
【2025年度】司法書士試験の基準点や合格点はどうなる?過去の推移から分析予想!
試験詳細
2025年10月02日


※2024年度の司法書士試験の結果については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
→【最新版】2024年司法書士試験の合格率は?合格点や基準点など試験結果を徹底分析
国家試験の中でも人気の高い司法書士試験ですが、合格するためには4つの基準点をクリアする必要があるのをご存じでしょうか。
相対評価の試験なので、毎年基準点は変動しますが、どれくらい得点できれば合格できるのかを知っておくことで、試験戦略を立てやすくなります。
この記事では、 司法書士試験の合格点・基準点について解説した上で、過去5年間における合格点・基準点の推移や令和7年度(2025年度)に行なわれる合格点・基準点の予想などについて、詳しく解説していきます。
合格点・基準点を知っておくことで、本番で効率良く得点できる学習計画を立てやすくなりますので、ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1.令和6年度(2024年度)司法書士試験における基準点・合格点は?
まず、令和6年度(2024年度)の司法書士試験における合格点・基準点を確認してみましょう。
令和6年度(2024年度)の司法書士試験における合格点・基準点 | ||
試験内容 | 合格点及び基準点 | 得点率 |
午前の部(多肢択一式問題)の基準点 | 満点105点中78点 | 74.29% |
午後の部(多肢択一式問題)の基準点 | 満点105点中72点 | 68.57% |
記述式問題の基準点 | 満点140点中83点 | 59.29% |
筆記試験合格点(※) | 満点350点中267.0点以上 | 76.29% |
参照:令和6年度司法書士試験筆記試験の合格点等について|法務省
※ 「午前の部の試験の多肢択一式問題」、「午後の部の試験の多肢択一式問題」又は「記述式問題」の各成績のいずれかが、それぞれに設定されている基準点に達しない場合には、たとえ筆記試験合格点を満たしていたとしても不合格となります。
記述式問題の基準点は、概ね50%程度の得点率となっていますが、午前の部・午後の部及び筆記試験全体の基準点は、それぞれ68〜75%程度の得点率となっています。
なお、令和6年度(2024年度)以降、記述式問題の得点が「2問で70点満点」から「2問で140点満点」に変更されました。
そのため、試験全体における記述式問題の重要性が上がり、得点率も変わっています。
参照:【重要】司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について|法務省
2.司法書士試験の基準点・合格点とは?上乗せ点はどれくらい必要?
そもそも、司法書士試験に合格するためには、3つの基準点と筆記試験全体の合格点をクリアする必要があります。
【司法書士試験における4つの合格点・基準点】
午前の部 | ①多肢択一式問題 |
午後の部 | ②多肢択一式問題 |
③記述式問題 | |
④筆記試験全体 |
「午前の部の試験の多肢択一式問題」、「午後の部の試験の多肢択一式問題」、「午後の部の記述式問題」にはぞれぞれ基準点が設定されており、合格するためにはその全ての基準点をクリアしなくてはなりません。
加えて、司法書士試験では筆記試験全体の合格点も設定されています。
たとえば、令和6年度(2024年度)の司法書士試験では、筆記試験全体の合格点は267点に設定されています。
それぞれの基準点をギリギリでクリアしたとすると、午前の部(多肢択一式問題)が78点、午後の部(多肢択一式問題)が72点、記述式問題が83点で、合計得点は233点となるため、筆記試験全体の合格点に34点足りません。
つまり、合格するためには、それぞれの基準点に上乗せして34点以上得点する必要があるのです。
司法書士試験の難易度が高いと言われている理由の一つは、合格するための基準となる点が4つあることが挙げられるでしょう。
3.過去5年間における基準点・合格点の推移
司法書士試験の過去5年間における基準点や合格点の推移を確認してみましょう。
3-1.午前の部(多肢択一式問題)
午前の部(多肢択一式問題) の基準点の推移は次の通りです。
午前の部(多肢択一式問題) の基準点の推移 | ||
年度 | 基準点 | 得点率 |
2024年度(令和6年度) | 満点105点中78点 | 74.29% |
2023年度(令和5年度) | 満点105点中78点 | 74.29% |
2022年度(令和4年度) | 満点105点中81点 | 77.14% |
2021年度(令和3年度) | 満点105点中81点 | 77.14% |
2020年度(令和2年度) | 満点105点中75点 | 71.43% |
参照:司法書士試験|法務省
午前の部(多肢択一式問題) の基準点は、75〜81点で推移しており、得点率は概ね71〜77%前後となっています。
午前の部の試験科目は「憲法、民法、刑法、商法(会社法)」の4科目となっていますが、特に民法と商法(会社法)については問題数が多いため、ここでどれくらい得点を伸ばせるかが、基準点を超えられるかどうかのポイントになるでしょう。
3-2.午後の部(多肢択一式問題)
午後の部(多肢択一式問題)の基準点の推移は次の通りです。
午後の部(多肢択一式問題) の基準点の推移 | ||
年度 | 基準点 | 得点率 |
2024年度(令和6年度) | 満点105点中72点 | 68.57% |
2023年度(令和5年度) | 満点105点中75点 | 71.43% |
2022年度(令和4年度) | 満点105点中75点 | 71.43% |
2021年度(令和3年度) | 満点105点中66点 | 62.86% |
2020年度(令和2年度) | 満点105点中72点 | 68.57% |
参照:司法書士試験|法務省
午後の部(多肢択一式問題) の基準点は、66〜75点で推移しており、得点率は概ね62〜71%前後となっています。
午後の部の試験科目は「民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法、供託法、不動産登記法、商業登記法」の7科目となっています。が、午後の部は、3時間という試験時間の中で記述式問題も解かなくてはいけないため、試験戦略や解答スピードも必要となり、全体の得点率は午前の部よりも低くなっています。
3-3.記述式問題
午後の部(記述式問題)の基準点の推移は次の通りです。
午後の部(記述式問題) の基準点の推移 | ||
年度 | 基準点 | 得点率 |
2024年度(令和6年度) | 満点140点中83.0点 | 59.29% |
2023年度(令和5年度) | 満点70点中30.5点 | 43.57% |
2022年度(令和4年度) | 満点70点中35.0点 | 50.00% |
2021年度(令和3年度) | 満点70点中34.0点 | 48.57% |
2020年度(令和2年度) | 満点70点中32.0点 | 45.71% |
参照:司法書士試験|法務省
午後の部(記述式問題)の基準点は、30〜35点で推移しており、得点率は概ね43〜50%前後となっています。
ただし、令和6年度(2024年度)に行なわれた司法書士試験から、記述式問題の得点が「2問で70点満点」から「2問で140点満点」に変更された関係で、基準点が大きく変わっています。
記述式試験全体の配点が2倍になった関係で、部分点をつけやすくなるなど採点の幅が広がり、得点差がつけやすくなったと言えるでしょう。
従来通りの学習プランを大きく変える必要はありませんが、記述式の対策を今まで以上にしっかり行ない、記述式問題でライバルと差をつけることが、司法書士試験に合格する一つのポイントであると言えるでしょう。
3-4.筆記試験全体
筆記試験全体の合格点の推移は次の通りです。
筆記試験全体の合格点の推移 | ||
年度 | 合格点 | 得点率 |
2024年度(令和6年度) | 満点350点中267.0点以上 | 76.29% |
2023年度(令和5年度) | 満点280点中211.0点以上 | 75.36% |
2022年度(令和4年度) | 満点280点中216.5点以上 | 77.32% |
2021年度(令和3年度) | 満点280点中208.5点以上 | 74.46% |
2020年度(令和2年度) | 満点280点中205.5点以上 | 73.39% |
参照:司法書士試験|法務省
筆記試験全体の合格点は、205.5〜216.5点で推移しており、得点率は概ね73〜77%前後となっています。
司法試験全体で7割程度の得点を獲得するためには、出題数が多く配点も高い主要4科目(民法、商法(会社法)、不動産登記法、商業登記法)でいかに得点できるかが重要になります。
特に民法は出題数がもっとも多く、かつ出題範囲も広いため、他の科目よりも時間をかけて徹底して基礎力を身につける必要があります。
さらに、令和6年度(2024年度)に行なわれた試験から記述式問題の配点が2倍になったことを考えると、記述式問題でどれだけ上乗せ点を稼げるかも、合格するためのポイントになると言えるでしょう。
4.令和7年度(2025年度)の基準点・合格点の予想は?
令和7年度(2025年度)に行なわれる司法書士試験の基準点・合格点がどれくらいになるのか、気になる人も多いでしょう。
過去5年間における基準点の推移を見てみると、午前の部(多肢択一式問題) については75%前後、午後の部(多肢択一式問題)については70%前後となっていることから、今後も同程度の基準点になるのではないかと推測されます。
一方、記述式問題については、令和6年度(2024年度)の試験から配点比率、基準点について変更されました。
それに伴い、筆記試験の全体の合格点についても変わってきますので、しっかり頭に入れておく必要があります。
ただし、記述式の採点基準は公表されていないため、記述式で大幅な上乗せ点を狙う戦略を採るのは危険です。
条件は全ての受験生で同様なので、択一・記述のバランスを大きく崩さないような学習計画を立てるようにしてください。
5.まとめ
司法書士試験では、①「午前の部の多肢択一式問題」、②「午後の部の多肢択一式問題」、③「記述式問題」の3つの基準点と「筆記試験全体」の合格点を全てクリアしなければ、合格を手にすることはできません。
令和6年度(2024年度)に行なわれた司法書士試験では、基準点が設定されているそれぞれでおおむね7割以上の得点が求められることを考えると、他の受験生が落とさない問題については、確実に得点するだけの基礎力を身につける必要があると言えるでしょう。
また、令和6年度(2024年度)の試験から記述式の得点が従来の2倍に変更されましたが、試験時間に変更はなく、択一式の基準点もなくなるわけではないので、今までの学習プランを大きく変える必要はありません。
基準点・合格点を過度に気にしすぎず、これまで通り各科目をバランスよく、基礎・基本を徹底した学習を続けていきしましょう。