社労士登録は必要?費用や実務経験は? 4つの種別・登録手順をわかりやすく解説
社労士とは
【記事のポイント】
- 名乗る条件:社労士は試験に合格しただけでは名乗れません。都道府県社会保険労務士会への入会と同時に登録をして、初めて社労士として業務を行えます。
- 登録種別:開業、社労士法人の社員、勤務、その他の4種類があります。2025年(令和7年)3月末の登録者46,237人のうち、開業が53.7%を占めています。
- 必要費用:東京都社会保険労務士会の開業会員なら、登録免許税と登録手数料、入会金で110,000円、年会費は96,000円かかります。
- 実務経験:登録には通算2年以上の実務経験が必要です。経験がなくても、77,000円の事務指定講習を修了すれば要件を満たせます。
- オンライン化:2025年7月15日から、マイナポータルによるオンライン申請が始まりました。ただし都道府県会への入会手続きは別に必要です。
社会保険労務士(以下、社労士)試験の受験を目指している方の中には、
「社労士合格後の登録とはどんなものなのだろう」
「合格しても登録手続きをしないといけないなんて、ハードルが高い」
そのように考えている方もいるのではないでしょうか。
社会保険労務士は、資格試験に合格するだけではその肩書きを名乗ることができません。
社労士登録の申請をして認められた場合にはじめて、社労士としての身分を得て社労士業務を行うことができるのです。
そこで今回は、社労士登録の種別や手続き方法、必要書類などの概要と、登録をすることによるメリットデメリットを解説していきます。
今回の記事を読むことで、社労士試験に合格した後の働き方をイメージしやすくなるはずです。社労士登録について不安に感じている方や疑問を持たれている方は、ぜひ参考にしてください。
【目次】
1. 登録の種別は全部で4種類
社労士登録をする時は、その後の自分の働き方によって、「開業」「社労士法人の社員」「勤務」「その他」の4つの種別から1つを選択する必要があります。登録後に働き方が変わる場合には、種別を変更をすることも可能です。
1-1. 開業登録
開業登録は、社労士として独立して業務を行うための登録です。
自分自身で事務所を設置し、顧問先を探して契約を結び、業務を行うことができます。独立開業をすることで、自らの裁量で自由に業務を進めることができます。一方で、営業活動の結果や業務の成果などが直接的に自分自身の収入に関わるため、顧問先が安定しないと収入の変動も激しくなりがちです。
1-2. 社労士法人の社員登録
社労士法人の社員登録は、社労士業務を行うための法人の一員としての登録です。
勤務社労士は会社に雇用される従業員的な立ち位置なのに対して、社労士法人の社員は、会社(法人)の組織運営に関与する立場となります。そのため、種別としては「勤務」よりも「開業」に近いイメージです。
1-3. 勤務登録
勤務登録は、社労士事務所や民間会社で働く勤務社労士としての登録です。
勤務登録の場合、雇用されている社労士事務所や民間会社以外では、社労士業務を行うことはできません。つまり、自身で社労士として誰かと直接契約を結ぶことはなく、所属する組織内の業務のみを行うことになります。この登録は、安定した収入や組織内での社労士としてのキャリアアップが見込める反面、開業と比較して業務への自由度は低くなります。
1-4. その他登録
その他登録は、社労士業務を行わない場合の登録です。
社労士業務を行うことはできませんが、この登録を行うことで、都道府県の社労士会に所属することになり、研修の受講や法改正情報の取得、人脈づくりが可能になります。
現在は社労士業務を行わないけれど、将来のために備えておきたい人のための登録と言えます。
1-5. 種別ごとの登録者の割合
2025年(令和7年)3月31日現在の社労士登録者数は46,237人です。内訳は、開業登録が24,819人(53.7%)、社労士法人の社員登録が4,127人(8.9%)です。勤務登録とその他登録の合計は17,291人(37.4%)となっています。登録種別としては、半数以上を開業登録が占めています。
なお社会保険労務士白書では、社労士法人の社員は開業に含めて「開業 28,946人(62.6%)」と集計されています。上記の開業24,819人は、この28,946人から法人の社員4,127人を差し引いた数です。
また、登録者のうち特定社会保険労務士は14,405人で、全体のおよそ3割にあたります。特定社労士とは、所定の研修と試験を経て、個別労働関係紛争の解決手続について代理業務を行えるようになった社労士です。社労士法人の数は3,103法人です。

※社労士の仕事内容について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
※特定社労士について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
※社労士の年収について詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
2. 社労士登録をするために必要な条件
次に、社労士登録をするにあたって必要となる条件について解説します。
2-1. 社労士試験の合格
社労士登録のためには、まず社労士試験に合格している必要があります。試験合格には有効期限はありませんので、合格後に登録まで期間が空いてしまっても問題ありません。
2-2.「2年以上」の実務経験
社労士登録のためには、試験合格に加えて「2年以上の実務経験」が必要です。合格のための知識を身につけるだけではなく、社労士に関連する業務に従事した経験が求められるのです。
ここで押さえておきたいのが、社会保険労務士法第3条が「従事した期間が通算して二年以上になるもの」と定めている点です。連続した2年間である必要はありません。転職などで在籍先が変わり、期間が分かれていても、合計して2年に達していれば要件を満たします。
また同条は、2年以上の従事期間がある者に加えて、「厚生労働大臣がこれと同等以上の経験を有すると認めるもの」にも資格を認めています。実務経験が2年に満たない方のための道は、この規定によって用意されています。
①.「実務経験」を満たす条件とは
実務経験の詳細は社会保険労務士法施行規則に記載されており、 条文上は「労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務」です。実務の具体例としては、下記のような業務が挙げられます。
・社会保険の資格取得/喪失に関する事務
・社会保険の保険料変更に関する事務
・労働保険料の申告/納付に関する事務
・就業規則届に関する事務
詳細は全国社会保険労務士会連合会のホームページに記載されている他、不明な点は電話などで確認をすることで、間違った経験による申請を防ぐことができます。実務経験は、勤務先の事業主などに「従事期間証明書」を書いてもらうことで証明となり、申請のための書類とすることができます。
※証明日付に有効期限はありません。
参照:「従事期間証明書」の記載にあたっての留意事項
2-3. 実務経験がなくても登録は可能
2年間の実務経験がない場合でも、全国社会保険労務士会連合会が実施する「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」(通称「指定講習」)を履修することで、「2年以上の実務経験」と同等以上の経験を有するものと認められ、登録要件を満たすことができます。
①. 社労士登録のための指定講習とは
指定講習は、実際の実務で必要となる新規適用手続き、入社や退職が発生した際の手続きなどを、4か月間の通信指導課程eラーニング(動画学習・試験)の組み合わせにより学べる講習です。社労士科目全般について学ぶことができるため、実務経験がなくても、社労士業務の基本スキルを身につけることができます。
通信指導課程及びeラーニング講習の全課程を修了したと認められた場合に、事務指定講習修了証が交付され、実務経験の代わりに社労士登録の要件を満たすことになります。
※修了証に有効期限はありません
参照:事務指定講習|全国社会保険労務士会連合会
3. 社労士登録までの流れ
次に、社労士登録を行うまでの流れについてご説明します。
3-1. 登録手順
社労士登録の申請方法には、書類を提出する紙申請と、マイナポータルを利用するオンライン申請の2つがあります。2025年7月15日から、オンライン申請が利用できるようになりました。登録免許税30,000円と登録手数料30,000円は、どちらの方法を選んでも同額です。
①. 紙申請の場合
手順1 登録申請書と必要書類の準備
具体的な必要書類については、後ほど説明をします。書類が不足していると申請が受け付けられず、登録が遅れる可能性がありますので、書類の準備は誤りのないように進めましょう。登録免許税は、郵便局などで購入した収入印紙を登録申請書に貼付して納付します。
手順2 入会予定の都道府県社会保険労務士会に申請書類を提出
入会ができるのは、開業する事務所もしくは勤務先事業所の所在地、または居住地の住所の区域の都道府県社会保険労務士会です。登録手数料30,000円は、この都道府県会へ振込などの方法で支払います。
手順3 都道府県社会保険労務士会による受付・審査
審査を経て、全国社会保険労務士会連合会へ書類が進達されます。
手順4 全国社会保険労務士会連合会による受付・審査
ここまで問題なく完了すると、社会保険労務士名簿への登録手続きが行われます。
手順5 申請者宛に社労士証票の送付
社会保険労務士名簿に登録された方には、登録日に社労士証票が発送されます。
②. オンライン申請の場合
オンライン申請は、マイナポータルのサイトから行います。申請には、マイナンバーカードと、カードを読み取る機器が必要です。スマートフォンで申請する場合は本体が読み取り機器を兼ねますが、パソコンで申請する場合は読み取り機器を別に用意します。
事前に準備するものは、次の通りです。
・マイナンバーカードと読み取り用の機器
・顔写真データ
・社会保険労務士試験の合格年月日と合格番号
・従事期間証明書(様式第8号)または事務指定講習修了証の写し
合格証書そのものの添付は不要で、合格年月日と合格番号を申請画面に入力する形になります。顔写真データは、正面を向いて撮影されたもの、申請日から6か月以内に撮影されたもの、縁のないもの、無帽のもの、影を含めて背景の写り込みがないものという要件を満たす必要があります。
費用の納め方も紙申請とは異なります。登録免許税30,000円はオンラインで納付するため、収入印紙を用意する必要がありません。登録手数料30,000円は、マイナポータル上の決済画面でクレジットカードにより支払います。
| 項目 | 紙申請 | オンライン申請 |
| 申請の窓口 | 入会予定の都道府県 社会保険労務士会 | マイナポータル |
| 登録免許税 | 30,000円 収入印紙を 申請書に貼付 | 30,000円 オンラインで 納付し収入印紙は不要 |
| 登録手数料 | 30,000円 都道府県会へ 振込など | 30,000円 クレジットカード決済 |
| 合格証書 | 写しを添付 | 添付不要 合格年月日と 合格番号を入力 |
| 顔写真 | 写真票に貼付 (縦3cm×横2.4cm) | 顔写真データを添付 |
| 都道府県会への入会 | 申請書類とあわせて 手続き | 登録申請とは別に 都道府県会への 入会手続きが必要 |
| 社労士法人の社員登録 | 利用できる | 新規登録申請の対象外 |
③. オンライン申請を利用する際の2つの注意点
1つ目は、オンライン申請で完結するのは登録の申請までという点です。社労士登録は都道府県社会保険労務士会への入会と同時に行われますが、この入会手続きはオンライン申請には含まれていません。所属することになる都道府県会へ、別に入会の手続きを行う必要があります。申請前に、入会予定の都道府県会へ手続き方法を確認しておくと安心です。
2つ目は、社労士法人の社員として登録する場合、オンラインでの新規登録申請の対象外となる点です。1-2で説明した社員登録を予定している方は、紙申請で手続きを進めることになります。
参照:全国社会保険労務士会連合会 社労士の登録申請について(オンライン申請)
社労士の登録申請について(紙申請)
社労士の登録申請Q&A
3-2. 費用
次に、社労士登録をするために必要となる費用について解説をします。費用には主に、登録のために必要な費用と、指定講習を受講するために必要な費用の2種類があります。
お登録費用の額は紙申請とオンライン申請で変わりませんが、納付の方法は異なります。
①. 登録費用
社労士登録費用として必要な費用は、下記の通りです。入会金と年会費は入会する社労士会の都道府県により異なりますが、今回は東京都を例にとってご紹介します。
| 登録種別 | 登録免許税 | 登録 手数料 | 入会金 | 年会費 |
| 開業会員 (法人社員含む) | 30,000円 ※1 | 30,000円 | 50,000円 | 96,000円 ※2 |
| 勤務等会員 (その他含む) | 30,000円 ※1 | 30,000円 | 30,000円 | 42,000円 ※3 |
※1:紙申請の場合は、購入した収入印紙を登録申請書に貼付するか、税務署で現金納付します。オンライン申請の場合は、収入印紙を用意せずオンラインで納付します。
※2:入会年度のみ月割りで納入
入会月から年度末までの会費=(入会月から3月までの月数)× 8,000円
※3:入会年度のみ月割りで納入
入会月から年度末までの会費=(入会月から3月までの月数)× 3,500円
登録手数料の支払い方法も、申請方法によって異なります。紙申請の場合は入会予定の都道府県社会保険労務士会へ振込などの方法で、オンライン申請の場合はマイナポータル上の決済画面でクレジットカードにより支払います。
また、入会金と年会費は都道府県社会保険労務士会に納めるものです。オンライン申請を利用する場合も入会手続きは別に行うため、これらの費用は同じように必要となります。
参照:登録・入会について|東京都社会保険労務士会
②. 講習費用
上記の費用に加えて、登録要件を満たすために指定講習を受講する場合、その費用として「77,000円」が必要です。また、講習に必要なeラーニング受講環境などを新たに整備する場合には、その費用も考慮する必要があります。
参照:事務指定講習|全国社会保険労務士会連合会
3-3. 必要書類(紙申請の場合)
紙申請で登録に必要な主な書類は以下の通りです。※東京都社労士会の場合
・社会保険労務士登録申請書(様式第1号) 正本1枚と副本2枚の3枚複写
・個人番号カードの両面の写し、または個人番号が記載されている書類1種類と身元確認のできる書類1種類
・社会保険労務士試験合格証書の写し
・従事期間証明書(様式第8号)または事務指定講習修了証の写し
・写真票(顔写真2枚)縦3cm×横2.4cm、背景無地、無帽、正面向きの鮮明な写真で、6か月以内に撮影したもの。裏面に氏名記入
※次の書類は、該当する方のみ必要です。
・通称併記願(登録に通称名の使用を希望する場合)
・戸籍抄本、個人事項証明書、改製原戸籍、または旧氏や通称の記載のある住民票の写し(通称名を使用する場合、または合格時と現在の氏名が違う場合など)
※2024年11月29日以降、住民票の写しは、マイナンバー情報を提出することにより原則として不要となりました。
※上記のほか、都道府県社会保険労務士会への入会にあたって、会員情報届出書や会員証交付申請書などの書類が必要です。
※必要書類の詳細は入会をする都道府県社労士会によって異なる場合があります。登録の際は入会する都道府県社労士会の情報を確認してください。
なお、オンライン申請の場合に用意するものは紙申請と異なります。3-1でご説明した通り、合格証書の添付は不要で、写真は顔写真データを使用します。
参照:全国社会保険労務士会連合会 社労士の登録申請について(オンライン申請)
社労士の登録申請について(紙申請)
3-4. 社労士の登録番号とは
社労士登録が完了すると、社会保険労務士名簿への登録とあわせて登録番号が付与されます。社労士登録番号とは、登録者一人ごとに与えられる番号で、社労士コードとも呼ばれます。番号は8桁の数字で構成され、社労士証票に記載されています。証票は、名簿に登録された日に申請者宛に発送されます。
この番号は、登録の証明として使うだけのものではありません。日本年金機構の届書作成プログラムでは、社労士が電子申請を行う際に、証票に記載された8桁の登録番号を提出元IDとして設定することになっています。事業主に代わって手続きを行うための、実務上の識別番号でもあるのです。
出典:日本年金機構 届書作成プログラム 操作説明書(詳細版)第二部 届書作成編
4. 社労士登録後の流れ
次に、社労士登録後に必要な年会費の支払いや、社労士登録の抹消とその後の再登録手続きについて説明をします。
4-1.「1年ごと」に年会費が必要
社労士登録をした後は、登録した都道府県社労士会に対して、原則として毎年4月30日までに1年分の年会費を口座振替により支払う必要があります。年会費の金額は、東京都社労士会の場合であれば以下の通りです。
◉開業・社労士社員登録の場合:96,000円
◉勤務社労士・その他登録の場合:42,000円
4-2. 退会するときの手続き
社労士は登録をすると毎年年会費が発生します。社労士登録を削除したいと感じた場合は、都道府県社労士会に退会申請をして登録抹消の手続きをする必要があります。登録抹消をすると、社労士業務を行うことはできなくなります。
4-3. 退会後に再度登録をすることも可能
退会した後でも、改めて社労士登録することができます。
①. 再度登録をする際に必要なこと
再度登録をする際、資格合格や実務試験、指定講習の要件を一から揃える必要はありません。すでに条件を満たしているため、いつでも再登録の申請をすることが可能です。
手続きの方法としては、入会時と同じように、登録申請書と必要な書類を準備して都道府県社労士会に提出します。要件を改めて揃える必要はありませんが、入会書類の準備と入会時の費用の支払いは再度必要になります。
5. 社労士登録のメリット・デメリット
次に、社労士登録をすることによるメリットとデメリットを、いくつかご説明します。
5-1. メリット
登録することにより社労士を名乗れるようになり、独立開業や社労士会の活動への参加が可能となるというメリットがあります。
①. 独立開業できる
社労士登録をすることにより、社労士として独立して業務を行うことができるようになります。それにより、自由度が高く、成果を挙げた分だけ直接的に収入も増加するような働き方ができます。
②. 社労士を名乗れる
社労士は、資格試験に合格しただけでは名乗ることができません。社労士登録をすることで初めて、「社会保険労務士」という肩書きを使用できるようになります。
これは慣習ではなく、法律で定められていることです。社会保険労務士法第26条第1項は、「社会保険労務士でない者は、社会保険労務士又は社労士その他の社会保険労務士に類似する名称を用いてはならない」と規定しています。2025年の第9次社会保険労務士法改正では、この条文に「社労士」という略称が明記されました。正式名称だけでなく略称も、登録前に名乗ることはできないということです。
名刺や履歴書への記載、顧問先への挨拶などの際に社労士と名乗れることは、相手からの信頼につながります。名称が法律によって守られているからこそ、その肩書きに意味が生まれるとも言えます。
参照:全国社会保険労務士会連合会 第9次社会保険労務士法改正成立
③. 社労士会に入会できる
社労士登録は都道府県社労士会へ入会と同時に行うため、登録を行うことにより社労士会の会員としての身分を得ることになります。
社労士会に入会することで、会が主催する研修を受講したり、会員同士のネットワークを利用して繋がりを作ることが可能です。 これらを活用することで、自分自身のスキルやキャリアを向上させ、人脈を広げることができ、社労士としての知見をさらに深めることができます。
5-2. デメリット
社労士登録で大きな負担となるのが費用です。登録免許税や登録手数料、入会金に加えて、登録を続ける限り毎年の年会費がかかります。東京都社会保険労務士会の開業会員であれば、初年度は登録免許税と登録手数料、入会金で110,000円が必要で、これに月割りの年会費が加わります。社労士業務を行わない期間も年会費は発生するため、経済的な負担は登録後も続いていきます。
費用以外にも、登録者としての義務が生じます。ひとつは研修です。社労士には、職業倫理を保持するため、所属する社労士会で5年に1回必ず受講しなければならない倫理研修があります。受講しなかった場合は会則の遵守違反にあたり、都道府県社会保険労務士会の会則に基づく処分の対象となり得ます。
もうひとつは届出です。社会保険労務士法第14条の4は、名簿に登録を受けた事項に変更が生じたときは、遅滞なく変更の登録を申請しなければならないと定めています。転職や事務所の移転、氏名の変更があるたびに、手続きが必要になるということです。
参照:全国社会保険労務士会連合会 倫理研修
6. 社労士登録しない人の特徴
それでは、どのような人が社労士登録を必要としていないのでしょうか。試験合格後に「登録をしない」という選択をとる人の例をご紹介します。
6-1. 勤務社労士で開業の気持ちがない
民間企業や社労士事務所の従業員として勤めている人は、安定した収入とキャリアアップができる環境があれば、独立開業の必要性を感じない場合があります。
組織内での業務に満足しているため、登録をして積極的に顧客を獲得したり自分自身で独立をして組織を運営する必要性を感じないためです。
6-2. 社労士としてのキャリアを目指していない
社労士としてのキャリアを積むことを目指していない人々は、登録の必要性を感じないかもしれません。例えば、他の業界でキャリアを築くことを目指している場合や、社労士業務に関心がない場合などです。
7. 登録・非登録の比較
最後に、今回ご説明をした社労士登録・非登録の特徴をまとめます。
| 社労士登録 | 社労士非登録 | |
| 肩書 | 社労士を名乗れる | 試験合格だけでは 社労士を名乗れない |
| 独立開業 | できる | 社労士として開業できない |
| 社労士業務 | できる | 自分自身で社労士業務 を行うことはできない |
| 社労士会 | 入会できる | 入会できない |
| 費用 | 入会金・年会費 がかかる | 資格を保持することに 費用はかからない |
| 登録の申請 | 2年の実務経験または 指定講習の修了が必要 | ー |
社労士登録に関するよくある質問(FAQ)
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社労士登録には最初にいくらかかりますか?
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東京都社会保険労務士会に開業会員として入会する場合、登録免許税30,000円、登録手数料30,000円、入会金50,000円の合計110,000円に、入会年度の月割り年会費が加わります。勤務等会員は入会金が30,000円のため、合計90,000円に月割り年会費が加わります。
入会金と年会費は都道府県社会保険労務士会ごとに異なります。実務経験が2年に満たず事務指定講習を受ける場合は、受講料77,000円が別に必要です。
出典:東京都社会保険労務士会 登録・入会について
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社労士の登録番号は何桁ですか?
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社労士の登録番号は8桁の数字です。社会保険労務士名簿に登録されると付与され、社労士証票に記載されています。証票は登録日に申請者宛へ発送されるため、番号を確認できるのは証票が手元に届いてからになります。この番号は社労士コードとも呼ばれ、日本年金機構の届書作成プログラムで電子申請を行う際に、提出元IDとしても使用します。
出典:日本年金機構 届書作成プログラム 操作説明書(詳細版)第二部 届書作成編
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勤務登録とその他登録では、できることにどのような違いがありますか?
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勤務登録は、雇用されている社労士事務所や民間会社の中で社労士業務を行える登録です。その他登録では社労士業務を行えません。どちらも自分で顧問契約を結ぶことはできない点は共通しています。
ただし都道府県社会保険労務士会の会員となる点は両者とも同じで、研修の受講や会員同士のつながりづくりはその他登録でも利用できます。東京都社会保険労務士会では年会費も同額の42,000円です。
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実務経験を2年積むのと事務指定講習を受けるのとでは、どちらを選ぶべきですか?
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すでに人事や総務で労働社会保険の手続きに携わっている方は、実務経験の通算で要件を満たすほうが費用がかかりません。従事期間は複数の勤務先で通算できます。実務経験がない方や2年に届かない方には、77,000円の事務指定講習が現実的な選択肢です。
出典:東京都社会保険労務士会 登録・入会について
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社労士登録に有効期限や更新手続きはありますか?
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社労士登録そのものに有効期限はなく、更新手続きも必要ありません。ただし登録を続ける限り、都道府県社会保険労務士会への年会費が毎年発生します。東京都社会保険労務士会の場合、開業会員は96,000円、勤務等会員は42,000円です。
社労士試験の合格にも事務指定講習の修了証にも有効期限はありません。合格から何年か経ってから登録することもできます。
出典:東京都社会保険労務士会 登録・入会について
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公務員としての勤務経験は、社労士登録の実務経験として認められますか?
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実務経験に当たるかどうかは、勤務先の種類ではなく従事した事務の内容で判断されます。社会保険労務士法第3条は「労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務」に通算2年以上従事したことを要件としており、対象となる事務の範囲は厚生労働省令に定められています。
個別の業務が該当するかの判断は難しいため、申請前に全国社会保険労務士会連合会へ問い合わせることをおすすめします。誤った内容で申請すると、登録が遅れる原因になります。
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社労士試験に合格しても登録しないと、どのような不利益がありますか?
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最も大きいのは、社労士を名乗れないことです。社会保険労務士法第26条第1項は、社労士でない者が「社会保険労務士又は社労士その他の社会保険労務士に類似する名称」を用いることを禁じています。社労士業務を行うこともできません。
もっとも、試験に合格した事実そのものが消えるわけではありません。社労士を名乗ることと、試験に合格した事実を伝えることは別のものです。登録は必要になった時点で申請できます。
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社労士登録を拒否されることはありますか?
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あります。社会保険労務士法第14条の7が登録拒否事由を定めており、心身の故障により社労士の業務を行うことができない者、保険料の滞納処分を受けて3か月以上滞納している者、社労士の信用または品位を害するおそれがある者などが該当します。
弁護士や税理士などの業務停止処分を受けている期間中の方も、登録を受けることができません。試験に合格していればどなたでも登録できる、というわけではない点は押さえておきたいところです。
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登録した後に、退会や再登録はできますか?
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できます。都道府県社会保険労務士会に退会を申請して登録抹消の手続きをすれば、年会費の負担はなくなります。退会後に改めて登録することも可能で、試験合格や実務経験、事務指定講習の要件を一から揃え直す必要はありません。
ただし再登録の際は、登録免許税や登録手数料、入会金といった入会時の費用が改めて発生します。登録抹消中は社労士業務を行えない点にも注意が必要です。
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勤務社労士の登録費用は、勤務先の会社が負担してくれますか?
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会社が負担するかどうかは勤務先の規定によって異なり、法律上の負担義務はありません。社労士の資格を業務に活かすことを会社が求めている場合は、資格関連費用として負担される例もあるため、就業規則や人事部門に確認することをおすすめします。
東京都社会保険労務士会の勤務等会員であれば、初年度は登録免許税と登録手数料、入会金で90,000円、以降は年会費42,000円が毎年かかります。金額を示して相談すると話が進めやすくなります。
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実務経験がない場合、合格から登録までどのくらいの期間がかかりますか?
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2年以上の実務経験がない場合は、原則として事務指定講習を修了する必要があります。申込みの時期にもよりますが、講習への申込みから登録要件を満たすまで、8か月以上を見込んでおくとよいでしょう。現在実施中の第45回では、申込期間が2025年11月4日から11月25日まで、通信指導課程が2026年2月1日から5月31日まで、eラーニング講習が同年7月10日から9月10日までとなっています。通信指導課程の課題を期間内に提出し、eラーニングの動画学習と効果測定をすべて修了すると、修了証が交付され、社労士登録の要件を満たします。
講習の日程は年度ごとに変わります。全国社会保険労務士会連合会の事務指定講習のページで、最新の申込期間と日程を確認してください。
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結婚などで氏名が変わった場合、社労士登録はどうなりますか?
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社会保険労務士法第14条の4により、名簿に登録を受けた事項に変更が生じたときは、遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません。氏名の変更もこれに含まれます。旧姓や通称を使いたい場合は、登録時に「通称併記願」を提出することで併記できます。
通称の併記を希望する場合や、合格時と現在の氏名が異なる場合は、戸籍抄本など旧氏の記載がある書類の提出が必要になることがあります。
出典:東京都社会保険労務士会 登録・入会について
9. 社労士登録4つの種別・登録手順まとめ
社労士登録は、社労士試験に合格した人が自分自身で社労士業務に従事する際に必要な手続きです。
登録の種別や必要な条件、登録までの流れ、登録後の流れなどを理解することで、適切な選択が可能になります。登録することで得られるメリットとデメリットを比較検討し、自身のキャリアゴールを考えて登録を考えていきましょう。
社労士には、開業の他にも社労士法人や民間会社で勤務社労士として従事するなど、幅広く活躍の場があります。
独立をして自分自身の力で事業をしたい人でも、企業に属してキャリアアップをしていきたい人でも、取得することでその後の人生の幅が広がるはずです。
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