【伊藤塾・髙橋講師が語る】大学生が司法書士・行政書士に挑戦すべき理由とは

基本情報

2025年10月17日

2013年より、伊藤塾で受験指導をスタートし、司法書士・行政書士などの法律資格で多くの受講生を短期合格へと導いてきた「髙橋智宏」講師。

実は髙橋講師も、皆さんのように大学生の時に法律の勉強を始め、在学中に司法書士試験に合格した経験の持ち主です。

「司法書士試験・行政書士試験にはロマンがある」…と熱く語る髙橋講師。

髙橋講師が法律資格試験、なかでも「司法書士試験・行政書士試験」に感じる「ロマン」とは一体何なのでしょうか?

本記事では、髙橋講師が法律家を目指したきっかけや大学生時代のリアルな受験生活、実務家ではなく「教える」ことを選んだ理由のほか、自身の講義スタイルや教材開発へのこだわり、なぜ「司法書士試験」「行政書士試験」は大学生におすすめなのかなど、深くお話を伺いました。

★髙橋智宏講師プロフィール
・2012年 司法書士試験合格。
・2013年 伊藤塾にて受験指導を開始。
・2013年 第12回簡裁訴訟代理等能力認定考査合格。
・2016年 行政書士試験合格。一発・在学中・最年少で司法書士試験合格を果たす。講義のほか、教材制作にも精力を注ぎ、多くの教材制作も手がけている。無駄な暗記を排除した制度趣旨の核心からアプローチし、多彩なイラストを駆使して視覚的イメージを持たせる講義で、多くの受験生を短期合格へと導いている。また、自身が一発合格したノウハウを活かした学習方法の指導にも力を入れており、伊藤塾noteのコーナー「髙橋智宏の合格道しるべ」や、「X講師アカウント」でも効率的な学習方法を発信している。

1.きっかけは高校時代の自転車事故


ーーまず、先生が法律に興味を持ったきっかけを教えてください。

髙橋講師:最初のきっかけは、自分が高校生の時に直面した自転車事故です。そのときに、「困っている人の味方になれたらな」と思って、大学の学部では法学部を選びました。

でも、実務家ではなく「講師になりたい!」って強く思うようになったのは、大学時代の塾講師のアルバイト経験がきっかけです。中高生に勉強を教えていたんですが、生徒が頑張って点数がグンと上がったりするのをみて、「教えるのって楽しいな」と感じて…。

「せっかく法学部にいるんだから、法律資格の講師になれないかな?」って考え始めたんです。

ーー「教えることが楽しい」と感じたのがスタート地点だったんですね! 生徒さんたちのどんな姿に、特にグッときたんですか?

髙橋講師: 例えば、入塾した時は30点くらいだった子が、次のテストで60点、その次には80点、90点…って、本当に目に見えて成長していくんですよ。

生徒の頑張りが結果になって、成長を間近で見れるのが、言葉にできないくらい嬉しかったんです。そういった姿を見て「頑張っている人を応援できるのって良いな」と感じていました。そこから司法書士試験の勉強を始めるに至りました。

だから、実務家出身の先生方とはちょっと違っていて、「司法書士になりたい!」というよりは、「教えることが楽しい!」という気持ちが先にあり、「講師になるために司法書士になった」というイメージです。

2.「合格は絶対に無理」…そう言われても諦めなかった理由

ーー「司法書士になる」と伝えたとき、ご友人の反応はどうでしたか?

髙橋講師:「絶対に無理だよ」という反応でしたね(笑)。

当時の司法書士試験の合格率が3%だったので、「本当に大丈夫なの?」と全員から言われていて。

でも、私も変に突っぱねて、「いやいや、やればできるでしょ!」と言い返していました。

ーーなぜ、周囲から「絶対に無理だよ」と言われても頑張れたんでしょうか?

髙橋講師:行政書士試験もそうですが、司法書士試験って、その場で学んだ知識なら「ほぼ100%」で正解できる試験なんです。一個一個ちゃんと理解して、覚えていけば解ける問題ばかり。

すごく極端な言い方をすれば、漢字テストの延長線みたいなものです。天才的なひらめきは必要ない。勉強すればするほど、それが確信に変わっていき…「あ、ちゃんと頑張れば、絶対に合格できる試験なんだな」ということが分かったんです。

おそらく、世間一般では「司法書士試験」「行政書士試験」は「問題がすごく難しい試験」というイメージだと思います。けど、実際には「覚えることが多いから大変」というジャンルです。「難しい」の意味合いが違うんですよね。

3.自分にとっては「勉強」が就活…覚悟を決めたのは大学3年


ーー大学時代、司法書士試験の勉強はいつからスタートされたんでしょうか?

髙橋講師: 大学3年の4月からですね。それまでやっていた塾のバイトもキッパリ辞めて。大学の単位も、1・2年生の時にある程度取っていたので、大学3年の後半から、かなりの時間を勉強に費やしていました。

ーー大学時代って、周りはサークルとか飲み会とかで楽しんでいる時期ですよね?どうやってモチベーションを保ったんでしょうか?

髙橋講師:私が勉強を始めたのが、大学3年生の4月だったので、ちょうど周りも就活をしていたんです。自分にとっては、就活が勉強だったので「とにかく、やらなきゃ!」という感覚があり、頑張ることができました。

なので、「勉強が就活だ」と思って勉強することは、学生にかなりおすすめのテクニックです(笑)。

ーーなるほど(笑)。因みに就職活動は全くされていなかったんですか?

髙橋講師:1回だけ、自分のやる気を出すために、合同説明会に行ったことがあります。周りのみんながスーツ着て必死に就活してるのを見て、「自分にとっての就活である勉強を頑張ろう!」と、気合を入れ直しました。

ーー周囲が就活をしている中で、「自分は就活をしない」という選択をされたわけですよね。「もし落ちたらどうしよう」…という不安はなかったんでしょうか?

髙橋講師:そうですね。不安がなかったと言えば嘘になります。

ただ、私には司法書士・あるいは法律資格の講師になるという選択肢しかなかったので、新卒ブランドを逃すデメリットを、あまり感じていませんでした。司法書士も、その講師も新卒でなくても構わない資格ですから。

「結局司法書士の道へ行くなら、いつ合格してもいい」と思っていました。もし司法書士以外の選択肢があれば、違う葛藤があったでしょうね。

ーーご自身の中で、覚悟が決まっていたんですね。因みに、まだ就活が迫っていない大学1年〜2年生からスタートする場合、どのようにモチベーションを保てばいいでしょうか?

髙橋講師:あえて周囲に公言して、自分にプレッシャーをかけるのがオススメです。これも、実際に私がやっていた方法なんですが、周りの人に「司法書士試験を受けます!いついつ合格します!」みたいな大口を叩いていました。いわゆるビッグマウスってやつですね。それだけ周囲に言った後に辞めたら、「あいつ、やっぱり辞めたな…」みたいな状況になり、カッコ悪いじゃないですか(笑)。

大学時代というのは、「働く」ということへの意識がまだまだ薄いと思うんです。

なので、「将来の夢が〜」という理由よりも、「ここで辞めたらカッコ悪い…」という消極的なモチベーションの方が、続けやすいのかなと感じています。

ーー大学生活と受験勉強の両立で、他にメリットは感じましたか?

髙橋講師:大きく2つあります。まず、1つは「大学生」という身分があることの安心感ですね。社会人が受験に専念すると、精神的に負い目を感じやすいんですけど、学生ではそういった負い目がない点で、良い意味で「気楽」でいられると思います。

もちろん、大学時代はそんなことは分かっていませんでした(笑)。ただ、講師になり、色々な人の状況を見ていると、ものすごいメリットだなと感じます。

もう1つは、法学部の場合なのですが、大学の授業と試験勉強をリンクさせやすいことです。同じような科目の授業を履修したり、受験指導校のテキストで予習してから大学の授業に出たりすれば、相乗効果で効率もアップします。実際、司法書士試験の勉強の知識だけで単位が取れるような授業もありましたし(笑)。

4.講師としてのこだわり…勉強方法を体現したオリジナル教材

ーー講師になられて10年以上が経ちましたが…講義のスタイル、教材などで何か変わったことはありますか?

髙橋講師: 講義のスタイルで言うと、世の中のニーズが変わってきたなと感じます。昔は、司法試験から転進してきた受験生が多くて、「もっと難しくて高度な内容を教えてくれ!」というニーズが強かったんです。

でも今は、全体的に「とにかく分かりやすく!」というニーズが強い。

だから私の講義や教材も、イラストをいっぱい使ったり、法律に初めて触れる大学生でも「あ、なんか分かるかも!」と直感的に思ってもらえる工夫を意識しています。

今の時代には合っていると思うんですが10年前なら「ちょっと子供っぽくない?」と言われたかもしれません(笑)。

ーー髙橋講師が講義で使われている教材は、ご自身で作成されているのでしょうか?

髙橋講師:はい。私は基本的に、講義で使う教材は自分で作るタイプなんです。そして「教材」にはとにかくこだわっています。

問題演習がメインの講座なら、そのための教材。初めて法律を勉強する人向けの講座なら、その人たちにピッタリの教材、みたいに。担当する講座や、対象となる受験生に合わせて、教材もどんどん進化させてきました。

講師としての経験が長くなるほど、受験生に自分がやって欲しい勉強法を実践してもらえる教材が揃ってきたなと感じています。

ーーなぜ、そこまで「教材」にこだわっているんでしょうか?

髙橋講師:講師が培ってきた「勉強の方法論」を体現したのが、教材だと思っているからです。

良い教材というのは、まず講師の「こうやって勉強してほしい!」という想いがあり、それが表現されているんです。例えば、「制度趣旨を踏まえて勉強した方がいいよ」というメッセージが詰まっていれば、制度趣旨が細かく載っていますし、「表形式でコンパクトに整理をした方がいいよ」というメッセージであれば、そういう形式になっています。

なので、良い教材を正しい方法で使えたら、合格まで一直線に突き進むことができます。でも、教材に込められた方法論を汲み取らずに我流で余計なことをすると、合格まで時間がかかる。だから、受験生に最短で合格してもらうには、講師のメッセージを素直に受け止めてもらうことが必要なんです。

新しい教材に取り組むときは、受験生の皆さんにも、まず「勉強法を体現したのが教材である」ということを意識して欲しいなと思います。

ーーそういえば髙橋講師の教材には、必ず最初に「取扱説明書」がありますよね。すごく詳しい使い方が載っていて、びっくりした記憶があります。

髙橋講師:はい(笑)。冒頭の説明書も、「受験生にちゃんとメッセージが伝わって欲しい」という願いを込めて作成しています。

誤った方法で教材に取り組むと、制作者の狙いと外れた方向に進んでしまい、せっかく頑張っても結果が出なくなってしまうので。

「勉強方法を体現するのが教材である」という認識は、年々強くなっていますね。

5.司法書士・行政書士試験にはロマンがある


ーー先ほど、司法書士試験や行政書士試験には「ロマンがある」と言われていましたが、この「ロマン」についても詳しく教えてもらえますか?

髙橋講師:もちろんです。これらの試験の最大の魅力は、「正しい方向で努力すれば、ちゃんと報われる」ということ。そして、「将来の可能性が大きく広がる」ということです。

まず、法律資格の勉強って、基本的にみんなゼロからのスタートなんです。

高校まで勉強を頑張ってきたかとか、大学受験で成功した・失敗したとかはあまり関係がない。

法学部でないことで、引け目を感じる人もいますが、学部を気にする必要もありません。司法書士試験で言えば、不動産登記法とか商業登記法なんて、大学の授業ではほぼやりませんしね(笑)。

そして、知識記憶型の試験である以上、コツコツ知識を覚えていけば、着実に実力を伸ばし、合格点をとることができる。つまり、これまでの経験に関わらず、今からの努力が報われやすい。言い換えれば、今から正しい方向で努力すれば誰でも合格できる。そして合格できれば、将来の選択肢が大きく広がる。多元的な意味で、本当に「ロマン」のある試験だと思います。

ーー法律資格を目指すとき、弁護士、司法書士、行政書士などで迷う人も多いと思います。選ぶ基準のようなものがあれば、教えていただけないでしょうか?

髙橋講師:そうですね。まず、紛争性がある事件に関わり、直接自分で救いの手を差し伸べたいという方は、司法試験で弁護士などを目指した方が良いかもしれません。

でも、法律関係で人を助けたい…けど揉めごとは苦手、平和が好きだという方は司法書士の方が良いと思います。司法書士の仕事は、紛争を事後的に解決するよりも、紛争が起こらないようにする予防法務がメインなので、紛争が苦手で、でも法律職として働きたいという方であれば、司法書士が合っているかなと思います。

ーー行政書士はどうでしょうか?就職につながりにくいと言われることもありますが…

髙橋講師:むしろ、大学生が一般企業に就職するとき、武器になりやすいのが行政書士だと思います。

というのも、就活って基本的に大学3年生のあたりからスタートしますよね。つまり、就活で資格をアピールするなら、それまでに合格していなきゃいけない。

その点、行政書士試験の場合、3ヶ月〜半年程度の短期で合格される方もいます。それが就活に間に合えば、面接のときに「行政書士の資格を持っています!」と言えるんですよね。そして知名度もある資格だから評価もされやすい。だから、就職でプラスに働きやすいと思います。民間企業ではなく、公務員試験を受けるときも、重複している科目が多いのですごくやりやすいと思います。

ーーなるほど、その視点はありませんでした。

髙橋講師行政書士には、「選択肢を広げる」という大きな力があると思います。

まだ将来やりたいことがハッキリ決まってないとか、一般企業への就職を考えている人なら、まず行政書士の勉強を通して「法律を学ぶ面白さ」を感じて、そこから公務員や司法書士、司法試験みたいに、自分の可能性を広げていくのがいいんじゃないでしょうか。

大学生の生活と両立しやすいのも、魅力だと思いますよ。

6.【最後に】髙橋講師から大学生へのメッセージ


ーーそれでは最後に、これから法律資格を目指そうかなと考えている大学生や20代の皆さんに、髙橋先生から伝えたいことがあればお願いします。

髙橋講師:ここまで何度もお話しましたが、司法書士試験、行政書士試験は本当にロマンがある試験です。努力型で、法学部・学歴とか関係なく、今から正しい方向で努力すれば誰でも合格できる、そして人生の選択肢を大きく広げてくれます。

大学生や20代の皆さんは、「時間」という最強の武器を持っています。何でもスポンジみたいに吸収できる力もある。大学生時代に一つの目標に向かって本気で取り組んだ経験は、絶対に将来の宝物になります。

まずは小さな一歩でいいから、踏み出してみてください。心から応援しています!

ーー髙橋先生、今日は貴重なお話をありがとうございました!

→ 高橋講師のnote『高橋智宏の”合格”道しるべ 』記事まとめはこちら
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伊藤塾 司法書士試験科

著者:伊藤塾 司法書士試験科

伊藤塾司法書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法書士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。