司法書士合格後の流れとは?研修から登録までの詳細を徹底解説

基本情報

2025年10月02日

司法書士としての業務を開始するには、試験に合格するだけでなく新人研修の受講や、司法書士会への登録手続きが必要です。

司法書士試験に合格してから業務を開始するまでの流れ、スケジュールはどのようになるのでしょうか。

また、認定司法書士を目指す場合、スケジュールにどのような影響を与えるのでしょうか。

今回は、司法書士試験合格から登録までの流れを理解するために、新人研修の内容や司法書士会の登録手続きなどについて詳しく解説します。

司法書士試験に合格しても、実際に司法書士として活動できるようになるまでには一定の時間がかかります。そのため、合格後のタイミングでいつ新人研修や特別研修を受講するのか、また就職活動をいつから始めるのかといった点についても、あらかじめ計画しておくことが大切です。

司法書士を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

1.司法書士試験合格から登録までの流れ

司法書士試験に合格してから司法書士としての業務を開始するまでの流れは、次のとおりです。

 合格発表
  ↓
 新人研修
  ↓
 司法書士会への登録
  ↓
 業務開始

司法書士試験の合格発表は、例年10月下旬〜11月下旬に行われます。

(令和6年度の合格発表は11月5日(火)でした。)

合格発表後に行われる新人研修は、中央研修、ブロック研修、司法書士会研修(配属研修)の3段階に分けられており、12月中旬からの開始となっています。

中央研修とブロック研修は、1月下旬に修了となりますが、司法書士会研修は登録する司法書士会によって期間や時期が異なるため注意が必要です。

司法書士試験合格者の多くは、合格発表前後から新人研修の期間にかけて就職活動を行います。早い人では、10月の筆記試験合格発表後に就職活動を始めているようです。

例年5月下旬から6月下旬にかけては、認定司法書士になるための特別研修も実施されます。現在、司法書士のうち8割ほどは認定司法書士となっており、新人研修を終えたあとですぐに特別研修を受講する新人司法書士も多いです。

司法書士試験に合格した人の中で、早い人は、翌年3月末ころに新人研修を終えて司法書士としての業務を開始します。特別研修後に業務を開始する人は、翌年7月ころからのスタートとなります。

2.司法書士の新人研修の内容

司法書士法 第25条

司法書士は、その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会が実施する研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。
出典:司法書士法|e-Gov法令検索

司法書士法第25条で定められている通り、司法書士としての活動をするには、司法書士試験に合格するだけでなく新人研修を受講しなくてはなりません。

新人研修は、次の3つの種類に分けられています。

 ◉中央新人研修
 ◉ブロック新人研修
 ◉司法書士会研修(配属研修)

中央新人研修・ブロック新人研修については、それぞれ定員が設定されています。

申込受付は合格発表から2週間ほどの期間ですが、先着順での受付となるため定員の少ない地域の方は、早めに申し込みを済ませるようにしてください。

以下、それぞれの研修について、内容、スケジュール、費用などを詳しく解説します。
参照:令和6年度司法書士新人研修のご案内|日司連研修総合ポータル

2-1.中央新人研修

中央新人研修は、パソコンやタブレットなどで受講するeラーニング研修です。期間内に所定の講座を受講し、レポートを提出することで修了となります。

令和5年度は、2つのグループに分けられて次のスケジュールで実施されました。

グループ日程
第1グループ(関東ブロック以外)令和6年12月10日~12月27日
第2グループ(関東ブロック)令和7年1月6日~1月23日

中央新人研修の費用は、44,000円(税込)です。

2-2.ブロック新人研修

ブロック新人研修は、全国で8つのブロックに分かれて実施される実務的な研修です。関東ブロック以外は、集合形式の研修で概ね7日間ほどの日程で実施されます。

関東ブロックは、web形式と集合形式の併用で合計35日間の研修となっていますが、そのほとんどが自宅や勤務先事務所等で受講できるweb形式であり、集合形式は2日間と全国で最も少ない日数となっています。

【令和6年度(2024年度)各ブロック新人研修の日程・実施方法】

ブロック日数実施方法日程
北海道ブロック7日間集合形式令和7年1月27日~2月2日
東北ブロック8日間集合形式令和7年1月12日~20日
※1月16日は休講日
関東ブロック35日間web形式
集合形式
令和6年12月16日~令和7年1月19日(web)
令和7年1月18日・19日(集合)
中部ブロック7日間集合形式令和7年1月13日~19日
近畿ブロック13日間集合形式令和6年12月14日〜16日
20日~22日
令和7年1月4日・5日、11日~13日
17日・18日
中国ブロック7日間集合形式令和7年1月9日~15日
四国ブロック7日間集合形式令和7年1月10日~16日
九州ブロック8日間集合形式令和7年1月11日~18日

ブロック新人研修の費用は、33,000円(税込)です。

2-3.司法書士会研修

司法書士会研修は、各都道府県の司法書士会が実施する研修です。研修の内容や期間、スケジュールも各司法書士会によって異なります。

司法書士会研修のメインとなるのは、司法書士事務所に配属されて実務を学ぶことです(配属研修)。配属研修の期間は、1か月から3か月ほどで、学ぶことのできる内容は配属される司法書士事務所によって大きく異なります。

司法書士会によっては、配属研修以外に集合研修を実施しているところもあります。

司法書士会研修の費用についても、各司法書士会によって異なります。配属研修については無料で、集合研修は30,000円程度のところが多いようです。

司法書士会研修は、登録する司法書士会で受講するのが通常です。司法書士会によっては、司法書士会研修なしでの登録を認めているところもあります。

2-4.特別研修

新人研修には含まれませんが、認定司法書士になるためには特別研修の受講が必要です。

認定司法書士とは、140万円以下の簡易裁判所が管轄となる民事訴訟での代理人業務などに対応できる司法書士のことを言います。

現在では、司法書士全体の8割ほどが認定司法書士になっているため、新人司法書士の方は、新人研修を終えたタイミングで特別研修を受講するのがおすすめです。

(特別研修は例年5月下旬から6月下旬にかけて実施されます。)

※認定司法書士や特別研修について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

3.司法書士会の登録手続き

司法書士会の登録については、下記の通り、司法書士法で定められています。

司法書士法第57条、第73条により、司法書士は司法書士会に入会することなしにその業務を行うことはできません。

また、全国の司法書士会は、会則を定めて、日本司法書士会連合会を設立しなければならず(司法書士法第62条)、司法書士となる資格を有する者が、司法書士となるには、日本司法書士会連合会に備える司法書士名簿に、氏名、生年月日、事務所の所在地、所属する司法書士会その他法務省令で定める事項の登録を受けなければなりません(司法書士法第8条、第9条)。
出典:組織の概要-日本司法書士会連合会

ここでは、司法書士会の登録手続きについて、登録手続の流れ、必要書類、登録にかかる費用を解説します。

3-1.登録手続の流れ

登録手続の流れは、およそ次のようになります。

 司法書士会に登録申請書などの必要書類を提出する
  ↓
 司法書士会の審査を受ける
  ↓
 日本司法書士連合会の審査を受ける
  ↓
 司法書士登録証が交付される
  ↓
 司法書士業務を開始する

3-2.登録手続の必要書類

登録手続の主な必要書類は、次のとおりです。

・登録申請書
・司法書士となる資格を有することを証する書面
・司法書士名簿
・住民票
・成年被後見人・被保佐人に登録されていないことの証明書
・入会届
・宣誓書
・履歴書 
 など

申請の必要書類は、各司法書士会によって異なります。詳しい必要書類は、各司法書士会にお問い合わせください。

3-3.登録手続にかかる費用

司法書士会の登録手続きにかかる費用は、次のとおりです。

・登録免許税   30,000円
・登録手数料   25,000円
・入会金     25,000円~50,000円ほど(司法書士会によって異なる)
・バッジ代      6,500円

さらに、登録後には、月々の会費も発生します。会費の金額も司法書士会によって大きく異なります。会費の額については、登録予定の司法書士会にお問い合わせください。

4.司法書士の新人研修・登録についての注意点

ここでは、司法書士の新人研修・登録手続きについての注意点を2つ紹介します。

4-1.新人研修は合格年度以外でも受講できる

新人研修を受講するタイミングは、合格者それぞれが自由に決めることができます。多くの合格者は合格年度に新人研修を受講しますが、受講を翌年にずらすことも可能です。

司法書士試験に合格しても司法書士として活動する予定のない方、すぐに業務を開始する予定のない方は、合格年度にこだわらずに自分にとって必要と考えるタイミングで研修を受講すれば問題ありません。

4-2.司法書士会に登録しなければ司法書士活動はできない

司法書士として活動するには新人研修を受講し、司法書士会に登録する必要があります。

司法書士事務所に所属せず独立して業務を開始しようと考えている方も、司法書士会への登録は必ず行うようにしてください。

司法書士会に登録すると、会費が発生します。司法書士としての活動を予定していない場合には、登録を焦る必要はありません。新人研修の受講を終えていれば、司法書士会への登録は自分の好きなタイミングで行えます。

5.まとめ

司法書士試験に合格しても司法書士として活動するまでには時間がかかります。

司法書士試験の合格を目指す方は、合格後にどのタイミングで新人研修や特別研修を受講するのか、就職活動はいつから開始するのかについても考えておくと良いでしょう。

司法書士業務を開始してからは、特別研修を受講する時間の確保が難しくなります。新規の合格者は、新人研修に続けて特別研修を受講するのがおすすめです。

※特別研修については、こちらの記事も併せてご覧ください。

※司法書士の将来性や活躍する方法については、こちらの記事をご覧ください。

※司法書士のダブルライセンスについては、こちらの記事をご覧ください。

伊藤塾 司法書士試験科

著者:伊藤塾 司法書士試験科

伊藤塾司法書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法書士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。