が「AIに代替される単純作業者」から「企業の戦略的パートナー」へと進化していることを示しています。

2-4.56.4%が1人事務所で経営し高収益を実現している

事務所規模分布
1人 56.4%
2人 11.1%
3人 6.3%
4~6人 8.8%
7人以上 6.4%


1人事務所の収益効率

  • 平均売上1,658万円 ÷ 平均従業員2.7人 = 1人あたり売上614万円
  • 1人事務所でも平均33.2社の顧問契約を維持
  • 経費率30-40%と仮定すると、実質年収1,000万円レベル

出典:2024年度社労士実態調査

大規模組織である必要がなく、1人でも十分な収益を上げられることが証明されています。これは開業のハードルが低く、個人の能力と努力次第で高収益を実現できることを意味します。

3.【勤務社労士の実態】「意味ない資格」という懸念を覆す企業内での活躍

3-1.勤務社労士の55.5%が係長・主任クラスの役職

役職分布
役員クラス 7.2%
部長クラス 12.8%
課長クラス 19.3%
係長・主任クラス 16.2%
役職なし 42.9%
無回答 1.6%

勤務先規模分布
9人以下 18.7%
10~29人 13.6%
30~49人 6.3%
50~99人 7.6%
100~299人 13.7%
300~999人 15.0%
1000~4999人 13.1%
5000人以上 11.7%
無回答 0.2%

出典:2024年度社労士実態調査

勤務社労士の55.5%が管理職に就いており、大企業勤務率も53%と非常に高い水準です。これは社労士資格が企業内で高く評価され、キャリア形成において一定の効果を持つ可能性を示すものと考えられます。

20-30代の圧倒的優位性

  • 賃金面でのメリット:20代41.7%、30代34.2%
  • 転職でのメリット:20代33.3%、30代31.6%
  • 若年層において資格取得のメリットを実感する傾向が見られる

管理職層での高評価

  • キャリア形成メリット:役員38.9%、部長38.6%、課長39.0%
  • 専門知識が経営判断に直結する立場で高く評価される

出典:2024年度社労士実態調査

3-2.平均11.3年の長期就業でき安定性がある

社労士業務への従事実態
実務従事率 65.7%
平均従事年数 11.3年
5~9年 24.1%
10~14年 19.2%
15~19年 13.2%
20年以上 18.7%

出典:2024年度社労士実態調査

勤務社労士の約7割が実際に社労士業務に従事し、平均11.3年という長期間にわたって安定的に就業しています。これは資格が「名ばかり」ではなく、実務で継続的に活用されていることを示しています。

4.よくある質問(FAQ)

Q.社労士は本当に稼げるの?具体的な年収は?

A.はい、社労士は開業しても会社勤務でも稼げます。

開業社労士の収益実態

  • 平均売上:1,658万円(25,408人調査)
  • 年収1,000万円以上:30%強が達成
  • 30歳開業の場合:5-9年で2,800万円達成例あり

勤務社労士の待遇

  • 管理職率:55.5%(一般管理職年収800-1,200万円)
  • 従業員100人以上の企業勤務率:53%(安定高収入)
  • 20‐30代は賃金・転職メリットを実感。40代以上はキャリア形成メリットを実感

民間平均との比較

  • 民間給与平均年収:460万円(国税庁調査)
  • 社労士はこれを大幅に上回る収益を実現

Q.未経験から社労士になれる?必要な準備は?

A.可能です。社労士実態調査でも確認されています。

勤務社労士の実績

  • 65.7%が実際に社労士業務に従事
  • 20-30代では転職メリットを31-33%が実感

Q.AIで仕事がなくならない?将来性は?

A.むしろ需要は急拡大中です。

需要増加の証拠(過去5年間)

  • 相談業務:71.5%が需要増加を実感
  • 規程作成:66.2%が需要増加を実感
  • コンサル業務:57.7%が需要増加を実感

AI代替困難な理由

  • 企業ごとの個別事情への対応
  • 法改正への継続的対応
  • 人間関係を基盤とした信頼構築
  • 経営判断に関わる高度な判断

市場環境の追い風

  • 中小企業336万社の巨大市場
  • 労働相談年間121万件の継続需要
  • 働き方の多様化による新たなニーズ創出

Q.開業社労士と勤務社労士どちらがおすすめ?

A.個人の志向と適性によります。どちらも高い成功率を示しています。

開業社労士を推奨するケース

  • 年収1,000万円以上を目指す
  • 働く時間・場所の自由度を重視
  • 営業・顧客開拓に自信がある
  • 経営リスクを受け入れられる

勤務社労士を推奨するケース

  • 安定収入を重視(月収50-100万円レベル)
  • 組織の一員として貢献したい
  • ワークライフバランスを重視
  • 専門性を深めることに興味がある

両方のメリット

  • 開業:平均売上1,658万円、78.4%が自由な働き方を実感
  • 勤務:55.5%が管理職、平均11.3年の安定就業

Q.社労士は何歳から始めても成功できる?

A.全年代で成功パターンが確認されています。

開業社労士の年代別モデル

  • 40歳開業:5-9年で1,800万円(安定成長)
  • 30歳開業:5-9年で2,800万円(最高成長率)
  • 50歳開業:5-9年で1,000万円(セカンドキャリア)

勤務社労士の年代別メリット

  • 20-30代:賃金・転職メリット最大
  • 40-50代:管理職昇進率最高(キャリア形成メリット39%)
  • 60代以降:専門性を活かした継続就業

5.社労士は意味ない・仕事がないに関するまとめ

25,408人の大規模調査から見えてきた4つの傾向をまとめると、

  1. 高収益性
    • 開業社労士平均売上:1,658万円
    • 年収1,000万円以上:30%強が達成
    • 勤務社労士管理職率:55.5%
  2. 市場拡大の見込み
    • 中小企業336万社の巨大潜在市場
    • 労働相談年間121万件の継続需要
    • 全業務分野で需要増加
  3. キャリアの多様性
    • 開業・勤務両方で成功パターン確立
    • 年代問わず成功可能性あり
    • 25業種での活躍機会
  4. 安定性と成長性の両立
    • 顧問契約による継続収入(売上の72%)
    • 平均11.3年の長期安定就業
    • 法的に保護された独占業務

以上のことから、社労士資格は「意味ない・仕事がない」という一般的な懸念とは異なる実態があることがみえてきました。

25,408人という史上最大規模の実態調査と複数の官公庁データが示すように、社労士は収益性・需要・将来性の各面において良好な傾向が確認される国家資格と考えられます。

「社労士は意味ない・仕事がない」という様々な意見がある中で、今回の調査データも含めた多角的な情報を参考に、ご自身のキャリア選択をご検討いただければと思います。

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伊藤塾 社労士試験科

著者:伊藤塾 社労士試験科

伊藤塾 社労士試験科が運営する当コラムでは、社会保険労務士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。