社労士試験の難易度を伊藤塾講師が徹底解説 合格率・難しさの本質から合格戦略まで

試験対策

「社労士試験は難しいと聞くけれど、何がどう難しいのか」
「会社員でも、実務経験なしでも、本当に合格できる試験なのか」

こうした疑問を持って受験を検討している方は多いでしょう。単に「合格率が低い」と聞いても、それだけでは試験の本質は見えてきません。社会保険労務士(以下、社労士)試験の難しさには、合格率という「結果の数字」ではなく、試験制度そのものの設計に理由があります。

本記事では、厚生労働省・社会保険労務士試験オフィシャルサイトの1次データをもとに、社労士試験の難易度を多角的に解説します。さらに、伊藤塾の各講師が動画で語った言葉を引用しながら、「難しさはあるが、合格できる試験」であることを具体的にお伝えします。

・ 社労士試験の合格率:5.5%(2025年度)
・ 過去10年平均6.3%の推移と背景
・ 難しさの本質:「17の基準点落ち構造」と「暗記が通用しない出題設計」
・ 社労士試験の偏差値・他資格との難易度比較
・ 合格に必要な勉強時間の目安:800〜1,000時間
・ 合格者の約7割は社会人(会社員約6割+公務員等)

【目次】

1. 難易度を理解する前に知っておきたい、社労士試験の基本

1-1. 社労士試験の概要:いつ・どこで・どんな形式で行われるか

社労士試験は、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に基づき、厚生労働大臣が毎年1回実施する国家資格試験です。試験の詳細は社会保険労務士試験オフィシャルサイト(全国社会保険労務士会連合会)が管理・公開しています。

項目内容
試験実施毎年1回
8月第4日曜日(例年)
試験会場全国19都市
(各地の大学・大ホール等)
出題形式全問マークシート方式
(記述なし)
試験構成午前:選択式(1時間20分)
午後:択一式(3時間30分)
試験科目数労働系6科目+
社会保険系4科目 合計10科目
受験費用15,000円

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト(試験の概要)
   厚生労働省「社会保険労務士制度」

伊藤塾 渡辺千明講師

選択式(午前)と択一式(午後)の丸1日型試験。択一式の試験時間は3時間30分と長丁場で、体力・集中力の面でも受験生の大きな壁になります。
出典:伊藤塾 Youtube「社労士資格ガイダンス~「社会保険労務士試験」について~

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1-2. 試験科目10科目の全体像

社労士試験は「労働法規」と「社会保険法規」という2本の柱からなる10科目で構成されています。試験は午前・午後の2部制で、出題形式は選択式と択一式という2つの形式で実施されます。まずは全体像を把握しましょう。(出典:社会保険労務士試験の概要|社会保険労務士試験オフィシャルサイト

【出題形式と問題数・配点】

時間帯形式問題数・配点特徴
午前
(80分)
選択式8問
(1問5点=計40点)
文章の空欄に適切な語
句を入れる穴埋め形式
午後
(210分)
択一式70問
(1問1点=計70点)
5謝の選択肢から1つを
選ぶ形式

【科目ごとの出題形式と問題数・配点】

分野科目名選択式択一式内容のポイント備考
労働関連
(6科目)
労働基準法および
労働安全衛生法
1問
(5点)
10問
(10点)
労働条件・安全
の基本ルール
 
労働者災害補償
保険法(労災法)
1問
(5点)
10問
(10点)
仕事中のケガ・
病気の補償
労働保険の保険料
の徴収等に関する
法律を含む※
雇用保険法1問
(5点)
10問
(10点)
失業給付・育児
休業給付など
労働保険の保険料
の徴収等に関する
法律を含む※
労務管理その他の
労働に関する一般
常識(労一)
1問
(5点)
10問
(10点)
労働白書・統計
データなど広範
な知識
 
社会保険
関連
(4科目)
社会保険に関する
一般常識(社一)
1問
(5点)
年金・医療保険
制度の全体知識
択一式は
なし
健康保険法1問
(5点)
10問
(10点)
会社員の医療保
険制度
 
厚生年金保険法1問
(5点)
10問
(10点)
会社員の年金
制度
 
国民年金法1問
(5点)
10問
(10点)
全国民共通の
年金制度の基礎
 
合 計8問
(40点)
70問
(70点)
総合計 110点満点

※「労働保険の保険料の徴収等に関する法律(徴収法)」は独立した科目ではなく、「労働者災害補償保険法(労災法)」と「雇用保険法」の中に組み込まれる形で出題されます。選択式(午前)では出題されず、択一式(午後)の「労災法」「雇用保険法」各10問のうち、問8〜問10(計6問)が徴収法から出題されます。

【社労士試験の特徴】
 ● 試験は丸1日がかり。午前(選択式・80分)+ 午後(択一式・210分)の2部構成
 ● 全問マークシート方式(記述問題はなし)
 ● 10科目すべてに「基準点(合格に必要な得点)」が設定されており、1科目でも下回ると不合格
  (※合格基準点の詳細については、3-1で解説)
 ●「社会保険に関する一般常識(社一)」は選択式のみで、択一式には出題されない唯一の科目

1-3. 受験には条件あり:学歴・実務経験・国家資格の3ルート

社労士試験には受験資格が設けられており、行政書士や宅地建物取引士のように「誰でも受験できる」試験ではありません。受験者層が一定の基準を満たした人に絞られているという前提を理解しておくことが、合格率データの正確な解釈につながります。

受験資格の主な3ルート
 ①学歴:大学・短期大学・専修学校等を卒業した者(専攻不問)
 ②実務経験:労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事した者
 ③国家資格:行政書士資格を有する者 等
(出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト(受験資格)

2. 数字で見る難易度:合格率・偏差値・勉強時間・他資格比較

2-1. 社労士試験の過去10年合格率推移

社労士試験の合格率は毎年一定ではありません。過去10年(2016〜2025年)を見ると、最低4.4%(2016年)から最高7.9%(2021年)と幅があります。どの年も合格率が10%を超えることはなく、10年平均は6.3%です。

試験年度受験者数合格者数合格率
2025年
(令和7年)
43,421人2,376人5.5%
2024年
(令和6年)
43,174人2,974人6.9%
2023年
(令和5年)
42,741人2,720人6.4%
2022年
(令和4年)
40,633人2,134人5.3%
2021年
(令和3年)
37,306人2,937人7.9%
2020年
(令和2年)
34,845人2,237人6.4%
2019年
(令和元年)
38,428人2,525人6.6%
2018年
(平成30年)
38,427人2,413人6.3%
2017年
(平成29年)
38,685人2,613人6.8%
2016年
(平成28年)
39,972人1,770人4.4%
10年平均6.3%

出典:厚生労働省 合格者数等の推移(過去10年)

2-2. 社労士試験の偏差値と難易度ランク

社労士試験の難易度は、予備校や資格情報サイトでは偏差値68前後と紹介されることが多いですが、資格試験に公式な偏差値は存在せず、あくまで目安としてご覧ください。国家資格の中では上位に属する難関試験です。

2-3. 他の国家資格との合格率比較

2025年度の合格率を他の国家資格と並べると、社労士試験の相対的な難易度の位置づけがわかりやすくなります。ただし、各資格の試験条件・出題範囲が異なるため、合格率のみで難易度を一律に比較することには限界があります。また、各資格の合格率は開催年ごとに変動していることにも注意が必要です。

国家資格合格率
中小企業診断士4.2%
司法書士5.2%
社会保険労務士5.5%
弁理士6.4%
土地家屋調査士10.1%
行政書士14.5%
宅地建物取引士18.7%
FP技能士1級18.8%

※複数次試験の資格は最終合格率で表示しています。
※中小企業診断士はストレート合格率を表示しています。
※FP技能士1級は、学科試験の合格率を表示しています。

2-4. 社労士試験の合格に必要な勉強時間:800〜1,000時間の根拠

社労士試験合格に必要な勉強時間は、一般的に800〜1,000時間といわれています。1日2〜3時間の学習を継続すれば、約1年間でこの時間数に到達できる計算です。ただし、学習方法・個人の法律知識によって大きく差があります。

国家資格目安勉強時間
司法書士2,000〜3,000時間
弁理士2,000〜3,000時間
土地家屋調査士1,000〜1,500時間
中小企業診断士800〜1,000時間
社会保険労務士800〜1,000時間
行政書士600〜1,000時間
FP技能士1級400〜600時間
宅地建物取引士400〜600時間

受験指導校を活用すれば、法改正対応や白書対策も効率的に進められるため、独学よりも短時間での合格が可能になるケースも少なくありません。

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3. 社労士試験が難しい本質的な3つの理由

「合格率が低い=難しい」というのは事実ですが、それだけでは「どう勉強すればいいのか」がわかりません。大切なのは、なぜ合格率が低くなるのか、その仕組みを知ることです。仕組みを理解することで、はじめて効果的な対策が見えてきます。

社労士試験が難しいと言われる3つの本質的理由は以下の通りです。

社労士試験が難しい3つの本質的理由
 1. 1科目でも基準点を下回ると不合格になる仕組み
 2.「暗記では解けない」出題設計
 3. 10科目にわたる法改正への対応が必要

それぞれ詳しく説明していきます。

3-1. 1科目でも基準点を下回ると不合格になる仕組み

社労士試験が他の国家試験と根本的に異なる点、それが「科目別基準点落ち」の存在です。合格するためには、以下の4条件をすべて同時に満たす必要があります。

試験形式総合点の
合格基準点
1科目ごとの
合格基準点
選択式40点中 28点以上
(目安)
5点中 3点以上
(目安)
択一式70点中 49点以上
(目安)
10点中 4点以上
(目安)

※ 総合点および科目別の合格基準点は、その年の試験の難易度に応じて補正される場合があります。上記は「原則」としての目安です。最終的な合格基準点は試験後の合格発表時に公表されます。
(出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト(合格発表)

「得意科目で苦手科目をカバーする」は通用しない
最も重要なのは、「科目別の基準点」のルールです。選択式は8科目、択一式は9科目にそれぞれ基準点が設定されており、たとえ総合点が大きく合格ラインを越えていても、、1科目でも基準点を下回るとその時点で即座に不合格になります。

この仕組みがあるため、社労士試験には「苦手科目を得意科目で追い上げる」という戦略が一切通用しません。全科目で均等に得点を確保することが合格の絶対条件です。他の多くの国家試験にはない、社労士試験ならではの厳しい合格基準です。

伊藤塾 渡辺千明講師

選択式は各科目5点中3点以上が必要です。1科目でも基準点未満であれば、総合点が足りていても不合格になります。これが合格の大きな壁です。合格の目安は総合得点率70%以上。高い点数を取るだけでなく、苦手科目をなくすことが合格の絶対条件です。
出典:伊藤塾 Youtube「社労士資格ガイダンス~「社会保険労務士試験」について~

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3-2. 「暗記では解けない」出題設計

社労士試験は、条文の丸暗記だけで対応できる試験ではありません。判例・通達・法改正後の新論点・白書統計データなど、「理解に基づいた応用力」を要求する問題が多数出題されます。

伊藤塾 渡辺千明講師

過去問の暗記だけでは対応できない初見の問題に対し、法律の体系的な理解から正解を推測する力が必要です。これが社労士試験が単純な暗記試験と異なる最大の特徴です。
出典:伊藤塾 Youtube「社労士資格ガイダンス~「社会保険労務士試験」について

伊藤塾 伊藤真塾長 × 持田裕講師

単なる丸暗記ではなく、「なぜその制度があるのか」という法律の趣旨(存在理由)から考える指導を徹底しています。本試験で見たことのない問題が出ても、基礎と法律の趣旨から答えを導き出す力を養うことが合格への道です。
出典:伊藤塾 Youtube「~伊藤塾で「社労士」を目指す意味とは~

特に難しいのが「労務管理その他の労働に関する一般常識(労一)」と「社会保険に関する一般常識(社一)」の2科目です。これらは出題範囲が限定されておらず、毎年の労働経済白書・厚生労働白書からの出題があります。膨大な統計データをすべて覚えることは現実的に不可能であり、出題されやすいテーマに絞って対策することが求められます。

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3-3. 10科目にわたる法改正への対応が必要

社労士試験の出題範囲は、労働法規・社会保険法規にまたがる10科目と非常に広く、どの科目でも法改正が出題に反映される可能性があります。
これが、他の士業試験と比べても社労士試験の学習負担を大きくしている要因の一つです。
社労士が扱う労働・社会保険分野は、働き方や社会情勢の変化に応じて法改正が繰り返される分野です。広い出題範囲のなかで、どの科目でどのような改正があったかを常に把握しておく必要があります。改正前の知識のまま受験すると、「知識はあるが間違い」という最も痛い失点パターンに陥ります。

伊藤塾 齊藤講師

育児・介護休業法など、複雑な法令への対応には専門家が不可欠です。試験においても同様で、法改正を自力で追い続ける力、そして改正の趣旨から問題を解く力が合否を分けます。
出典:伊藤塾 Youtube「明日の社労士講座【第1回】社労士の今後の需要と将来性~社労士の現業とさらなるニーズの高まり~

4. 社労士試験 科目別難易度マップ

社労士試験の10科目はそれぞれ異なる難しさを持っています。「暗記量」と「難解さ(理解の深さ)」の2軸で各科目を整理しました。★の数が多いほど難易度が高いことを示します。

4-1. 労働系6科目の難易度

科目名暗記量難解さポイント
労働
基準法
★★☆☆☆★★★★☆判例・通達からの出題。
条文の趣旨理解が必須
労働安全
衛生法
★★★★☆★★★☆☆細かい用語・数値の暗記。
逆に暗記で対応しやすい
労働者災害
補償保険法
★★★☆☆★★☆☆☆体系理解で攻略しやすい。
比較的得点源にしやすい
雇用保険法★★★★☆★★★☆☆給付の種類と条件が複雑。
数字の暗記量が多い
労働保険料
徴収法
★★★☆☆★☆☆☆☆出題範囲が限定的で
得点源にできる
労働・社会保険
一般常識(労一)
★★★★★★★☆☆☆出題範囲無限定。白書・
統計が合否を分ける

4-2. 社会保険系4科目の難易度

科目名暗記量難解さポイント
健康保険法★★★☆☆★★☆☆☆日常に近いが通達・施行
通則からの出題あり
国民年金法★★★★☆★★★★★制度の歴史的複雑さ。
改正前の知識も問われる
厚生年金保険法★★★★☆★★★★☆国年の上乗せ構造。
国年の理解が前提
社会保険一般
常識(社一)
★★★★☆★★★☆☆厚生労働白書対策。
横断学習が必要

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4-3. 「一般常識」が社労士試験の合否を分ける理由

労一・社一の2科目は、他の科目とは本質的に異なる難しさを持っています。白書や統計調査の最新データが毎年出題されますが、出題範囲を完全に網羅することは現実的に不可能に近いです。

伊藤塾 佐野哲郎講師

膨大な範囲を丸暗記するのではなく、法律の趣旨を理解することで、本番で未知の問題が出ても応用できる力を養います。司法試験等で培った過去問分析ノウハウを社労士試験に最適化しています。
出典:伊藤塾 Youtube「2026年度社労士試験対策 合格講座ガイダンス動画

重要なのは「他の受験生が取れる問題を確実に取る」こと。一般常識科目では深追いは禁物です。法規分野を確実に理解したうえで、白書・統計は頻出論点に絞って対策する戦略が、合格者の多くが実践するアプローチです。

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5. 社労士試験は「難しいが、合格できる」試験

ここまで社労士試験の難しさを論じてきましたが、一方で、見逃してはならないのは、社労士試験の合格者の大多数は、仕事を持ちながら合格を勝ち取った「社会人合格者」であるという事実です。

5-1. 合格者の職業と年齢データ

令和7年度(2025年)試験の合格者データを見ると、「難関」とされる試験でも、働きながら合格できる現実が見えてきます。

合格者の属性割合・データ
会社員
(企業・団体勤務)
約6割
社会人全体
(公務員・自営業含む)
約8割
中心年齢層30代〜50代
合格者数
(令和7年度)
2,376人

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト 合格発表

伊藤塾 渡辺千明講師

合格者の約6割は会社員で、公務員を含めると約7割が働きながら合格しています。年齢層は30代〜50代が中心です。難関試験ではありますが、社会人が戦略的に学べば合格できる試験です。
出典:伊藤塾 Youtube「社労士資格ガイダンス~「社会保険労務士試験」について~

5-2. 実務経験・人事経験なしでも合格できる

「社労士の仕事をしたことがないから不利では」という不安を持つ方は少なくありません。しかし、実務経験は合否に直結しません。

伊藤塾 齊藤講師

人事経験がなくても全く問題ありません。私自身も未経験から独立して19年継続しています。資格取得後に実地で経験を積めば十分対応可能です。
出典:伊藤塾 Youtube「明日の社労士講座【第1回】社労士の今後の需要と将来性~社労士の現業とさらなるニーズの高まり~

なお、社労士事務所の繁忙期(労働保険の年度更新・算定基礎届の提出期)は例年試験直前の6〜7月に重なります。社労士事務所に勤務しながら受験準備をする場合は、この時期のスケジュール管理に特別な注意が必要です。

5-3. 合格後の多様な働き方と収入モデル

社労士試験に合格し、登録要件を満たすと社会保険労務士として登録できます。登録形態は主に3種類あります。

登録形態内容主な対象
開業登録独立して事務所を
構え業務を行う
独立・開業を目指す方
勤務登録勤務先(企業・事務所
等)で社労士業務を行う
企業の人事・総務部門で
活かしたい方
その他登録実務は行わず、人脈・
情報収集のために登録
まず登録し、将来に備え
たい方

出典:厚生労働省「社会保険労務士制度」

伊藤塾 持田裕講師

登録者の約3/4は一般企業などで働きながら「勤務社労士」として活躍しています。現在の会社に在籍したまま資格を活かすことも可能です。40代〜60代の登録者が多く、これまでの職歴や人生経験をフルに活かしてステップアップできる「ちょうどいい資格」です。
出典:伊藤塾 Youtube「社労士資格ガイダンス~社労士って何だろう?~

また、齊藤講師の解説によれば、開業社労士の平均売上は約1,658万円(社会保険労務士白書2024年版)。顧問契約によるストック型の安定した収入基盤が作りやすい職業でもあり、難易度に見合うリターンが期待できる資格です。

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6. 伊藤塾が考える社労士試験合格戦略

社労士試験の難しさの本質が「暗記では解けない構造」にあるとすれば、合格に必要なのは単なる暗記ではなく、法律の内容を深く理解することです。

伊藤塾が社労士試験に持ち込んだのは、司法試験で磨き上げた「なぜその法律がつくられたのか」という趣旨から理解するという指導哲学です。この考え方を土台にすることで、試験本番で見たことのない問題が出ても、自分で答えを導き出す力が身につきます。

6-1. 伊藤塾が定義する「万全な基礎」

伊藤塾において「基礎を固める」とは、単に覚えるべき知識を暗記することではありません。伊藤真塾長は万全な基礎を次の3要素で定義しています。

「万全な基礎」の定義(伊藤真塾長)
 1. 何が基礎であるかを選び出す
 2. どのような順序で学ぶのが効果的かを考える
 3. どこまで深く学ぶべきかを見極める

伊藤塾 伊藤真塾長 × 持田裕講師

本試験で見たことがない問題が出ても、基礎と趣旨から答えを導き出す力を養います。この力は、合格後の実務でも、毎年繰り返される法改正への対応においても、一生涯使い続けられるものです。
出典:伊藤塾 Youtube「伊藤真塾長×持田裕講師~伊藤塾で「社労士」を目指す意味とは~

6-2. 合格までの年間学習スケジュール例

試験は毎年8月の第4日曜日に実施されます。9月開講を想定した場合の標準的なスケジュールは以下のとおりです。

時期フェーズ取り組みの中心
9月〜翌年4月末インプット期講義受講・テキスト読み
込み。暗記より「理解」
を優先する
5月〜7月上旬アウトプット期過去問・問題集を5周。模試
・答練で弱点を洗い出す。
法改正・白書対策を並行
7月〜試験前日直前総仕上げ期「直前に覚えるリスト」の
集中消化。全科目横断復習。
体調管理

伊藤塾 佐野哲郎講師

9月開講から翌年5月までに全範囲を終えるカリキュラムで、重要知識を何度も繰り返して定着させます。忙しい社会人が効率よく学べるよう、スマホ1つで完結する講義スタイルを採用しています。
出典:伊藤塾 Youtube「2026年度社労士試験対策 合格講座ガイダンス動画

6-3. 学習の継続を支える伊藤塾の環境

社労士試験の難しさの一つは、800〜1,000時間という長期学習を最後まで継続することです。伊藤塾では、通信学習でも孤独にならない環境を整えています。

● 個別カウンセリング:月1回、講師・スタッフによる個別学習相談
● 質問制度:疑問を残さず理解を積み上げるサポート体制
● 明日の社労士講座:現役実務家から実務の「今」を学べる講演会
● 秋桜会:2,800人以上の実務家が会員の同窓会ネットワーク

伊藤塾 齊藤講師

社労士の専門分野は、人が生きている限り常に接点がある分野です。元気なときの「労務管理」と、万が一のときの「社会保険」の両面から国民生活を支えます。合格後も、学んだ知識は必ず現場で生きてきます。
出典:伊藤塾 Youtube「明日の社労士講座【第1回】社労士の今後の需要と将来性~社労士の現業とさらなるニーズの高まり~

7. 社労士試験の難易度に関するよくある質問

社労士試験の難易度は偏差値でいうと?

一般的に偏差値68前後と言われています。ただし偏差値はあくまで目安であり、受験者層の違いや出題の性質が異なるため、単純な比較には限界があります。

社労士試験は独学でも合格できますか?

法学部出身者や実務経験者であれば可能なケースもありますが、完全な初学者には相当ハードルが高いのが実情です。最大の理由は「法改正への対応」です。試験日程の正式発表(例年4月)までの改正が出題範囲に含まれるため、独学の場合は最新情報を自力で収集・整理し続ける必要があります。受験指導校を活用することで、この負担を大幅に軽減できます。

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社労士試験は何年かかる試験ですか?

1年での合格者も相当数いますが、複数回受験して合格するケースも多いです。主な理由が「基準点落ち」のリスクです。総合点が合格ラインに達していても、1科目でも基準点を下回ると不合格になるため、苦手科目を残したまま受験すると繰り返し受験になりやすい構造があります。戦略的な学習で苦手科目を作らないことが、最短合格への鍵です。

社労士試験は行政書士・宅建と比べてどちらが難しい?

合格率の比較では、社労士5.5%に対し、行政書士14.5%、宅地建物取引士18.7%です。試験の構造面では、社労士には「科目別基準点落ち」があるため、制度設計として社労士がより高いハードルを持っています。なお、各試験で受験資格・出題傾向が異なるため、合格率だけで難易度を単純比較することはできません。

行政書士とのダブルライセンスは社労士と相性が良いですか?

非常に相性の良い組み合わせです。伊藤真塾長×持田裕講師の対談動画でも「行政書士などの他資格との組み合わせにより、仕事の幅が大きく広がる」と語られています。行政書士が対応する会社設立・許認可申請と、社労士が対応する労務管理・社会保険を組み合わせることで、創業支援から経営支援までワンストップで対応できるようになります。

合格後の社労士登録要件は何ですか?

試験合格後、「2年以上の実務経験」または「全国社会保険労務士会連合会が実施する事務指定講習の修了」のいずれかを満たすことで、社会保険労務士として登録できます。事務指定講習は通信指導課程(4カ月)と面接指導課程(4日間)で構成されており、実務経験がない方でも受講・修了することで登録が可能です。

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8. 【まとめ】社労士試験の難易度と合格戦略

本記事では、社労士試験の難易度について、官公庁のデータと伊藤塾講師5名の発言をもとに解説しました。以下にポイントをまとめます。

  • 社労士試験の合格率は5.5%(2025年度)、過去10年間の平均は6.3%、10%を超えた年は一度もない難関試験
  • 難しさの本質は「1科目でも基準点を下回ると不合格になる仕組み」「暗記では解けない出題設計」「10科目にわたる法改正への対応が必要」の3点にある
  • 必要勉強時間は800〜1,000時間。1日2〜3時間の継続で約1年に相当する
  • 合格者の約7割は社会人。30代〜50代が中心で「難関だが働きながら合格できる試験」
  • 合格の鍵は「苦手科目をなくす」「法律の趣旨から理解する」の2点。暗記量より理解の質が合否を決める

社労士試験は確かに難しい試験ですが、その難しさには明確な構造があります。構造を理解すれば、対策の方向性も自ずと定まります。「基準点落ちをなくす」ために苦手科目に時間を投下し、「法律の趣旨から理解する」ために質の高いインプットを積み上げる。これが最短合格への王道です。

伊藤真塾長×持田裕講師~伊藤塾で「社労士」を目指す意味とは~

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伊藤塾の「社労士試験合格講座は、司法試験などの難関資格で培った指導ノウハウを社労士試験に最適化し、最短ルートでの合格を強力にサポートします。まずは無料体験講義・ガイダンスから、ぜひ一歩踏み出してみてください。

伊藤塾 2026年度社労士試験対策 合格講座ガイダンス

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伊藤塾 社労士試験科

著者:伊藤塾 社労士試験科

社会保険労務士資格を保有する講師・合格経験者で構成された専門チームが監修・執筆しています。合格率6〜8%という難関試験について、10科目17試験の合格基準・頻出法改正・科目別ボーダーラインまで、実務に精通した専門チームが正確にお届けします。