あなたは司法書士に向いている?スキルや資質・働き方の特徴を解説!

キャリア

2025年10月02日

「司法書士に向いているのはどんな人?」
「逆に、向いていない人の特徴は?」

司法書士試験を目指す上で、

・自分が司法書士に向いているのか
・それとも向いていないのか

というのは、多くの受験生が気になるポイントです。

本当の意味での「適性」を判別することは難しいですが、

・自分がどのようなキャリアを築きたいのか
・どのような働き方が理想なのか
・仕事で何を重視しているのか

などの観点から、向き・不向きを見極めることはできます。

本記事では、スキルやキャリア、働き方、年収など、様々な面から、司法書士に向いている人・向いていない人の特徴を解説します。

司法書士に興味がある方は、是非ご一読ください。

1.司法書士ってどんな仕事?

司法書士は、法律の専門家として、登記手続きや裁判事務などをおこなう法律職です。

最初に、仕事の特徴や働き方、年収について見ていきましょう。

1-1.司法書士の特徴

司法書士は「⾝近なくらしの中の法律家」として、国民の法的ニーズに応えるために活躍している仕事です。

主な仕事内容として、

・不動産登記や商業登記
・裁判所への提出書類の作成
・債務整理などの法律事務

が挙げられます。

さらに近年は、

・簡易裁判所で、民事訴訟や調停ができるようになった
・高齢化の影響で、相続・成年後見業務が急増している

など、社会の変化に伴って、活躍の場が急速に拡大しています。

法律知識だけでなく、依頼人との良好な関係を築くコミュニケーション能力も求められており、AIに代替されるリスクの少ない仕事です。

※司法書士の仕事内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。
行政書士とは 仕事内容と資格の活かし方

1-2.司法書士の働き方

司法書士の働き方には、大きく「勤務」型と「独立開業」型の2つがあります。

「勤務」司法書士は、司法書士事務所や法律事務所、企業の法務部などに所属して、経営者や上司の指示に従って働くスタイルです。安定した収入を得られるのが魅力で、一般的な民間企業に近い働き方といえるでしょう。

一方、司法書士は自分で「独立開業」するケースも多いです。この場合、自分の事務所を構えて、自分のペースで働くことができます。

収入の変動は大きくなりますが、基本的には「勤務」司法書士より高年収になるケースが多いです。

※司法書士の独立開業については、こちらの記事で詳しく解説しています。

1-3.司法書士の平均年収

厚生労働省の「職業情報提供サイト」によれば、司法書士の平均年収は「1,121万円」となっています(厚生労働省:職業情報提供サイト jobtag 司法書士)。

もちろん、経験や働き方によって差はありますが、「年収1000万」以上も十分に目指せる夢のある仕事です。

※司法書士の年収については、こちらの記事で詳しく解説しています。

2.【スキル・キャリア編】司法書士に向いている人

それでは、どのような人が司法書士に向いているのでしょうか。

最初に、スキルや資質、キャリアプラン等の面から、司法書士に向いている人の特徴を説明します。

・責任感が強い人
・専門的なスキルを身につけたい人
・将来への不安を抱えている人
・法律家として働きたい人

順番に見ていきましょう。

2-1.責任感が強い人

司法書士の仕事には、依頼者の大切な財産や権利を守るという重大な責任が伴います。

そのため、責任感が強い人は司法書士に向いているといえるでしょう。

司法書士の業務では、一つ一つの案件に対して細心の注意を払い、強い責任感を持って取り組むことが求められます。例えば、不動産登記の手続きにおいてミスがあれば、依頼者が所有権を失ってしまう可能性があります。また、成年後見人として不適切な財産管理を行ってしまえば、被後見人の生活に深刻な影響を及ぼしかねません。

このように、司法書士は依頼者の信頼に応える重要な役割を担っているのです。

強い責任感のある人は、まさに司法書士として最も大切な資質を持ち合わせていると言えるでしょう。

2-2.専門的なスキルを身につけたい人

司法書士になると、法律の専門家として、一生モノのスキルを身につけることができます。

例えば「不動産登記」や「商業登記」など、司法書士が行う仕事はいずれも、高度な法律知識と専門スキルが欠かせない仕事です。

法律上も多くの業務が、司法書士の「独占業務」として定められており、「司法書士資格」は正に一生物のスキルを得られる資格だといえるでしょう。

資格取得後も、「認定司法書士」になって仕事の幅を広げるなど、更なるステップアップの道が開かれています。

「手に職を付けたい」「専門的なスキルを身につけたい」という方にとって、司法書士は最適な職業だと言えるでしょう。

※司法書士の独占業務については、次の記事で詳しく解説しています。

※認定司法書士については、こちらの記事で詳しく解説しています。

2-3.将来への不安を抱えている人

将来への不安を抱えている人にとって、司法書士は大きな希望となる選択肢です。

例えば、会社の倒産や業績不振によるリストラ、年金の削減、介護や育児による離職など、このままで良いのだろうかと不安を抱えている人は多いでしょう。しかし、司法書士になることで、そうした将来への不安を払拭することができます。

その理由は、司法書士が人生逆転型の資格だからです。

資格さえ取得できれば、未経験からでもキャリアをスタートできる上、何歳からでも挑戦することができます。実際、令和5年の司法書士試験合格者の平均年齢は40歳を超えており、80歳を超えて合格した人もいます。

つまり、年齢に関係なく、意欲さえあれば誰でも司法書士を目指せるのです。

さらに、司法書士自体の将来性も、決して不安視されるような状況にはありません。

高齢化社会の進展に伴って、相続や成年後見人としての財産管理など、司法書士の業務に対する需要は益々拡大しています。

このように、将来への不安を抱えている人にとって、司法書士は人生を大きく変える転機となる可能性を秘めています。司法書士になることで、キャリアの選択肢が広がるだけでなく、安定した収入と社会的地位を得られるでしょう。

※こちらの記事もご一読ください。

2-4.法律家として働きたい人

弁護士、裁判官、検察官などの法曹三者以外にも、法律に関わる仕事は数多く存在します。

その中でも、特に国民にとって身近な法律家として活躍しているのが「司法書士」です。

法律に興味があり、法律職に転職したいと考えている人にとって、司法書士は非常に魅力的な仕事となるでしょう。

なお、司法書士になるためには、司法書士試験に合格する必要がありますが、大学で法律を学んだ人だけでなく、様々なバックグラウンドを持つ人が合格しています。

例えば、営業職や事務職、公務員など、全く別の分野で働いていた人が、司法書士への転身を果たすケースは珍しくありません。

未経験から、法律家に転身したい人にとって、司法書士は最適な資格だと言えるでしょう。

※セカンドキャリアとして司法書士を選んだ人々の体験談はこちら
セカンドキャリアで“司法書士”を選択する

3.【ライフスタイル編】司法書士に向いている人

次に、「年収」や「働き方」「働く場所」など、ライフスタイルの側面から、司法書士に向いている人の特徴を見ていきましょう。司法書士で実現できるライフスタイルには、次のようなものが挙げられます。

・安定した収入を得たい
・地域を選ばずに働きたい
・家庭や育児と仕事を両立させたい
・独立開業したい

それぞれ見ていきましょう。

3-1.安定した収入を得たい人

司法書士は、安定した収入を得ることができる職業です。

司法書士の平均年収は1000万円を超えており、他の専門職と比べても高水準にあります。

事務所などに勤務して働く場合、平均年収は下がりますが、それでも一般的なサラリーマン以上の収入は、十分に得ることができるでしょう。

また、司法書士は社会的ニーズが高く、経済状況に左右されにくいという特徴もあります。

不動産登記や商業登記、相続手続きなど、司法書士の業務は景気の影響を受けにくいため、安定した需要が見込めるのです。

長期的に安定した収入を得たい方にとって、司法書士は魅力的な選択肢の一つだと言えるでしょう。

※司法書士の収入については、次の記事で詳しく解説しています。

3-2.地域を選ばずに働きたい人

都心部や地方など、地域に左右されず働きたい人にとって、司法書士はぴったりの資格です。

司法書士は、士業の中でも特に、地方に関わらず活躍しやすい仕事だからです。

例えば、「司法書士」と「弁護士」の地域別の割合を比較すると次のようになっており、多くの司法書士が「地方」で活躍しています。

【全国の司法書士の割合】

【全国の弁護士の割合】

参照:日本司法書士会連合会:司法書士白書 2021年版
参照:日本弁護士連合会:基礎的な統計情報(2021年)

「弁護士」と比較して「司法書士」は、圧倒的に地方で働く人の数が多いことが分かります。これは、司法書士のメインとしている「登記業務」が、都会・田舎を問わず、土地・企業さえあれば必ず発生する業務だからです。

「Uターン」や「Iターン」を考えている方、地元で働きたい方にとって、司法書士は最適な選択肢の一つになるでしょう。

3-3.家庭や育児と仕事を両立させたい人

司法書士は、家庭や育児と仕事の両立を実現しやすい職業です。

司法書士には様々な働き方があり、独立開業、正社員、時短社員、パートなど、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択することができます。特に、家庭や育児で仕事ができる時間に制限がある人にとって、司法書士は魅力的な選択肢となるでしょう。

例えば、子供の送り迎えや学校行事に合わせて、働く時間帯を調整したり、独立開業して、自分のタイミングで仕事をしたりすることもできます。また、大手の司法書士法人などに就職すれば、「育休」や「介護休暇」などの制度が整っている場合も多いです。

さらに、司法書士は結婚・出産などで一時的に離職していた女性にもおすすめできる職業です。売り手市場が続いているため、ブランクがあってもキャリアに復帰しやすい環境にあるからです。

このように、司法書士は、家庭や育児と仕事の両立を図りやすい職業です。

家庭と仕事の両立に悩んでいる人にとって、司法書士は非常に向いている仕事だと言えるでしょう。

※女性司法書士については、以下の記事で詳しく解説しています。

司法書士試験に1回の受験で合格したママたちの座談会

3-4.独立開業したい人

会社勤めから独立し、自分で事業を営みたいと考えている人にとって、司法書士は最適な資格の1つです。その理由は大きく2つあります。

1つ目の理由は、司法書士事務所を開業する場合、必要な初期費用が少なくて済むという点です。例えば、スマートフォン、パソコン、プリンターなど最低限の設備さえあれば、事務所の開設が可能です。事務所もマンションの一室で十分なので、多額の初期投資は必要ありません。

2つ目の理由として、司法書士業界への参入障壁が高いため、過度な競争に晒されるリスクが少ないという点が挙げられます。司法書士になるためには、「最難関の国家試験への合格」というハードルを突破しなければなりません。そのため競合の参入が少なく、一度軌道に乗ると、安定的に経営を続けていくことができます。

開業しやすい一方で、経営が軌道に乗ってくると、高い年収を得ることも可能です。司法書士の中には、1000万円を超える年収を得ている人も少なくありません。

独立して、自由に働きたいという想いを持つ人にとって、司法書士はぴったりの資格だと言えるでしょう。

※司法書士の独立開業については、次の記事で詳しく解説しています。

4.司法書士に向いていない人の特徴は?

次に、司法書士に向いていない人の特徴を説明します。

・文章を読むのが嫌いな人
・倫理観が欠けている人

上記のような特徴を持つ人は、司法書士に向いていない可能性があります。

それぞれ見ていきましょう。

4-1.文章を読むのが嫌いな人 

司法書士の業務には、法律の条文や判例、先例などを調べるために、大量の文章を読む作業が欠かせません。また、関係機関に提出する書類の作成にも、正確な文章力が求められます。

そのため、文章を読むことが苦手な人や、文章を書くことが得意ではない人は、司法書士の仕事に戸惑うかもしれません。

もっとも、文章に対する苦手意識は、慣れによって克服できるケースが多いです。

特に、法律特有の考え方や表現方法については、多くの法律未経験者が戸惑うポイントなので、過剰に心配する必要はないでしょう。

4-2.倫理観が欠けている人

司法書士は、依頼者の大切な財産や権利を守る立場にあります。

そのため、高い倫理観を持ち、依頼者の利益を最優先に考えて行動することが求められます。

例えば、依頼者から預かった資料を紛失したり、第三者に漏らしたりすることは絶対にあってはなりません。また、依頼者の意向に反して、自分の利益を優先するような行動を取ることも厳禁です。

もし、これらが欠けていたり、ルールを軽視する傾向があったりする人は、司法書士に向いていないと言えるでしょう。

倫理観の欠如は、司法書士としての信用を失墜させるだけでなく、場合によっては資格剥奪などの重大な処分につながる可能性もあります。それだけ、司法書士にとって倫理観は重要な要素なのです。

日頃から法律を順守し、社会のルールを尊重する姿勢を心がけることが大切です。

5.司法書士に向いていると感じたら?

司法書士に魅力を感じ、自分に向いていると思ったら、まずは行動に移すことが大切です。

司法書士になるためには、「司法書士試験」に合格する必要があります。この試験は、合格率の低い難関試験ですが、一部の天才しか合格できない試験ではありません。質の高い勉強をすることさえできれば、誰でも合格することができる試験です。

因みに、司法書士試験の合格に必要な勉強時間は、「3000時間」程度が目安だと言われています。ただし、これはあくまでも平均時間であり、個人差が非常に大きいのが特徴です。

例えば、受験指導校などを活用して正しい方法で勉強すれば、はるかに短い時間で合格できるケースも多いです。

また、受験生からも良く聞かれますが、司法書士試験を目指すために、仕事を退職する必要はありません。実際、伊藤塾でも多くの受講生が、働きながら司法書士試験に合格しています。

もちろん勉強に専念して、短期集中する人もいますが、働きながら受験するメリットも大きいです。いきなり退職というリスクを取る必要はありません。

向いていると感じたのであれば、まずは一歩を踏み出してみてください。 

・とりあえず市販のテキストを読んでみる
・司法書士になった自分の姿をイメージしてみる
・司法書士として働いている先輩から話を聞いてみる
・受験指導校で合格した人の体験談を聞いてみる

簡単なことからで良いので、まずは行動を開始してみましょう。

小さな一歩を踏み出すことが、新しい人生の扉を開く鍵となるかもしれません。

※司法書士試験に必要な勉強時間については、次の記事で詳しく解説しています。

※2023年司法書士試験合格者メッセージ

ただただ回数を重ねてもダメ、勉強時間の量ではなく質が大事、初回受験合格には常識です!

6.まとめ

結局のところ「向いているのか」「向いていないのか」を考え続けることにあまり意味はありません。考え続けるのではなく、行動してみることで、自分の適性や可能性を見極めることできるのです。

仮に「向いていない」と感じていても、勉強を進めていく過程で、法律を面白いと感じ始めるケースもあるでしょう。

司法書士の仕事や働き方に興味を持ったのであれば、迷わずに一歩を踏み出してみてください。諦めずに挑戦し続ければ、必ず結果はついてくるはずです。

あなたの新しい人生が、司法書士への一歩から始まることを願っています。

伊藤塾の「司法書士入門講座」はこちら

伊藤塾 司法書士試験科

著者:伊藤塾 司法書士試験科

伊藤塾司法書士試験科は1995年の開塾以来、多数の法律家を輩出し、現在も業界トップの司法書士試験合格率を出し続けています。当コラムでは、学生・社会人問わず、法律を学びたいと考えるすべての人のために、司法書士試験に関する情報を詳しくわかりやすくお伝えしています。